ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
あれは嘘だ。
と言うわけで第9話、どうぞ。
「いってぇ…まだヒリヒリする…。一体どんな力でぶっ叩いたんだよ…。」
真姫の家から出て数分、出る直前まで気絶していたので叩かれてから数十分経ったというのにまだヒリヒリしている。
隣でちょこんと歩く花陽ちゃんは何か考えることがあるのか、真姫の家を出てから何も言葉を発しない。
「あの、松宮さん。お聞きしてもよろしいですか?」
「何だ?」
「松宮さんはどうして先輩たちのお手伝いをやっているんですか?」
何を言い出すかと思えば…。
「そうだな…。」
勿体ぶって考えるフリをするが、理由なんて決まってる。
『あいつらの笑顔が見ていたいから』。
でもこんなことは言えないことはないけど、恥ずかしすぎる。
だから遠回しに答えてみる。
「……何だかんだいってあいつらが好きなんだと思う。」
「好き……ですか?」
「ああ。もちろん恋愛感情の好きとは違うぞ?あいつらが団結して何かを成し遂げようとする姿が羨ましくもあり、いい刺激になってるんだと思う。花陽ちゃんはオレが立華高校の陸上部だって言うのは知ってるかな?」
花陽ちゃんは静かに首を横に振るが、オレは話を続ける。
「陸上は野球やバスケとは違って自分の力が無いと勝ち上がれない競技でさ、練習しても人間だからどうしても手を抜きたくなるけど穂乃果たちの姿を見て『オレも負けてられないな』って、『オレもあいつらを見習って頑張らないとな』ってなるんだ。」
「そうなんですか……。」
「そういうこと。そう言えばこの近くに和菓子屋があるんだけど寄っていかない?」
「何がオススメなんですか?」
「お店のオススメは揚げ饅頭らしいけど、普通のお餅とか葛餅とかもあるよ。」
「じ、じゃあ行きます。」
大人しい声だけど目がすっげぇキラキラしてる。
洋菓子を目の前にした穂乃果やトマトを食べる真姫みたいな感じになってる。
お餅っつーか……、お米が好きなのかな?
「ごめんくださーい。」
オレたちは『穂むら』の店のドアをガラガラと開けてから暖簾をくぐる。
「はーい!……そーちゃん!それに、花陽ちゃん!いらっしゃーい!!」
そこには白い三角巾を頭に巻き、割烹着を来て店番をしている穂乃果の姿があった。
「おー穂乃果、店の手伝いなんて珍しいな。一体どんな風の吹き回しだ?もしかして明日は鉄砲玉が降ってくんのか?」
「ひどーい!!穂乃果だって店番くらいやるときはやるよ!!」
やらないときの方が圧倒的に多い気がするのですが、それは…。
「穂乃果……えっ!?ええっ!?」
ほ穂乃果と会話していたのだか、花陽ちゃんが混乱魔法にかかったのか錯乱し始めた。
「ここは穂乃果の家がやってる和菓子屋なんだ。」
錯乱している花陽ちゃんの頭を撫でて落ち着かせる。
「ところで穂乃果の部屋に案内してやってもいいか?」
「いいけど、そーちゃんいつまで花陽ちゃんの頭に手を置いてるつもり?」
頬を膨らませてむーっと唸り声を上げつつ声のトーンを少し低くして威嚇してくる。
「何だよ?何むくれてんだよ?」
「べっつにー?ただそーちゃんが……ごにょにょ…。」
「え?なんだって?」
「何でもない!ほら、入るなら入って!!これから来るかもしれないお客さんの邪魔だよ!!」
穂乃果がオレの手を取り、無理矢理花陽ちゃんの頭から下ろすとグイグイと背中を押してから店番の為にカウンターに戻った。
「何だったんだありゃ…。」
「壮大さんって鈍いんですね…。」
「?」
花陽ちゃんに鈍いって言われたけど何が鈍いのかサッパリ分からないオレは、ただただ首を傾げるしかなかった。
「この部屋でいいのかな…?」
と言って花陽ちゃんはドアを静かに開けた。
「あ。その部屋違う!」って言おうとしたけどもう遅かった。
「ふんにぬぬぬ…!!このくらい、このくらいあれば…。」
そこにはバスタオル1枚で美容パックをつけて、ギューッと胸を寄せている雪穂の姿があった。
花陽ちゃんは何かを察したのか、ドアをガラッと開けたときよりも音を立てずにドアを閉めた。
「壮大さん…。」
「オレは何も見てねぇ。」
オレは咄嗟に誤魔化した。
中学生、それも幼馴染の妹に欲情する性癖は持ち合わせてはいないが女の子の闇をみたような気分だ。
「そこは穂乃果の妹の雪穂の部屋だ。穂乃果の部屋はこっち。」
そう言ってオレは何回も出たり入ったりしている穂乃果の部屋のドアを無警戒にガラッと開け放った。
「ちゃーん♪ちゃちゃーちゃら♪ちゃらららーん♪じゃーん!みんなー!!ありがと~!!!」
ーーーバァァァァン!!!
オレは部屋のドアを音速で閉じた。
「「…………。」」
あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ!
オレは無人である筈の穂乃果の部屋のドアを開けたと思ったら、そこにはマイクを持ってノリノリで投げキッスやポージングをしている海未の姿があった。
何を言っているのか分からねぇと思うが、オレ自身も何の理由で海未があんなことをしていたのか分からねぇ…。
理解してやりてぇが常識をはるかに逸脱した出来事で思考がどうにかなりそうだ…。
幻覚だとか幻聴だとかそんなチャチなもんじゃねぇ…。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
って銀の戦車の幽波紋を操るフランス人みたいな状態になってる場合じゃねぇ!!
海未さん!?お前は何やってたんだよ!?
花陽ちゃんも言葉を失っているじゃねぇか!
「……壮大さん。」
謂れの無い恐怖で身体が震え出す花陽ちゃん。
「いいかい?花陽ちゃん、オレたちは今何も見ていない。何も起きなかったんだ…。」
ーーードパァァン!!!!!
「「ヒィッ!?」」
2つの部屋のドアを同時に開いた。
片方の部屋からは片腕で胸元を隠しながら、そしてもう片方の部屋からは青みがかかった黒いロングヘアーで顔を隠しながら出てきた。
怖ぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!
雪穂はまだいいとして、海未に至っては完っ全に井戸から出てきた妖怪よろしく状態だ。
うん、こんな状況になったのは妖怪のせいだ。きっとそうに違いない。
「「…………見ました?」」
→はい
いいえ
うん。これ、ロールプレイングゲームでよくあるどっちの選択肢を選んでも結末が変わらないっていうやつなんじゃねぇかな…。
しかも無限ループタイプじゃないほう。
あぁ…。オレの命もここまでだったのか…。
花陽ちゃん、後のことは頼んだよ…。
「…………いいえ、オレは……何も…………見ておりません。」
直後に脇腹と鳩尾に衝撃を感じると、一瞬で視界がブラックアウトしオレの意識が人生というオンラインゲームから一時ログアウトされましたとさ。
今日オレこんなのばっかじゃね……?
「……ごめんなさい。」
こんばんは、小泉 花陽です。
あのあと店番をしていた穂乃果先輩がお盆にお茶とお茶請けを乗せて上がってきて、海未先輩が壮大さんの首根っこを引っ張りながら部屋に引きずり込み、見事な背負い投げで穂乃果先輩の部屋のフローリングに叩きつけたところで謝った。
穂乃果先輩が『何でそーちゃんこんなところで寝てるの?』って聞かれたのに対し、海未先輩は顔を赤くしながら『私が鏡の前でポーズの練習をしていたらノックもせずに部屋に入ろうとしたので、少し制裁を…。』と答えた。
男の人の壮大さんをも気絶させる西木野さんや海未先輩っていったい…。
「いいよいいよ、こっちこそごめんね~。……でも、」
穂乃果先輩が苦笑いで気にしなくてもいいと言ったあと、いたずらっ子がよくするような笑みを海未先輩の方に向けて…、
「まさかあの海未ちゃんがポーズの練習をしてたなんてねぇ~。」
海未先輩を煽っていた。
「そ、それは!穂乃果が店番でいなくなるからです!!」
私たちの学年でもかなり人気が高い海未先輩のファンの子たちが見たら、気絶しそうなくらいの壊れっぷりです。
あぁ…、クールで凛とした海未先輩はいったいどこへ…。
「あ、あの…「お邪魔しまーす」……あぅ。」
私の言葉を遮るようにして穂乃果先輩の部屋に入ってきたのはことり先輩。
「あれ?」
「お、お邪魔してます…。」
「え!?もしかしてホントにアイドルに!?」
ことり先輩が私のことを見つけ、軽く頭を下げるとキラキラした表情で詰めよってくる。
ことり先輩少し怖い…。
「そーちゃんが連れてきたんだよ。花陽ちゃん、はい穂むら名物穂むら饅頭略してほむまん!」
そう言って穂乃果先輩はお饅頭を渡してきたので、ありがたく頂く。
あ、おいしい…。
「そーくんも来てるの?」
「来てるよ、ホラ。……って、海未ちゃん何してるの?」
穂乃果先輩が海未先輩の方向を指差したが、海未先輩はいつの間にか復活した壮大さんの背中を座布団代わりにして座っていた。
壮大さんは足の指先と前腕だけで身体全体と海未先輩を支え、プルプル震えていた。
「壮大が筋トレしたくなったって言ってたので、補助をつけているだけです。」
「おい、待て。オレは筋トレしたいなんて一言も……「そんなことよりもことり?パソコンは持ってきましたか?」ねぇ!?海未オレのことそんなに嫌いなの!?」
そんなことで済ましちゃっていいのかな……?
壮大さんがショボンという顔文字みたいな可愛いへこみ方をしていた。……何だか壮大さんのイメージがこの1日でガラガラと音を立てて崩れていくような気が…。
「うん!持ってきたよ~♪」
「ごめんね?いっつも肝心な時に限ってパソコン壊れちゃうんだよね…。」
ことり先輩がテーブルの上にノートパソコンを置いたので、わたしはお茶請けを手に持ってどかす。
「あ、ごめんね?」
「い、いえ。」
「それで、動画はありましたか?」
「ん?何の話だ?」
ことり先輩のノートパソコンの回りに集まり出す先輩方。
海未先輩を乗せた壮大さんも身体を上手く使って、まだ上に乗っている海未先輩を振り落とさないように近づく。
動画って一体なんだろう…?
「……あった!」
ことり先輩がパソコンを操作し、目的の動画を見つけた。
その声を聞いて穂乃果先輩たちはパソコンのディスプレイに近づく。
わたしも邪魔にならないように少し離れて動画を見始める。
動画とはつい先日行われたファーストライブの映像だった。
小さい頃から見続けているプロのアイドルやスクールアイドルの頂点に立っている『A-RISE』のダンスと比べると雑でぎこちない。
でも、先輩たちのダンスは見えない力に引き込まれるようなそんな力があった。
「あー…、ごめんね?花陽ちゃん……花陽ちゃん?」
穂乃果先輩が呼んでいるような気がしたけど、真剣に動画を見ていたので返事をすることができなかった。
小さい頃から大好きだったアイドル。
私もいつか歌って踊ってファンを魅了するアイドルになりたいと思っていたし、夢を持っていた。
でも引っ込み思案の私は、いつからか『私じゃそんなこと絶対無理だ』と自分の可能性を否定するような考えを占めていき、やがて『応援しているだけで満足だ』と勝手に決めつけていた。
「小泉さん。」
「は、はいぃっ!?」
海未先輩の声で私の意識はパソコンから現実に引き戻される。
「スクールアイドル、本気でやってみない?」
穂乃果先輩からアイドル活動のお誘いを受けた。
私にまたとないチャンスがやってきた。
でも、肝心なところで引っ込み思案の私は二つ返事で返すことができなかった。
「嬉しいですけど、私アイドルに向いてないし…。」
「それをいうなら私は人前に立つことが苦手です。とてもアイドルに向いているとは思いません。」
「ことりも歌忘れちゃうところもあるし、運動も苦手だし…。」
「穂乃果もすごくおっちょこちょいだよ!」
先輩方はそれぞれフォローを入れる。
「花陽ちゃん。」
今まで静かだった壮大さんが唐突に口を開いた。
「もしこいつらが
「それがスクールアイドルってやつなんじゃないかな?」
壮大さん…、ことり先輩…。
「だからほんの少しでもやりたいっていう気持ちがあるなら、やってみようよ!」
穂乃果先輩…。
「もっとも、練習は厳しいですが…。」
「もぉ…。海未ちゃん…。」
「おや、失礼。」
自分がやりたいという気持ちがあれば誰だってできる……か。
先輩たちの話を聞いて、少しだけやりたいという気持ちが強まった。
「ねぇ、そーちゃん。」
「なんだ?」
「花陽ちゃん、入ってくれるかな…?」
花陽ちゃんやことりたちが帰ったあと穂乃果がオレん家……オレの部屋に入り浸っていると急に質問してきた。
あと穂乃果。背中に頬杖なんかつくんじゃない。
おかげで頬杖ついてるところピンポイントで痛い。
勉強してる人の邪魔をしちゃいけないって夏穂さんや学校の先生から教わっただろ?
「どうだろうな。入るかもしれないしもしかしたら入らないかもしれない。……ただ。」
「……ただ?」
いったんシャーペンを置き、首だけ後ろに捻って穂乃果を見る。
「花陽ちゃんはああ見えて芯がしっかりしてる強い子だ。……だから心配しなくてもいいんじゃねぇか?」
「そっか…。そうだよね…。ところで、明日のそーちゃんの予定は?」
「わりぃ。明日は練習事態は早く終わるんだけど、そっから監督さんと個人ミーティングなんだ。」
「じゃあ、それが終わったらまた音ノ木坂に来てよ。」
えぇ…。また行くの?
あの一件があるから音ノ木坂に行きたくないんだよなぁ…。
「行かなかったら?」
「そーちゃんが海未ちゃんを乗せてたとき、実は鼻の下を伸ばしてたことを海未ちゃんに言いつける。」
「全力で行かせて貰おう。」
どうやらオレに拒否権なんてものはなかったようだ。
練習後、すっかり日が沈みかける頃に音ノ木坂学院についた。
例のごとく今日の朝イチで比奈さんに連絡を入れ、入校許可証を貰って音ノ木坂に入校する。
今回は生徒が部活に出たり帰宅したりしてほとんどいなかったし、絢瀬さんや東條さんの生徒会コンビも今日は帰ったみたいだったのでだいぶ気を楽して歩けた。
そしてあいつらの練習場所となっている屋上についた。
……何で屋上なんだ?
「うぃーっす。……およ?」
ドアを開けると、そこには両腕を掴まれて『宇宙人、ついに捕獲!』みたいな感じの花陽ちゃんと花陽ちゃんの腕をそれぞれ掴んでいる凛ちゃんと真姫の姿があった。
……今日1日で何があった?
「つまり、メンバーになるってこと?』
「はい!かよちんは昔からずっとアイドルになりたいって思ってたんです!」
「そんなことはどうでもよくて!この子結構歌唱力があるんです!」
「どうでもいいってどういうこと!?」
「言葉通りの意味よ!!」
こらこら、本人そっちのけでケンカをするんじゃありません。
君たちは一体何をしに
「わ、私はまだなんというか…。」
花陽ちゃんオレたちがあれだけ言ってもまーだ決心できてなかったのか…。
花陽ちゃんには悪いけどそこまで優柔不断なのも一種の才能だぞ?
「もう!!いつまでうじうじしてるの!?絶対やったほうがいいのっ!!」
「それについては賛成!やりたいと思っているなら、やってみた方がいいわ。」
確かにそうだ。
やらないで後悔するよりも、やって後悔した方が何倍も価値があると思う。
「で、でも…。」
「さっきも言ったでしょ!?声に出すなんて簡単なことだって!あなたならできるわ!」
「凛、知ってるよ!かよちんはずーっとずーっと昔からアイドルになりたいって思っていたこと!」
「凛ちゃん、西木野さん…。」
いい友達を持ったな、花陽ちゃん…。
「大丈夫!凛はずっとかよちんのこと、応援してるから!」
「言ったでしょ?少しくらいは応援してあげる。って…。」
そう言って2人は花陽ちゃんの腕を解放する。
頑張れ、花陽ちゃん。
「あ、あの…。私、小泉…。」
ーーートンッ…。
下を向いてモジモジしていた花陽ちゃんの背中を2人は優しく押した。
言葉のないエールは花陽ちゃんの決意をより強固なものとなり…、
「……っ!私!小泉 花陽と言います!1年生で背も低くて声も小さくて人見知りで得意なものも何も無くて…。でも!アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!!だから、私を…μ'sのメンバーに入れてください!!!」
想いの言葉を言い切った。
ホント、花陽ちゃんは強い子だ。
キミの熱き想いは通じたよ。
その証拠を見てごらん…。
「こちらこそ。」
穂乃果たちは花陽ちゃんのもとに歩み寄り、代表して穂乃果が手を差し伸べた。
花陽ちゃんは穂乃果の手を握り、握手を交わす。
「ぐすっ…。よかったね…、かよちん…。」
「まったく…、人騒がせな人ね…。」
凛ちゃんと真姫の瞳は涙で潤んでた。
「あ!西木野さんも泣いてるー!」
「泣いてなんかないわよ…!」
涙目でツンデレしてても説得力無いぞ?
「それで、2人は?」
ことりが後ろ手を組んで凛ちゃんと真姫を見る。
「「え?」」
「まだまだメンバーは募集中、ですよ?」
ことりと海未も凛ちゃんと真姫に手を差し伸べる。
「凛は、その……髪も短いし、女の子っぽくないし…。」
「わ、私は別にアイドルなんて…。」
花陽ちゃんにはあんなこと言っといてこいつらと来たら…。
まさか凛ちゃんまで素直じゃないと来たもんだ…。
「『やりたいなら、やった方がいい』それを言ったのは誰かな?」
これはオレの出番ですかね…。
凛ちゃんや真姫が花陽ちゃんに対して言ったことを繰り返し言う。
「そーくん(壮大)(そーた先輩)(壮大さん)!?」
「もー!そーちゃん遅いよー!」
「わりぃわりぃ。屋上に来たらまさかこんな場面に遭遇するなんて誰が想像つくんだよ?」
唯一今日ここに来ることを知っていた穂乃果は頬をぷくっと膨らませる。
「どこから聞いてたの…?」
真姫がまぶたをピクピクさせながらオレに聞く。
どこから聞いてたかって?
「『つまり、メンバーになるってこと?』から。」
「最初からじゃない!!」
だから声をかけれずに今になって姿を現したんじゃないか。
「凛ちゃん、真姫?キミたちはさっき花陽ちゃんに『やりたいならやった方がいい』って言ったよね?」
「えっ?」
「それがなんだって言うのよ…。」
「…まだ分からないのか?少しは自分の心に従って素直になってみなよ?」
そう言って凛ちゃんと真姫は、夕日で赤く照らしていてもなお分かるくらい頬を赤くして下を俯いた。
凛ちゃんはともかく真姫はいつもならこんな反応は絶対にしない。
つまりこれは何を意味しているのか…。
彼女たちもやりたいのだ……、スクールアイドルを。
彼女たちも加わりたいのだ……、μ'sという輪の中に。
「凛ちゃん、西木野さん。」
花陽ちゃんが凛ちゃんと真姫の前に歩み寄り…、
「一緒にスクールアイドル、しよ?」
微笑んだ。
「「………うん。」」
凛ちゃんと真姫はとても優しい笑顔で頷いた。
次の日の朝練。
いつものごとく神田明神の階段の一番上で始まるのを待っていた。
一足先に花陽ちゃんがやって来て、『イメチェンですっ』と言ってコンタクトレンズに切り替えて凛ちゃんと真姫を待っていた。
さて、どんなリアクションをするのかな…?
「うぅ…。朝練って毎日朝早くからやらなきゃ行けないのー…?」
「当たり前でしょ?……しっかりしなさいよ。」
おっ…、来た来た。
下から初っぱなから弱気な発言をする凛ちゃんとそれを聞いて呆れる真姫の声が聞こえてきた。
「凛ちゃん、真姫。おはよう。2人とも早いね。」
オレは階段を登ってきた凛ちゃんと真姫に挨拶をする。
1日の始まりの基本は挨拶だからなっ!!
「そーた先輩だにゃ!おはようございますにゃ!!」
「………おはよ、壮大。」
凛ちゃんはさっきの眠気はどこへやらと謂わんばかりにとても元気よく、真姫は少し顔を反らしながら挨拶を返してくる。
うむ。挨拶は基本中の基本だ。
これだけで育ちが分かるという人もいるからな。
「あっ!かよちんだ!おっはよー!!」
その後凛ちゃんは花陽ちゃんの姿に気付き、花陽ちゃんのもとに駆け寄る。
「凛ちゃん、西木野さん、おはよう。」
凛ちゃんの挨拶で振り向いた花陽ちゃんの姿を見て、凛ちゃんと真姫は驚きを隠せない表情になった。
「かよちん…、メガネ外したの?」
「うん。コンタクトにしてみたんだけど………変かな?」
「ううん!すっごく似合ってるにゃ!」
「そうね。いいんじゃないかしら…。」
「ありがとう、凛ちゃん。西木野さん。」
すると真姫がなにやらエナメルバッグの肩ベルトをキュッとつかみ、顔を赤くする。何を言い出す気だ…?
「ねぇ、その……。私のこと名前で呼んでよ…。私もあなたたちのこと、名前で呼ぶから…。凛、花陽。」
真姫がデレた…だと……!?
「うん!よろしくね、真姫ちゃん!」
「……!うぅ…。」
「まーきちゃーん!真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃーん!!」
すると凛ちゃんは名前を連呼しながら真姫に近付く。
「真姫ちゃん!真姫ちゃん!!」
真姫に近付いたと思ったら真姫の頬を猫がじゃれるように頬をスリスリする。
「う……うるさいっ!」
真姫も恥ずかしがりながら、でも満更でもないような表情で顔を赤く染めながら凛ちゃんを引き剥がす。
「ごめーん!お待たせー!!」
真姫が凛ちゃんを何とか引き剥がしたところで2年生組がやって来た。
「遅ぇぞ穂乃果たち!サッサと朝練始めんぞー!!」
「おぉ!そーちゃんがいつになくやる気になってる!!」
凛ちゃんたち1年生組を加え6人となり、賑やかになりつつあるμ'sの面々を見て呟く。
「……やっぱ手伝い役、引き受けてよかったな…。」
「…?そーちゃん何か言った?」
「何でもねぇよ。ほら、さっさとアップする!!」
「「「はーい!!」」」
穂乃果たちが朝練を始めるが、今日は何だかオレも走りたい気分だ。
よしし、今日はオレも走ろう。
そう決めたオレは穂乃果たちの背中を追いかけた。
と言うわけでテレビアニメ1期第4話のお話でした。
次は第5話。
あのパイセンが登場しますよー。
それでは皆さんご一緒に。
にっこにっこにー!!!