ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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(遅れて)すまんな。

この話からドがつくほどのシリアス回が続きます。

では、どうぞ。




第16話 試験結果と廃校の危機

~Side 園田 海未~

 

「今日のノルマはこれやね」

 

私たちμ'sのテスト勉強を協力してくれている希先輩が、部室のテーブルに課題をドサドサと乗せました。

 

「「「鬼……」」」

 

「んー?まだわしわしが足りない子がおるんー?」

 

「「「まっさかー!!」」」

 

テストまで残り5日となって、穂乃果や凛、にこ先輩のテスト勉強の追い込み期間に入った。

 

けれど、私の脳裏にはこの間希先輩に見せてもらった映像がベッタリと貼り付いて離れない。

 

幼少期の生徒会長が踊ったバレエは、見ている人を惹き付けることができる様なものであった。

 

今まで私たちがやって来たのは一体何だったのかと思えるくらいに…。

 

「ことり、ちょっと席を外します」

 

「う、うん……」

 

ことりに一言残して、アイドル研究部の部室から出る。

 

今から私が向かうのは生徒会室。

 

生徒会室に行けば、生徒会長がいると思ったから…。

 

私は生徒会室について、ドアの前に立つ。

 

少し深呼吸してから、ドアをノックしようとした。

 

「順番があるんとちゃうの?」

 

私を呼び止める声が聞こえた。

 

振り返るとそこには希先輩が立っていた。

 

「希先輩…?どうしてここに?」

 

つい先程までアイドル研究部の部室で3人のテスト勉強を見ていた筈なのに…。

 

「ショックを受けたんやろ?えりちのバレエに……」

 

希先輩に私の心を読まれ、私は目を見開いた。

 

どうやら希先輩にはお見通しだったみたいですね…。

 

「自分たちが今までやってきたのが何だったんだろう…、と思いました。希先輩の言う通り生徒会長がああ言うのも分かる気がしました。」

 

「だから、謝りに来た……と」

 

それは少し違います。

 

私がここに来たのは…、謝りに来たのではありません。

 

「いえ、ダンスを教わりたいと思いました。もし、私たちがあの時の生徒会長の半分でも踊ることができたらより人を惹き付けられることが出来るのではと!」

 

「ふふっ、うちが思い描いた通りや」

 

「希先輩…」

 

本当に希先輩にはお見通しだったみたいですね。

 

「でも、先にやることがあるんとちゃう?試験まで残り5日よ?」

 

それを言い残して希先輩は生徒会室の中に、私はアイドル研究部の部室に戻る。

 

「穂乃果!!」

 

「う、海未ちゃん…?」

 

まずはテスト。

 

テストで赤点を取ってしまったら、ラブライブ!どころではなくなる。

 

なので、私が出した答えは穂乃果へのサポートをすることです。

 

「今日から穂乃果の家に、泊まり込みます!!」

 

私は穂乃果に向かってそう宣言した。

 

 

Side out

 

 

 

 

 

音ノ木坂学院のテストが終わってから、数日後。

 

一足先にテスト返却が終わったオレだったのだが、またしても音ノ木坂学院に呼び出された。

 

毎度ながら事務室の手続きでは、顔パスで通る。

 

突き刺さる色んな視線に慣れていっている自分が怖い。

 

そして、アイドル研究部の部室の目の前のドアを開ける。

 

「うぃーっす」

 

ドアを開けると、穂乃果以外のメンバーが待っていた。

 

「どうでしたか?」

 

海未の心配そうな視線が突き刺さる。

 

凛ちゃんもにこさんもセーフだったらしいが、やはり心配なのか他の部員も見つめる。

 

「ホレ」

 

オレは持ってきたバックの中に入っているテストの答案用紙を出す。

 

「「「「「……すごい」」」」」

 

真姫を除くメンバーのみんながオレの答案用紙を覗いて、目を丸くしていた。

 

オレ自身の苦手科目である理科こそ80点後半だが、それ以外は90点代に乗せることが出来た。

 

「穂乃果ちゃんから頭がいいとは聞いてたけど、すごいね…」

 

「ありがとよ」

 

ことりがオレの答案用紙をまとめてから返してくれた。

 

勉強も普段からの積み重ねだ。

 

テスト前に一気にやろうとすると、肝心なときにボロが出る。

 

これはスポーツでも同じだと思うけど、この話をすると大分時間がかかるから話さないでおこう。

 

「……ところで穂乃果は?」

 

そう言った瞬間、部室の扉が開いた。

 

入ってきたのは穂乃果だった。

 

「どうだった?」

 

「今日で全教科返ってきましたよね?」

 

「穂乃果ちゃん……」

 

真姫や海未、ことりが心底心配そうな顔で穂乃果に聞く。

 

「凛はセーフだったよ!」

 

凛ちゃんは笑顔でブイサインを穂乃果に見せる。

 

この場の雰囲気を少しでも和らげようとしたんだろうけど、それって逆にハードル上げてねぇか?

 

何だかオレも変な汗出てきた…。

 

「まさかあんた…、私たちの努力を水の泡にしたんじゃないでしょうね?」

 

「「「「「「どうなの!?」」」」」」

 

「……どうなんだ?穂乃果」

 

部室内に張り詰めた空気が流れる。

 

その空気に観念したのか、穂乃果が肩から提げているバッグに手を伸ばした。

 

「うん、もうちょっといい点数が取れると思ったんだけど……」

 

答案用紙をバッグから出し、答案用紙の上と下を持ち…、

 

「じゃーん!!」

 

答案用紙をみんなに見せるように広げ、答案用紙の隅っこには『53』という数字が。

 

そして穂乃果は笑顔でブイサインをする。

 

穂乃果も赤点を回避することに成功した。

 

つまりそれは、何を意味するのかオレたちが理解するのに時間はそれほどかからなかった。

 

「「「「「「「やったー!!!!」」」」」」」

 

喜びを爆発させ、その勢いで練習する服装に着替え始めたところでオレは一旦部室の外に出る。

 

オレは女の子の着替えをジロジロと見たり、女子更衣室に侵入するという趣味は生憎持ち合わせていないからな。

 

その辺は人間にしか出来ない『妄想』という行動でカバーする。

 

「よーし!今日から練習だぁー!」

 

穂乃果を先頭に部室から駆け出す。

 

それにことりや凛ちゃん、海未ににこさんも続く。

 

「ラ…、ラブライブ!に……私たちが…」

 

「まだ目指せると決まっただけよ?」

 

花陽ちゃんは憧れのラブライブ!を夢見て、呆然としていたが真姫が釘を指した。

 

「そうだぞ?オレたちはまだ『スタートラインに立てる権利を得た』ってだけなんだぞ?」

 

「そ、そうですけど……」

 

「それでも、みんなで勝ち取った権利なんだ。そこは誇ってもいいと思うよ…。ほら、行こう?穂乃果たちに遅れちまうぞ?」

 

もちろんフォローすることも忘れずに、真姫と花陽ちゃんと一緒に穂乃果たちの後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

オレたちは理事長室の前に立っていた。

 

メンバー全員赤点がなかったことと、ラブライブ!のエントリーの許可を貰うためだ。

 

代表として穂乃果が理事長室のドアをノックしたが、中からの反応はない。

 

「今日って音ノ木坂の職員会議とかか?」

 

「ううん、職員会議の予定は入ってないってお母さんが言ってたよ」

 

理事長の娘のことりが言うのなら、きっと理事長室の中にいるはずだ。

 

ホントはよくないことなんだけど、音を立てないように理事長室のドアを開けて中を覗く。

 

そこには理事長と絢瀬さんがいて、何やら揉めている様子だった。

 

揉めている話の原因を聞き耳立てていると、とんでもない話の内容だった。

 

「そんな…!説明してください!!」

 

「ごめんなさい…、でもこれは決定事項なの。」

 

オレの本能が『これ以上聞いてはならない』と警鐘を鳴らし、心拍数も異常なまでに上がっている。

 

だが、本能より先に理事長がその先の言葉を口にした。

 

 

 

 

「音ノ木坂学院は来年度より生徒の募集を止め、廃校に致します。」

 

 

 

 

 

……嘘、だろ?

 

音ノ木坂が……、廃校?

 

そんな……!穂乃果たちは一体何のために…

 

「その話!!本当なんですか!?」

 

オレの目の前が真っ暗になりかけていたその時、穂乃果が理事長室のドアを開け放ち理事長室の中に入った。

 

「あなたたち…」

 

絢瀬さんがオレたちの入室に驚いていたが、穂乃果は真っ直ぐに理事長の机の前に立った。

 

「……、本当よ。」

 

「お母さん!そんな話聞いてないよ!!」

 

ことりも理事長に詰め寄った。

 

「お願いします!あともうちょっとだけ待ってください!!あと1週間…、いえ!あと2日でなんとかしてみせますから!!」

 

穂乃果の必死なお願いを聞いて、理事長が目をパチクリさせていた。

 

「いや、あのね高坂さん?廃校にするというのは、オープンキャンパスの結果が悪かったらという話よ?」

 

「オープン……、キャンパス?」

 

理事長の言葉にピンと来なかった穂乃果は首を傾げた。

 

「つまり、見学に来てもらった近隣の中学生にアンケートを取ってもらって結果が芳しくなかったら廃校にする……と?」

 

「そういうことよ」

 

オレが言ったことに異を唱えず、理事長は肯定する。

 

「なぁんだ、よかったぁ……」

 

「安心している場合じゃないわよ?オープンキャンパスは2週間後の日曜日。そこで結果が悪ければ本決まりなのよ?」

 

つまりそこで結果を残せなかったら、本当の意味での終わり…。

 

穂乃果たちはどうしようと慌てている。

 

「理事長!!オープンキャンパスのイベントの内容は、生徒会で決めさせて貰います!」

 

絢瀬さんが理事長の真っ正面に立ち、目を見つめながら言った。

 

絢瀬さんも廃校から守ろうと必死なのだが、どうもオレの目にはその行動が本心からの行動には見えない。

 

「……止めても聞きそうにないわね」

 

理事長が折れ、絢瀬さんに許可を出した。

 

絢瀬さんは小さくお礼を言ったあと、理事長を出ようとした。

 

「絢瀬さん」

 

「……何かしら?」

 

出ていく直前で、オレは絢瀬さんを呼び止めた。

 

(ファーストライブ)にあんな事があったため、絢瀬さんの目がとても冷たく鋭い。

 

「今、あなたは自分の心に正直ですか?」

 

「……えぇ、正直よ?」

 

「……そうですか。呼び止めてしまってすみません。」

 

呼び止めたことを謝ると、絢瀬さんは今度こそ理事長室から出ていった。

 

 

 

~Side 絢瀬 絵里~

 

 

まさかオープンキャンパスの結果で廃校になるかどうか何て聞かされるなんて思ってもみなかった。

 

あの子たちはホッとしていたけど、オープンキャンパスの話になった途端どうしようと取り乱していた。

 

やはりあの子たちには生徒を集めることなんてできやしない。

 

だから、だから私が何とかしなくてはならないのに…。

 

『自分の心に正直』ですって?

 

彼が言った言葉が頭から離れてくれない。

 

何を言っているのか意味が分からなかった。

 

私は今『音ノ木坂学院から廃校の危機を守る』ために動いているつもりだし、実際現に動いている。

 

なのに何故彼の言葉がこんなにも突き刺さるのだろうか…。

 

「どうするつもり?」

 

「……!希?」

 

いつも彼女が持ち歩いているタロットカードのうちの1枚を私に見せた。

 

星の逆位置…、いろんな意味があるけれど、総括するなら『考えすぎ、不安』だったかしら…。

 

そんなの決まっている。

 

「私は学校を存続させる」

 

私が音ノ木坂学院を守ってみせる。

 

廃校を阻止してみせる。

 

私は希の前を通り過ぎ、生徒会室へ向かって歩き始めることにした。

 

 

 

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