テイルズオブエクシリア2.ご!〜エル・ウィル・クルスニクの日常〜 作:ふぁみゆ
どうぞ
「アタックストレートコード!」
目の前の敵の詠唱が完了し、敵の周囲に魔法陣が展開される。
そして、エルの頭上に大きな雷球が出現。
「しまった!!」
「バニッシュボルト!!」
バチチチチチチィッ!!
雷球から無数の落雷が得るに降り注ぐ。なんとか防御態勢を整え、耐えることができたがエルの限界は近い。
「ジュード!防御は任せたよ!」
「わかったよ!さぁ、こっちだ!」
ジュードが敵、オリジンボルトをひきつけている間にレイアが治癒術の詠唱を開始した。
「くっ、でも、なんとかしないと…」
エルも銃を取りジュードの援護をしようとなんとか立ち上がる。
こうしている間にもヴェルは一般市民の避難をしているだろうから…
ーーーーーーーー
「おーい!エルー!」
中央制御室で行われるアスコルドの運転式に参加すべくやってきたレイアとジュードが警備任務についていたエルに気付き手を振った。それに気づいたエルも返事を返す。
「二人共!今日は式典に?」
「うん、一応完成したオリジンの確認もしておきたいからね。」
「私はもちろん取材だよ!アスコルド独占取材に抜擢されたんだ!」
「そっか、二人共頑張ってるんだ…」
かつてエルと世界のために戦ってくれた仲間たちの躍進は素直に嬉しかった。それぞれ自分の道を進み、違った形で世界に向き合っている仲間たち。今の自分も少しは彼らに近づけているのだろうか…
パチン…
すると、中央制御室の機械が動き始めた。いよいよアスコルドの起動を始めるようだ。
中央に設置されているのは精霊、ヴォルトの化石。
そして、オリジン起動のための装置だ。
「あれ、どうして…」
その時、ジュードが何やら違和感を感じだようだ。
その様子に気づいたエル、レイア、ヴェルが一斉にジュードの方を見る。
「あれ、クランスピア社で定められた規格のオリジン装置じゃない…一体なぜ……」
その後、ジュードが異変に気づくのとガロンがオリジンヴォルトを起動させるのはほぼ同時だった。
「おまたせいたしました!自然工場アスコルド!これより再動です!」
「待って!起動させちゃダメだ!」
ガシャン!
「ビカァァァァァァァァン!!」
目覚めた瞬間、一帯に電撃を放ち始めるオリジンヴォルト。周囲にいた研究員たちがその雷撃の餌食となる。
「な、なんだ!一体なぜ!?」
ガロンもなんとか直撃は免れたもののかなりの重症となった。
ジュード、レイア、エル、ヴェルの四人は急いでヴォルトの元へ走る。
「ジュード?これは一体?」
尋ねられたジュードは使われたオリジン装置を指さした。
「あの装置はクランスピア社で定められた規格の物じゃない。あの装置にはオリジンのシステムで最も重要な機関である。対話機関がついてないんだ。」
対話機関。オリジンの精霊に"協力してもらう"という機能に欠かせない部品。その名の通り協力を要請する際の対話を行うための機関である。この機関がなければ精霊に協力要請をすることができない。その状態でも無理に起動させるということは精霊の意思を無視するということに他ならない。
「それってつまり。」
「うん、きっとそれがオリジンヴォルトの暴走の原因だよ。」
バリバリバリバリィ!!
すぐに雷撃が四人を襲った。
エルが一緒に来たヴェルに向かって叫ぶ。
「ヴェルは下がって!この先は危険だよ!!」
「いいえ!できません。私はまだ軽傷の方の避難誘導にはいります!」
ヴェルからは強い意志が感じられる。
「もう、誰も失いたくない!!」
そして、その次の言葉からはヴェルの感情が感じられた…
ーーーーーーーー
「フィアフルウイング!!」
銃から撃ちだした3つの竜巻を発生させ、ヴォルトの撃ちだした雷撃を打ち消す。
その先には避難誘導をしているヴェルがいるからだ。
8歳のころからずっと見てきたヴェルは冷たい人なのだとずっと思ってきた。
相棒がどんなに精神的に追い詰められていようと淡々と事務的に仕事を押し付けてくるヴェル。
その姿に嫌悪感すら感じていた。
でも、一緒に仕事をしていて分かった…
彼女は本当は冷たい人じゃないんだということに…
自分の伝えた仕事に行き、そのまま帰って来なかった人たち…
彼らの死を聞き、常に自分の無力さに追い詰められ、それでも外では平静を装い、淡々と仕事を続ける日々。
決して自分の弱さを他には見せないという強さ。それが、彼女にはあった。
「だから、だからエルは!!」
一人でだ戦い続ける彼女の誇りを…
「絶対に守る!!」
もう少し続きます。でも、ヴェルの解釈、これでいいのかな?
感想お待ちしています!