インフィニット・ストラトス~人形遣いは夢見るか?~   作:ラグ0109

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そして悪魔は歩み出す

クラス…一年一組の教室から出た瞬間、再び騒ぎが大きくなる。

やれ、千冬と親族なのかとか、俺が一体何者なのかとか…わりぃな一夏…頑張れよ。

どのクラスも授業が始まっているお陰で校舎内の廊下は静かなもんだ。

人もいないんで移動がしやすい。

千冬の後ろ姿を眺めながら歩いて思ったんだが…こいつ、怒ってねぇか?

まぁ、あんな風に教室に転がり込めばキレもするわな。

 

「…アモン」

「んあ?なんだよ?」

 

やっぱりっつーかなんつーか…声に怒気が若干ながら含まれている。

まぁ、でも俺は怒られる謂れはねぇし…大体が束の仕業だ。

そもそもだな…なんで俺がこんな所で教師せにゃならんのかとだな…。

 

「何処をほっつき歩いていた…連絡もせんで心配したのだが?」

「何処って…世界中だよ、世界中。仕事だからな」

「手紙の一つでも寄越せばいいだろう?」

 

千冬は此方へと振り返り、睨みつけてくる。

どうも、俺が連絡しなかったのが気に食わなかったらしいな…。

まぁ、家族みてぇに過ごして居た訳だし、心配すんのも無理はねぇ…か?

 

「ワリィな…東西南北フラフラしてたからよ」

「その割には束と会っていたみたいだが…?」

「ありゃ、待ち伏せされてたんだよ…どうして待ち伏せできたんだか…」

 

因みにだが、俺が束と遭遇したのはアレだけじゃねぇ…この一年の間に十数回の遭遇がある。

いずれも旅先で待ち構えている形だ。

最初は発信機の類も警戒したし、飛行機なんかの搭乗記録で追えるだろうから『海の上を歩いて』移動もしてみたんだが、てんで撒けなかった。

この世界における特異点と言っても差し支えねぇだろうな。

恐らく、デケェ事件の中心人物になる。

ISの産みの親で搭乗制限を設けた理由…在りがちな話なら予想できねぇわけでもねぇ。

 

「フン…束からいきなり連絡があった時は驚いたぞ…お前がIS適正者だとはな」

「ありゃ、束が勝手にそう設定してるだけだ。薄々感づいてはいたんだろ?」

「…まぁ、な」

 

千冬と束は幼馴染…いつも一緒に行動していたっつーからな。

ある程度は相手の考えなんぞお見通しだろう。

で、あれば俺がいきなり適正者扱いにされた経緯も想像がつくだろうよ。

性別だけで起動しなくなる?

アホくさ…そんなことすっから、世界中から狙われる羽目になるんだよ。

 

「しっかし、教師やってるとはな…『お片付け』はちゃんとできる様になったのかよ?」

「っむ…す、少しくらいはな!」

「なら、今度チェックしてやらぁな…それで、俺を連れ出したのは他にも理由があるんだろ?」

 

ただ世間話がしてぇだけなら休憩時間でも充分だしな…。

千冬はコホンと咳払いして再び歩き出す。

やっぱり連れて行きてぇ場所があるみてぇだな。

 

「本来なら、入学式の前日には挨拶すべきだったんだがな…」

「そら悪かったな…なんせ、その頃は南の島国をふら付いていたからよ。それに言い渡されたのも昨日なんだぜ?」

「あの馬鹿…」

 

千冬は頭を軽く抱えて、深く溜息を吐く。

今も昔も束にゃ振り回されてるって感じだな…。

暫く歩いていると理事長室と書かれた部屋にたどり着く…確かにトップに会うのは当たり前だわな。

千冬はノックをして扉を開ける。

 

「理事長、例の男を連れてきました」

「そうですか…では、入ってもらってください」

「失礼します」

 

一応トップに会うともあって、俺は口調をそれなりに正す。

若干千冬が驚いた顔になってやがる…失敬な、俺だってやりゃぁできんだよ。

理事長と呼ばれた女性は、中年の美女…と言った感じの女性だ。

四十…後半くらいか?

見た感じ整形はしてねぇか…その美貌も努力の賜物って事だろう。

 

「貴方が篠ノ之博士の推した人材ですか…専門は何を?」

「ドール製作です。依頼があれば義手義足も製作します」

 

ただし…この世界ではまだ成功していない自立思考能力を所有したドールも作れるわけだが。

こんな事明かしても意味ねぇし、最悪厄介事の種になる…口は災いの元ってな。

本来のカードを知らない理事長は俺の仕事を聞いて、途端に曇った顔になる。

そらそうだろう…ISに関わる仕事してねぇんだからな。

 

「IS関係の知識は?」

「一日で頭に叩き込みました。一から機体を作れと仰れば作ってみせます」

 

必要最低限の…がつくがな。

細かい部分はおいおい知識として蓄えていく。

今は、ガキ共に聞かれても問題ない程度に知識がありゃそれで問題ねぇ。

流石に驚いたのか、理事長も千冬も目を丸くして此方を見ている。

 

「おい、本当にできるのか?」

「応とも…コアもあるし、資材提供してもらえれば一週間以内に組み上げてみせらぁ」

 

千冬は信じられないと言わんばかりの顔で首を横に振り、理事長は理事長で怪しく目を光らせる。

コアに目ぇつけやがったな。

 

「…コアを持っている?」

「コホン…はい」

 

俺は咳払いして懐から拳大の水晶玉…ISコアを取り出し見せる。

ISコアは四百六十七個…そこで束が作るのを止めちまった。

面倒くさくなったのか、それとも俺達じゃ思いもつかないような発想の賜物なのか…兎も角世界にはソレしかない。

IS委員会っつー管理してる連中も束を説得しようとしたらしいんだが、それも聞く耳持たなかったそうだ。

そらそうだわな…アイツは興味を持った人間しか認識しねぇ壊れた精神構造を持ってんだからよ。

ってなわけで、ここにあるNo.468のコアは非常に希少価値の高いコアになるわけだ。

このコアの存在はIS委員会も知らねぇんだからよ。

 

「それは、この学園への手土産…と言う事でよろしいのでしょうか?」

「俺専用に調整したコアだと言っていましたし、それは無いでしょう。俺からこのコアを取り上げたときに篠ノ之博士が何をしでかすのか…想像できません」

 

いや、マジで。

恐らくこのコアは、俺の生体データ取りも兼ねて渡されている…束はコイツの稼働状況を常に監視してんだろうよ。

暫くは束の書いたシナリオ通りに動く事になる気がするぜ…。

 

「…分かりました、ではそのコアは貴方に預けるとしましょう」

「後の契約に関しては私から彼に説明しておきます」

「織斑先生、よろしくお願いしますね」

 

千冬は理事長から書類を受け取り此方へとやって来る。

これで俺も晴れて公務員(見習い)と…ようこそ、社会の歯車へってか?

 

「アモン、ISを組めると言ったな…箔付け代わりにISを一週間以内に組み上げてデモンストレーションを行え。そうでもしないとヒヨッ子共は納得しないだろうからな」

「あいよ…ったく、面倒くせぇな…資材は勝手に使うからな」

 

組み上げられるが、そこにかかる労力ってのは中々のもんだ…。

魔法を使って組み上げても良いが見られたら厄介だからな…派手な事はできねぇぞ…。

俺の資材を使う発言に理事長がニッコリと笑みを浮かべて釘を刺してくる。

 

「あまり、無駄遣いはしないでくださいね」

「了解です、理事長」

 

…どうにもこの学園、金がねぇみてぇだな…。

ある程度は『あちら側』から引っ張ってくる必要があるかもしんねぇ…『根暗』にでも準備しておいてもらうかね…。

 

 

 

 

俺と千冬は二時限目の授業開始に教室へと戻り、副担任である山田 真耶の授業を眺める。

ちーっとばかし堅ぇ感じがするが、教え方自体は丁寧な類だ。

一夏もしっかり予習してきたのか、危なげなく授業についてきている。

…そういや、弟子との仲は発展したんかね…気にはなる。

つつがなく授業は終わり、休み時間。

千冬の厚意で、俺は教室に残り一夏へと近づく。

教室の生徒の大半は珍獣を見るように俺を遠巻きに眺めている。

…なんか、一人やたらと敵意むき出しの奴がいるな。

 

「アモン兄!どうしてこんな所に!」

「束に突っ込まれたって千冬が言ってたろ。に、してもだ…」

 

俺は頭の先からつま先まで一夏を見つめる…服を着てても俺にはお見通しなんだぜ。

一夏は不思議そうに首を傾げている。

 

「なんだよ、アモン兄?」

「いや、大分鍛えたなと思ってよ。俺が居なくなって腑抜けたかと思ってたぜ?」

「そんな訳無いだろ?俺にとって憧れで目標だからな!」

 

一夏は目を輝かせながら俺を見つめてくる。

まだまだガキんちょだが、へこたれねぇで頑張ったのは評価できんな…。

一瞬背筋に悪寒が走る…あまりもの嫌な感じに思わず身震いして辺りを見渡す。

俺達を遠巻きに眺めている女子達の目が完全に獲物を見定めた獣のソレだ…ヤベェ…これが女子高の世界かよ…。

 

「アモン兄…気にしたら負けだぜ…」

「テメェも洗礼を受けたって面してんな…」

「で、でもアモン兄が居てくれて助かるよ…ホント」

 

死地に活を見出すと言わんばかりに笑みを浮かべて、一夏は胸を撫で下ろしている。

女好きにゃ天国かもしれねぇが、噂が立ったら立ったで面倒なのも女の園だ。

道連れが増えりゃ嬉しいわな。

 

「い、一夏…ミュラー先生とは知り合いなのか?」

「あーっと…お前は篠ノ之とか言ったか?」

「んな…自己紹介もしていないのに…」

「一応教師(未定)なんでな。受け持つクラスの連中の顔と名前くらいは頭に叩き込むだろ」

 

ポニーテールが特徴的な少し強気そうな大和撫子…篠ノ之 箒は俺と一夏の関係が気になるようで、強い意思を感じる瞳で俺のことを見上げてくる。

その顔には、疑念とか憎しみとか…まぁ、大よそ子供がするような顔じゃぁない。

ったく、何か恨み買う様なことをこの世界でしたかね?

誘拐犯?

ありゃぁ、犯罪犯したあいつらが間抜けなのさ。

 

「アモン兄は、千冬姉がドイツに行ってた頃に俺の面倒を見てくれていたんだ。すっげぇ強くってさ、千冬姉が帰ってくるまで鍛えてくれてたんだよ」

「そ、そうなのか…姉さんと…束と知り合いみたいですけど…」

 

はっはーん…こいつも束被害者の会の一員か…俺は無意識の内に箒へと手を差し出す。

コイツは仲間だ…間違いねぇ…。

 

「ダチになれるぜ…俺もあいつにゃ酷い目に合わされたからな」

「なっ…何を…」

「今日はアイツに空から此処に放り込まれたし、事あるごとにストーキングされるしで参ってんだよ」

「良く生きてたな…アモン兄…」

 

一夏は呆れ顔で俺を見つめ、箒は箒で俺のことを憐れむ様に見つめてくる。

あまつさえ頭を下げて謝る始末だ。

 

「すまない…姉がとんだ迷惑を…」

「テメェが悪いんじゃねぇだろ…諸悪の根源がいるんだからよ…」

 

箒と二人で乾いた笑い声を上げながら遠い目をしていると、いかにもお嬢様といったブロンドの美少女…セシリア・オルコットが此方へとやってくる。

俺を忌々しげに睨み付けた後に一夏へと目を向ける。

どうも、男がお嫌いらしい…何を毛嫌いしてんだか…男がいなきゃ種の繁栄も侭ならねぇのによ。

 

「少し、よろしいかしら?」

「はぁ、なんでしょう?」

 

一夏はこの手の女に酷い目――あの千冬中傷事件の事だ――に合ってから苦手になっちまってる。

言ってしまえばトラウマだな…あん時の一夏の目は死んだ魚の目だったぜ…。

まぁ、そんな訳で一夏も何処か冷たい反応になっちまってる。

 

「まぁ!なんですの、そのお返事の仕方は!わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の反応と言うものがありますのよ?」

「君の事を知らなければ、誰だってこんな反応だよ…すまないけど。俺は兄と積もる話があるんだ、後でも良いか?」

 

一夏は若干イラついた様に語気を強めて…それでも顔には出さないように努めて言い返す。

俺は若干の溜息を吐き出しながら一夏の額を小突く。

 

「今度は勝手に何処にも行かねぇよ…クラスメイトと親交深めろ。少なくとも一年間は一緒に頑張る仲間になるんだからな」

「わ、分かった…ごめん」

 

一夏は素直にオルコットに頭を下げるものの、一夏の物言いにセシリアの沸点は上がりっぱなしだ。

 

「オルコット、ちっとコイツ高圧的な女性ってのが苦手でな…知ってるだろ、ブリュンヒルデ引退騒動。アレで酷い目に合ってるんだわ」

「フンッ…アモン・ミュラー、わたくしは貴方の様な粗野で下品でみすぼらしい男が教職に着く事を認めませんわ!!」

「なっ!オルコット、それは言い過ぎなんじゃないのか!?」

 

箒は俺を庇うように前に立ち、憤りを露にする。

俺を庇う様な素振りを見せるのは箒くらいで、他の生徒も様子見か…或いはオルコットと同調すると言った感じか。

俺は箒の肩を叩き首を横に振る。

 

「構いやしねぇよ、篠ノ之。こんな空から放り込まれた男、誰が信用すんのかって話しだしな」

「し、しかし…!」

「言いてぇやつは言わせておくだけだ…言うだけならタダだからな」

 

俺がオルコットに対して不敵な笑みを浮かべると、次の授業のチャイムが鳴り響く。

箒も何だか納得はいかねぇみたいだが、チャイムを聞いてあっさりと自分の席に戻る。

まぁ、担任が担任だし当たり前だわな。

 

「くっ…!また来ますわっ!逃げない事ね!!」

「元気なこって…」

「アモン兄、最後の挑発はないわー…」

 

俺は一夏の呆れ顔に肩を竦めて周囲を見渡す。

クラスの生徒は皆キチンと準備を終えてるみてぇだ…感心感心。

千冬が教室に入ってくれば、俺は千冬が入ってきた前の扉の脇に控える。

 

「さて、三時限目の授業を…という前に、先ずは再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表を選出する」

「千冬、代ひょ「織斑先生だ」

「アッハイ」

 

凄まじい眼光で此方を睨まれてしまった…オンオフキッチリしてるってことなんだろーが…。

 

「あー…織斑先生、その代表者ってのは対抗戦だけに出るだけなのか?」

「いいや、言ってしまえば学級委員長の様な役割だ。イベントごとのまとめ役も担ってもらう」

 

なるほどね…こりゃ荒れんぞ…。

どう考えても、男ってだけで目立ってる一夏が選出されんだろ…他の女生徒はISに触れる機会があるってーのに、ド素人に代表やらせんのか…?

 

「自薦他薦は問わない、誰かいるか?」

「はい!私は一夏君が良いとおもいます!」

「私も織斑君がいいと思いマース!」

 

次々と手が上がれば皆一夏一夏一夏…大人気だなイケメンが!

俺は黒板に投票された数を正確にチョークで書いていく…およそ半数か…恐るべし特異点。

そんな中我慢できなかったお嬢さんはやっぱり居たわけで。

俺も一夏も仏のような顔で遠い目をしていた時に事件は起きた。

 

「納得いきませんわ!!」

 

セシリア・オルコット、怒りに立つ。

確か名簿の資料にゃ、国家代表候補生とか書いてあったな…。

堪え性が無い所を見るとやっぱり若さ故のプライドの高さが見え隠れしてんなぁ…。

クラス中の視線がセシリアに集まるが、決してたじろぐ事はしない。

肝が据わってるのは評価できるな。

 

「このような選出認められません!第一男と言うだけで何も無い者を代表にする等…クラスの恥だという事もわからないのですか!?」

「オルコット、ヒートアップしている所悪いがな…だったら、お前は誰を推薦するんだ?」

「っ…何が仰りたいのですか…貴方は」

 

一夏の明るい学生生活の為に、お兄ちゃんがちーっとばかし手助けっしてやるかね。

憎まれ役ってのも悪魔にゃ相応しい。

 

「ちふ…ゴホン、織斑先生は自薦他薦を問わないって言ってたろ?けどよ、お前は自薦他薦しねぇで文句言うだけじゃねぇか…。まさか、自分は選ばれて当然とか思ってねぇよな?」

「えぇ、思っていますわ…わたくしは英国国家代表候補生にして、貴族…専用機も持っているんですの」

 

…あっ…駄目だコレ…挫折した事が無いタイプだな…。

いや、努力をしてもぎ取ってはいるんだろうが…どっかで一度心を折っておかねぇと、どっかで大ポカやらかしそうだな…。

 

「私はオルコットさんにします」

「私もー…男ってだけじゃちょっとねぇ…」

 

少数ながらもセシリアを推薦する人間も出てきた…これでちっとは満足してくれると良いんだが…。

 

「最終的には織斑が過半数か…では、クラス代表は民主主義に則って織斑 一夏とする」

「ちょっと、待ってくれよ!何で俺なんだ!?」

「民主主義と言った…織斑、腹を括れ!」

「だったら、俺はオルコットさんを推薦するよ!」

 

おーっと…まとまりそうな雰囲気だったのに一夏がぶっ壊しやがったな…どうすんだよコレ…一夏が推薦蹴っ飛ばして他薦したってなると、推薦した奴らの気持ちが可哀想だし…かと言ってセシリアもなぁ…すんげぇ顔で睨んでるし。

 

「織斑、貴様…」

「待て、織斑先生…俺にいい考えがある」

 

千冬を手で制して一夏とセシリアを見る…こうなりゃもうヤケクソだ。

殴り合いして決めてもらおう。

 

「このまんまだと、クラスに軋轢作っちまうのは目に見えて明らかだ。一夏がセシリアを推薦しちまうのは、選んでくれた仲間に対する裏切りみてぇなもんだしな。だからよ…お前ら、ISで決闘しろ…丁度、二人とも試験のときに教官倒してるみてぇだし」

「なっアモン兄!!」

「うっせ!黙れ!おまえな…腹括って男見せろよ。それとも、この程度の逆境でへこたれてんのか…?…言ったよなぁ?」

 

口には出さないが、一夏にだけ殺気をあてて言葉を思い出させる。

『へこたれたらぶっ殺す』

俺は、あの時そう言った筈なんだからな。

 

「っ!!分かった…やるよ、俺」

「オルコットもそれで良いだろ?」

「えぇ、わたくしの実力と言うのを思い知らせてやりますわ」

 

一息ついて事態が一端丸く収まったのを見て、俺は脇に退く。

千冬は険しい顔で此方を一瞥してからクラスに顔を向ける。

 

「まったく…勝手に話を決めて…決闘は一週間後に行う。その日にアモンが組み立てるという専用機もお披露目だ、いいな!?」

「へーい…妙なプレッシャーかけんなよ…」

 

千冬の言葉にクラス全員が息を飲む。

決闘もさることながら、たった一週間でISを組み上げると言う所だろうな。

普通の人間じゃまず無理だ。

 

「そ、そんな…それじゃミュラー先生はISを組み立てる事ができるんですか?」

「応よ…一応な」

「やっぱり教育実習生だって言うのも本当なのかしら」

 

残念ながら本当なんだけどな…クソが。

千冬が授業を始めたのを皮切りに、クラスの生徒達は一斉に授業に集中し始める。

俺は、それを横目に自分のISの構想を練り始めた。

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