あれから5分、ずっと力を貯め続けているが一向に変身できない。変化はないだけでもう第三形態なんだろうか。
いやでもその可能性は低い、パワーアップした感じを全く受け付けないからだ。
ヤバイなそろそろ第三形態にならないとフリーザが怒って本当に星ごとドカーンなんてあり得ることなんだから。
フリーザの無言の威圧のおかげか、一気にパワーが上がった。よしこれが第三形態だぁ!!
「お待たせしました、第三形態です」
「なるほど、これは強そうだ……」
「25万……30万……っわ、スカウター壊れたぞ!?」
ボンッと嫌な音を立ててピンク色のつけているスカウターが爆発した。
なるほど強すぎる戦闘力を察知するとオーバーヒートで爆発しちゃうのか。
それにしてもうん、私の戦闘力は推定でも30万以上!!
気分が良い、良すぎるぞ。まぁあとのことを考えると終わったなって感じなんだが。
あーくそぅ自分の姿見たいけど見れない、あー鏡でもあれば良かったのに……。あるわけないんだけどさ。
「どうぞ」
「へっ? ど、どうも……」
なんで男のくせに鏡なんて持ち歩いてんだよ! 思わず本当に突っ込みそうになって危なかった。
ナルシストなのコイツ? それともただの女子力が高い男なの? というか普通任務に鏡必要ですか。
でもなんで私が鏡欲しいなんて分かったの、エスパーかよ。心読めんの?
まぁ助かったから責めるとか、そう言う義理はないし権威もないんだけどさ。
美形から貰った妙に大きい、顔は余裕で映る鏡だったのですぐに分かった。
肌の色は変わらずに色素の薄いピンク色、変わっているところは顔と髪の長さくらいだ。
髪の色も目の色も体形、顔立ちも部分的に言えばそんなに変わっていないが明らかに見て分かるように目つきが凄いことになっている。
何この異常なる目つきの悪さ、というか私の目光がないよ。怖いって絶対何百人もやってそうなヤツの目だって!
いや、私自身は人殺めた事なんて一度もないよ。宇宙警察行きは死んでも嫌だから。
「鏡、どうも」
「いいえ」
なんだこの空気。フリーザとピンク色が困惑の表情してるんだけどこれすっごくレアだよね。
宇宙の帝王の困り顔なんてさぁ?
「ではラグドさん、最終形態をお願いします」
「は、はい……」
あれ、なんかふらつくぞ……?
ヤバイなーやっぱり第三形態は無茶があったかもしれない。
私がここで倒れたら役立たずとして消されるのだろうか、でも気絶してる間に殺されるんだったら本望だよね。痛み感じなさそう。
なんてバカな思考が宿ったまま、私の思考は閉ざされ前のめりに倒れていった。
少し前に部下からの緊急要請があり、すぐさま私とザーボンさんとドドリアさんの三人で急いで駆けつけた。
長年調べていたガート星人の特性が分かるからだ、部下の命はどうでもいい。
自分の興味が終わればそれで私は構わないのだ、なんといっても我がフリーザ軍は凄まじいほどの数の宇宙人で構成されている。
送った数十人が居なくなったところでなんら問題はないのだ、ただなくなった分を補充すれば良い。それだけのことなのだから。
私がガート星人に興味を持ったきっかけは地上げに来ていた我が軍がたった一人の異星人の年寄りを逃してしまったからだった。
もちろん帰ってくるなりそいつらは死刑にしてやったがその前に色々とその年寄りの情報を聞いた。
その年寄りは一段階の変身をしたと言った、私と同じ変身型の宇宙人だ。
しかも驚いたのは次の言葉だった。その年寄りは明らかにガート星人だったと言う。
私が知る限りのガート星人は変身なんてしない、だが明らかな薄いオレンジの肌とオレンジ色の髪と目の色が決め手だったと聞いた。
そこから私の興味はサイヤ人からガート星人へと変わった。
我が軍が拠点とする惑星フリーザから最新の宇宙船でわずか一時間で行けるという最短の道を掴んだおかげでようやく今日私の部下が乗り込むことが出来た。
ガート星人の一人だけは生かして連れてこいと言ったはずだが、何故か自分たちがやられているという始末にイラっときたので自分が直々に出向くことになったのだ。
ザーボンさんとドドリアさんと私で宇宙船に乗り込み、一時間後に着いた初めて惑星の中から見るガートに少しほぉとなった。
だが地上げとしての価値はあまり良いとは言えない、文明もそれなりには発達してはいるが他の星と比べてしまうとやはり田舎と言うべきか。
スカウターでガート星人が一人目の前に表示されたので、ほとんど残っていないようだったのでソイツを惑星フリーザに連れて行こうと思った。
案の定地面に転がっていた自分の部下たちは死んではいなかった、これをやったやつは相当の甘いやつだな。と思い自ら焼き消してやった。
家の中に入ると一人の女が居た、スカウターで数値を測ってみると1013ほどの戦闘力。
雑魚ですねぇ、まぁ大人なのでガートの事については色々知っているだろうと思いコイツに決めた。
「おい、この星のことを洗いざらい吐いてもらう。我々に着いてこい」
「い、いやよっ!」
「おい女〜あんまり抵抗してると痛い目見るぞ?」
女を脅すドドリアさん、まぁここは彼らに任せておけばいいでしょう。
そう思い自分だけ家の外に出た、その直後に女の悲鳴が聞こえた。なぜか一瞬10以下の戦闘力をスカウターが察知したが虫かなんかだろうと思い無視をして家の中に入った。
家の中には女の死体と思われるものが焼き焦げて、変わり果てた姿になっていた。
「ザーボンさんドドリアさん! 何故殺したのですか、ガート星人から情報が聴けなくなったじゃありませんか」
「す、すみません! ついカッとなって……」
「はぁ、言い訳は良いです。さっさと他の生き残ってるガート星人を探すんですよ!」
そう言うと二人ははっと言いながら家を飛び出しガート星人の捜索にあたっていた。
私は少し疑問に思った、さっきスカウターが拾った8ほどの戦闘力。いくら虫や動物でもあんなに低い戦闘力はあり得ない。
それにこの辺りにはほとんど虫や動物なんて見当たらない、畑や田んぼも少し見えるがまだなっていない時期。
……! 逃げられたかっ!!
あの時察知したのは二階にいたやつだろう。
多分窓の反対側から出てあの田んぼ奥の方に向かったに違いない、すぐさま二人を呼び集め田んぼ奥を注意して捜索した。
我々のスピードだからこそすぐにガート星人らしき人影が見当たった。
また女……か、しかも戦闘力8。さっきのこの女の母親であろうものでも1000は超えていたというのに。
もしかしたらコイツは落ちこぼれという部類なのかもしれない。
そう思いながらその女の目の前に素早く移動し、女の行動を止めた。
ザーボンさんとドドリアさんもその女を囲うようにして近づく。
ちょうどいい、何故こんなにも戦闘力が低いかは分かりませんが、コイツを連れて行きましょう。
これ以上探すのはいくらスカウターがあると言っても面倒な作業であるには違いがないのですから。
「……っん!」
コポォォ、コポォォ。目を開けるとそこは水の中だった。
なぜこんな所にいるのだろう、あれなんだか気持ちいい……と言うか私裸なんですけど!?
誰だよ脱がせたのは全くなんてデリカシーのないヤツだ。
チラリと起きていることを悟られないようにキョロキョロと辺りを見回すと、白衣を着た宇宙人が見えた。
んーもしかすると惑星フリーザだったり、するのかなぁ。
いやでもそんなバカな、でも元に私は生きているし……あーもう訳が分からなくなってきた。
というかマジで脱がせたの誰ですがバカヤロー男だったら承知しないぞ。
でもフリーザ軍ってほとんど男だよなーまぁいいか、減るもんでもないし。いや減るか?
まぁどうでもいいか、でも本当にこの中に入っていると凄く癒される。リラックス効果でもあるのかな。
筋肉痛も全然来ないし、これがフリーザ軍の科学力。さっすがガートよりも進歩してるやー。
でもまだ足が少し痛いから気を失ってるフリ続けておこう、そう思いながら目をパチリと閉じた。
ここがフリーザ軍と言うことはやっぱりフリーザがここにいるんだよね。
いやだなーまた会うの、あんなに頑張って噛まないで話すだけでも精一杯だったなんて思わなかった。
私人見知りなんてしたことない性格なのに……やっぱりオーラが違いすぎるからかなぁ。
フリーザとは次元が違うのだ、そもそもの。あ、そろそろフリーザ様に切り替えとかないとな、心読めるやつとか居たら厄介だし。
それに呼び捨てで呼んじゃってボロ出して死ぬのも嫌なので。
あーそろそろ回復したかも。それにしてもこの裸の状態はどうすればいいのだろうか。
取り敢えずこの白衣の宇宙人以外誰も位なさそうだけどさ。
私は前を手で隠しながら白衣ー以下略ーに声をかけた、すると白衣がそれに気づいて私の方に近寄る。
バッと蓋を閉め後ろを向いた、怖いっつの……。
「あー開けて下さい、というか開けますね。私には性別というものがありませんから、気にしなくて良いですよ」
……性別がない、つまり男と女がいないって訳か。ツマンナイ種族だなぁ。
なんて失礼な事を思いつつも開けられた蓋から出て、取り敢えず白衣は女と思うことにして思い切り伸びをした。
「私って何分寝てた?」
「2日と13時間です」
「ひゃーかなり寝たなぁ私」
ポリポリと液で滴る髪をかきあげながら渡されたタオルで体を拭いた。
これを着てください、と言われ指をさした先にあったものはあの側近やフリーザが来ていた戦闘服のようなものだった。
……私って本当にフリーザ軍に入っちゃうわけ? まぁ私としては就職できて殺されなくて一石二鳥なんだけどさ。
アンダースーツを着ると、かなり肌にピッタリとくっつく素材で完璧に体のラインが出る服だった。
つくづく思った、筋トレとダイエット続けてて良かったって。
女なのにお腹出てたら普通に恥ずかしいじゃん?
そして白い手袋と白いブーツ、うわーこれ凄い伸びるよ。ぐいんぐいん出来るよ。すごいなこの材質。
そしてこの堅そうな一番上の服。肩パット邪魔そうで入んなそうだ……。
「すいません、これって入るの?」
「そのスーツはブーツや手袋と同じでよく伸びる素材ですので引っ張って着てください」
言われた通りにぐにょんと引っ張ることが出来た。
着るのも結構簡単だったな、それにしてもすっごい軽い、何にも着てないみたいな軽さで不思議な感じだ。
それにしてもほぼ全身タイツのアンダースーツって、あんまりらかっよくないわ。
フリーザ様には悪いけど、もっと良いデザインいっぱいあったよね!?
まぁ言ったら殺されちゃいそうだからもちろん言わないけどね。
「フリーザ様がお待ちですので、この棟の最上階の一番奥の部屋に行ってください」
「どーもありがとう! 名前教えてください、親切にしてもらって」
「レモーネです、医療班担当なので怪我したらいつでもどうぞ」
私はレモーネさんときゅっと軽い握手を交わし、医療部屋から出た。
元敵なのに随分と優しい人だなぁ、まぁ戦闘タイプではなさそうなだけある。
医療班担当って言ってたから前線で戦う系の宇宙人ではないのだろう。
突き当たりをすぐに行くと階段があった、途中にへんな巨大な箱状の上下に動く機会を見てすぐに上に行けそうで楽だなぁと思ったがやり方が分からなかったため階段を選んだのだった。
まぁ鍛えてるから階段登ったくらいじゃさすがにばてたりはしないよ。最上階まで果たして何階あるのかは分からないけどさ。
飛びたいわ、でも無駄な体力使うからやめとこ。
あ、ちなみに今の形態は第一形態です。第二形態は慣れさせないと実践では使えないよなぁ。
そして結構な時間登り続けて、次の上に行く階段が見当たらなくなったところでずーっと奥にある白い扉の部屋に向かう。
あー緊張する緊張する!!
まさか二人っきりとかそういうのはないよね!? そんなの要らないよ今の状況では。
側近さんたちもちろんいますよね、いやいて下さいお願いします! そう思いながらノックをして失礼しますと一礼する。
部屋の中に見えたのはあの変なぷかぷか浮いている乗り物に乗っていない、椅子に座ったフリーザ様とその両端に立つ側近たち。
信じてたよ二人とも居てくれてありがとう!
だがその謎の威圧に負けそうになって倒れそうだったがなんとかこらえたのだ。
「どうもラグドさん、もうお身体は大丈夫ですか?」
「フリーザ様、申し訳ありません! 2日も眠り続けてしまって……」
「いいですよ、貴方には聞きたい事がたくさんありますからね」
足を組み替えたフリーザの目は先ほどとは違い、ギラギラとした目つきになっていて私は少し恐れてしまった。
ガート星に一体何を求めるんだ? というかガート星って消滅したのかなぁ……。
「すいません、失礼ですがガート星は……?」
「あぁ、あそのにはまだ研究材料がありますからね。残してありますよ」
私はその言葉を聞いてほっと胸を撫でおろした。
それにしても研究材料だなんて、ガート星には変わったものなんてないしなー金目のものなんて本当に何もない。
大体の家が貧乏だったのだから、地上げしても大した額には届かないとは思うし。
「そして本題ですが……」
ギラリ。フリーザ様の赤い目が私を貫くように見つめる。
あーやば、汗でそ……。
「ガート星人は本当は変身型の宇宙人と言うことは自分たちでは分かっていたはずなのに、何故我が軍の部下に変身して抵抗しなかったのですか?」
「あ、あぁ、多分その人たちは自分たちが変身型の宇宙人だと言うことを知らされていなかったのだと思います。伝えるのは親の自由ですから……」
「なるほど」
私が包み隠さずに話した事が印象的に良かったのか、先ほどの敵を見るような目ではなく少し和らいだ表情で笑う。
だがその笑い方はやはりいつ見ても不気味だな、と心に深く感じた。こんなこと思ってるって知られたら私の人生本格的に巻く閉じちゃうから。
「ガート星人について知っていること全部、洗いざらい吐いてください。言わなかったら殺しますよ」
「は、はい! 私も親から聞いたことがないものは分からないのですが、聞いた分だけお伝えします。昔のガート星人の全盛期は戦闘民族サイヤ人と並ぶほどの強さだったと言われています、我々ガート星人も戦闘民族なので全員が戦闘タイプです。主な変身段階は三段階で、一段階のものもいれば四段階のものもいます、ちなみに私は三段階で母は二段階でした。私がガートについて知っていることはこの位です、すいません……」
ぺこりと頭を下げる。フリーザ様は満足そうな顔をしてニヤリと笑った。
ビリリ、嫌な予感が私の身体中を駆ける。まさか私を殺そうと考えていたりするということか?
いやでも私の戦闘力は自分でも言うのはなんだが、結構な戦力になると思うのだ。
だから殺そうとは考えないと考えている反面、いつか反逆し自分の首を打ちに行くと思っているのだろうか。
そんなバカな事をしたら一瞬のうちに殺されて終わるだけなのに。
こういう事を考えているやつは軍の中では少なくないと思うが、行動に移すことなんて絶対に出来ない。
一瞬フリーザ様の身体から少し力が入るのが感じられた。一瞬だけ。
下を向いていた顔をチラリと目だけを上にして見てみると、フリーザが腕を目の前に繰り出し、人差し指の先端にはさすまじいほどの力の気弾が込められていた。
ばしゅんっ、素早いスピードで私の心臓めがけて飛んでいく気弾を危機一髪力を最大限まであげて避けたが少し髪の毛がチリチリと焦げ切れてしまった。
私の身体から逸れた気弾は後ろの壁を思い切り貫いた。ボロボロと発泡スチロールのように砕けていく明らかに固い壁。
恐ろしくなりながらも、何とか震えてガタガタと鳴っている唇を動かし「フリーザ様……?」と言った。
よし頑張った私。
「ほほほ、やはり避けられますか。まぁ避けやすくしてあげたのですが」
「は、はぁ……」
最後の一言は余計だったよ、言わなかったらあのフリーザ様の軽くだけど気弾を避けれたとか調子に乗っちゃうところだったから。
そして続けてフリーザ様が言う。
「貴方にはギニュー特戦隊に入ってもらいます」
「ギニュー特戦隊……ですか?」
「我が軍の超精鋭ですよ、貴方の第二形態での戦闘力なら通用するでしょう」
フリーザ様から出たギニュー特戦隊という言葉、前にも聞いた気がするのは気のせいだろうか?
それにしてもこのフリーザ軍の超精鋭、どんな人達が集まっているのか色々と不安でしょうがない。
でもそれ以上に心配なのはさっき言ったフリーザ様の言葉のこの部分だ。
「貴方の第二形態」という言葉だ、私はせいぜい頑張っても3時間ほどしかなれない。しかもその後は激しい筋肉痛に襲われる。
まぁそれはあの医療室ですぐに直してもらえられるからいいとしよう。
頑張って第二形態になれるまでトレーニングしなきゃなぁ、いつものトレーニングは主に健康でいられるためのトレーニングだったから戦闘のために力をつけるためにやっていたのではないなのだ。
だからこそまず初めの目標は「第二形態を1日ずっと保てるようにする」ということだった。
これができなければそのギニュー? 特戦隊とやらにはついてはいけないと思ってしまうから。
メンバー構成なんて全然聞けなかったなーと思いつつぺこりとお辞儀をしてから部屋の外に出た。
思いっきり深呼吸をし、緊張のせいでバクバクと鳴る心臓を戦闘服の上から抑えながらもフリーザ様の言う案内人のところに足を進める。
少し言ったところで頭部分の後頭部がギュインとなっている反転柄の宇宙人がいた。
名前は確かアプールだったよな?
「アプールさんですか?」
「あぁ、新しく入るギニュー特戦隊の方ですね。お部屋にご案内します」
宇宙人は私が向いていた方と全く別の方向を向き、ダッシュでかけていく。
突然の事に驚きながらも見失うとヤバイのでついて行く。
何で走ったんだろう、そう考える暇もなく答えが出てしまった。
フリーザ様がいるからだ。ただでさえ物凄い威圧がかかるフリーザ様の近くでずっと待っていなければならない。
半径1メートル以内にいた私は死にそうだったからな……。
うんうんと思わず合っているかも分からずに納得していると、アプールさんが止まる。
ぶつかりそうになったが、なんとか足で歯止めをした。
あぶねあぶね。