テイルズオブエクシリア2.ご!〜エル・ウィル・クルスニクの日常〜 作:ふぁみゆ
ここまでお付き合いいただいて本当に嬉しいです!
「以上で事情聴取は終了です。お疲れ様でした…」
事件の後クランスピア社に任意同行を求められたラル・メル・マータは事情聴取を終えクランスピア社を出る…
外では父親が自分の帰りを待っていた。
「お父様…」
正直、まだ色々と整理がついていなかった。今まで自分に優しくしてくれたマグナが実はアルクノアと繋がっていたこと。
そして、我が家を利用してクランスピア社へのテロ計画を建て、いざとなれば家にすべての罪をなすりつけて退散するつもりだったこと。それがクランスピア社のエージェントから聞いた事実だった。
そして、それを調べあげたのは、他でもないメイドとして入ってきた少女エル・ウィル・クルスニクだ。
聞いたときはうまく言葉では言い表せない戸惑が起こった。彼女を恨むことはできないが、これで我が家は……
父の車に乗り帰宅する。自分の縁談がダメになり家は再び没落の危機に陥るというのに車を運転している父は少し機嫌が良かった。
「何があったの?」
と聞くと父はこう答えた"クランスピア社と再び提携することになった"と…
なんでも、元々家の商会には注目していたらしく、アルクノアと共謀していた疑いが晴れれば契約するつもりだったらしい。
父は言った…事件を調査してくれたクランスピアのエージェントには感謝しないといけないと…
「そうだね…」
私もまっすぐ向き合わなければならない。私の幸せを守ってくれた彼女に…
ーーーーーーー
「自分の存在がこの世界の人間の運命を歪めてしまっている…そう感じているのですね……」
「うん…」
エルは仕事が終わったあとその時のことをローエンに相談していた。
「確かにエルさんがいなければラルさんの家はクランスピア社との提携を断ち切ることはなく、想い人と結ばれ安定した幸せがラルさんを待っていたかもしれません…」
ローエンが言ったのは確かな現実。変えようのない事実だ。エルには否定しようがない。
だが、ローエンは今度は違う事実を突きつけた。
「しかし、イバル社長がいなければ、あなたはラルさんと出会うことはなかったかもしれません。それに私がいなければ、潜入の方法がなく作戦は中止になっていたかもしれません。そもそもラルさんがいなければあなたが今こんなに悩むこともなかった可能性だってあります。」
それ聞いて戸惑いながらも顔を上げるエル。そんなエルにローエンは優しい笑顔を向けた。
「生きるということはそういうことなのです。他の人の人生に関わらない人などいません。他人に影響を与え、互いに干渉し続ける。分史世界のエルさんだけでなく、正史世界の私達に取っても同じなのです…」
それを聞いてエルが思い出したのはルドガーのことだった。ルドガーがいなければ自分はリドウに攫われひどい目に合っていただろうし、この世界の皆と出会うこともなかっただろう。そして何より…
「ルドガーがいなければ、エルは今、こうして生きていることができなかった…」
「その通りです。人が人に与える影響というのは様々なのです。きっとエルさんがいたことでラルさんに与えたのは悪い影響だけではない…私はそう思います…」
嘘のない人生の先輩としてのローエンの言葉。それはエルを元気づけるには十分だった…
「だと、いいんだけどね…」
というエルの顔に少し笑顔が戻っていた…
ーーーーーーー
「と、言う訳で今日の仕事はだな!クランスピア要人の警護だ!」
数日後、エルは再びイバルに仕事の依頼を受けていた。
正直、まだあのことから完全に吹っ切れたわけではなかったがそれでも、ローエンのおかげで少し元気を取り戻していた。
「それでだな、その要人は、えーっと…」
あろうことか名前を忘れてしまったイバルにヴェルが補足を入れた…
「警護対象はリューゲン商会の新代表です。名前はラル……」
「え!?」
エルはそれを聞いてはっと顔を上げる。
「ラル・メル・マータです。」
ダッ!
「あ!おい!」
イバルの静止も聞かずにエルは走りだした。
途中で書類を運んでいた社員にぶつかるも軽く会釈をするだけで足を止めることはない。ただひたすら目的地に向かって走り続ける。
「はぁ、はぁ…」
会社の応接室につき、息を切らし扉の前に立つ。
彼女にどんな顔をして会えばいいかわからない。だが、それでもエルは自分の与えた影響を見定めるために両手で力いっぱい扉を開けた…
「どうも、本日よりクランスピア社と提携させていただきます。リューゲン商会代表の…」
扉を開けた先には確かにあった。あの日屋敷で見た幸せそうな笑顔が…
「ラル・メル・マータです。」
chapter5 〜"エル"とラル〜 end
しばらくは重い話がずっと続きましたね。
またしばらくは息抜き的な話が入ると思いますので待っていてください!
感想等お待ちしております。