ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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どうも、こんばんは。

今回は海未ちゃんの誕生日にちなんだ特別編です!

インスパイア曲はコブクロさんの『Million Films』です。

それでは、どうぞ!!


園田 海未編 Million Films

オレのチームでの練習と海未の家業が休みとなった今日。

 

2人で前々から決めていた家の掃除をしていた。

 

「壮大、ここを掃除したいのでテレビを台ごと持っていただけませんか?」

 

「いいぞ。……はぁっ!!!」

 

「ありがとうございます。では、そのまま私がいいと言うまでスクワットでもしててください」

 

「何で!?」

 

「ふふふっ、冗談ですよ」

 

「お前の冗談は冗談に聞こえねぇんだよ」

 

元々海未の方が賢明であったため今ではこのようにオレは海未の尻に敷かれている形になっている。

 

けど、そのおかげで今日の今日まで海未一筋で生きてきた訳だ。

 

「壮大、ここの掃除終わりましたよ」

 

「どっせーい!!!」

 

かなり重いテレビの台を元の場所に戻し、時間を見ると昼メシの時間帯とど真ん中に差し掛かっていた。

 

ようやく休憩できる……そう思い腰を降ろした瞬間だった。

 

「では私が昼食を作っている間に書斎の整理整頓をしてきてください」

 

まさかの書斎の整理整頓を任されそうになった。

 

だが、しかぁし!

 

もう腰を降ろしてしまった以上昼メシ抜き以外の脅しなら意地でも動かねぇぜ!!

 

「えーっ!?休憩させてくれたっていいじゃねぇかよーっ!」

 

「いいから行ってきてください!昼食抜きにしますよ?」

 

「喜んで行かせていただきまぁす!!」

 

昼メシを盾にされてしまった以上書斎の整理整頓をしないといけなくなったし、何より海未を怒らせるとかなり怖いと言うことは高2の秋頃辺りから覚えているので機嫌を損ねないうちに書斎へと向かう。

 

「書斎の整理整頓って言ったってなぁ……」

 

本独特の匂いが立ち込める書斎に入りながら呟く。

 

海未はどうか分からないがオレは少なくとも普段から書斎に立ち入ることはしないのでとりあえず本の上にうっすらと乗っているホコリをハタキでパタパタと叩いて落としていく。

 

ラスト1冊で叩き終わるところで本棚の上に乗っていたアルバムを落とし、そのアルバムがオレの頭にクリーンヒットした。

 

「いっっってぇ……。って、なんだこのアルバム?」

 

見たことないような表紙のアルバムだったので思わず手に取り、パッパッとホコリを手で払う。

 

海未のアルバム……かな?

 

見られたくない写真が入っていたら困るので書斎の整理整頓を終えて昼メシを食べてからお茶の話のネタにでもしてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

「懐かしい物が出てきましたね」

 

昼メシも掃除も終わってまったりとした昼頃。

 

何気無く差し出したアルバムを見た海未から出た第一声がこれだ。

 

つまり、これでこのアルバムは海未の私物だった事が確定した。

 

海未のアルバムの中の写真が気になって気になって仕方ないオレはダメ元で聞いてみた。

 

「どんな写真が入っているんだ?」

 

「なら一緒に見ますか?」

 

「いいのか?」

 

「はい!特に見られて困るような写真はたしか入っていなかったはずですので」

 

海未はアルバムと湯呑みを持ち、オレの隣に腰を下ろす。

 

アルバムを1ページ捲って出てきたのはランドセルを背負い小学校の校門に立っている海未の写真だった。

 

「音ノ木坂小学校の入学式の時の写真だな」

 

「この時はまだ壮大や穂乃果、ことりと知り合ってない時ですね。それにこの時は写真を撮られること事態すごい恥ずかしさを感じててこれが物心ついてから初めて撮って貰った写真なんですよ?」

 

この頃から恥ずかしがり屋だったのか……いや、今も恥ずかしがり屋なのには変わりないが。

 

小学校での授業参観の時に顔を真っ赤にしながら手を挙げている写真や、運動会で1位になって喜んでいる写真が収められていたりしていたペ ージを数枚捲ると今度は小さなトロフィーを大事そうに持った剣道着姿の海未と海未の父親の大地さんの写真だった。

 

「これは剣道の大会で初めて優勝した時の写真ですね」

 

「この頃から海未は剣道強かったんだな」

 

「父と数多く稽古してきましたが未だに勝てないんです……」

 

「精進あるのみだな」

 

「はい!いつか父を越えてみせます!」

 

両手を握って胸の前でギュッとする海未。

 

え?何このカワイイ生き物?

 

邪な考えをしていることなんて知るわけもない海未が大地さんの知らないところで勝利宣言をしたところで数ページを捲る。

 

「中学校の卒業式……でいいのかな?」

 

「そうですね」

 

目の下を赤くしている海未たち3人と囲まれて少し困った表情をしながら頬を掻いているオレの写真が出てきた。

 

「穂乃果やことりなんて壮大と別の高校になりたくない、一緒の高校に通いたかったって泣いてたんですよ?」

 

そうだったのか?てっきり……、

 

「卒業式が終わって4人で帰ってる時にいきなり穂乃果とことりが声を殺して泣き始めたからオレが何か悪いことでもしたんかな?って思ってたわ……」

 

彼女らは3人揃って女子校の音ノ木坂学院に進学し、オレは陸上強豪校の立華高校へ進学した。

 

小学校の時からいつも一緒だった3人と離れるのは心細い上に寂しかったし、もし出来ることならオレも高校も同じ学校に進学したかった。

 

3人は理由は違えど音ノ木坂学院に憧れを抱いており、そんな彼女たちの邪魔をするのはよくないと思っていた。

 

でも、オレが知らないエピソードを聞いて少しホロリと来た。

 

「何だか湿っぽい話になってしまいましたね……」

 

「次は高校時代か……。高校時代って言ったらアレしかないだろう?」

 

「えぇ。壮大の言う通りです」

 

湿っぽくなった空気を吹き飛ばすように笑ってからまたアルバムのページを捲る。

 

そこにはさっきまでのページとは比べ物にならないくらいの思い出が詰まった写真が出てきた。

 

「やっぱり高校ん時の写真が一番多いよな」

 

「そうですね。穂乃果のお陰でかけがえのない仲間たちに出逢えました」

 

オープンキャンパスでやったライブ後の写真や夏の合宿や秋の臨時合宿での一コマ、さらには学校でのやり取りを写した写真まである。

 

「……懐かしいですね」

 

高校時代を懐かしむように呟く海未。

 

μ'sが解散し、それぞれ3年間過ごした学舎を去った今もなお当時のメンバーとの交流は途絶えていない。

 

けれどμ'sとして活動していた時期と比べて格段に会う頻度は落ちているし、メンバー全員集合する機会なんて滅多にない。

 

「みんな忙しい事は頭では分かっているのですがやはり寂しいですね……」

 

海未の呟きに同意するように頷く。

 

今度こそ全員集合してどんちゃん騒ぎをしたいと切に願うばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

高校の時の話がキリのいいところで切り上がったところで残り少なくなったアルバムのページを捲る。

 

高校卒業後のページとして決して多くはない写真の中で特に目を引いたのは目の回りを赤くした海未がボロボロになっているオレを抱き締めるように支えている写真だった。

 

「……あの時のか」

 

「えぇ。あの時のです……」

 

当時のことを思い出しながらお互いに苦笑いが止まらなかった。

 

あれは彼氏彼女の関係だった海未との結婚を踏み切った報告を大地さんと美空さんにした日の翌日の事だった。

 

「海未に道場に呼び出されたかと思ったらまさか大地さんが仁王立ちしてるとは思わなかったなぁ……」

 

「私と母はその隅っこで待機ですからねぇ……」

 

道場の端には美空さんと海未が大地さんが正座していたのを見てオレには退路がない事を悟り、大地さんの手から放られた竹刀を受け取った。

 

心配そうにこちらを見つめる海未に目配せをしてから竹刀を握り、竹刀の先端を大地さんに向ける。

 

その瞬間オレの回りだけ時間が飛んだんじゃないか?ってくらいのスピードで竹刀を振るってきたので咄嗟に竹刀で防御した。

 

最初は防御してその隙に攻撃をしていたが片や日本最年少で剣道七段を所有している平成の剣豪とまで呼ばれる武人、片や剣道はおろか竹刀すら学校の授業時くらいしか握った事もない若者。

 

結果は火を見るよりも明らかで当時の自分でも青ざめるくらいの量の青アザの跡が身体中に付けられ、逆に大地さんに青アザはおろか掠り傷すら付けられず涼しい顔でオレを見下ろしていた。

 

「今でもボロボロと涙を流してる海未の顔は忘れられねぇな……」

 

「たしかに泣いた記憶はありますが……そんなに泣いてましたか?」

 

「泣いてたよ」

 

そうでしたか?と呟きながら必死に思い出そうと首を傾げる海未。

 

忘れるわけがない。

 

『お前が言ってた覚悟とはそんな程度なのか?あそこで泣いている海未を守りきると言った覚悟もそんな程度なのか?』

 

大地さんがそう問い詰めてきたからだ。

 

その当時は何も分からなかったけど今なら大地さんの気持ちがなんとなくだけど分かる。

 

きっと大地さんはオレの覚悟が本物かどうかを試したんだと思う。

 

オレもオレで大地さんの問いかけに何て答えたかなんてあまり覚えていないけど、結果的に大地さんに内に秘めていた想いを余すことなくぶつけそこでようやく認めてもらえた。

 

その頃にはさっきの写真みたいにボロボロになっていたんだっけ……。

 

「ん。次で最後かな?」

 

「それなら2人一緒に捲りましょうか」

 

「だな」

 

海未の提案に了承するように頷き、2人で最後のページを捲る。

 

そこには純白のウェディングドレスと黒のタキシードにそれぞれ身を包んでいるオレたちの写真。

 

そのすぐ横には園田家と松宮家一同で取った集合写真が大切に保管されていた。

 

「私が和装でいい、と言ったのに壮大と父は『ウェディングドレスを着せよう!!』って言って私の話を聞いてくれませんでしたね。やはり人前で肩や背中を大きく露出させるものではないですね」

 

「いいじゃん、別に。おかげでことりがデザインしたウェディングドレス着れたんだし」

 

実のところ海外勤務のことりから珍しく連絡来たかと思うと『海未ちゃんとの結婚式で着るウェディングドレスのデザインをさせて!っていうかその案件ことりに任せて!!』と直訴してきて、それをたまたま大地さんと美空さんに聞かれてたってだけの話なんだが。

 

でも、ことりがデザインしたウェディングドレスを着て純白のヴェールを被って少し恥ずかしそうに控え室から出てきた海未を見たときはどう言葉にしたらいいか分からないくらいキレイだったことだけは忘れずに伝えておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「夕御飯のお買い物に行ってきます」

 

昼過ぎからやっていたアルバム鑑賞も終わって日が西へ大きく傾いた頃。

 

海未は足りない食材を買いに近くのスーパーへ買い物に行こうと玄関から出ようとしたが、すぐに待ったをかけて玄関から出ようとしていた海未を止める。

 

「オレも行くよ」

 

「壮大も行くなんて珍しいですね」

 

「たまには一緒に買い物しに行きたいんだよ」

 

いつもは海未に買い物を任せっぱなしなのでたまには海未の荷物持ちくらいしてもいいよな?

 

「……ダメか?」

 

「仕方ないですね……。外に出て待ってますから早く準備してきてください」

 

玄関の外で待ってると言ってくれたので私服に着替え、財布をジーンズのポケットに突っ込み急いで外へと向かう。

 

「お待たせ」

 

「そんなに急がなくても私は逃げたりしませんよ?……この先も、ずっと」

 

海未がオレに向かって然り気無く手を伸ばしてきたのでその手を取ってその手の暖かさを感じながら2人並び、時には繋いだ手を大きく振り上げながら近くのスーパーへと向かっていった。

 

 

 

~♪BGM:Milion Films~

 

 

 

買い物帰り、またしても行くときと同じように手を繋ぎながら帰るオレたちの影は限りなく長く伸びていた。

 

 

 




数分遅れてしまったけど許してください!!

メインストーリーの執筆なのですがほぼ手詰まりの状態で少しへこんでます。

なのでもうしばらく特別編の投稿になる予定ですのでお付き合いください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
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