ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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第17話 提案と生徒会長の心

「なんとかしなくっちゃ!!」

 

そう言った穂乃果であったが、実際穂乃果たちに出来ることは2週間後に控えたオープンキャンパスに向けてベストなパフォーマンスをするための練習くらいしかすることぐらいしかない。

 

それで今現在どのような出来なのかを確認する必要があった。

 

オレが見ることが出来ればいいのだが、ダンスは専門外だ。

 

そこでオレが持ち込んだ物は…、

 

「そーた先輩?そのカメラは?」

 

凛ちゃんがオレがセットをしている姿を目を向けた。

 

「ん?1度自分の踊っている姿を客観的に見てみることも悪くないだろうと思って持ってきたんだ。」

 

ビデオカメラだ。

 

野球のバッティングフォームやバスケットボールのシュートモーションを確認するときにも使われることもある。

 

今回はそれを取り入れてみると言うわけだ。

 

「それじゃ、1回踊ってみようか。」

 

そう言ってオレは踊り出したメンバーの姿を確認してから、録画ボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

「どうだ?」

 

オープンキャンパスで披露するであろう曲を通しで踊り、その映像を

メンバーに見せた。

 

「完璧だよ!」

 

「これならオープンキャンパスに間に合いそうだね」

 

穂乃果たちは完璧だ、言うことなんてないと思っているみたいだが一人だけ浮かない表情をしているメンバーがいた。

 

「ダメです、こんなんじゃ……」

 

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

海未だ。

 

ダメ出しのコメントをした海未を不思議そうに見つめる穂乃果たち。

 

「タイミングがズレています。穂乃果や凛は少し早くことりや花陽は遅れています。」

 

「……分かった、もう一度やろう。そーちゃん、もう一度カメラお願い」

 

「……おう」

 

海未の言葉で納得してくれたようで、もう一度通しで踊った。

 

「今度こそ完璧にゃ!!」

 

「そうね!みんながようやくにこのレベルに追い付いたわね!」

 

凛ちゃんとにこさんがはしゃぐが、海未がさっきと同じ表情だった。

 

「……ダメです、これじゃ」

 

海未の口から告げられたのは、またしてもダメ出しだった。

 

「「「「「「えっ!?」」」」」」

 

「うぅ、これ以上上手くやれる気がしないにゃあ……」

 

あまり弱音を吐かないらしい凛ちゃんが思わず弱音を吐いてしまった。

 

それに対して真姫が海未の所に歩み寄った。

 

「何が気に入らないのよ!?ハッキリ言いなさいよ!!」

 

海未は一度オレを見てきたので、オレは頷いた。

 

それを見た海未はみんなの前で告げた。

 

「感動できないんです。今のままじゃ、これっぽっちも……」

 

「海未ちゃん……」

 

「そーくん、何があったの?」

 

「その様子だとあんたも何か知ってるんでしょ?」

 

ことりがタオルで汗を拭きながら、にこさんがドリンクを飲みながらオレに近づいてきた。

 

ここまで分かっているのなら、隠す必要は無い。

 

「分かった、今からみんなに全てを話そう」

 

オレは休憩中のみんなを集め、深呼吸をしたあと口を開く。

 

「穂乃果と凛ちゃんはオレの家でテスト勉強して、確かその時は真姫も家に来たことを覚えてるかな?」

 

今名前をあげた3人は、首を縦に動かした。

 

「その時に差し入れを買ってこようとして公園を通った時、絢瀬さんと口論をしている海未を見かけたんだ」

 

「そしてファーストライブの映像を投稿したのは、生徒会長だったんです」

 

「「「「「「え!?」」」」」」

 

「生徒会長が……?」

 

オレと海未で告げた事実に、みんなの表情には動揺の色が見えている。

 

「あぁ。だけどそれはいい意味ではなく、悪い意味で投稿したらしい。『いかに人を惹き付けられないか』って言う意味でな……」

 

「そんな……」

 

ことりが今にも泣きそうな顔で答えた。

 

だか、話はまだ終わらねぇんだ…。

 

「そして生徒会長が公園から立ち去る際、『一番実力のあるA-RISEですら素人にしか見えない。』と言ったんです」

 

「酷い……」

 

「A-RISEですら素人にしか見えないですって……!?」

 

無類のアイドル好きの花陽ちゃんは悲しみの表情を、アイドルに特別な想いがあるにこさんは怒りの表情を浮かべる。

 

「そしてその話を聞いたオレは、希さんのところに行ったんだ。」

 

「希先輩のところに?何のために?」

 

真姫が意味が分からないという表情で聞いてきた。

 

「この学院の中で絢瀬さんの事を一番知っているって言ったら希さんくらいしか思い付かなくてな…。だが、それが正解だった。事情を知っている希さんからある映像を見せられたオレと海未はショックを受けて、今に至っているんだ」

 

「ある映像って……一体何の?」

 

「幼い頃の絢瀬さんが、バレエの演技をしている映像だ」

 

真姫が映像の事に食いついてきたので、何の躊躇いもなく言い放った。

 

「悔しいですけど、生徒会長のバレエの姿はとてもキレイだと思ったんです。それこそ私たちが今まで何をしていたのかと思えるくらいに……」

 

「そうだったの……?」

 

ことりの問いに、海未は頷く。

 

「そこで提案なんだが、絢瀬さんからダンスを教わらないか?」

 

そこでオレが出した結論は、絢瀬さんからダンスを教わるということだ。

 

「でも、生徒会長は私たちのこと……」

 

「嫌ってるよね!絶対!!」

 

「というか、嫉妬してるのよ!」

 

しかし凛ちゃんとにこさんは反対の意を顕にする。

 

「けど、あれほど踊れる絢瀬さんがμ'sの踊りを見て素人と言う気持ちも分からなくもないんだ……」

 

「それでも私は反対よ!逆に潰されかねないわ!!」

 

真姫も絢瀬さんからダンスを教わることには反対のようだ。

 

「そうよ!3年生ならにこだけで間に合ってるわ」

 

「それに生徒会長さん、ちょっと怖い……」

 

「凛も楽しい方がいいなぁ……」

 

「そうだよね……」

 

みんなオレの提案に反対の意を口にしていた。

 

でも、このままでいいのか……?

 

そう思っていたオレだったが、穂乃果は違った。

 

「私はいいと思うけどな……」

 

「「「「えぇっ!?」」」」

 

穂乃果の発言に1年生組とにこさんは驚いた。

 

オレも声にこそ出さなかったが素直に驚き、思わず穂乃果を見た。

 

穂乃果は至って普通の顔で言い放っていた。

 

「だって、そんなにダンスが踊れる人がいるのならレベルアップのために教わりたいって話でしょ?そうでしょ、そーちゃん?」

 

「あぁ、そうだが……」

 

「だったら私は賛成!頼むだけ頼んでみようよ!!」

 

穂乃果がオレの提案を飲んだ。

 

「ちょっ!待ちなさいよっ!!」

 

「でも絵里先輩のダンスも見てみたいかも……」

 

「ことりも生徒会長のダンスを見てみたい!!」

 

にこさんが異を唱えようとするが、花陽ちゃんとことりも穂乃果の意見を賛同した。

 

「よし!それじゃ明日生徒会長さんに頼んでみよう!!」

 

「ありがとう、穂乃果。そして盛り上がってるところ悪いんだがそれとは別件でもう1つ話しておかないといけないことがある」

 

「何ですか?」

 

話がまとまりそうなところだったのだが、オレ個人のことで話しておかないといけないことがある。

 

「2週間後のオープンキャンパスにはオレは関われなさそうなんだ」

 

「えぇっ!?どうしてですか!?」

 

花陽ちゃんが驚きの声を上げた。

 

「それまでは何とか大丈夫そうなんだが音ノ木坂学院のオープンキャンパスが開かれる2日前から関東大会で、遠征に出なければならないんだ」

 

そう。オレは関東大会で東京都内にはいないのだ。

 

関東大会で上位に入らなければ、インターハイには出場できない。

 

「ならあんたの出番が終わったら、一人だけでも戻ってくればいいじゃない!」

 

にこさんが案を出してくれたが、今回はその手は使えない。

 

「残念ながら今回はリレー競技にもエントリーされていて、リレー競技の決勝レースは最終日なんです。だからどうやってもオープンキャンパスには間に合いそうにないんです」

 

「分かったよ、そーちゃん」

 

オレ個人のお願いも穂乃果が真っ先に賛同してくれた。

 

「だけど約束してほしいことがあるんだ」

 

が、ただでは頷かないようだった。

 

「何だ?」

 

「必ず全国大会への権利を勝ち取ってくること。それが約束だよ」

 

穂乃果が出した約束とは、必ずインターハイの権利を勝ち取ってくる事だった。

 

「分かった。必ずもぎ取ってくる」

 

オレは穂乃果の約束を二つ返事で頷いた。

 

「うんっ!約束だよっ!みんなも良いよね!?」

 

「えぇ、もしダメだったらどうしましょうか?」

 

海未……。

 

「ことりのおやつにしちゃおうかなっ♪」

 

ことり……。

 

「じゃあ凛とかよちんはラーメン奢って貰うにゃー!」

 

「えぇっ!?り、凛ちゃん!?」

 

凛ちゃん……、花陽ちゃん……。

 

「そうね、私のお手伝いでもお願いしようかしら」

 

真姫……。

 

「ふんっ!にこの晴れ舞台を見ないんだから、絶対勝ちなさいよっ!!」

 

にこさん……。

 

「ありがとう、みんな。遠征に行くまではオレに出来ることがあるなら遠慮なく言ってくれ」

 

「「「「「「「うんっ!!(はいっ!!)」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

~Side 絢瀬 絵里~

 

私は妹の亜里沙とその友達の雪穂ちゃんと眼鏡をかけた子の3人の前で、オープンキャンパスで説明しようとしている音ノ木坂の歴史についてまとめたレポートを読んでいる。

 

「このように音ノ木坂学院の歴史は古く、この地域の発展に関わってきました。さらに当時の学院は音楽学校としての側面も持ち……」

 

「わぁっ!体重増えたっ!!」

 

私の目の前でイスに座り、船を漕いでいた雪穂ちゃんが目を覚めたと同時に叫びその叫びを聞いた私はレポートを読み上げることをやめた。

 

「あ……、ごめんなさい」

 

雪穂ちゃんは申し訳なさそうに謝ってきた。

 

「ごめんね?退屈だったかしら……?」

 

「いえ!とても面白かったです!」

 

雪穂ちゃんは慌てて立ち上がり、感想を述べてくれたが雪穂ちゃんの隣に座っていた亜里沙が静かに立ち上がった。

 

「私は面白くなかった……」

 

「……亜里沙?」

 

「お姉ちゃんは何でこんな話をしてるの?」

 

亜里沙の言葉が突き刺さる。

 

何でこんな話をしてるのかって…?

 

そんなの決まってるじゃない。

 

「……学校を廃校にしたくないからよ」

 

「亜里沙も音ノ木坂が無くなって欲しくないけど…、」

 

亜里沙が少し間をあけて言った。

 

「これが…、これがお姉ちゃんのやりたいこと?」

 

『今、あなたは自分の心に正直ですか?』

 

私の中で亜里沙の言葉と松宮くんが前に言っていたことが重なった。

 

私の…、やりたいことって…一体…?

 

 

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