【主人公】戦場起動【喋らない】外伝 作:アルファるふぁ/保利滝良
「へっへっへ、いたいた・・・丸見えだぜ」
訓練生十四番は、建物に隠れながら遠くの様子を眺めていた そこには、自らが乗るのと同じウィンストーン
彼の戦法は極単純 後方からの闇討ちである
なにも真っ正面からぶつかり合う必要はない 使うべきなのは頭と、知恵だ 例えどんな卑怯な手であろうと勝てば良い
戦争とはそういうものだ これは模擬戦だが
「まずは一機・・・?」
障害物から身を乗り出してウィンストーンに銃を向けさせた その時、十四番は先程までいた別のウィンストーンがいないのに気付いた
余所見した瞬間に逃げられたか 否、ウィンストーンはそこまで素早くない 一瞬で見失うほどのスピードは出せない
「くそ、どこだ どこに行きやがった!」
獲物がいなくなったことに苛立ちながら首を振り回すも、左右の地平線には遮蔽物を除きなにもない 後ろも同じく
では、あのウィンストーンはどこへ行ったのだろうか
十四番が首を捻ると、地面に黒い影が浮かんだ 自分のものとも、近くの遮蔽物代わりの建物のものでもない
それは、別の存在の影であった
「しまっ・・・」
上か そう気付いたのは遅すぎた
ブースターでウィンストーンの頭上に浮かんでいたウィンストーンは、しっかりと狙いを定めたアサルトライフルを撃った
トリガーと連動し、三発の弾が順番に飛び出し、十四番の機体へ当たる
弾けた弾丸から、真っ赤な塗料が溢れ出た
ちょうど三発 十四番の失格である
被弾の反動により尻餅をついたウィンストーンを見下ろす、別の訓練生の機 その肩にある6の文字
十四番は、それが訓練生六番のものであると思い出した
訓練生一番のウィンストーンが、アサルトライフルを三発撃つ 三点バーストによって放たれた弾だったが、全て地面に当たる
目標には命中せず
「当たらないっ!」
訓練生一番が歯噛みする 汗が額から滲み、パイロットスーツの中を湿気させる そんな状態が、彼からさらに冷静さを奪う
操縦レバーを握り締め、右に左に動かす 機体の脇をすり抜ける敵の弾にヒヤリとした
残弾は残り少なく、既に失格判定の三発にはリーチがかかっている 油断したらすぐに終わりだ どうしてこんなにもピンチなのか
「九番を仕留めるのに、消耗したからか!」
同期の中で三本指に入る自分へ弾を二度直撃させた訓練生のことを思い出し、一番は舌打ちする 今さら言っても遅いが、奴とはもう少しスマートに戦うべきであった
そんなことを気にしていても仕方がない また引き金を引く
「当たれよ!チィッ!」
ウィンストーンの横ステップ 三点バーストはまたもや直撃ゼロ
「そんなぁ!」
ついに一番が弱音を吐く その瞬間、ウィンストーンの顔へペイント弾が叩き込まれた
一発の赤色がHAMMASのヘッドをこれでもかと汚す
手も足も出ぬまま停止した一番は、自らを倒したウィンストーンを見上げた
「三十六番・・・」
出会い頭に二十四番を瞬殺し、三十六番はブースターを起動した