もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第44話

 

 

 

宿。ユウの座ってる椅子の前の机に座っているユイ。キリトはベッドの上ですでにログアウトしている。ユウが先に戻らせたのだ。

 

「さて、ユイ」

 

「なんですか?」

 

ユウはユイをガシッと掴んだ。

 

「な、なんですか?」

 

「じゅるり」

 

「ひっ、ま、まさか……!」

 

「いただきます」

 

「いやあああ!やめてくださあい!」

 

10秒後、キリトが戻ってきて止めた。

 

 

 

 

「おかしいと思ったよ。お前が先に帰らせてくるもんだからな」

 

「うう……だからって蹴るのはヒドイ……」

 

今は二人で風呂に入っている。

 

「ていうか、お前もう中学生だろ?兄と一緒に風呂入ることに抵抗とかないのか?」

 

「ない。おにいにならユズの何を見られてもいい」

 

「うっ……」

 

そう言われると、兄としは嬉しい反面、少し気恥ずかしい和人だった。

 

「なんなら、ユズのどーてー、おにいにあげよっか?」

 

「ば、バカなこと言うな!そもそもお前は童貞じゃなくて処女だ!」

 

「おにい、顔真っ赤」

 

「……兄をからかうとはいい度胸だな」

 

「何かしたら、大声出す」

 

「んぐっ……!それはマズイ……!」

 

ふふんっと勝気な顔の柚葉。

 

「ねぇ、おにい」

 

「なんだ?」

 

「スグねえの言ってること、気にしちゃだめ」

 

「!」

 

「おにいは、悪くない」

 

「………ああ。サンキュー」

 

「うむ、よろしい」

 

少しだけ元気の出た和人だった。

 

 

 

 

翌日。柚葉がパソコンでALOについて調べてる時だ。

 

「ゆーずーはーちゃんっ!」

 

後ろから直葉が抱き着いてきた。

 

「スグねえ」

 

「なーにしてるの?」

 

「うえっ⁉︎え、えっと……い、今流行ってるゲームの情報を……」

 

「ゲーム?って、ALOに興味あるの⁉︎」

 

「? 知ってるの?」

 

「もちろんだよー。あたしもやっ……」

 

そこで言葉が止まる直葉。和人に「妹を巻き込むな」と言っておきながら自分がやってるとは言えなかった。

 

「? スグねえ?」

 

「ううん。なんでもない。それより今日は一緒にお風呂……」

 

「やだ」

 

 

 

 

スイルベーンに集合。

 

「やあ、早いね」

 

「ううん、さっき来たとこ。ちょっと買い物してたの」

 

「あ、そうか。俺も色々準備しないとな。ユウも行くか?」

 

「攻撃を喰らわなければ……回復アイテムはいらない……」

 

「ふーん、すごい自信だねユウ?」

 

リーファに挑戦的に言われるユウ。

 

「後ろから斬っちゃってもイイ?」

 

「10年早い……」

 

「ムカつく!」

 

自分で売った喧嘩で逆上するなよ……と、キリトは思わずにはいられなかった。で、三人は買い物へ。キリトは馬鹿でかい剣を買った。その頃、ユウは、

 

「ムムム……迷う」

 

「どうしたユウ?」

 

キリトに聞かれた。

 

「次の武器、迷ってる」

 

「斧じゃダメなのか?」

 

「や。あれ重い。それに飽きた」

 

「アッそう」

 

で、小一時間悩み続け、リーファが苛立ちのあまり、壁を殴り出す奇行に走った瞬間、決まったようだ。

 

「決めたっ。槍にする」

 

「また長い物を……」

 

キリトがそう言うと、ユウはその槍を買った。それはランスのような槍じゃなくて、こう……なんつーの?薙刀みたいな感じ。ていうか薙刀でいいや。問題は、全長7mくらいあるということだ。

 

「って、そんな武器振れるのかよ‼︎」

 

と、突っ込んだ瞬間、ユウはそれをバトンのように振り回す。

 

「? 何か言った?」

 

「なんでもない」

 

そのまま三人は塔へ向かった。高度を稼ぐためだ。その時、三人の前に男が二人出てきた。

 

「!」

 

「パーティから抜ける気なのか、リーファ」

 

「シグルド……」

 

困ったようにリーファは呟いた。

 

「うん……まあね。貯金もだいぶできたし、しばらくのんびりしようと思って」

 

「勝手だな。残りのメンバーに迷惑するとは思わないのか」

 

「ちょっ……勝手……⁉︎」

 

「お前は俺のパーティーの一員として既に名が通っている。そのお前が理由もなく抜けて他のパーティに入ったりすれば、こちらの顔に泥を塗られることになる」

 

シグルドのその台詞にリーファは少し言葉を失った。すると、隣から幼い声が聞こえた。

 

「元々泥だらけの顔のくせになにいってるの?」

 

あちゃー…と顔に手を当てるキリトだった。で、キッ!と睨まれるユウ。だが、無表情のままユウは続けた。

 

「元々ゲームっていうのは自由にやるもの。一言も言わずにひっそりいなくなろうとしたリーファもクソアホバカちんだけど、メンバー一人の一時的な脱退も許せないようなクソリーダーはリーダーとしての価値がない」

 

「なっ……⁉︎」

 

「仲間にパーティという名の枷を作るならそんなのはパーティリーダーとして相応しくない。今まで世話になってたなら、少しの間抜けるくらい見送ってあげるべき」

 

「………………」

 

「グスッ……」

 

「ち、ちょっとキリトくん何泣いてんの?」

 

「いや…ユウも成長したなと思って……他人を罵ることが多かったというのに……」

 

すると、シグルドは急に態度を変えた。

 

「……そうだな。何処へでもいけリーファ」

 

「う、うん……あたしも、ごめんね。何も言わずに去ろうとして」

 

「気にするな」

 

で、そのまま三人は飛んで行った。

 

「………グスッ。ユウ、成長したな……」

 

「おにい、殺すよ」

 

「ごめん」

 

 

 

 

塔。

 

「いいんですか?シグルドさん」

 

「あそこでまだこちらがゴネれば、周りから不信感を持たれる。その方が今後として良くない」

 

「それは、そうですね……」

 

「なに、俺を裏切ったことを近いうちに後悔する事になるさ」

 

シグルドは薄く笑った。

 

 

 

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