もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第72話

 

 

 

爆発した小屋。燃え上がる炎。そこを死銃と闇風は10秒くらい眺めな後、「はっ、大会中だった」となって、お互いに戦闘を始めようとした時だ。

炎の中から、ブアッと2人のジェダイが現れた。

 

「てんめっ、おにいィイイイイッッ‼︎‼︎何すんの!今死ぬかと思ったじゃん!もうダメかと思って涙目になったじゃん!」

 

「仕方ねぇだろ!あのタイミングで避けられるなんて思わねぇもん!妹の危機を救う的な意味でもあそこは避けられちゃダメだったんだよ!」

 

「そりゃ避けられるでしょ!あんな大声張り上げて突っ込んできたら避けられるに決まってんじゃん!」

 

「あの場面ならなんか言った方がいいだろ!黙って突っ込んだらそれこそ悪役じゃん!」

 

「その結果が妹跳ねて終わりなの!ていうかお陰で村麻紗おじゃんにしたし!殺す!絶対殺す!」

 

「やってみろコルァッ‼︎」

 

喧嘩しながらビームサーベルで斬り合うアホ兄妹。すると、その2人にトドメを刺そうと、死銃と闇風は2人に襲い掛かった。だが、

 

「「邪魔ッ‼︎」」

 

あっさり斬り捨てられた。

 

(し、死銃……倒しちゃった………)

 

シノンはバカを見る目でその様子を見ていた。が、ギャラリーからしたらものっそい戦いだった。一瞬の隙も許さない戦闘。ほんとにジェダイみたいな戦いだった。

 

「大体!いつもいつも何時もお前は自己中過ぎなんだよ!この前だって俺の楽しみにしてたプリン勝手に食ったのに逆ギレで済ませたろ!あれまだ許してねーからな!」

 

「小さい!おにいだってこの前ユウのポテチの最後の一枚食べた!」

 

「アレはお前元々は俺が食うために買ってきたんだよ!どうしてもっていうか2人で食べてたんだろうが!」

 

「知らないそんなの!」

 

「いーや知ってるね!むしろ知り尽くしてるね!」

 

そのままヴォンッビチッバチチッとビームサーベルがぶつかり合う。キリトが正面から斬りかかってくれば、ユウは体捌きだけで躱し、反撃する。それをキリトは後ろに下がって躱した。威勢良くさらに追撃するユウ。

元々、ユウは前の戦いから傷を負っている。戦いが長引けば不利だ。だが、その単調な動きが仇となった。

 

「よぉし、もらったァ!」

 

一瞬の、ほんの一瞬の隙を突いて、ビームサーベルを握るユウの手をキリトは蹴り上げた。で、ユウの首を後ろから締めて、首元にビームサーベルを持っていく。

 

「はぁいそれでは妹のクッキングを始めようと思いまぁす!」

 

「うううう〜っ!ガブッ!」

 

「うわっ!てめっ!噛むな!嬉しいだろうが!」

 

なんてやってると、2人の頭にズキュンと弾丸が二つ通った。2人とも後ろに倒れる。

 

「………ほんと、馬鹿ね」

 

優勝、シノン。

 

 

 

 

総督府。キリトとシノンはお話ししていた。

 

「お疲れ、シノン」

 

「あなたねぇ……何やってんのよ」

 

「俺もそー思う。流石にあれはなかったわ……。それより、一応聞いておいてほしいんだけど、いいか?」

 

「何よ」

 

「一応、死銃の片方が君の方にいるかもしれないから、俺が行くまでは君は家から出ないでくれ。あと誰か来ても入れちゃダメだ。いいな?」

 

「うーん……まぁ分かったわ。了解。住所は……」

 

そんなわけで、ログアウトした。

 

 

 

 

病院から、和人は走ってシノンの家に向かった。菊岡とかにとりあえず事情だけ説明して。

 

(急げ、急げ………!)

 

ようやく到着して、インターホンを押した。

 

「シノン!無事か?」

 

数秒後、ガチャリと玄関が開いた。

 

「キリト………?」

 

「良かった……無事だったか」

 

「うん。特に何も無かった。来てくれてありがと」

 

「いいって」

 

とりあえず安心する和人。だが、頭の中の嫌な予感が消えなかった。

 

「………キリト?どうしたの?」

 

「いや、何か見落としてる気がしてな……」

 

だが、思い出せない。冷静に思い出そうとしてもだ。すると、シノンが聞いた。

 

「そういえばキリト、ユウは何処にいるの?」

 

「ユウ?いや、俺は病院からログインしてたから、ユウ、とは……別で………」

 

思い出した。死銃は自分がバイクで突っ込む前、ユウに銃を向けていた。

 

「………ヤバイ!」

 

「ち、ちょっとどうしたのキリト⁉︎」

 

和人は慌てて駅に向かい、シノンはなんとなく追いかけてしまった。

 

 

 

 

桐ヶ谷家。柚葉はログアウトして、アミュスフィアを外した。

 

「ん〜……終わった……。あとで、おにい殺……」

 

と、言いかけたところで口をつかまれ、壁に叩きつけられた。

 

「むぐっ……⁉︎」

 

「お前だな……ユウってのは……」

 

目の前にいるのは茶髪の見知らぬ少年だった。その少年の目は完全にイッちゃってた。

 

「〜!〜!」

 

「お前さえいなければ……お前が悪いんだ……お前が朝田さんを……!」

 

「ん〜……⁉︎」

 

思わず目に涙が浮かぶが、声が出ない。息も出来ない。その少年は注射器をポケットから取り出した。

 

「ッ⁉︎」

 

「死ねええええええええッッ‼︎」

 

と、叫びながら注射器を突き刺されそうになった時だ。ガツンッと、鈍い音がした。恐る恐る顔を上げると、直葉が文字通り鬼の形相で血の付いた木刀を持って少年を睨んでいた。

 

「すぐ、ねえ……?」

 

震えた声で言った。すると、少年は注射器を握って直葉に襲い掛かる。だが、

 

「あたしの柚葉ちゃンにィ!何してくれてンだテメェはァァァァ‼︎」

 

そのまま文字通りフルボッコにする。多分、腕とか折れてるレベルで。そして、トドメにボディに突きを放って、少年は窓ガラスを突き抜け、上半身だけベランダにはみ出て、気絶した。あ、死んでないからね。多分。

むんっと息を吐くと、直葉は柚葉をみた。

 

「大丈夫?柚葉ちゃ……」

 

言い終わる前に柚葉は直葉に抱き付いた。

 

「うええええええええ⁉︎」

 

「ず、ずぐ……ずぐねええええええええええ‼︎うえええええええええええ‼︎‼︎」

 

すると、急に直葉は聖母のような顔になり、柚葉を抱き返した。

 

「よしよし、大丈夫だよ柚葉ちゃん」

 

「ぐずっえぐっ……うええええええ」

 

鼻血出しながら。すると、そこに和人と詩乃が入って来た。そこには、原型がわからなくなるくらいボコられた少年と、鼻血を出しながら柚葉を抱いてる直葉がいた。

 

「………どういう状況?」

 

 

 

 

ようやく落ち着き、お話。

 

「つまり、彼がリアルの方の死銃だったってわけか……」

 

和人が呟くと、詩乃は残念そうに俯いた。ちなみに、柚葉は直葉にぎゅーっと抱きついたまま離れない。直葉は直葉で鼻血出そうになってる。さっき出したばかりなのに。

 

「てかこいつ、どうやってうちに入って来たんだ?」

 

「あんた、ちゃんと玄関鍵閉めたんでしょうね」

 

詩乃がジトーっと和人を睨む。

 

「し、閉めたよ!多分……ほら、鍵だってポケットに……」

 

だが、和人はポケットを漁るが、鍵はない。和人に大量の汗が浮かぶ。部屋に戻った。机の上に出しっ放しの家の鍵があった。さらに嫌な汗が浮かんだ。後ろから殺気を感じた。木刀を持った直葉だった。

 

「お兄ちゃん……?」

 

「す、スグ………」

 

「歯ァ食い縛れ」

 

殴られた。

 

 

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