ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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第1話 朝練とスピリチュアル

穂乃果たちのお手伝い1日目となる今日。

 

 

穂乃果から今日から朝練があると聞かされたオレは、神田明神の男坂の一番上の石段に座って幼馴染たちを待っていた。

 

 

お手伝いだと聞かされたのだが、朝練をやると聞いたオレは学校の制服姿ではなく練習着に着替えここに来るまでにウォーミングアップがてらロードバイクを1時間ほど漕いでから意気揚々とやってきた……のだが。

 

 

「……誰も来ねぇ。」

 

 

少々早く来すぎたのかもしれない。

 

 

少々足に負担がかかるけど、朝練がてら先に階段ダッシュでもやろうかな?と思い立ち上がろうとした。

 

 

すると、見覚えのある2人の女の子がジャージ姿でこの階段を上ってくる見つけた。

 

 

「おはよう。ことり、海未。」

 

 

オレはことりと海未が階段を上り切ったところで、声をかけてみた。

 

 

「あ!そーくんだ!!」

 

 

「壮大!?どうして壮大がここにいるのですか!?」

 

 

ことりは相変わらずの脳トロボイスで、海未は海未でズザザーッと格闘技のバックスウェイのような動きをしてオレから少し距離を取った。

 

 

海未さん、いくらオレでもそこまでされると泣きたくなるよ?

 

 

「いや、どうしてって言われても…。穂乃果のお願いでアイドル活動のお手伝いをしようと思ってだな…。」

 

 

「え!?そーくんが手伝ってくれるの!?」

 

 

「あぁ…。よりによってお手伝いが壮大だったなんて……。」

 

 

なぜ神田明神(ここ)にいるのかという理由をかいつまんで話すとことりは『やったぁ!!』とその場で飛びはね、海未は何やらブツブツと呟きながら頭を抱えていた。

 

 

その直後に穂乃果がやってきて……、

 

 

「だいたい穂乃果はいつもそうです!!毎回毎回結果ばかり先走って肝心の内容はいつも後回しで!!」

 

 

「海未ちゃんに聞かれなかったから『誰が来るのか伝えなくていいのかなー…。』って思ったんだもん!!」

 

 

「そんなことは聞かれなくても連絡するのが普通です!!!」

 

 

「まぁまぁ海未ちゃん、その辺で…。」

 

 

「ことりは穂乃果に甘すぎです!!!ここで穂乃果にガツンと言わないといつ言うのですか!?」

 

 

「「…………今でしょ?」」

 

 

「穂乃果は真面目に私の話を聞いてください!そしてことりも穂乃果と同じ答えを言わないでください!!それにネタが少し古いです!!!」

 

 

『お手伝いさんが明日から来る』とまでしか聞かされていない海未が穂乃果に雷を落とし、ことりがそれを宥めるという見慣れた……だけど懐かしいやり取りがあった。

 

 

けど、穂乃果。

 

 

こればかりは全面的にお前が悪いと思う。

 

 

報告、連絡、相談。これ、基本だぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁん!!ことりちゃぁぁぁん!!!」

 

 

「よしよし、穂乃果ちゃんはいい子いい子。」

 

 

「それで?朝練をやるとは聞いているが何をやる気なんだ?」

 

 

涙ぐんでことりに慰めて貰っている穂乃果を放っておき(本音を言うと……、穂乃果。そこ代われ。)、海未に朝練の指針を聞く。

 

 

指針によっては強度を変えないとトレーニングの効率が悪くなってもんだ。

 

 

「はい、弓道部に所属している私はともかく穂乃果とことりは今まで本格的な運動をしていません。アイドルは何十分……、プロのアイドルだと数時間笑顔のまま歌って踊り続ける体力が無いといけません。ですので2人にはまず基礎体力の強化から始めたいと思います。」

 

 

ふむ…。基礎体力の強化か…。

 

 

インターバルトレーニングもいいだろうが、朝起きてすぐの身体に強度の高い練習はかえって逆効果。

 

 

それどころかいきなり身体を痛めたりしたらそれこそ本末転倒だ。

 

 

「んじゃ無難に走り込みってところか。」

 

 

「そうですね。」

 

 

「よーし!頑張るぞー!!」

 

 

いつの間にか立ち直り、オレと海未の話を聞いていた穂乃果が我先に

と走り出そうとしていた。

 

 

「穂乃果!ストップ!!」

 

 

「そーちゃんどうしたの?」

 

 

まさか止められるとは思ってもいなかった穂乃果はキョトンとした顔でその場に立ち止まった。

 

 

「ウォーミングアップもしないでいきなりスピードを上げて走り出すのは危険だ。最初はおしゃべりができる程度のスピードで走り出して慣れてきたらペースを上げていくのがベターだ。」

 

 

「ほぇー…。」

 

 

「壮大……運動の知識になると相変わらずすごいですね。」

 

 

納得していた穂乃果と海未だったのだが、ことりが膝の屈伸をしようとしていたので、すかさず止めに入る。

 

 

「ことり!待った!」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

ことりはオレの声を聞いて、ビックリしたのか膝の屈伸をやるところで止まってくれた。

 

 

「膝の屈伸を始めとした整理体操とかは実は運動前にやるのはよくないんだ。運動前に筋肉を伸ばしちゃうとその反動で筋肉が縮んでしまって身体を痛める原因になりかねないんだ。だからその体操は走り終わってからな?」

 

 

「うん!!分かった!」

 

 

納得してくれたのかことりはオレの言うことを聞いてくれた。

 

 

うん。聞き分けのいい子に育ってくれてオレは嬉しいぞ。

 

 

「んじゃ、3人は先に走りに行っててくれ。」

 

 

「そーちゃんは走らないの?」

 

 

「走りたいのはやまやまなんだが、穂乃果たちの荷物が誰かに盗まれたりしたら大変だろ?だからオレはお留守番だ。」

 

 

荷物番をすると言って穂乃果たちの荷物のところに行き、ドカッと地べたに座り込む。

 

 

「分かった!じゃあ、行ってきまーす!」

 

 

「すみません壮大。荷物番よろしくお願いします。」

 

 

「そーくん、ことりたちの荷物ちゃーんと見張っててね♪」

 

 

「おう!無理しない程度でいいからなー!!」

 

 

遠くから『分かってるー!』という穂乃果の声が聞こえてきた。

 

 

まぁ、海未もいるしきっと大丈夫だろう。

 

 

穂乃果とことりの面倒は海未に任せて、オレも何かやろうかな…。とオレのバッグに手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……面倒見がええんやね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろを振り返ると、関東圏では珍しい関西弁を話す垂れ目の巫女さんが竹箒を持って立っていた。

 

 

「……あなたは?」

 

 

「ウチは東條 希。音ノ木坂学院の3年生や。」

 

 

音ノ木坂学院の3年生ってことは穂乃果たちの先輩か…。

 

 

「穂乃果たちが御世話になってます、松宮 壮大です。立華高校の2年です。」

 

 

「そんな堅苦しい話し方やなくてもええよ。立華ってことは体育科の生徒なん?」

 

 

「はい。そこの陸上部で短距離専門です。……話し方ですけど先輩なのにフランクな話し方は出来ないですよ。」

 

 

「ふふっ…。そういうことにしといてあげる。」

 

 

そう言って東條さんはオレの横にちょこんとしゃがみこんだ。

 

 

改めて東條さんを見てみると海未とは違ったベクトルだが、むっちゃくちゃ美人さんだ。

 

 

髪が長いから美人さんに見えるけど、もしショートカットにしたら美人から一転してボーイッシュな可愛さが生まれそうだ。

 

 

それにことりをも上回り、それでいて自己主張の激しい母性の塊に目を奪われる。

 

 

「……ゴクリ。」

 

 

「んー?松宮くん、どこ見てるん?」

 

 

「いえ、別にどこも。」

 

 

「ホントにー?」

 

 

ジーっとこちらを見つめてくる東條さんを横目に、自分は走ってもいないのに尋常じゃない量の汗が流れてくる。

 

 

マズイマズイマズイ…。

 

 

もし東條さんの胸を見ていたなんてことが穂乃果たちにバレたら…。

 

 

 

 

 

 

 

『そーちゃん?穂乃果たちが朝練やっている時に……何 し て た の ? 』

 

 

『ふふふ……。壮大…。分 か っ て ま す よ ね ? 』

 

 

 

『そんなえっちなそーくんは……こ と り の お や つ に し ち ゃ い ま す ♪ 』

 

 

 

 

 

 

 

ことりのおやつにされてもいいかもしれない。

 

 

だけど、海未さん。あなたはいけない。

 

 

穂乃果やことりのヤンデレは見てみたい気もしなくはないが、海未のヤンデレは絶対怖い。

 

 

男のオレでも泣きながら裸足で逃げ出す自信がある。

 

 

もしくは神様にお祈りをしながら、部屋の隅っこでガタガタ身体を震えわせてるかもしれない。

 

 

 

「ふふっ…。松宮くんって面白い人なんやなぁ。」

 

 

東條さんを見てみると、ニシシッといたずらっ子のような意地の悪い笑顔をしていた。

 

 

そこで初めてオレは東條さんにからかわれたことに気がついた。

 

 

うん。この人、敵に回しちゃあかんタイプの人や。

 

 

「ところで、松宮くんはこれから高坂さんたちの練習に付き合うつもりなん?」

 

 

「そうですね。流石に毎日とまではいきませんけど、時間があるときや陸上部の朝練がない時は出来るだけ練習のお手伝いはするつもりです。」

 

 

穂乃果たちのお手伝いをする。

 

 

これは自分で決めたことなんだ。

 

 

穂乃果たちがどのような結果を残そうがオレは最後まで穂乃果たちに付き合うつもりだ。

 

 

途中で投げ出すなんてカッコ悪過ぎる。

 

 

「……そっか。」

 

 

「…?」

 

 

「はぁー……疲れたぁ。」

 

どうかしたんですか?と聞こうとしたが、穂乃果たちが帰ってきたので結局その真意を聞くことができなかった。

 

 

「あれ?そーちゃんと…副会長さん?」

 

 

副会長さん…?

 

 

ああ、東條さんのことか。

 

 

副会長ってことは……生徒会の副会長ってことなのか?

 

 

……意外と似合いそう。

 

 

「お疲れさん。荷物置かして貰っているんやから御参りくらいしていき?」

 

 

と言い残して東條さんがやってきたであろう道を歩いて向こう側に言ってしまった。

 

 

「……だそうだ。休憩がてら御参りくらい悪くはないだろう?」

 

 

東條さんの言うことに従ったオレたち4人はこれからやる男坂の階段ダッシュの前に、境内にある御賽銭箱の前に立ち、小銭を投げ入れる。

 

 

二礼二拍した後、穂乃果とことりと海未は「音ノ木坂がなくなりませんように!」と声を出して参拝していたのを耳にオレも遅れて目を閉じて念入りにお願いする。

 

 

 

「そーちゃーん!!早く早くー!!」

 

 

「はいはい…、今行くよー!」

 

 

オレは穂乃果たちがいる方に向かって走り出した。

 

 

「よーし!!そーちゃんに勝つぞー!!」

 

 

「ハッ!抜かせ!!穂乃果に負けたら陸上部引退だぜ!!」

 

 

「では……スタートです!!」

 

 

海未の掛け声でオレと穂乃果は階段をダッシュで登り始めた。

 

 

 

ん?オレが何をお願いしたのかって?

 

 

……『穂乃果たちの成功』をお願いしたに決まってんだろ?

 

 

 

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