魔法少女リリカルなのは ~悪を断つ剣~   作:ダラダラ@ジュデッカ

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※注意!

このSSは完全な妄想と勢いで出来ています。また、多少キャラが崩壊するやもしれません。

それでも宜しければ続きをどうぞ。


プロローグ

 時は新西暦と呼ばれる時代へと突入していた。

 旧暦である西暦2015年より始まり、早百年余りが経過。人類は、時代の経過と共に進化し続けていた。

 

 しかし―――人間という知性のある生命体である限り、互いの衝突は昔と変わることがなかった。

 時には、地球外生命体の進行や謎の侵略者と戦わざるを得ない状況にもなったが、戦いのほとんどは地球人同士である事が圧倒的に多い。

 本来は同じ人種である地球人であるはずなのに、互いが戦いあって多くの血を流す。悲しき性であり、それは新西暦と年号が変わった今でも、決して変化する事はなかった。

 

 『スペースノア級万能戦闘母艦参番艦』。通称、クロガネと呼ばれる船――いや、それは船というより、文字通りの巨大な戦艦か――が、太平洋の海底に存在した。

 現在も艦はゆっくりとした速度――それでも、通常の漁船など相手にならないほどだ――にて潜航している。

この戦艦も、元を辿れば「地球脱出用」、あるいは「地球防衛用」に建造された艦。

 というのも、スペースノア級の戦艦に与えられた役目というのが正にそれであり、一言で言い表すならば『大抵の事は何でもこなせる万能艦』といった認識でもあながち間違ってはいない。

 スペースノア級はクロガネを含めて四つ程存在するのだが、クロガネの特徴はなんといっても艦首だろう。

 というのも、クロガネの艦首は巨大なドリルの形をとっている。正式名称は「超大型回転衝角」といい、これによって巨大なバリアや隔壁を突破する際に使用される。

 通常の艦では到底真似できないような作戦行動がこのクロガネでは出来る事により、他のスペースノア級よりもやや特殊な運用方法を用いることが出来る。

 

 そのクロガネの艦内で、一心不乱に木刀を振り続ける男がいる。

 

 何者も決して近づけぬ威圧感。

 木刀から繰り出される鋭い太刀。

 昔の日本にいたと言われる武士にも近い雰囲気を持ち、それを証明するかのような強靭な肉体。

 そして、男の銀色にも近い髪から降り注ぐ大粒の雫が地へと落ち、消えていく。

 

「…………」

 

 男は、声も上げることなく木刀を振るう。

 しかし、声を上げずとも彼が如何に真剣に、そして集中して木刀を振るっているのかは十分に分かる。いや、彼が自然に纏わせている雰囲気からしてみても、そのような事は口が滑ってでも言えないだろう。

 無駄のない動きで木刀を振るっていたが、やがて男は静かに木刀の構えを解く。

 隙が全く見当たらない動きで、男は構えを解き、木刀を逆手に持つ。あれだけ激しく動き回っていたにも関わらず、呼吸一つ乱す事はなかった。

 

「相変わらず、素晴らしい動きだな。流石は我が友、というべきか」

 

「……レーツェルか」

 

 男の後ろから労いの言葉を掛けてきたのは、レーツェルと呼ばれた金髪の男。目元にサングラスをして少々怪しげな雰囲気を醸し出している彼だったが、男は「いや」といって否定する。

 

「お前にとってはそう見えるかもしれんが、俺にとってはまだまだ足りん」

 

 それは、謙遜でもなく本心から出た言葉であろう。長年、男の親友であるレーツェルには、すぐに分かった。

 男の様子を見て、その後でこのような言葉を聞けば、普通の剣士は腰を抜かすかもしれない。それほど、完成された動きに、言い表せない凄みを男は持っている。

 しかし、それでも男にとっては「まだ足りない」という。だからこそ、こうして今日も鍛錬に励んでいるのだろう。

 その答えも彼らしい、とレーツェルはフッと鼻で笑った。やけに気障ったらしかったが、それもレーツェルの特徴の一つである。

 

「だからこそ、今も剣を振るう、か」

 

「それが我が使命だからだ。鍛錬も怠けているようでは、如何なる事態にも対応できん」

 

「フッ……。お前らしい答えだな、ゼンガー」

 

 ゼンガー。レーツェルの口から、男の名が零れる。

 彼の名はゼンガー・ゾンボルト。彼もまた、新西暦における戦場の数々を駆け巡った一人である。

 自身を「悪を断つ剣」と称し、いついかなる時も己が剣で状況を打破してきたとんでもない人物。

 傍から見れば非常識に限りなく近い人物であるが、彼の活躍を目の当たりにした人間ならば、「親分だからしょうがない」と割り切れる程だ。

 ちなみに“親分”とはゼンガーの愛称だ。意外にゼンガー自身も気に入っているらしい愛称であり、呼ばれたところで怒りもしないし、それどころか素直に応じてくれる。

 とてもではないが、初対面の人間からしてみれば恐れ多い事に違いない。寧ろ、気軽にそう呼んでいいのかさえ気を使うほどなのだが。

 

「時にゼンガー。兼ねてより行っていたダイゼンガーの再調整が終わったようだ」

 

「そうか」

 

 ゼンガーは頷き、目元を閉じる。腕組みをする姿が随分と様になっていた。

 レーツェルのいうダイゼンガーとは、何も「大きいゼンガー」という英語をそのまま和訳した物ではない。所謂「機動兵器」の名称だ。

 ダイゼンガー—―――正式名称はDGG(ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン)の略称で、命名したのは勿論ゼンガー・ゾンボルト。

 このダイゼンガーは従来の機動兵器とは違ってDML(ダイレクト・モーション・リンク)システムを採用しており、パイロットの動作と機体を一体化させる事が出来る。つまり、ゼンガーの動きそのものが機体に直接ダイレクトされており、文字通り手足として扱う事が可能なのだ。

 そのダイゼンガーも以前の度重なる激戦にて損傷しており、この度クロガネの整備班スタッフが再調整を行っていたのだ。

 今回、レーツェルがゼンガーの元に訪れたのもその事を伝える事だった。もう一つの目的として、久しぶりに親友の鍛錬姿でも見ていくか、という事柄も存在したが。

 

「鍛錬で疲れているところ悪いが、整備班からの要望でな。一回搭乗して機体の様子を見て欲しいそうだ」

 

「ああ、分かった。すぐに向かう」

 

「助かる。では、私はブリッジの方で様子を伺うとしよう」

 

「ああ」

 

 そういって、レーツェルは踵を返して歩き去っていく。

 彼――レーツェル・ファインシュメッカーという――は、クロガネの艦長でもある。ひとたび戦場に赴くとゼンガー同様に機動兵器に搭乗して戦場を駆け巡るが、普段はクロガネの艦長としての職を全うしているのだ。

 現在、クロガネは海中を潜航中だ。ダイゼンガーを始動させるには別に海中でも構わないが、一旦浮上させるつもりなのだろう。その為か、彼の足も少し早足になっていた気がした。

 

「さて……」

 

 一息ついたところで、ゼンガーは立て掛けてあった真剣を手に取る。

 勿論この刀は真剣そのもので、鍛錬に扱う事もある。また、嘗てはこの真剣と共に機体に搭乗し、戦場を駆け巡っていた時もある。

 鞘に納められた剣は、刀身が美しく、鋭い。刀なのだから当たり前だというツッコミがあるかもしれないが、他の刀と見比べて惚れ惚れしてしまいそうな綺麗な刀だ。

 その刀を右手に、左手には先ほど鍛錬でも扱っていた木刀を手にし、ゆっくりと動き出そうとしたその時だ。

 

「むっ……?」

 

 運命というものは、本当に気紛れなものであろうか―――。

 

 ゼンガーが“何か”に気付いた時には、全てが遅かった。

 相手が悪意のある人間、あるいは異形のものならば、ゼンガーは即座に真剣を鞘から解き放ち、文字通り一刀両断していただろう。

 だが、ゼンガーが感じた気配というのは、“生き物”などではなかった。突如として自身の真後ろに人一人は入れるような黒い穴が開いており、穴はまるで餌を求める怪物のように、ゼンガーの体を引き寄せる。

 

「くっ……! なんだ、これは…っ!」

 

 不意を突かれた形となったゼンガー。いくら強靭な肉体を持ち、今までどんな相手にも屈しなかったゼンガーだったが、やはり彼も“人間”なのだ。

 

「ぬ…ぬおぉぉぉ!!」

 

 両足で踏ん張って耐えようとして見せたが、その甲斐なくゼンガーは穴の中へと吸い込まれていく。

 少しでも時間があれば、真剣を鞘から解き放ち、地に突き刺して絶えてみせる芸当も出来たはずなのだが、それほど一瞬の出来事だったのだ。

 

「くっ……! 無念……!」

 

 遂に、ゼンガーの体が完全に穴の中に吸い込まれ、その場から姿を消してしまう。

 突如として現れ、ゼンガーを吸い込んで行った黒い穴は、まるで目的を果たしたかのように収束していき、やがて消える。

 

 その場に残ったものは何もなく、異様な静寂のみが室内には存在するのみだった―――。

 

 

 




こんな感じですが、何かございましたらご連絡ください。
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