ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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年内最後の投稿です。

いろんなところのギリギリ(?)を攻めました。

では、どーぞ。


『お気に入り550記念』 少し爛れた年末旅行

早いものでこの1年も残すところ僅かとなった。

 

近所のスーパーで少し早いお年玉セールのくじ引きで当たった賞で穂乃果と2人温泉旅行に出掛けることになった。

 

ホントは穂乃果のご両親にあげようとしたんだけど、これはオレが当てたんだから穂乃果や雪穂どちらでもいいから連れて行ってきなさいと言われたのでこうして2人でやって来たわけだ。

 

「わぁっ……」

 

「ふーっ……、やっと着いたな」

 

お互いの家から新幹線で3時間半、そこからローカルバスでさらに1時間揺られて着いた先は山間部に構える温泉街だ。

 

「そーちゃん見て見て!雪がいーっぱい積もってるよ!!」

 

「そんなにはしゃいで転んでも知らないぞ」

 

「大丈夫だよ……わわわっ!?」

 

「……言わんこっちゃない」

 

注意しても雪面の上で走るのをやめなかった結果、足を滑らせて華麗に尻餅を突いた。

 

手を差し伸べてると手を掴んで立ち上がり、尻餅を突いた部分に着いた雪をパッパッと払ってからまだ痛むのか尻を擦った。

 

「うぅ……。お尻が痛いし冷たいよぉ」

 

「自業自得だ。ほら、さっさと宿に入るぞ」

 

「は~い……」

 

 

 

 

 

 

「お部屋も広いね!」

 

「2人だけで使うにはちょっと広すぎる感はあるけどな」

 

女将さんに案内されて通された部屋に入り、2人分の荷物を置いて部屋を物色していく。

 

「そーちゃんそーちゃん!」

 

「んー?」

 

「ベランダに露天風呂があるよ!!」

 

「ここの旅館のウリみたいだからな」

 

ここの旅館に来る前に公式ページで少し調べてみたが、ここの旅館は各部屋のベランダに露天風呂が付いている。

 

今日と明日中は雲1つ無い快晴になるとの予報なので、露天風呂に浸かるにはうってつけのロケーションだ。

 

「どうする?もうお風呂入っちゃう?」

 

「ん~……」

 

穂乃果からの提案は悪くないが、この時間から温泉に浸かるのはちょっと早い気がする。

 

それにこの辺は温泉街なのでいろんな甘味処が多いってガイドには書いてあったよな……。

 

「この辺を歩き回るってのはどうだ?」

 

「……うんっ!」

 

オレからの提案に穂乃果は目をキラキラさせながら頷き、さっき脱いでハンガーに掛けてたコートに身を通し始めた。

 

 

 

 

「年末でも結構人いるんだな」

 

「ねっ。みんな私たちみたいにくじ引きの賞品で来たのかな?」

 

女将さんに部屋の鍵を預け、外に出て温泉街の通りにやって来ると大学生みたいな風貌のカップルから老夫婦まで様々な年齢層の人たちが数多くいた。

 

このまま突っ立ってても仕方ないのでとりあえず2人でどんな店を構えているのか歩いて回ることにしてみた。

 

「こう歩きながらいろんな店見てると食べ歩きしたくなってくるな」

 

「その気持ち分かるよ、そーちゃん。そこに美味しそうなのあるけど一緒に食べよ?」

 

穂乃果が指差した先には冬季限定のロールケーキが売っているお店があった。

 

値段も……そこまで高いものじゃないな。

 

近くのベンチに穂乃果を座らせてからそのお店に出向く。

 

「すみません」

 

「はい、いらっしゃい」

 

「この冬季限定のロールケーキと……あと、これとこれもください」

 

店員さんが今注文した品を用意してくれてる間に看板を見てみる。

 

冬季限定のロールケーキはバナナを使ったロールケーキらしく、相当人気なのか強調するように『売り切れ御免』の文字が書かれていた。

 

「はーい、お待たせ」

 

「ありがとうございます」

 

ロールケーキが入った袋を受け取り、近くのベンチに座ってロールケーキを取り出して1つ穂乃果に手渡してから自分の分のロールケーキの包装のビニールを剥がす。

 

「………」

 

食べる前に穂乃果の様子を横目で見ると、包装のビニールこそ剥がしたものの一向に食べる気配がなく視線をオレと手に持ってる別の味のロールケーキを往復している。

 

……食いしん坊め。

 

「ほい」

 

大体半分くらいのところから2つに分けて、少しばかり大きい方を差し出す。

 

「いいの!?そーちゃんありがと!!」

 

もし犬の尻尾があったら千切れそうなくらいブンブン振っているんだろうなってくらい喜んでバナナ味とオレが持ってた別のロールケーキを食べ始めた。

 

「いただきまーすっ!……う~んっ!美味し~いっ!!」

 

なんつーか……この食べっぷり見るだけでハラ一杯になるし、この笑顔見るだけで細かい事とかどうでもよくなっていく気がする。

 

「……隙アリっ!!」

 

「あぁっ!?ちょっ、おまっ!オレの分まで食うな!!」

 

「えへへ~。ボーッとしてるそーちゃんが悪いんだよ~だ!」

 

……やっぱり気のせいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「はふ~……」

 

水面に満月を映し出す露天風呂に浸かると自然と吐息が溢れる。

 

夕方まで温泉街を散策し、戻ってきてすぐに豪勢な夜メシが振る舞われた。

 

普段口にすることが出来ないような品物ばかり出てきたが、温泉街を散策した際に穂乃果がいろんな物を食べ過ぎてしまって夜メシを半分くらい残してしまった。

 

せっかく振る舞ってくれたのに残すのはさすがに可哀想なので、残り半分もオレが何とか胃の中に詰め込んだ。

 

その結果、今の今まで動けなかったくらい食べ過ぎてしまった。

 

そんでその穂乃果はと言うと部屋の露天風呂ではなく、大浴場の方へ行ってしまったのでこうして部屋の露天風呂を1人で満喫しているというわけだ。

 

それにしてもこの露天風呂……天然温泉と謳うだけのことはあり、じんわりとしたお湯の暖かさが身体の芯まで染み込んでくる感覚を感じる。

 

ふわふわとした心地良い感覚に身を委ね、天を見上げると澄んだ空気のお陰で月も星もハッキリと見えると同時に静かな静寂が世界を包み込むような錯覚を覚える。

 

そんな錯覚を味わっていると、露天風呂の入口のドアが開く音が聞こえてきた。

 

別に振り向かなくてもここに来る人間なんて穂乃果しかいない。

 

「やっぱりここにいた」

 

「悪いな。先に満喫してたわ」

 

身体を大きめのバスタオルで巻き、髪もタオルで纏めているだけのほぼ無防備な姿でやって来た。

 

「いつまでも突っ立ってると身体冷えるだろ?……隣、開けてあるから」

 

「うん……」

 

浴槽に浸かる前に1度掛け湯をし、身体に巻いたタオルが緩まない様にしっかり手で押さえながらオレの左隣に腰を降ろす。

 

暖かいお湯に波紋が生まれ、水面に映る月を揺らしながら心地良いじんわりとした温かさに思わず声が溢れた。

 

「ふぅ~……」

 

「はぁ~……」

 

あやかった訳ではないけど、つられるように声が零れてしまった。

 

けど、それだけこの温泉が心地いいんだからこれくらいのリアクションは許してくれよな。

 

満点の星空を眺めていると、唐突に穂乃果の頭をオレの左肩に乗せてきた。

 

ごくごく自然な感じに頭を乗せてきた穂乃果の纏めている髪を伝って水滴が流れ落ち、水面にまた波紋が生まれた。

 

「どうした?」

 

「別に?ただなんとなく……なんとなくこうしたかっただけ」

 

肩に頭を乗せられても不愉快さは感じない。

 

触れ合った肌を通して感じられるお互いの鼓動がオレと穂乃果しかいない空間だからこそ、ほんの僅かな身じろぎすら手に取る様に分かる。

 

でも、そんな2人だけの時間はとても心地良く感じられた。

 

「……星、すごくキレイだね」

 

「空気が澄んでるからな。それに都会じゃないから特有の明るさもないし」

 

「まるで天然のプラネタリウムみたい。……ねぇ、そーちゃん」

 

「うん?」

 

「……もうちょっとくっついてもいい?」

 

「いいよ。お前がイヤじゃなければ」

 

「じゃあちょっと一段上に腰掛けて?」

 

「こう……か!?」

 

言い終わる前に穂乃果はオレの元にさらにすり寄って来たかと思ったら左脚を乗り越え、まるでイスにするような形でもたれ掛かってきた。

 

「ちょっ!?おまっ!!?」

 

「そーちゃんはこういうの……イヤ?」

 

「イヤじゃ……ない」

 

オレより背が低い穂乃果は頬を赤くし、自然と見上げるように聞いてきた。

 

……正直その聞き方はズルいと思う。

 

「……なんか背中が少しスースーするんだよね」

 

「寒いなら湯が流れてるところに行くか?……って、いででででっ!?」

 

内腿を思いっきりつねられた。

 

「痛ぇわ!何でつねったんだよっ!?」

 

「もうっ!もっと適度に暖かいものがあるでしょ!?穂乃果の後ろに!!」

 

適度に暖かいものが……穂乃果の後ろに?

 

「えっと……これで……いいのか?」

 

「うん……。それでいいよ……」

 

穂乃果の胸元辺りに腕を回してあすなろ抱きのように抱き締め、腕を回された穂乃果は耳まで真っ赤になっていた。

 

多分それはオレも同じかも。

 

「そーちゃん……今、ドキドキしてる?」

 

「んなこと聞くなよ……」

 

幼馴染とは言えど年頃の女の子と裸に近い格好で密着してるし、想像以上に細くて華奢で柔らかくてギュッと力を込めると壊れそうで……。

 

それでいて極めつけはタオルが張り付いて身体のラインがハッキリしてる。

 

こんなシチュエーションでドキドキしないわけがない。

 

弾け飛びそうになる理性を抑えつけるのに精一杯だ。

 

「えへへ……」

 

そんな事は知ってか知らぬか方向転換して対面で抱き着かれ、今度は彼女の腕がオレの首に回された。

 

それに伴ってタオルという薄い布地を通し、ほどよい大きさで柔らかい双丘がオレの胸板の上で形を歪ませる。

 

「………」

 

「?……穂乃」

 

「はむっ」

 

「かぁっ!?」

 

「んっ……」

 

「っ……!」

 

「んむっ……」

 

「ぐうぅっ……!」

 

「ちゅっ……」

 

「ぅあぁっ……!!」

 

少し様子がおかしいのでどうしたのか聞こうとした瞬間、舌でチロリと唇を舐めると目が妖しく光り、耳を甘噛みされた。

 

甘噛みされたと同時に背中にゾクゾクッとした何かが走った。

 

その後は首筋に喉元に胸板にと次から次へと口付けされ、その都度その場所から血を吸うように吸い上げられる。

 

まるでキスマークを刻みつけ、『この人は私の所有物(モノ)だ』と主張するようなキスの雨のようだ。

 

「はーっ……はーっ……」

 

「ぷはっ!……そーちゃんっ」

 

「……?」

 

顎を上げて荒げた息を整えようとする呼ばれたのでそちらを見る。

 

ハラリ、と身体と髪に巻いていたタオルが温泉の水面に落ちた。

 

「穂乃果のカラダにも……マーキング……シて?」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

気が付いたら部屋は暗く、自身は布団の中にあり日付も変わっていた。

 

視線を少し落とすと身体の至るところに多くのキスマークが刻まれ、横にズラすとオレと同じように数多くのキスマークが刻まれた穂乃果が産まれたままの姿で寝息を立てていた。

 

「………」

 

「んぅ……」

 

彼女が寝ているのをいいことに頭を撫でていると感触に気付いたのか、ゆっくりと瞼を上げてこちらをジッと見据える。

 

「そーちゃんのえっち……外道(げどー)……けだもの……色欲魔……性欲(せーよく)の権化」

 

そして弱々しくだけどめっちゃ罵倒された。

 

「穂乃果がやだ、やめてって言ったのにやめてくれなかった……」

 

「お前がマーキングしろ、だなんて誘惑するから……」

 

「でも優しいそーちゃんも好きだけど荒々しいそーちゃんも好きだよっ」

 

「……っ!」

 

「…あはっ♪」

 

ご機嫌な声を出すと、またすり寄ってきてじゃれつくように甘えてきた。

 

それが原因でいろんなところが活性化してしまい、結局お互いキスマークの数が増えることになったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 




2016年もありがとうございました。

2017年もよろしくお願いします。

余談ですが、このお話の感想次第ではR-18ver.も考えます。

見たい方は活動報告などでご一報御添え下さい。

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