キリトとシノンは都市廃墟に来た。
「銃士Xが、ここにいるのよね」
「ああ。スティーブンはいない。こいつが死銃かどうかは分からないが、とりあえずやろう」
「了解」
しばらく2人で街の中を移動。すると、人影を見つけた。ビルの角から移動してるのが少し見えただけだから、ボロマントかどうかは分からなかったが、プレイヤーであることは間違いない。
「!」
「あれは……?」
「っぽいな……」
その人影を追うと、スタジアムの中に入っていった。
「よし、俺があいつを外に誘い出すから、シノンはここから狙撃してくれ」
「分かった」
シノンは頷いて準備をし、キリトはスタジアムの中に入った。そして、ヘカートを構える。その時だ。自分の腕に何かが突き刺さる感覚。見ると、銀色の針のようなものが刺さっていた。
「っ⁉︎」
そのまま前のめりに倒れ、動けなくなった。電磁スタン弾。身体が痺れで動かなくなっている中、必死に目だけで敵を見た。そこには、ボロマントが立っていた。
「なっ……⁉︎」
そいつは真っ直ぐと銃口をシノンに向けている。そして、言った。
「……キリト、いや、ユウ、か。お前達が、本物か、これでハッキリする」
シノンに、ではなくキリトとユウに言っているようだった。軋むような無機質な声が耳に響く。
「あの時、猛り狂ったお前らの姿を、憶えているぞ。この女を……、仲間を殺されて、同じように狂えば、お前らは本物だ、キリト。さあ……、見せてみろ。お前らの怒りを、殺意を、狂気の剣を、もう一度……」
そう言うボロマントの宣言がイヤにシノンの耳に残る。言葉の意味は分からなかったが、一つだけわかることがあった。これから自分が殺されるという事実、その瞬間、悲鳴をあげそうになるが、なんとか堪えた。
だが、いつまで正気を保っていられるか分からなかった。さらに、頭に思い浮かんだのが、何年か前の強盗の時。自分が人を撃ち殺したあの時。
パニックになりそうになった。その時だ。
「次の目標を確認!撃墜する!」
「!」
聞き覚えのある鋭い声と共に弾丸が飛んできた。それが正確に死銃に向かってくる。それを躱して距離をとる死銃。
「無事か、シノン」
「ゆ、ユウ……?どうしてここに……!」
「どうして、か……。敢えて言わせてもらうなら、戦場が私を呼んでいたと、いったところか」
うわあ……キャラが復活してるよ……と、思いつつもツッコまないシノン。正直、助かったからだ。
「それよりシノン、なんていうザマだ。私と兄上を殺すのではなかったのか?」
「うっ……!」
「ふん、まぁいい。この相手は中々手練れと見た。私が請け負った」
そう言うと、ユウは地面を蹴って死銃にライフルを向けた。そのままユウと死銃の撃ち合いが始まる。
「………貴様、ユウ、か?」
「……どういう意味だ?」
「そのままの、意味だ。黒の剣士の、妹かと、聞いている」
「その黒の剣士、が誰を指しているか知らぬが、いかにも私はユウだ」
「そう、か。まぁいい、邪魔する者は、殺す」
死銃の狙撃を大きくジャンプして躱し、電柱の上に着地しながら撃ち返すユウ。それをビルの過度に隠れて凌ぐ死銃。ユウは電柱の電線の上を走って移動し、さらに死銃を追撃する。
すると、死銃は電線を狙撃した。電線は当然切れて、ユウは落下して体勢を崩した。そのユウに向かって発砲。だが、ユウは電線をターザンのように使って回避し、手を離して空中からまた撃った。が、ビル内部に飛び込んで躱す死銃。
「そろそろ隠れるのは、その辺にしてもらおうかッ‼︎」
ユウはそう叫ぶと、自分の腰から刀を取り出した。
「あ、あれは……ボスドロップでしか手に入らないのに刀だからあんま使われてない、妖刀村麻紗⁉︎」
シノンが解説する。ユウは居合で死銃の隠れたビルの壁を叩き斬った。だが、壁の向こうに死銃の姿はない。代わりに銃弾が飛んできた。それを、すべて刀で弾くユウ。
「シノン!」
その様子を見ていたシノンにキリトの声が掛かった。
「キリト……」
「大丈夫か⁉︎何があった……!」
「今、ユウが死銃と応戦中よ」
「えーっと、ユウってどっち?」
問われてシノンは指を指した。そっちでは、「その程度の弾が私に届くものか!」と叫んでるユウの姿があった。
「そっちか……なら、逃げよう」
「ど、どうして?ユウと手を組めば倒せるんじゃないの⁉︎」
「いや、今のユウの場合は3対1、というより2対1対1になる」
なるほど……と、シノンは納得した。で、キリトと一緒にバイクに乗って遠くまで逃げた。