もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第60話

 

 

 

翌日。桐ヶ谷家。

 

「おはよう、ユズ」

 

「おにい、おはっ」

 

「昨日、随分遅かったな。ちゃんと時間見て切り上げないとダメだぞ」

 

「わかっちょる」

 

「それと、ALOにも帰ってくるんだろ?スグが毎日死にそうになってるからちゃんと戻ってきてやれよ」

 

「そしたら、ユズが絞め殺される」

 

「それもそうか」

 

 

 

 

その日の夜。ユウはGGOの世界で武器屋にいた。BOBの準備はすでに終わっているが、暇潰しにである。その時だ。

 

(このBOB優勝したら、お金も貯まる。これで、おにいと……)

 

心の中で二ヘラっと笑ってると、声が掛かった。

 

「あら、ユウ」

 

「むっ?」

 

「はっ?ユウ?」

 

シノンが立っていた。そして、そのシノンの隣には女の子のようプレイヤーが立っていた。

 

「ほう、シノンか。昨日ぶりだな」

 

「何それ。ここで何してるの?BOBの準備?」

 

「ふんっ。戦の準備など戦の一週間前には終わらせておく。それが兵士というものだ」

 

すると、隣の女性っぽいプレイヤーは引き気味に口を開いた。

 

「な、なんかすごい人ですね……」

 

「口調はアレだけど腕は確かよ。あそこに見えるゲームあるでしょ?」

 

「? どれ?」

 

「あそこ」

 

店の奥に、Untouchable!と書かれたゲームがあった。

 

「なんですかあれ?」

 

「あそこのガンマンがいるでしょ?あいつがこっちに向かって撃ってくるんだけど、それをすべて躱してガンマンに触ればクリア、あそこに表示されてる額をすべてもらえるの」

 

表示されてる額は250万円。

 

「全部ですか⁉︎」

 

「うん。だって無理だもん。……と、思われてたんだけど、つい最近クリアしたやつがたった一人いてね。それがそこのユウ」

 

「ふっ。あれしきの遊びをクリアしたところでなんの自慢にもならん」

 

「それで、チャレンジャーが増えちゃってね。で、今はあの額ってわけ」

 

「ふーん……」

 

相槌を打ちながらその女の子はゲームの前に立った。

 

「や、やるの?」

 

「原理的にクリアできるゲームならクリアしてみたいでしょ」

 

そう言うと、いざプレイ。見事な脚さばきでクリアして見せた。

 

「すごい……」

 

と、シノンが声を漏らす中、ユウは「んんっ?」と声を漏らす。

 

(あの動き……何処かで見たような……ていうか、いつも見てるような……)

 

明らかに覚えのある動きにドッと汗が浮かんだ。

 

「? どうしたのユウ?」

 

「い、いやなんでもない……彼女の動きに惚れ惚れしてしまっただけだ」

 

「………惚れたの?」

 

「私が惚れるのは強い者だけだ」

 

(そうだよね……あの人、おにいである以前に女の人だもんね……)

 

と、無理矢理自分を納得させるユウだった。

 

「で、ではシノン。私はこの辺で失礼する」

 

「? う、うん……」

 

「次の戦場ではライバルだ。手加減無用で頼むぞ」

 

「そっちこそね」

 

そのままユウは逃げるように去った。

 

 

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