森の中。そこでユウとキリトはとあるギルドを尾行していた。
「おにい……暇………」
「ま、まぁそう言うな。引き受けちまったもんは仕方ない」
「………ユウ、眠い……」
「寝るなよ。寝たら死ぬぞ」
「………どーせ寝ても、この辺の敵なら自動回復で無意味……」
「そ、それはそうだけど……じゃあ知らんぞ俺」
「おにい、妹を見捨てるの?」
「うっ……。って、あー!見逃しちまったじゃねぇか!探すぞユウ!」
「おんぶー……」
「あーもうっ!仕方ねぇな!」
キリトはユウを背負って走った。
*
ツインテールの少女、シリカは変なゴリラに囲まれていた。
「はぁ…はぁ……」
シリカのHPを一撃で3割近く持って行かれ、大ピンチである。すると、ゴリラは棍棒を振り上げた。微妙にぼんやりしていたシリカは、反応が遅れてしまった。
(やばいっ……!)
思わずキュッと目を瞑った時だ。「キュイィィィッッ」と甲高い鳴き声がシリカの前を横切った。
「えっ?」
目を開くと、ピナがシリカを庇い、パキィィィンッッとポリゴンの欠片を振りまきながら砕け散った。
「ぴ、ピナァァァァッッッ‼︎‼︎」
思わず、中途半端に手を伸ばす。そのまま泣き崩れてしまったが、戦闘はまだ終わっていない。ゴリラみたいなのが後ろから襲いかかってきた。が、そのゴリラが全滅した。
「ッッ⁉︎」
「大丈夫か?」
助けたのはキリトだった。だが、シリカは振り向かない。ピナが死んだというのが余りにも重過ぎた。
「すまなかった。君の友達、助けられなかった」
声をかけられ、一応返答するシリカ。
「……いえ、あたしが……バカだったんです……。ありがとうございます……助けてくれて……」
「……それで、その羽根だけどさ。アイテム名、設定されてるか?」
「えっ……?」
なんのことかわからなかったが、念のためシリカは確認した。
《ピナの心》
それを見た瞬間、また泣き出しそうになるシリカ。
「ま、待った待った!心アイテムが残っていれば、まだ蘇生の可能性がある」
「えっ⁉︎」
「でも、キツイ事言うようだけど、その場所は47層なんだ。35層で手間取っていた君には、難しいと思う」
「そう、なんですか……」
「だから、俺も一緒に行かせてくれないか?」
「えっ?」
「少し、用事があってね……」
「47層に、ですか……?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
言葉を濁すキリト。あまり聞かないほうがいいと思ったのか、シリカは追求したりしなかった。
「分かりました。あたしはシリカって言います。よろしくお願いします」
「俺はキリトだ。こちらこそよろしく」