ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
またしても言い訳は後書きにて。
では……プログラム、スタートぉ!(ラジオガーデン風)
~Case.1 高坂 穂乃果 『花火』と『浴衣』~
「ねぇ、そーちゃん?」
空調が効いた部屋で涼んでいるといつものようにドアを開けて穂乃果がやってきた。
「どうした?課題の手伝いならやらんぞ」
「違うよ!花火やろうよ花火!」
「花火ぃ?」
そのためにわざわざオレの部屋に来たのか?と思わず顰めっ面になりながら穂乃果を見てみるとその手にはお小遣いで買ってきたであろう花火セットが握られていた。
「ねーえー!やーろーうーよー!」
「えぇいっ!やめろっ!!揺らすなっ!!!」
布団の上に寝転がっていたオレを強めに揺らす穂乃果。
止めろと言ってもオレがやると言い出すまで止める気はさらさら無いようだ。
って!あ"ー!!さっき食べた夜メシのカレーライスが出てきちゃうぅぅぅぅう!!
「分かった分かった!!やる!花火やるから揺らすのやめぃ!!!」
「やったー!じゃあちょっと準備してくるから庭で待っててねー!!」
オレがしゃーなしに花火をやると言ったら持っていた花火セットを放っておいて自分だけスタコラサッサと出ていった。
「……何の……準備だ?」
揺らされた反動で三半規管がまともに機能しないまま考え込むが見当がつかず、ただただ首を傾げるしかなかった。
「じゃーんっ!」
庭にてバケツの中に水を溜めたり袋の中に入っている花火をバラしたりしているうちに白基調で紫陽花の花があしらった浴衣を着て、オレンジいつものサイドテールではなくお団子状に纏めた穂乃果が戻ってきた。
「どう…、かな?」
「……ん。いいんじゃないか?」
くるりと1回転する穂乃果に思わず見とれてしまった。
実際かなり似合っているし、滅多にサイドテールを解かないので普段よりも可愛く見えた。
「花火、袋の中から出しといたから早くやろうぜ?」
「そだね」
火をつけた蝋燭のろうを垂らし、固まらないうちに蝋燭を上からガッチリ押さえつけて固定させるとオレと穂乃果は花火を心行くまで楽しんだ。
さすがに打ち上げ式の花火はできなかったが、花火の彩りに感激した穂乃果を見て微笑ましいと思ったのはナイショだ。
~Case.2 絢瀬 絵里 『麦茶』~
「壮大、おはよ」
「おはようございます。朝早くから自主練ですか?」
まだ涼しい朝早くに起きてポストの中身を確認しようとしたら、偶然ランニング中の絵里ちゃんとバッタリ出会った。
「えぇ。日中は暑いからこうして朝早くに走った方がいいと思ってね」
「賢明な判断です。さすがは賢い可愛いエリーチカですね」
「もうっ。壮大までそうやってからかうのね?」
ぷくっと汗で湿った頬を膨らませながら拗ねてしまった。
「あ、そうだ。絵里ちゃん少しそこで待ってて貰っていいですか?」
「いいわよ?」
「ありがとうございます」
絵里ちゃんの許可を貰ったので急いで台所に行き、冷蔵庫に冷やしておいた麦茶をコップの中に注いでから出来るだけ早足で絵里ちゃんのもとへ戻る。
「はい、麦茶です」
「気が利くのね」
「朝とはいえ走ってると汗で身体の水分が飛んでしまいますから」
絵里ちゃんはオレが話している間にお盆に乗せたコップの中身の麦茶を飲み干した。
「ふぅっ…。ごちそうさま。もう少しだけ走れる気力が湧いてきたわ」
「絵里ちゃん、ファイトですっ」
絵里ちゃんはオレにコップを渡し、軽い足取りで走り去っていった。
絵里ちゃんが口つけた場所をどうしようか悩んだ末、『こんなことしてるからモテねぇんだ』という結論に辿り着きさっさとコップを洗うことにした。
~Case.3 南 ことり 『夕立』と『えっちぃハプニング』~
「そーくん、こんにちわっ」
夜メシの食材を買って帰る途中、白いワンピースを着たことりと出会った。
「おう。今帰りか?」
「うんっ♪穂乃果ちゃんと海未ちゃんと一緒に水族館に行ってきたの!ペンギンさん可愛かったなぁ……。ふへへぇ……」
「そ…、そうか」
ペンギンの愛くるしさにやられてしまったことりはお土産のペンギンのぬいぐるみをギュッと抱き締めてトリップしてしまった。
おい、そこのぬいぐるみ。
今すぐオレと替わりやがれ。
「……むっ?」
ぬいぐるみに嫉妬していると突然オレの耳あたりに1滴の水が落ちてきて、ポツポツと雨が降り始めてきた。
マズい!夕立が降ってきやがった!!
「ことり!!」
「ふぇっ?……ひゃぁぁぁあっ!?」
オレはことりの手を引き、ここから最寄りの屋根がある場所へと走った。
「ことり。いきなり走らせといてあれだけど……大丈夫だったか?」
「う……うん。何とか……」
何とか雨宿りをすることが出来たオレとことりは夕立が止むのを待ってから2人で歩いて帰る。
「でも、ごめんな?せっかく買ったペンギンのぬいぐるみ……少し濡らしちまって」
「ううん。そーくんがことりの手を引いて走り出さなきゃもっと濡れてたよ」
「そうか?ぬいぐるみの他に濡れてしまったものは……ッ!!!」
「そーくん?どうしたの?」
「いや…、何でもねぇ」
「?……変なそーくん」
両腕で抱えるペンギンのぬいぐるみを見ようとしたのだが、すぐにことりとは正反対の方角を向くことしかできなかった。
何でかって?
……夕立で濡れたことりのワンピースとは別にライトグリーンの布地がバッチリ見えてしまったから。
と、だけ言っておこう。
~Case.4 園田 海未 『素麺』と『風鈴』~
「美空さん。今年も親戚から大量に送られてきた素麺のお裾分けです」
「あらあら、いつもすみません。今年もありがたく頂きます」
今年も親戚からどう考えても1人では消費できそうにない量の素麺が送られてきたのでお裾分けとして高坂家と南家と回り、最後に園田家にお邪魔してたった今、海未のお母さんである美空さんに素麺を渡したところだ。
「ところで壮大さん、折角ですしご一緒に昼食でもどうですか?」
「え?いいんですか?」
さて、昼メシは何にしようかと思い園田家の門に背を向けようとすると美空さんから昼メシのお誘いを受けた。
「えぇ。今は私と海未さんしかいないですし、何より壮大さん汗だくではありませんか」
今日も今日とて都心では気温が35℃をこえる『猛暑日』を記録しており、高坂家と南家を渡り歩いてきたので喉もカラカラだ。
「……じゃあお言葉に甘えて」
「はいっ。では、どうぞこちらへ」
美空さんの優しい微笑みに負けたオレは少しだけ申し訳無さを感じつつ、園田家の門を潜った。
「あら。母上の話し声が聞こえると思ったら壮大ではありませんか」
美空さんの案内で居間に通されると、そこには正座で背筋を伸ばしながら夏休みの課題に取り組んでいた海未の姿があった。
「海未、お邪魔します。今年もまた親戚から大量の素麺が送られてきたからそのお裾分けに来たんだが、美空さんが一緒に昼メシはどうだ?って誘われたんだ」
海未から少し離れたところに胡座をかいて座り、カクッと頭を項垂れながらここに来た要件を伝える。
「ご愁傷さまです…。あと、いつもお裾分けありがとうございます」
海未も素麺の苦労を理解したのか苦笑いで慰めと感謝の意を唱える。
頭をポリポリ掻いていると視界の隅っこに何やらぶら下がっている物を捉えた。
「…風鈴か」
視界にちらついていた物の正体は、金魚と花火が描かれていた風鈴だった。
「えぇ。これで少しは暑さが紛れるかと思いまして」
風通しのよい縁側に通るそよ風に揺られ、チリンチリンと小さく音を立てる風鈴。
「風情があると心なしか暑さが和らぐと思いませんか?」
「……そうだな」
オレにはいまいち侘寂や風情というものは分からないが、風に揺れて音を奏でる風鈴を見るといかにも『和』というのを感じる。
「海未さーん!壮大さーん!昼食の素麺が出来上がりましたよー!」
「……では壮大の家からのお裾分けを頂くことに致しましょう」
何も貰ってすぐに食べんでもいいでしょうに……。
重たい腰を上げて、美空さんと素麺が待っている台所へ海未と一緒に向かった。
~Case.5 星空 凛 『水鉄砲』~
「にゃっはっはっは!とうとうそーくんを追い詰めたにゃ~!!」
凛ちゃんが右手で突きつけてくる銃口は、寸分の狂いなくオレの眉間を捉えていた。
「そろそろお縄にかかる時間だにゃ~っ!!」
「ま……、待ってくれ!!オレにはまだやり残してきたことがあるんだ!!頼む!見逃してくれ!!」
「やだにゃ☆」
凛ちゃんはオレの命乞いを一蹴し、トリガーに指をかけた。
クソッ……!!オレの命はここまでなのか…!?
オレはギュッとキツく目を閉じた。
…………。
あり?
何時まで経っても
「にゃにゃっ!?水切れだにゃ~……」
一瞬にして形勢が逆転し、今度はハーフパンツのポケットに差していた2丁の拳銃の1丁を抜いて凛ちゃんを追い詰めていく。
「ハッハッハァ…!!形勢は逆転したぜ?…さぁ、貴様は一体どんな声で鳴くのか…今から楽しみだぜぇ!!!」
「にゃぁぁぁぁぁあっ!?」
「……なに?この茶番」
オレは冷静になって凛ちゃんに向けていた水鉄砲を静かに下ろした。
「でもそーくん途中から凛よりもノリノリだったにゃ」
「クソッ!確かにやってみれば楽しかったから余計に突っ込みづれぇ!!」
いきなり水鉄砲を持った凛ちゃんが家にやって来て『そーくん!近くの公園で一緒に水鉄砲で遊ぼっ♪』って来たから渋々乗ってあげたら思いの外楽しかったので、凛ちゃんの天然毒舌に何も言い返せずにいた。
「それに『どんな声で鳴くのか楽しみだ』なんて女子高生相手に言うようなセリフじゃないにゃ…」
「うぐぅっ!?」
「それだけじゃないよ?凛の武器は水鉄砲1つなのにそーくんの武器は水風船10個に小型水鉄砲2丁に大型水鉄砲1丁ってどう考えても卑怯だにゃ」
「ぐふぉぁっ!?」
「凛よりもそーくんの方が何倍も子供だにゃ」
「すみませんっしたぁぁぁぁあっ!!!」
毒舌凛ちゃん語録……、略して毒凛語の餌食になったオレは許しを乞うためバク宙DOGEZAを披露して命乞いにかかる。
「じゃあ、お腹空いてきたから冷やし中華食べに行くにゃ!」
それで許してくれると言うなら安いもんだ。
オレは頭を上げてそれほどお金が入っていない財布を握りしめ、凛ちゃん行きつけのラーメン屋へと足を運んだ。
フッ…、凛ちゃんちょろい。
「あ。言っとくけど凛は真姫ちゃんみたいにちょろくないからね?」
……凛ちゃん。それは言っちゃいけないお約束でしょうが…。
~Case. 6 西木野 真姫 『天体観測』~
「ほーらっ、男の子なんだからもうちょっと頑張りなさいよ?」
お昼過ぎに真姫から初めて天体観測に誘われたので日付が変わるのを待ってから、2人で高台にある公園へと続く階段を歩いて上っている。
ちなみに真姫は既に階段を上がり終えていて、ベンチに座りながらオレが来るのを待っていた。
「おまっ!!荷物持ってないからって…!先に行く……なよっ…!」
望遠鏡やらスタンドやらを背負っているオレは真姫のさらに後方で息を切らしながら上がる。
「だぁーっ!!疲れたぁー!!」
背負っていた荷物を静かに下ろしてから、ベンチに座っていた真姫の隣に座り込んだ。
「はい、お疲れさま。……って言いたいけど、早速セットしてくれないかしら?」
「貴様は鬼か!?」
いくら兄みたいな幼馴染だからってその扱いは酷いと思います!
「フフッ、冗談よ。はい、スポーツドリンク」
お前の冗談は冗談に聞こえねぇんだよ…と心の中でボヤキながら差し出されたスポーツドリンクを受け取る。
キャップを開け、ボトルの中身を身体の中に入れてチャージすると真姫がチラチラと何かを気にするようにこちらを見ているのに気がついた。
「どうした?……まさかこれ飲みたいのか?」
「はぁ!?何で私が壮大が口をつけたスポーツドリンクを飲まなきゃいけないのよ!イミワカンナイ!!」
冗談で言ったはずなのに顔を真っ赤にしながら反抗してきた。
「ごめんごめん、からかったオレが悪かったよ。だからそんなに怒るなって」
「ふんっ!」
真姫のご機嫌取りをトマト料理で手を打ったオレたちは2人きりの天体観測を始める。
「あれが織姫星のベガ、そしてあっちが彦星のアルタイルよ」
天体観測が趣味のお嬢様が嬉々とした表情で星が広がる空を指差し、その後に夏の大三角最後の一角であるデネブを探す。
「……どこ?」
真姫はすぐに見つけたのだが、オレはまだ見つけることができずに空を見上げながら見渡す。
「ほーらっ、どこ見てるのよ」
「だからどこだよ?」
「もうっ。だからこっちだってば!」
いつまでも見つけられないオレに痺れを切らしたのか、オレの手首を掴んで持ち上げられた。
「あれがデネブよ。さっき見つけたベガとアルタイルの3つを結んだのが夏の大三角よ」
「お…、おう」
意気揚々と夏の大三角や夏の星座のマメ知識を披露しているのをそっちのけ、思っていたよりも小さくて柔らかくて……そして少し冷たいピアニストの手の感触と飛躍的に高まる心音の感覚しか残っていなかった。
けれど、無邪気に星について語る幼馴染はその事に気がついていないし、なかなか女の子の手に触れる機会なんてほとんど無いから自然に手が離れるまで繋いでいるのも悪くはないのかもしれない。
~Case.7 東絛 希 『かき氷』~
かき氷。
子どもに人気なイチゴやメロン、ブルーハワイと言ったシロップをかけて食べたり、おじいちゃんおばあちゃん辺りになると小豆や宇治金時と言った和のかき氷を食べている人もチラホラ見かけたりもする。
埼玉県熊谷市の『雪くま』や伊勢路の『あかふく氷』と言った地方限定のメニューも存在し、今や縁日・お祭りには欠かせない日本の氷菓の1つだ。
「なぁ、壮くん」
「はい。何でしょう?」
食器類を中心にした家の大掃除をしていたらかき氷器をみつけ、庭で埃を被ったかき氷器を洗っていたら親戚に贈るために買ったであろう穂むらのお饅頭の袋を持ったのんちゃんと遭遇したオレ。
『暑いから涼しくなるまで壮くんのお家に入れたってやー♪』という声のもと、手にかき氷器を持っていたので『だったらかき氷を作ろうじゃないか』という何とも行き当たりばったりな計画の元、かき氷のシロップを買ってきてからガラスの器にかき氷を作っている最中だ。
「かき氷のシロップなんやけど、壮くんはメロン味とブルーハワイどっちが好みなん?」
「そうですねぇ……。その2つだとブルーハワイの方が好きですかね」
「じゃあうちはメロン味のシロップを使おうかな?」
「まぁそれはのんちゃんのお好みと言うことでいいんじゃないですか?って言うか何で今それを聞いたんです?」
「いやぁ……?べっつにぃ~?」
何か含みのある言い方をしたのんちゃんに首を傾げながら、ただひたすらかき氷器のハンドルを回し続けた。
「じゃあ、氷が溶けないうちに食べましょうか」
「そうやね…。でもその前に…!」
のんちゃんの目が怪しく光ったと思ったら、オレの目の前に置かれていたブルーハワイのシロップをかけたかき氷を取り上げられてしまった。
「あぁっ!何するんですか!!」
「いやな?ちょーっとだけ試してみたいことがあるんよ」
試してみたいこと?
何なんですか?と言葉にしようとしたら、突然視界が黒く覆われてしまった。
えぇー!?何!?何しようとしてるの!?
「壮くん、口をあーんって開けてくれへん?」
オレは言われるがままに口を開けると、口の中に冷たい物が流し込まれた。
うん、冷たい。
「さて壮くんに問題です。今壮くんに食べさせたのはメロン味のかき氷でしょうか?それともブルーハワイのかき氷でしょうか!?」
「えぇっ!?」
何とここでクイズを出されてしまった。
え!?どっちだ!?
普通に食べさせる事を考えるとブルーハワイ…だよな?
いや、待てよ?
だったらこんな回りくどいことするか?
と言うことはのんちゃんが食べるはずのメロン味?
えぇ?どっちだ?
口の中に残っているかんみを頼りに答えを導き出そうにもサッパリ分からない。
「ごぉー、よーん、さーん」
どっちを食べさせたか考えていると、のんちゃんは答えを急かすようにカウントダウンを開始させた。
えぇいっ!どっちか分からないし、単純計算で言えば確率は5分5分なんだから勘で答えるしかないっ!!
「ブルーハワイっ!」
「……あーあ、残念やったなぁ」
もはや当てずっぽうに近い感じで答えを言ったが、のんちゃんは少しだけ間を置いてからオレの答えが違うことを知らせてくれた。
それと同時に視界がいきなり明るくなり、目の前には少しだけ量が減っているメロン味のかき氷と量が全く減っていないブルーハワイのかき氷が並んで置かれていた。
「実はな?試してみたいことって言うのは『目を閉じながらシロップがかかったかき氷を食べると何味を食べさせたか分からなくなる』って事を証明したかったんよ」
のんちゃんがオレの目の前のイスに座りつつも、ニシシと笑いながら試してみたいことの種明かしをしてくれた。
「でも壮くんのその反応やとホントのようやね」
「……だからってオレを使ってやらないでくださいよ」
ガックリと項垂れるオレを見てクスクス笑いながら、メロン味のかき氷を頬張り始めるのんちゃん。
その反応にどう対応したらいいのか分からなくなったオレは暑さで少しだけ溶けたブルーハワイのシロップをかけたかき氷を頬張り始めた。
~Case.8 小泉 花陽 『ヒマワリ』と『麦わら帽子』~
「んーっ!!……はぁ」
都心から少し離れた場所にあるヒマワリ畑にやって来た。
この事は穂乃果たちも知られていないことなのだが、実はというとオレは何の目的もない自由気ままな旅をするのが好きだったりする。
理由をあげるとするなら気分転換に何処かに出掛けようと思い、ネットサーフィンしていたら都心から離れたヒマワリ畑が今見頃のピークを迎えているというネットニュースを見たのでやって来たというのが正しい気もする。
目の前にあったヒマワリ畑の入場ゲートに並び、一連の手続きを終えたオレはゲートを潜った。
すると目の前に居た麦わら帽子を被った女の子が入場チケットを落とした。
「あの~……」
「ぴゃあっ!?」
ビクッ!!と肩をすくませて驚く女の子。
何だか聞き覚えのある声だなぁ…。
「チケット落とされましたよ……って、花陽ちゃん?」
「えっ?壮大……くん?」
聞き覚えのある声をした女の子の正体はμ'sの二大癒しの一人である花陽ちゃんだった。
「へぇ~、花陽ちゃんもよくここに来るんだ……」
「うん。小学生の時にここで咲くヒマワリに感動してそれ以来毎年来てるようにしてるんだ」
ヒマワリ畑にて偶然花陽ちゃんと会って『もしよかったら』とお誘いを受けたので、そのお誘いを快諾。
今は雑談をしながらヒマワリ畑を回っているところだ。
何でも花陽ちゃんは親御さんの実家がこの近くにあるらしく、今日は特に決まった予定がなかったので小さい頃から来ているヒマワリ畑にやって来たと言うことらしい。
確かにここは都心みたいな喧騒もないし、回りを見渡せば山しかないのでここで見る星はキレイに見れそうだ。
「ところで壮大くんはどうしてここに?」
「オレ?まぁ……あれだ。意味はないただの気まぐれだよ」
でも、と付け加えてもう一度回りを見渡す。
「なかなかいいところだね。ここ」
「フフッ。壮大くんに気に入って貰えてよかったよ。あ!そう言えばこの先に私のお気に入りスポットがあるの。一緒に行ってみませんか?」
「おっ!いいね!!じゃあ案内してくれるかな?」
「うんっ!私についてきて?」
花陽ちゃんのお気に入りだと言う場所に向かって歩くこと数分。
「ここが私のお気に入りの場所だよ?」
花陽ちゃんが景色を見せるように半身になって片手を広げ、その景色を見ると同時に風が吹いた。
「……すっげぇ」
オレは感動のあまり言葉を失った。
視界に広がるヒマワリ全てが輝くように映え、風が吹いたのと同時にヒマワリが揺れる。
「どう……かな?」
花陽ちゃんは言葉を発しないオレを危惧して恐る恐る聞いてくる。
ここから見る景色は…。
「最ッ高!」
歯を見せながら花陽ちゃんに向かって親指を立てつつ笑って、また来年もここに来よう、と決めたのはまた別のお話。
~Case.9 矢澤 にこ 『ラジオ体操のスタンプカード』~
「うっわ…、ゴミ袋切れてる……」
朝起きて貯まってきた家庭ゴミを出そうと玄関の下駄箱の戸を開けると、ゴミ袋がなくなっていたことに気が付いた。
でも今日出さないと週末を跨ぐことになるので、何としても今日ゴミ出しをしておきたい。
でもこんな朝早くからハナマルストアなどのスーパーは営業していない。
「仕方ねぇ…。コンビニで買うか……」
解決策を思い付いてから自室に戻ったオレは机の上に置いていた財布をズボンのポケットの中に入れてから家を出て、コンビニを目指して歩き始めた。
「壮大?」
ゴミ袋を買ったオレは歩いて自宅へ戻っていると、小さな公園の前を通りすぎようと後ろから声をかけられたので振り向いた。
するとスカートにTシャツに身を包み、いつものリボンはつけていないプライベートモードのにこちゃんが立っていた。
にこちゃんの首元には紐で通されたカードが3枚ほどぶら下がっているのに目がついた」
「どうしたんですか?こんな早くに…。それにその首にかかってるのは……」
「ん?あぁ、これのこと?」
首にかかっているカードの1枚を見せてくれた。
「……ラジオ体操のスタンプカード、ですか」
「チビたちが通ってる小学校で配られたらしいのよ」
「何だか懐かしいですね」
「そうね…」
オレたちは昔を懐かしみながら笑いあう。
確かオレが小学生だったときは、穂乃果がラジオ体操に出たら貰えるアメやお菓子が欲しいあまり雨の日でラジオ体操が出来ない日にも公園に行こうとして駄々をこねていたっけなぁ…。
「お姉さま!ラジオ体操終わりましたわ!」
「にこにー!ラジオ体操終わったからスタンプカードちょーだーい!」
「スタンプカードぉ……」
にこちゃんと話していたらラジオ体操が終わったらしく、にこちゃんの妹たちが向こう側から走ってきた。
「はいはい、でもその前に壮大に挨拶しないとダメよー?」
「お兄さん!おはようございます!」
「そーたー!今度暇なら一緒に遊ぼうよー!」
「そーた……」
「こころちゃんおはよ。ここあちゃん、虎太朗くん。こころちゃんみたいにちゃんと挨拶しないとにこお姉ちゃんに怒られるぞー?」
にこちゃんがお姉ちゃんとして妹たちに注意しながらスタンプカードを渡し、それを聞いた妹たちはそれぞれオレに挨拶してきた。
「ここあー!虎太朗ー!!きちんと挨拶しなさーい!」
スタンプカードを貰ったここあちゃんと虎太朗くんはにこちゃんの制止を振り切り、スタンプを押す係になっている人の元へ駆けていった。
「まったく…、知ってる人にあったらしっかり挨拶しなさいってあれほど言ってるのに……」
「まぁまぁにこちゃん。ここあちゃんみたいな年齢なら礼儀正しい挨拶よりもあんな感じの挨拶の方が元気があっていいと思いますよ?」
「壮大がそう言うなら……」
にこちゃんは何だか腑に落ちないという表情をしながらも納得してくれたみたいだ。
「んじゃ、オレはそろそろ行きますね」
「引き留めてしまって悪かったわね」
「では、また学校で」
オレは返事をしてから家へと帰った。
……夏休みも残り僅か。
すみませんっしたぁぁぁぁあっ!!!
実家にいてアルバイトとか高校や中学のクラス会とかが重なって更新する余裕がなかったんですぅぅぅう!!
これからは少しだけ更新ペースあげて頑張りますので!!!
……あと今日無事に23回目の誕生日を迎えることができました。