シノンは鉄橋の見える森林からヘカートを構えていた。視線の先にはダインがいる。
「どんな時も後ろに注意よ、ダイン君」
そう呟くと、引き金を引こうとした。その時、後ろから物音がした。
「しまっ……⁉︎」
振り返ると、キリトがいた。
「待て」
「っ……⁉︎」
反射的にMP7を突き出すのと、目の前に黒い銃口が出現したのが全く同時だった。
「待つんだ。提案がある」
「何を今更ッ……!この状況で提案も妥協もあり得ない!どちらかが死ぬ、それだけよ!」
「撃つ気ならいつでも撃てた!」
言われて怯むシノン。
「今ハデに撃ち合って銃声を向こうに聞かれたくないんだ」
「……?どういう意味……」
「あの橋で起きる戦闘を最後まで観たい。それまで手を出さないでくれ」
「……観て、それからどうするの?あらためて撃ち合うなんて間抜けなこと言わないでよね」
「状況にもよるが、俺はここから離れる。君を攻撃はしない」
「私が背中から狙撃するかもよ?」
「それならそれで仕方ない。諒解してくれ、もう始まる」
「………仕切り直せば、今度はちゃんと戦ってくれる?」
「ああ」
頷くキリト。しばらく見てると、始まった。ダインはライフルを構え、鉄橋の向こうからペイルライダーがやって来た。ダインの狙撃を全く恐れることなく、ペイルライダーは接近する。
「あいつ、強い……」
シノンは声を漏らした。
「STR型なのに装備重量を抑えて、三次元機動力をブーストしてるんだわ……しかも、軽業スキルがかなり高い」
そして、なんか撃ち合ってダインはやられた。
「あの青いやつ、強いな……あいつが……あのマントの中身なのか……?」
キリトが声を漏らした時だ。その青い奴が撃たれた。
「「あっ……!」」
2人で声を漏らす。そして、鉄橋の横からボロマントの男が現れた。
「……シノン、撃て」
「えっ?」
キリトが怯えたような声を出す。
「え?どっちを?」
「あのボロマントだ。頼む、うってくれ、早く!あいつが撃つ前に‼︎」
キリトの切迫した声はシノンの指をヘカートのトリガーに移動させた。その時だ。
「逢いたかった……逢いたかったぞキリトォォオオオオ‼︎」
間抜けな声が聞こえた。後ろからライフルを持ったユウが飛び込んできた。
「どんなタイミングぅぅううううッッ‼︎⁉︎」
キリトのツッコミも無意味にライフルから弾丸が飛び出す。キリトもシノンも慌てて逃げた。が、おかげでボロマントもペイルライダーから離れて距離をとった。
「お、おい待てユウ!今はそんなことしてる場合じゃ……!」
「戦場に場合も何もない。強き者が生き残るだけだ!」
「ああああ!マジめんどくせぇなお前!」
「貴様とは一度戦ってみたかった……!好敵手よ!」
「なんで一回も戦ったことねェのにライバル扱いされてんの!」
いや、ALOとかでは何度か戦ったかもだけども。と、心の中で付け加えるキリト。
「シノン……貴様とも戦闘したことはなかったな。今ここで決着をつけよう!」
「戦ったことないのになんの決着をつけんのよ!」
と、3人で撃ち合いが始まる。
(今はこんなことしてる場合じゃないってのに……!仕方ない!背に腹は変えられねェッ‼︎)
そう判断すると、キリトはユウに言った。
「落ち着かねぇとスグに言い付けるぞ!ユズ!」
ユウの動きが、空中で止まった。