ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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第15話 生徒会長とその真意

……。

 

オレはペンを走らせたまま右を見てみる。

 

「もう!!こんなの分かんないよー!!」

 

向かいに住む幼馴染が仰向けになって手をパタパタさせていた。

 

………。

 

右に向けた目線を今度は左に向けてみる。

 

「にゃーっ!!どうして日本人なのに英語を勉強しないといけないのーっ!?」

 

この間一緒に出掛けた大型の猫さんが机の上でうにゃーってなっていた。

 

…………。

 

「……なぁ、2人とも。」

 

「「なに?(なんだにゃ?)」」

 

「海未や真姫がいないからってテスト勉強くらい出来やしねぇか?」

 

「無理だよ!」

 

「無理にゃ!」

 

おーけー。君らの主張はよーく分かった。

 

オレは穂乃果と凛ちゃんに気付かれないように、海未と真姫の2人のスマートフォンにメッセージを飛ばした。

 

『オレだ。オレの家に来てくれると助かる。』

 

何故こんなことになったのかと言うと、数日前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラブライブ!が開催される…?」

 

『えぇ、そうなの。』

 

珍しく真姫が電話をかけてきて、それに応対している。

 

ラブライブ!とは、日本全国のスクールアイドルが一同に集まり頂点を決める大会。

 

スクールアイドルの甲子園みたいな物だと捉えてくれるとありがたい。

 

でも、ラブライブ!には出場資格があってスクールアイドルサイト通称『Siサイト』の上位20位までのグループしか参加できないらしい。

 

そこで穂乃果たちは学校をアピールするためにエントリーしようとしたそうだ。

 

1度絢瀬さんに反対されたそうだが、比奈さんが『エントリーするだけいいんじゃないか?』と認めてくださったようだ。

 

そこで比奈さんから出された条件が『()()()()()()メンバー全員赤点を回避したら』ラブライブ!のエントリーを認めてくださるのだそうだ。

 

「いや、おかしくね!?」

 

『何がおかしいのよ?』

 

え?何?これおかしいって思ってんのオレだけ?

 

「何でオレも!?メンバーだけでよくねぇ!?」

 

『仕方ないでしょ?理事長がそう言ってたんだから。それに、体育科とは言え立華の学年トップなんでしょ?赤点回避くらい余裕じゃない』

 

『赤点回避くらい余裕じゃない』じゃねぇよ!

 

簡単に言うなよ!!

 

立華高校のテスト範囲超広いんだぞ!?

 

何だよ教科書の3分の1って!!

 

大雑把すぎてビックリするわ!

 

『じゃあ、そう言うことだから。明日から立華高校はテスト前の部活禁止期間に入るのよね?』

 

「確かそうだったかな……」

 

上位大会に出場する部活は関係ないんだけど、陸上部は出ない選手が多いためこれには例外的に当てはまらない。

 

『じゃあ、穂乃果先輩と凛のテスト勉強の監視頼んだわよ。』

 

「なんでさ!?勝手に決めんな……って、話の途中で電話切ってんじゃねぇよオイ!!!」

 

 

 

 

 

と、言う訳なのである。

 

海未からの返事は無いが、真姫はあと30分くらいしたら来てくれるそうだ。

 

だからそれまでは…、

 

「OK…、君らが勉強できないせいでこんなことになってるんだから遠慮なくビシバシその小さな頭蓋骨の中に眠ってるツルッツルの脳にシワを刻み込んでやるよbaby…」

 

「そーちゃん、何かキャラ変わってない…?」

 

「そーた先輩怖いにゃ……」

 

「うるせぇ!いいからさっさと問題解きやがれぇ!!海未に報告すんぞ!」

 

「「は、はぃぃい!!」」

 

穂乃果と凛ちゃんは海未の名前を出した途端、ペンを握りテキストとノートに向き始めた。

 

まったく…、普段からコツコツと勉強してないからこう言うことになるんだ。

 

オレも机に向かおう…、としたらスマートフォンが鳴った。

 

「穂乃果、凛ちゃん。ちょっと席外すけど……サボってたら分かるからな?」

 

コクコクコクッ!!!と激しく首を縦に振る2人を確認してから、リビングに降りて着信相手を確認する。

 

『南 ことり』

 

ことりから?

 

何の様だろうと思い、通話モードに切り替える。

 

「ことり?どうしたんだ?」

 

『そーくん?海未ちゃんそーくんのお家に行ってない?』

 

「いや?来てないけど……なんでだ?」

 

『海未ちゃん弓道部に顔を出してからそーくんのお家にお邪魔しに行くって言ってたんだけど、心配で……』

 

「分かった。海未が来たら伝えとく。」

 

『ありがとー♪ところで穂乃果ちゃんたちはどう?』

 

「ダラけてたからついさっき気合い入れて、真面目にやり始めたとこだ。」

 

『あ、あはは…。じゃあ穂乃果ちゃんたちによろしくねー』

 

「おう。」

 

「お邪魔しまーす」

 

ことりとの通話を切り、上に上がろうとしたところで真姫が家にやってきた。

 

「おお、真姫か。いらっしゃい、よく来たな」

 

「ホントよ。私だって暇じゃないんだからね?」

 

家に上がって早々ツンデレのツンの部分を出してきた。

 

ホント素直じゃねぇな…。

 

ホントに暇じゃなかったら家に来るなんて言わねぇだろ。何て言ったら機嫌損ねるから言わないでおく。

 

「早速で悪いんだけど、オレの部屋に穂乃果と凛ちゃんがいるから少し監視して貰ってていいか?」

 

「監視って…、待ちなさい。何処に行く気?」

 

オレはハーフパンツに財布とスマホを入れて玄関に向かうが、眉を潜めた真姫がオレの着ている上着の裾を掴む。

 

「あいつらに差し入れでも買ってきてやろうかって」

 

「……そう」

 

理由を話すと渋々とだが、手を離してくれた。

 

「んじゃ、行ってくる。何か飲みたかったら勝手に冷蔵庫開けてくれてもいいから」

 

オレは玄関を抜け、歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果と凛ちゃんと真姫への差し入れは何がいいか考えながら歩いていると、小さい頃穂乃果たちとよく遊んでいた公園に辿り着いた。

 

「待ってください!」

 

公園の出入り口で呼び止める声が聞こえ、オレは咄嗟に壁に背にして隠れた。

 

今のは……海未か?

 

海未に呼び止められたであろう音ノ木坂の夏服を着た金髪の生徒…、恐らく生徒会長の絢瀬さんだと思わしき人物が海未に背を向けたまま立ち止まった。

 

「じゃあ、もし上手くいったら…、人を惹き付けられるようになったら私たちのこと認めて貰えますか?」

 

「無理よ。」

 

「!!……どうしてですか?」

 

隠れているため表情は見れないが、海未の声が少し震える。

 

「私はスクールアイドル全部が素人にしか見えないの…。1番実力のあるA-RISEですら、素人にしか見えない。」

 

そう言って絢瀬さんは妹さんらしき人と一緒に海未の元から立ち去った。

 

絢瀬さんが完全に見えなくなったのを確認したオレは、海未の前に姿を現した。

 

「……よう。」

 

「壮大?何故あなたがここに?」

 

「とりあえずここで立ち話もあれだし、座ってから話を聞かせてくんねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうか。」

 

オレは近くの自販機で買った缶コーヒーを、海未は絢瀬さんの妹さんの亜里沙ちゃんって子から貰ったおしるこを片手にことの顛末を話してくれた。

 

サイトにμ'sのファーストライブ『START:DASH‼』の映像をアップロードしたのは、何と絢瀬さんだったらしい。

 

しかも目的は『穂乃果たちの歌とダンスはいかに人を惹き付けられないか、活動を続けても意味はないという現実を見せるため』なんだそうだ。

 

だが、絢瀬さんの思惑とは裏腹にメンバーの加入による人気の急上昇と真逆の成果を上げてしまったとのことだった。

 

「はい、でも私何故生徒会長は頭ごなしに私たちのことを否定してくるのか私には分からないのです…」

 

絢瀬さんに言われたことを気にして、落ち込む海未。

 

オレは缶のなかを空にしてから立ち上がった。

 

「なら、絢瀬さんのことで1番知っている人のところに行ってみようぜ?」

 

オレは心当たりのある人に連絡を取った。

 

 

 

 

 

 

 

「あら、海未ちゃんに松宮くん」

 

オレと海未が向かった先は、神田明神。

 

そこには今日は巫女さん姿の東條さんが立っていた。

 

「すいません、いきなり連絡して」

 

「ええよ、別に。それよりもえりちについてやったっけ?」

 

公園で連絡した心当たりある人とは東條さんのことだ。

 

東條さんなら絢瀬さんのことについて何か分かるかもしれない。

 

そう思い、連絡したのだ。

 

「口で説明するより、これを見て貰った方が早いかな?」

 

東條さんが巫女服の袖口から取り出したのはミュージックプレーヤー。

 

その中の動画ファイルの1つをタップし、オレと海未に見せてくれた。

 

そこに写し出されたのは1人の小柄な金髪の少女。

 

バレエの衣装を着て無邪気に笑い、縦横無尽に踊る姿が写し出されている。

 

これが絢瀬さんだということをすぐに理解できたのは、そう時間もかからなかった。

 

「……これで分かったやろ?」

 

「……はい」

 

オレは強いショックを受け、生返事しか返せない。

 

隣で見ていた海未も絶句しているのが表情から見て取れる。

 

「えりちには『スクールアイドル全員が素人にしか見えない』と言うだけの物があるんよ」

 

「……そうですね」

 

やっと言葉が出てきたのは東條さんが言ったことを肯定する言葉のみ。

 

確かに、これなら絢瀬さんがああ言ったことも頷ける。

 

「ありがとうございました。……帰ろう、海未」

 

「はい……」

 

オレたちは東條さんに頭を下げてから、神田明神を後にする。

 

海未はこれから所用があると言い、自宅へと帰っていったので途中のコンビニでお菓子を買ってから家に戻った。

 

「あら、遅かったじゃない」

 

リビングにはテキストとノートを広げて1人で勉強している真姫の姿があった。

 

「あぁ、ちょっとな……。穂乃果たちは?」

 

「上で集中して勉強してるわよ。さっさと行ってあげたら?」

 

「……聞かないのか?」

 

「言ったところで、当事者じゃない私にはどうしようもないでしょ?」

 

こういう時ばっかり察しやがって…。

 

でもそういうスタンス、嫌いじゃない。

 

「……ありがとよ」

 

「お礼は高くつくわよ?」

 

フフッと笑って、またテキストに集中し始めた。

 

ホント、この年下の幼馴染には頭が上がらないな…。

 

オレは犬娘(ほのか)猫系少女(りんちゃん)に買ってきた差し入れを渡しに上に続く階段を上がっていった。

 

 

 

 

 

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