砂漠のどっかの洞窟。
「ふぅ……ここまでくればひとまず平気だろう」
キリトはシノンと一緒に座り込んだ。
「ね、ねぇキリト。さっきはどうして戻ってきたの?」
「簡単だよ。銃士Xは死銃じゃなかったからさ。明らかに外見が違ったから、とりあえず倒してシノンの方に行ったら、なんかカオスになってた」
「ふーん……」
「大丈夫、ユウに睨まれたからには死銃は絶対に無事じゃない。シノンはここで休んでてくれ。俺はもう行くよ」
「えっ?」
シノンは心細そうな声を零した。
「ひ、1人で、あの男……死銃と、戦うの……?」
「ああ。あいつは強い。でも、さっきも言ったようにユウと出会ったからには死んでなくても無事じゃ済まない。だから、回復してないうちに叩いておいたほうがいい。それに、あの銃にこれ以上撃たせるわけにはいかない」
「…………そう」
シノンは俯いた。
「なら、私も戦う」
「えっ?」
「私、逃げない。ここに隠れない。私も外に出て、あの男と戦う」
「だめだ、シノン。あいつに撃たれれば本当に死ぬかもしれないんだ。俺は完全な接近戦闘タイプで防御スキルも色々あるけど、君は違う。姿を消せるあの男にゼロ距離から不意打ちされたら、危険は俺の比じゃない」
「死んでも構わない」
その言葉に、思わず「えっ?」と声を漏らすキリト。
「私、もう怖いのは嫌なの……怯えながら生きるのは、もう疲れた。別に、貴方についてきて欲しいなんて言わない。私1人で……」
「1人で戦って1人で死ぬ、そう言いたいのか?」
「……そう。多分、それが私の運命なんだ」
言いながらシノンは洞窟を出ようとする。だが、その腕をキリトが掴んだ。
「君は間違ってる。人が1人で死ぬ、なんてことはありえない。人が死ぬ時は、他の誰かの中にいるそいつも同時に死ぬんだ!俺の中にも、もうシノンがいるんだ!」
「そんなこと、頼んだわけじゃない。私は、私を誰かに預けたことなんかない!」
「もう、こうして関わりあってるじゃないか!」
「なら、あなたが私を一生守ってよ‼︎」
キリトの胸ぐらを掴んでシノンが泣きながら叫んだ。
「何も知らないくせに……何もできないくせに、勝手なこと言わないで!これは、私だけの戦いなのよ!それとも、あなたが一緒に背負ってくれるの⁉︎この……この、ひ……人殺しの手を、あなたが握ってくれるの⁉︎」
シノンがさらにキリトの胸を叩く。「う……うっ……」と、シノンの口から嗚咽が洞窟の中を響き渡った。
*
都市廃墟。一つのビルが爆発し、崩れ落ちた。そして、そのビルからユウが出て来た。
「ケホッ!チィ……中々手こずらせてくれる!」
とりあえず辺りを確認するが、ボロマントの姿はない。そう判断すると、なぜかGGOの世界にある刀を鞘に収め、代わりにライフルを取り出した。
その時だ。後ろからブォオオオオオオッッと音がした。振り返ると、ボロマントがもう目の前までバイクで迫っていた。
「グオッ……!」
直撃は避けたものの、跳ねられてブッ飛ばされる。そのまま、ズザッズザザザッッ‼︎と地面の上を転がった。それにトドメを刺すためバイクで突っ込むボロマント。だが、ユウは起き上がってバイクを刀で破壊した。壊される前に、後ろに跳んで、回避するボロマント。
そして、お互いに相対すると、ボロマントの方が言った。
「その、太刀筋、間違いない。お前は、ユウ、か?」
「だから、意味がわからないと言っている。貴様は誰だ。何者だ?」
「フッ、それは自分で、考えろ」
言いながら、ボロマントは自分のライフルを構えた。その時、手に巻かれた包帯の隙間から、見覚えのあるマークが見えた。
「! 貴様、そのマーク……!」
だが、言い終わる前に発砲。それをなんとかユウは躱す。
「チィ……!ラフコフのメンバーか……なら、私はここで貴様との因縁を断ち切らせてもらうッッ‼︎‼︎」
そう怒鳴ると、ユウもライフルを構えた。