リアル。柚葉も和人もログアウトした。その時だ。ダンダンダンッ‼︎とノックの音がした。開けると、直葉が立っていた。
「す、スグ………」
「どういう事?」
「……………」
「言ったよね。柚葉ちゃんはこれ以上巻き込まないでって」
「…………あぁ。言った」
「どういう事⁉︎どういうつもり⁉︎本当にまだ懲りてないわけ⁉︎」
「……………」
「す、スグ姉っ。ユズ達はアスナを……!」
「柚葉ちゃんは黙ってて」
「っ」
言われて何も言えなくなる柚葉。そして直葉はギロリと和人を睨んだ。
「ごめん。スグ……分かったよ。もうユズは巻き込まない。全部、俺一人で片付けるから」
「お、にい……?」
「じゃ、付き合ってくれてありがとうな。二人とも。俺は、アスナを助けに戻るから。じゃあな」
そのまま和人は部屋に戻った。
「おにい!ユズも……!」
だが、その柚葉の手首を直葉が掴んだ。
「スグ姉っ」
「ダメだよ。柚葉ちゃん。もうオンラインゲームはやっちゃダメ、ね?」
「自分だってやってる癖に」
「それはそれだよ。あんな妹を自分の趣味に突き合せるような人と一緒に言っちゃダメだってば」
そのとき、柚葉の目付きが変わった。
「何それ、何様?」
「えっ?」
「勝手に人の事を決めつけて、勝手に思い込んで、勝手にキレて、それじゃシ、シグ……シグボトル?の言ってたようにただのジコチュー」
「柚葉、ちゃん……?」
「おにいだって、SAOにユズを巻き込んだことは反省してるし、ゲーム中だって後悔してた。いつもいつもユズのこと心配してくれて、それに今だって苦しんで、それでもアスナを助けるためにまだ自分のトラウマが残ってるゲームを被ってる」
「ど、どうしたの……?」
「ユズも同じ。SAOを始めた時も、ALOを始めたのも、全部ユズの意思」
「……………」
「それを勝手におにいが巻き込んだと思い込んで、軽蔑して、暴言吐き捨てるなんて何様?これ以上、おにいのこと罵倒するなら、ユズはスグ姉のこと、許さない」
柚葉の真っ直ぐと見据えた目に直葉は思わず怯んだ。そして、柚葉は和人の部屋のドアを開けた。
「ユズは、アスナを助ける」
「!」
「じゃ」
柚葉はそれだけ言うと、和人の部屋に入った。
*
ALO内。キリトは1人で再び塔の前に立った。
「パパ……ほんとに一人で行くんですか?」
「ああ。ユウはもう来れない。俺しか無理なんだ」
「ですが……二人で挑んでも無理だったのに一人では……」
「分かってる。でも、行くしかないだろ?」
キリトがそういうと、ユイは渋々頷いた。その時だ。キリトの後頭部にガッと何かが当たった。
「いっ……⁉︎」
「おにい、ユウを置いていくなんて10年早い」
「ユウっ⁉︎おまっ……なんでっ……⁉︎」
「スグねえを、論破してきた」
「………お前なぁ……」
で、ため息をつくキリト。
「まぁ、論破しちまったもんは仕方ないか」
「うんっ。しかたないっ」
ユウがムンッと胸を張った。そして、二人はもう一度塔を見上げる。
「行くぞ、アスナ助けに」
「うんっ」
「はい!」
ユウもユイも元気よく返事をした時だ。
「待ちなさい」
リーファの声がした。
「す、スグ……」
「リーファよ」
不機嫌そうにリーファはそう言うと、ユウを見た。何を言われるかわからないが、どう論破してやろうかユウが考えてると、急に抱き着いてきた。
「ッッ⁉︎」
「っはぁ〜〜〜!猫耳柚葉ちゃん可愛い可愛い可愛い!も〜うっ、チュッチュッチュッ!」
「や、やめっ!んっ!汚ッ!」
「ち、ちょっと……スグ……?」
キリトが引き気味に言うと、リーファはキリトの方を見た。
「別に、止めに来たんじゃないわよ。どーせ付き合うなら、最後まで付き合おうと思っただけ。それに……」
「…………?」
言いにくそうにモジモジするリーファ。そして、ちろっとキリトを見ると言った。
「その、ごめんなさい。たくさん、罵倒しちゃって」
「………………」
上目遣いで謝られ、思わず黙り込むキリト。だが、すぐに微笑んだ。
「別に気にしてないよ。スグ……リーファの言ってたことだって間違っちゃいない」
「お兄ちゃん……」
少し泣きそうになるリーファだったが、なんとか堪えた。そして、キリトが全員に言った。
「じゃ、行くか」
「「「おー」」」
それに妹と義妹と娘(?)が答え、三人で塔の中に入った。