ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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今回から少しだけオリジナルストーリーにお付きあい下さい。

では、どうぞ!


Original Story 激闘のインターハイ
第23話 インターハイ1日目


現在、オレは今立華高校の校門前に立っている。

 

何故かというと今日から数えて4日後にはインターハイが始まるからだ。

 

インターハイ…。正式名称は『全国高等学校総合体育大会』。

 

各地域や都道府県による熾烈な予選を勝ち抜いた猛者たちによる日本一を決める大会で、今年は奈良県での開催となっている。

 

その出発日が今日なので一番早く来てまだ来ていない部長を待っているのだが…、

 

「……なぁ?」

 

「にゃん?」

 

目の前の猫っぽい女の子に話しかける。

 

何だか突っ込んだら負けな気がするのだが、ここで突っ込まなきゃ男じゃないと思い聞いてみる。

 

「何で凛ちゃんがここにいるの?」

 

今、朝の6時半だぞ……?

 

夏休みに入ったんだからもう少し眠っていてもいいと思うんだけど…。

 

「何でってそーた先輩が今日全国大会に出発するって真姫ちゃんや穂乃果先輩が言ってたからお見送りに来たんだにゃ!(……それに今日から1週間そーた先輩に会えないからここに来たって言うのもあるんだけど恥ずかしくて言えないにゃ……)」

 

「え?何だって?」

 

「な……何でもないにゃ!」

 

後半何だか呟くように言っていたが、よく聞こえなかった。

 

凛ちゃんが赤くなってるけど、何て言ったんだ?

 

「うーっす」

 

「あ、キャプテン。おはようございます」

 

凛ちゃんと話してると短距離ブロックの部長で立華高校陸上部主将

が背中に手を突っ込みながら歩いてきた。

 

「おう、松宮。朝イチから彼女とラブってコメってんじゃねぇよ。絶賛遠距離中の俺に対しての当て付けか?」

 

「か……かのっ!!」

 

「何言ってんですかキャプテン。まだ彼女じゃないですよ。この娘は他校の後輩でインターハイ出発を見送りに来てくれたんだそうです」

 

彼女という単語に反応し、顔を真っ赤にしながらポンッ!と小気味いい音を立てて小爆発している凛ちゃんを尻目にキャプテンに説明した。

 

「そうなのか?まぁ何でもいいけど、そろそろ行くぞ」

 

時計を見てみるとそろそろ出発の時間になっていた。

 

「そーた先輩っ!」

 

キャプテンのあとに続いて部のバスに乗ろうとしたところで、凛ちゃんに呼び止められた。

 

「どうしたの?」

 

「こ、これ……。希先輩と凛で作った御守りです!」

 

顔を真っ赤にして、両手で持っていた御守りを手渡された。

 

希さんとの合作か…。

 

スピリチュアルに片足どころか全身突っ込んでるあの人ならとんでもないご利益を捩じ込んでいることだろう。

 

「ありがとう、凛ちゃん」

 

御守りを受け取った手で、凛ちゃんの頭を撫でる。

 

凛ちゃんはうにゃーって言いつつ、どこか嬉しそうな表情をしていた。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい!そーた先輩♪」

 

オレは笑顔の凛ちゃんに見送られて、インターハイが開催される奈良へと出発した。

 

その道中、凛ちゃんとの関係に追求されたのは言うまでもないだろう…。

 

 

 

 

 

 

宿舎となるホテルについたオレたちはチェックインを済ませ、食事と軽いミーティングが終わってからテレビをつけた。

 

「あ。高校生クイズやってる」

 

「そう言えばうちのクイズ研が出るって言ってたっけな……」

 

同部屋となったキャプテンと一緒に高校生クイズを視聴する。

 

「そう言えばキャプテンが1年生の時、うちのクイズ研が優勝したんでしたっけ?」

 

「ああ。確かその賞金で学校の備品を新調したらしいんだ。保健室のベッドとか体育倉庫のマットとかシャワー室の鍵とか……」

 

「何でそんな限定的な物ばっかなんですか……」

 

いかにもあっち方面に盛ったカップルがよろしくしちゃうような場所の備品を整えたのか…。

 

『それでは問題。美術用語で釣り合いはプロポーション。では、左右対称の……』

 

「シンメトリーだな」

 

「シンメトリーですね」

 

オレとキャプテンが同時に答えると、テレビの中の回答チームがボタンを押した。

 

『シンメトリー』

 

『正解!でもこの問題はあくまで小手調べ。では次の問題!』

 

司会者が読み上げる問題や映像として流れてくる問題を次々に回答していき、うちの学校も食らいついているがだんだん答えられなくなってきた。

 

元々うちは体育科の方が売れていて、少し前までの渓流下りや富士登山などならまず負けはしないのだが、純粋な頭脳勝負なら開盛や灘などにはどう太刀打ちしても敵いっこない。

 

『次の問題!』

 

司会者が次の問題に入ると宣言してから、テレビの映像は漢文が写し出された。

 

「えーっと何々?孔子の遺言を解読せよ……ってこれ高校生で解ける人いんのか!?」

 

確か孔子に関する問題が出された年があったが、頭脳の超名門でも間違えるこの問題がうちに解けるわけがない。

 

うちのクイズ研は悩みに悩んだ末に、フリップボードを出す。

 

そこには何も書かれておらず、それを確認したキャプテンが無言でリモコンを使ってテレビの電源を消した。

 

どうやら今年もうちは優勝することはなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

~Side 星空 凛~

 

 

今日からインターハイの陸上種目が始まるにゃ。

 

海未先輩も弓道でインターハイに行くはずなのにまだ学校にいるので、いつ行くのかと聞いたら『弓道は今年は後半種目でお盆の時期にやるんです』って言ってたにゃ。

 

本当は実際に応援に行ければよかったんだけど、凛にはそんなお小遣いも無いし、μ'sの練習もほぼ毎日入っているため応援に行くような時間もない。

 

だけど、今年のインターハイはネット配信はやっているみたいなのでそれで我慢するにゃ。

 

「早くそーた先輩の種目にならないかな~」

 

凛は今か今かと待っているけど、時間の流れは常に一定だ。

 

「凛、そんなに忙しなく動いても始まらないものは始まらないわよ?」

 

「そんなことは分かってるにゃー……」

 

真姫ちゃんに落ち着けと言われるけど、気になってしまうものはしょうがない。

 

にこ先輩が普段使っている部室のパソコンを借りて視聴するため、他のμ'sのメンバーも凛の行動を見てしまうって訳にゃ。

 

『男子100M 予選1組』

 

「あっ!始まったにゃ!」

 

凛の一言にメンバー全員がパソコンの回りに集まった。

 

何だかんだでみんな気になってたんだね…。

 

「凛ちゃん、そーくんが走る組って分かるの?」

 

「えーっと……」

 

ことり先輩に言われ、スマートフォンを取りだしインターハイ専門サイトの陸上種目のところをクリックして今日のエントリーを見る。

 

そーた先輩……そーた先輩は……。

 

「あったにゃ!予選3組目の第6レーンにゃ!」

 

「ってもう予選3組目のスタート前じゃない!」

 

にこ先輩が叫び、慌ててパソコンを見てみると選手紹介のアナウンスが終わっていた。

 

『On your marks……』

 

選手が一斉にスタートの用意をする。

 

凛も覚えてるにゃ…、自分に流れてる血が騒ぎ出す感覚を…。

 

この感覚はいくらレースを積んできても慣れることなんて一切ないにゃ。

 

『Set……』

 

緊張の糸をギリギリまで張り詰めた空気が、パソコン越しに伝わる。

 

そして張り詰めた空気が一瞬にして盛り上がると同時にスタートの合図を知らせるピストルが鳴った……、かに思えた。

 

スターティングピストルの後にさらに2回ピストルが鳴り、選手たちは自分のスターティングブロックに戻された。

 

「え……?今、何が起こったん?」

 

希先輩がパソコンの画面の向こう側で起きている事態に理解が追い付いていない。

 

「フライング……」

 

絵里先輩が事のあらましを理解していて、現にフライングをしてしまった選手はとても悔しそうな表情をしていた。

 

ルール上フライングをすると自動的に失格になるため、人間の心理上どうしてもフライングギリギリのスタートができなくなる。

 

他の選手たちはさらに緊張した顔つきになっていたが…、

 

「なんか、そーくんすごく落ち着いてるね……」

 

ことり先輩の言う通り、そーた先輩の顔には焦りや緊張はなく平然としていた。

 

そしてまたアナウンスはスタートの合図がかかり、今度はフライング無しでスタートした。

 

誰よりも速くスタートを切ったそーた先輩は、ぐんぐん加速していきその勢いのままゴールした。

 

結果はトップだったので予選は通過し、準決勝に進出を決めた。

 

「「「「「「「「「やったー!!!」」」」」」」」」

 

メンバーは抱き合ったりして喜びを表していた。

 

「松宮くんに負けてられないわよ!さぁ、これから練習よ!!」

 

「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」

 

啖呵を切った絵里先輩に続いて、凛たちは練習するために屋上へと向かった。

 

凛もそーた先輩に負けてられないにゃ!!

 

凛たちが練習している間に行われた準決勝では、3着だったのだがプラス2の選手として拾われて決勝に進出していた。

 

練習が終わって再び部室のパソコンの前に座り、サイトにアクセスするとそーた先輩は、決勝レースのスタートラインに立っていた。

 

 

Side out

 

 

 

 

『男子100M決勝。出場する選手を紹介します。第1レーン……』

 

インターハイ1日目の午後5時。

 

夢にまで見たインターハイの決勝レースにオレは立っている。

 

普通なら緊張で足が震えるはずなのに、怖いほど落ち着いている自分がいる……。

 

今まで数え切れないほどレースを積み重ねてきたが、ここまで落ち着いていられたのは記憶にないほどだ。

 

『On your marks……』

 

アナウンスに気付いたオレはゆっくりとスターティングブロックに足をかけた。

 

段々音が聞こえなくなり、目の前には100M先にあるフィニッシュラインだけしか見えなくなった。

 

『Set……』

 

ゆっくりと身体を前に倒し、指先に全体重をかける。

 

そしてスタートの合図を知らせるピストルが鳴ったと同時に、スターティングブロックをゆっくり蹴った。

 

あれ……?前に誰もいねぇ。

 

まさかフライングしたか?

 

でも、追加のピストルが鳴ってねぇしなぁ……。

 

それに景色がゆっくり動いて見える……。

 

他の選手のみんなはどこ行ったんだ……?

 

え?もうフィニッシュ?

 

何だか長いレースだったなぁ……。

 

もう、いいや。フィニッシュしちゃえ……。

 

そしてオレは走り終わり、記録を知らせる電工掲示板を見た。

 

電工掲示板にはオレの名前が一番上にあり、『10秒31』という大幅な自己ベストを更新するタイムが刻み込まれていた。

 

え……?オレ、優勝しちゃったの……?

 

まるで他人事のようにオレは電工掲示板をボケーっと眺めていた。

 

 

 

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