結果、ユウはキリトの背中で寝息を立てている。薙刀とキリトの大剣がぶつかり合った所でユウが「はたらきすぎた……」と寝てしまったからだ。
「……なんだったの一体?」
リーファが尋ねた。
「さ、さぁ……?で、ここがルグルーでいいのか?」
「うん」
「そういえば、メッセージ届いてなかった?あれは何だったの?」
「………あっ。忘れてた。ごめん、ちょっと確認してくるね。ユイちゃん、パパがあたしにイタズラしないように監視しててね」
「りょーかいです!」
「あ、あのなあ‼︎」
「おにいうるさい!」
「起きてたのか⁉︎」
その様子を見て呆れ気味に微笑みながらリーファはログアウトした。
「で、俺たちはどうするユウ?」
「寝る」
「即答かよ。もうすこし、なんつーの、こう……」
「……じゃあ、おにい。デート、する?」
「いやだからそういうんじゃ……はっ?」
「だから、デート」
「い、いやいやいや!兄妹でそれはないだろ!」
「なにうろたえてるの?フツーにお買い物って意味だよ?」
「………っ!いやだってお前ッ………で、デートって言うから……」
「間に受けすぎ……おにい、キモイ……」
「んなっ……!こ、このガキ……!」
「もういい……。ユイ、行こ?」
「はい!」
そのまま二人は行ってしまった。
「………シスコンなのかなぁ、俺……」
*
「ユイ、何か食べたいものとかある?」
ユウが聞いた。
「お姉ちゃんが買ってくれるんですか?」
「そう、お姉ちゃんが買ってあげる」
むっふーんと胸を張るユウ。
「それではですね……あれ、あれ食べたいです!」
ユイが指差した先にはりんご飴っぽいもの。
「まかせろっ」
「はい」
そう言うと二人が店に並んだ時だ。
「ユウ!」
リーファに後ろから声を掛けられた。
「………なにっ」
不機嫌そうに返事するユウ。
「ごめん、急用!急いでルグルー抜けるよ!」
「えっ」
「えっ」
ユウ、ユイと声を漏らす。
「い、いやでも……ユイにあのりんご飴……」
「いいから!急ぐよ!」
しょんぼりするユウの肩にユイは止まり、言った。
「仕方ありませんよ。また今度の機会でいいです」
「はぁ………」
出発した。
*
「つまり、あのシグルドってやつがシルフを裏切ったってことだな」
「そ、そ……痛っ。ちょっ……ユウちゃ痛っ!や、やめっ……蹴らなっ……痛っ!」
「ユウ、よせ」
なんて話しながら一同はシルフとケットシーの会談場へ向かう。
「だからね、キリトくん。これは、シルフ族の問題だから……これ以上君が付き合ってくれる理由はないよ。この洞窟を出ればアルンまではもうすぐだし、多分会談場に行ったら生きて帰れないから、またスイルベーンから出直しで、何時間も無駄になるだろうしね……」
立ち止まり、ポツリと呟くリーファ。そのリーファの後頭部をユウが蹴っ飛ばした。
「痛ッ!ち、ちょっとユウちゃん!さっきから……!」
「リーファ、全力のぼけなす」
「あぁっ⁉︎」
「そうだぞリーファ。俺もユウも、所詮ゲームだからって友達を見捨てたりしない」
キリトがにやりと笑って言うと、ユウはリーファの前に立って手を差し出した。
「ほら、行くよ?」
「…………うんっ」
グスリとしゃくりあげてその手を取ろうとするリーファ。だが、その手を掴んでユウは投げ飛ばした。
「ち、ちょっと!何すんのよ!」
「りんご飴のうらみっ」
「いくぞ」
キリトの号令で再び走り出した。