インフィニット・ストラトス~人形遣いは夢見るか?~   作:ラグ0109

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白と桜と人形遣い
再会


ドーモ、皆さん…織斑 一夏です。

俺は今…とてもヤバイ状況です。

本当ならこんな所にいるべき人間ではないのです。

ゆっくりと様子を見るように右を見ると女子。

同じように左を見ると女子。

女子、女子、女子…そう、俺は女子高であるIS学園に叩き込まれてしまったのです。

コホン…約一年前…千冬姉がドイツでの仕事を終えて日本に帰ってきたあの日…俺が知らない内に兄と慕っていた人が消えた。

ちょっとヤンキーっぽいし、何か目も赤くて目つきが悪い…正直印象は悪いと思うけど、面倒見が良い人だった。

やたら、自分の事を悪魔とか言ってたけど…。

正直、凄く戸惑ったし珍しく泣いてしまった。

家族だと思っていたからなぁ…何も言わないで出て行かなくても良いだろうって。

男が泣くなと千冬姉には怒られたっけ…。

幼馴染の鈴なんかは烈火のごとく怒ってたなぁ…教えてもらいたいこと一杯あったのにって。

鈴はあの人…アモン兄から料理の仕方を教わってた。

俺もまだまだ知りたかった事あったんだけどな…今頃どうしてるんだろう?

携帯も借り物だからって置いて行っちゃってたし…。

誰かにやられそうになったら倍返しにする様な人だから、生きてはいると思うんだけど…。

 

「居心地…悪いな…」

 

俺は溜息を吐きながら、挙動不審気味に周囲を見る。

俺のいる一年一組の教室…何処を見ても女子ばかり。

ISは女性しか扱えない…だから、俺以外男性がいない。

友達の五反田 弾は泣きながら羨ましがってたけど…実際同じ状況になったら、泣きながら帰してくれとか言うんだろうな…。

 

「あれ…もしかして…箒かな…?」

 

窓際に視線を向けると、小学生の時分に引っ越してしまった幼馴染の篠ノ之 箒のそっくりさんが座っていた。

勝気な感じの眼差しとポニーテール…仮に箒じゃなかったとしたら何だか恥ずかしいな。

箒…元気にしてるかなぁ…?

幾度かの溜息を吐きながら、俺が此処に放り込まれる切欠になった事件を思い出す。

事の発端は俺が試験会場を間違えてしまった事だ。

俺は本来安くて、就職率が高い藍越学園の試験会場とIS学園の試験会場が何故かブッキング。

会場を…何だか意図的な感じもするけど間違えて入ってしまった俺は、事故でISを起動させてしまった。

それからは、本当に目まぐるしかった…電話帳みたいな参考書がジェッ○ストリームアタック仕掛けてきたり、カルト宗教団体、マッドサイエンティスト、女性権利団体が○リプラー仕掛けてきたり…後者は千冬姉がボロ雑巾にしてくれたけど。

 

「…今日の夕飯は鰆が良いかな…」

 

IS学園はその特殊性から在校生は全員入寮する事になっている。

ISを扱えると企業とか軍とか…色々スカウトが激しいのだ。

だからそう言ったものから在校生を守るための措置なんだけど…唯一の男性である俺は特殊ケース…寮の準備ができなかったという事で最低一ヶ月は自宅から通学しなくてはならない。

…二時間くらいかかるんですが…。

 

「…くん。織斑 一夏くん!」

「あ、はい」

 

思考の海に溺れていたら、副担任の声に意識が引きずり上げられる。

俺はゆっくりと立ち上がって副担任の山田 真耶先生は不安そうな顔でこっちを見つめてくる。

…気が弱いんだろうか?

 

「ご、ごめんね!今ね、自己紹介の時間で『あ』から始まって『お』の織斑君の番なんだ。あの、その…自己紹介、してくれるかなぁ?」

「え、ちょ…!泣かないでくださいっ!自己紹介しますから!」

「ほ、ほんとう!?約束だよ!絶対だよ!?」

 

山田先生は、目元に涙を一杯に浮かべながら俺に自己紹介を促してくる。

あれかな…新入生に対して…って言うかイレギュラーな俺の存在に不安を感じているのか?

だとしたら、不安を払拭するような自己紹介を…!

俺は最前列の席なので後ろを振り返りクラスメイト達を見る。

一斉に突き刺さる視線が怖い…普通の男だって言うのに…あ、IS使えるから普通じゃないか。

 

「えーっと…何かの間違いでIS学園に入学した織斑 一夏で――」

 

自己紹介をしようとした瞬間、開いていた窓から風が吹き込んで桜の花びらと一緒に黒い何かが教室に放り込まれてくる。

なんだ!?爆弾か!?俺の存在を疎んだ何某の!?

 

「あんのクソウサギがぁ!!なんつー扱いの雑さだ!!!」

「ひっ!!」

「き、きゃあああああ!!!!」

 

うがー!!と怒りも露に立ち上がった黒い何かは、どこかで聞いた声で不満を口にし地団駄を踏んでいる。

その粗野な言動や佇まいに山田先生は完全に萎縮してしまい、クラスの女子達は悲鳴を上げる。

…あれ?

 

「っせーぞ、ガキ共!!」

「新入生に威嚇をするな!!」

 

怒りが収まらず絶叫に近い悲鳴を上げられて更にキレた黒い何かは、女子たちを威嚇するように睨み付けると背後から何者かに殴りつけられる。

って……

 

「千冬姉にアモン兄!!??」

「織斑先生だ」

 

スッパーンっと頭に出席簿が叩き付けられ、俺は為すすべなく席に着席させられる。

鉄の板で殴りつけられたみたいに痛いんだけど!?

でも、なんで千冬姉とアモン兄が!?

 

「まったく、石と言うより鉄頭だな貴様は」

「応、久しぶりじゃねぇか…千冬」

「あ、あのぅ…此方の方は…」

 

山田先生はビクビクと怯えながら千冬姉にアモン兄の事を聞いてくる。

そうだよ…今まで行方不明だったアモン兄がどうしてこんな所にいるんだ!?

 

 

 

――少し時を遡り、アモンの視点へ――

 

 

 

人参型シャトルに放り込まれ、洋上を快適に進みながら俺はIS学園に関する資料やISに関する知識、更にはこの世界における教員知識を頭に一気に叩き込んでいく。

時間がないので徹夜だ…まぁ、世界を回って得た知識も役立っているんで今は大雑把にだ。

桜花の方に頼んで教員免許の方も捏造してもらった…五年くらい前から遡って取得した事になってるし、何より事実事態が改竄されている…まずバレねぇ。

あのウサギもコレを見越して俺を放り込もうとしてやがるな。

目的があるっつー話だけど…一体なんなんだかな?

 

『おっはよ~、あっく~ん』

「おーう…良く連絡できたな…テメェ…」

『んもう、朝から怖いよ~?』

「誰の所為だ誰の!!」

 

束は相変わらずハイテンションで話しかけてくる。

こいつは先ず他人を省みる事がない…自分が世界の中心だと思ってるクチだ。

こういった奴は相手したくねぇなぁ…結構勝手に自滅してくれるし。

 

『そんなに怒らないの!そろそろ投下ポイントだけど、準備は良い?』

「…おい…」

『いいみたいだね!それじゃいってらっしゃ~い!!』

 

いきなりシャトルが減速したかと思えば、ハッチが開きバネの力で思いっきり外に放り出される。

あ、これアウトかもわかんねぇな…ぜってぇぶっころす…クソウサギ…。

しかし…どうやら相当低い位置から放り出された様で、多分IS学園の校舎に放り込まれるように投げ出されたみてぇだな。

結果として、俺は教室と思しき場所に飛び込んでゴロゴロと転がって教卓にぶつかって止まる。

止まった瞬間、再び頭に血が上る。

 

「あんのクソウサギがぁ!!なんつー扱いの雑さだ!!!」

 

あんまりにも腹が立って、しかし物に当たる訳にも行かず地団駄を踏んで声と息を荒げる。

ここは教室だったみたいで、ガキ共が俺にビビッて悲鳴を上げる。

上げるのは仕方ねぇけど、今は耳障りだ…一喝して黙らせると後頭部を思いっきり殴りつけられる。

 

「まったく、石と言うより鉄頭だな貴様は」

「応、久しぶりじゃねぇか…千冬」

 

頭を殴られて若干冷えたのか、冷静になって背後から俺を殴りつけてきた人物…織斑千冬に目を向ける。

ビシッと黒のスーツを着てて中々カッコいいじゃねぇか…。

俺がニッと笑みを浮かべると、千冬も同じように笑みを返してくる。

 

「あ、あのぅ…此方の方は…」

 

なんとも気弱そうな…クソウサギ並みのボインが怯えながら千冬に質問してくる。

ガキ共も俺と千冬の関係に興味津々ってー感じだな。

よく見りゃ一夏もいるじゃねぇか…ちったぁマシな顔つきになったな。

だけど、どうにも俺を見る目に棘があるな…根に持ってんのかねぇ?

 

「アモン、事の経緯を説明してやれ」

「しゃーねぇな…ハァ…」

 

どうしようもない理由で放り込まれた為、理由を説明するのが億劫すぎるぜ…マジで。

とは言え混乱を鎮めるためにも自己紹介か…。

どうやって言うか…束の名前出すのも拙い気がするんだよなぁ…。

 

「アモン・ミュラーだ。ド変態ウサギの所為で此処で教育実習生をする事になった。まぁ、よろしくな」

「え、教育実習生?」

「あの人もIS使えるの…?」

「男に教えてもらうことなんて…」

「ってい言うかウサギって誰の事よ…?」

「……」

 

とりあえず掻い摘んで説明すると、クラスからは多種多様な声が上がる。

中には見下す発言もあるが…まぁ、後悔くらいはさせてやんよ。

千冬は何故か俺の脛にローキックを入れてからクラスに喝を入れる。

 

「それじゃ分からんだろうが!詳しい経緯を説明すると、こいつは篠ノ之 束が学園にねじ込んできたイレギュラーその二だ。無論ISも使えるし、生身での戦闘で私を倒せる唯一の人類だ。以後敬意は払うように」

「そんな…千冬様が…!?」

「嘘ですよね!?」

「いったいどんな卑怯な手を!?」

 

…いい加減煙草吸いたくなってきたな…でも喫煙所ねぇんだろうなぁ…どうしよっかなぁ…フけてぇ…なんて考えて、ガキ共の威圧から気を逸らす。

千冬は世界的に有名で、半ば神のように崇められているのは知っている。

そんな奴が今の世の中男に負けたなんて言ったらどうなるか分かるだろうが…。

煙草を吸いたい衝動に耐えていると、後ろからチョンチョンとつっつかれる。

犯人はおっぱい魔神二号(山田 真耶)だ。

 

「あ、あの…これから…よろしくお願いしますね」

「応、よろしくな嬢ちゃん」

「じょ…わ、私は山田 真耶です!」

 

山田って名乗った嬢ちゃんは小動物みたいにプルプル震えて怒っている。

…迫力ねぇなぁ…何となくわしわしと頭を撫でながら笑う。

 

「や、やめてください!」

「応、悪かった」

「乳繰り合うな!…はぁ…アモン、とりあえず私について来い…山田先生、すまないが次の授業は任せる」

「は、はい!」

 

千冬はさっさと教室から出て行き、俺もその後をついていく。

 

「一夏、また後でな」

「…アモン兄…」

 

おうおう…怒ってーら。

色々と問題が山積みみてぇだし…とりあえず、クラスの連中の信頼くらいは勝ちとらねぇと拙いよなぁ…?

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