で、再び鉄橋。とりあえずペイルライダーにトドメを刺しておいて、ユウはシノンの膝の上で号泣している。
「あんた……血も涙もないのね……」
「し、仕方ないだろ!あのままだと俺とお前ほんとに危なかったんだぞ!」
「でもあんた……あれは酷過ぎない?」
実の兄妹であることも、実は13歳であることも全部聞いたシノンは、ユウの頭を撫でていた。
「おにい……死ね……」
「わ、悪かったよ。みんなには言わないから、な?」
「そういう問題じゃない……アホにい」
完全にイジけてるユウだった。キリトはどうしたもんかね……と頭を掻く。
「とにかく、俺はあのボロマントを追う。あれ以上、あの銃で……」
人を死なせるわけにはいかない、と言おうと思ったがやめた。直葉の言った通り、これ以上、ユウを危険な目に会わせるわけにはいかないからだ。
「じゃあ、シノン。ユウを頼む。それと、あまりあのボロマントには近づかないようにしてくれ。約束は守る。次どこかで出会ったときは全力で戦う。じゃあな」
それだけ言って行こうとした。だが、
「ま、待ちなさいよ!」
シノンが声をかけた。
「私も行くわ」
「え?」
「あいつがなんなのか、どんな力を持ってるのか知っときたいわ。なんか、あんたのこと見てるとただ事じゃないってこもは伝わってくるし」
「で、でも……」
「とにかく、私も一緒に行く。その間に私にあいつがなんなのか教えなさい。あいつを倒すまで勝負はお預けよ」
本当は連れて行きたくなかった。だが、言っても聞かなさそうだったし、何よりユウの前であいつが何者か話すわけにはいかなかった。
「説明は移動しながらする。とりあえず、本当についてくるかはそれで決めてくれ」
「分かったわ。それで、ユウはどうするの?」
「ほっとけ。あと3分もしたら恥ずかしさのあまりの逆ギレタイムが始まる。そうなったら視界に入ったプレイヤーをそいつ片っ端からぶっ殺すから。そうなってくれれば、犠牲者も減らせて丁度いい」
「ぎ、逆ギレ……?」
「とにかく、行こう」
そのままキリトとシノンは出発した。
*
その頃、ALO。リーファの握り締めていたグラスが割れた。
「あの女誰よ……あたしのユウちゃんに何甘えられてんのよ……」
「リーファちゃん落ち着いて!」
試合観戦どころじゃなかった。
*
「……つまり、噂の死銃ってのはこのゲームで撃った相手を本当に殺せるってことね……」
「ああ」
信じられない話だった。
「そんなわけ……」
「でも、奴ら……ラフコフの連中ならあり得るんだ。あいつらなら……」
「その死銃ってのが……なんだっけ、ラフィンコヒン?ってことなの?」
「ああ。俺もユウもあいつらとは殺しあったんだ。もう、何度も。だから分かる」
「なるほどね……」
「それで、どうする?まだ追うなら俺と一緒にいてくれ。追わないなら、まぁ俺と戦うなりなんなりしてくれ」
「追うわよ。ていうか、そんな話聞いたらあんたとなんて戦えないわ」
「分かった。じゃあ、知恵を貸してくれ」
「いくら妙な力があると言っても、死銃は基本的にはスナイパーだわ。つまり、オープンスペースは苦手のはずよ。だから、都市廃墟とか森林とか山岳にいるはずだわ」
「なるほど……確か前回いなかったのは銃士X、ペイルライダー、スティーブンだったよな。で、狙われたことからペイルライダーじゃない」
「と、なると次のサテライト・スキャンで都市廃墟とか森林とか、その辺にいる奴が死銃、って事ね……」
「ああ。とにかく、次のサテライト・スキャンまで待とう」
次のサテライト・スキャンまで、あと3分だ。
*
3分後、ズルリとユウが起き上がった。そして、サテライト・スキャンによって敵の居場所を確認する。
「みーんな、ころす」
そう呟くと、動き出した。