もし、キリトに実妹がいたら   作:スパイラル大沼

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第8話

 

 

 

 

シリカとキリトは二人で街を歩く。すると、その辺のプレイヤー何人かがパーティ勧誘に来た。

 

「あ、あの……お話はありがたいんですけど……しばらくこの人とパーティ組むことになったので……」

 

シリカは受け答えが嫌味にならないよう一生懸命頭を下げてそれらを断った。

 

「おい、あんた。見ない顔だけど抜け駆けはやめてもらいたいな。俺らはずっと前からこの子に声をかけてるんだぜ」

 

「そう言われても……成り行きで……」

 

と、キリトは口籠る。

 

「あの、あたしから頼んだんです。すみませんっ」

 

シリカがもう一度頭を下げ、キリトのコートの裾を引っ張って歩き出す。すると、背中から声がした。

 

「うるさい……」

 

「あ、ああ。悪いなユウ、起こしちゃったか?」

 

「? キリトさん?その子は……?」

 

「忘れてた。こいつはユウ、妹だよ」

 

「妹さん、ですか?」

 

シリカに聞かれると、キリトは背中で寝てる奴に声をかける。

 

「ユウ、ちょっとこの子とパーティ組むことになった。挨拶しろ」

 

「むぅ……。おにい、ロリコン?」

 

「なわけないだろ。一緒に47層の思い出の丘に行く」

 

「思い出……?プネウマの花?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、着いたら起こして……」

 

「いや、今日はまだ行かねーよ。………って、もう寝たか」

 

そのまま再び睡眠に入るユウ。そのユウを見てキリトは少し微笑んだ。そんなキリトにシリカが声をかける。

 

「すごいですねキリトさん。妹さんを守りながら戦ってるんですね」

 

「いや、守ってないよ。基本的に自分の身は自分で守れだから」

 

「ふえ………?」

 

だが、キリトはそれ以上説明をしようとしない。すると、前の方のプレイヤーの最後尾にいた女性プレイヤーがこっちを見た。

 

「………!」

 

それは、ロザリアだった。シリカが喧嘩別れした相手である。

 

「あら、シリカじゃない」

 

「……どうも」

 

「へぇーえ、森から脱出出来たんだ。よかったわね。でも、今更帰ってきても遅いわよ。ついさっきアイテムの分配は終わっちゃったわ」

 

「要らないって言ったはずです!急ぎますから」

 

そのままシリカは通り過ぎようとする。だが、さらに追い討ちをかけてきた。

 

「………あら?あのトカゲ、どうしちゃったの?」

 

シリカは唇を噛んだ。

 

「あらら、もしかしてぇ……?」

 

挑発するように言ってくるロザリア。だが、シリカは負けじとキッと睨み返した。

 

「死にました……。でも!ピナは、絶対に生き返らせます!」

 

それでもロザリアはいに返さない。

 

「へぇ、てことは思い出の丘に行く気なんだ。でも、あんたのレベルで攻略できるの?」

 

「できるさ」

 

返したのはキリトだった。

 

「そんなに難易度の高いダンジョンじゃない」

 

「ふぅん、あんたもその子にたらし込まれた口?見た所そんなに強そうじゃないけど」

 

ニヤリと唇を歪ませるロザリア。

 

「生き遅れ……」

 

「あ?」

 

声がした。キリトでもシリカでもない。ていうかユウだった。

 

「何か言った?」

 

「子供の女の子に男取られて、陰口でしか勝てない生き遅れの嫌がらせ……」

 

「な、何を………!」

 

「行動も『悪ぶってればカッコイイ』とか考えてる中学生レベル……。悪ふざけも大概にする……。じゃないと、」

 

そこで言葉を切り、キリトの頭の後ろから目だけチラッと覗かせてロザリアを睨んだ。

 

「引っ捕らえるよ?」

 

「ッッ」

 

ゾクッとしてロザリアは一歩引いた。だが、なんとかヘラヘラ笑って見せた。

 

「はっ、言うじゃない。じゃ、精々頑張ってね」

 

「………行くぞ」

 

キリトはそう言うと、シリカを連れて宿に入った。

 

 

 

 

泊まってる宿の一階はレストランになっている。

 

「まずは食事にしよう」

 

キリトのその一言で、三人はレストランに座った。

 

「なんで……あんな意地悪言うのかな……」

 

シリカがポツンと呟いた。

 

「君はMMOはSAOが?」

 

「初めてです」

 

「そうか。どんなオンラインゲームでも、キャラクターに身をやつすと人格が変わるプレイヤーは多いんだ」

 

「そういう奴は、大抵リアルではコミュ症」

 

付け加えるユウ。

 

「でも、SAOの場合は俺は違うと思う。今はこんな、異常な状況なのにな……。そりゃ、プレイヤー全員が一致協力してクリアを目指すなんて不可能だって解ってる。でもな、他人の不幸を喜ぶ奴、アイテムを奪う奴、殺しまでする奴が多過ぎる……。俺は、ここで悪事を働くプレイヤーは、現実世界でも腹の底から腐った奴なんだと思ってる」

 

「そもそも、本当の自分の顔を晒してるのに悪事を働くとか、頭悪過ぎ」

 

ユウが付け加えた。

 

「……俺だって、とても人のこと言えた義理じゃないんだ。人助けなんてろくにしたことないしな。仲間を、見殺しにしたことだって……」

 

「おにい!」

 

急に妹に怒鳴られ、キリトは一瞬怯んだ。

 

「………分かってるよ、ユウ。心配しないで」

 

キリトは微笑みながらユウの頭を撫でた。

 

「キリトさん……ユウちゃん……」

 

心配そうにシリカは呟いた。

 

「き、キリトさんは、いい人です。あたしを、助けてくれたもん」

 

シリカが言うと、キリトは微笑む。

 

「……俺が慰められちゃったな。ありがとう、シリカ」

 

「おにい、ウジウジし過ぎててウザい」

 

そう言うユウの目の前にはチョコパフェのグラスが山のように積まれていた。

 

「悪かったって。つーか食い過ぎだ、ユウ」

 

「腹が減っては、戦は出来ぬっ!」

 

「戦ってほどの階層じゃないだろ。これから行くところは」

 

すると、「クスクスっ」と笑い声が聞こえた。見ると、シリカが笑っていた。それにキリトも微笑んで返した。

 

 

 

 

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