ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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遅れました!

ここ数日少し多忙なものでして……

それでは、どうぞぉー!!


SIDE STORY3 立華高校体育祭 後編

借り物競争エキストラが終わってしばらくして落ち着いてきた頃合いを見計らって、みんなのもとへ戻ると……、

 

「むーっ……」

 

「壮大…、あなたは最低です!破廉恥ですぅ!」

 

「あ、あはは……」

 

チョコレートでコーティングされたプレッツェルをくわえてジト目で見つめる穂乃果と、顔を赤くしながら罵倒してくる海未を乾いた笑い声を飛ばすことり。

 

「凛ちゃん……、いいなぁ」

 

「やっぱり壮大は壮大だったわね……」

 

「凛ちゃん、壮くんの腕の中はどうだったん?」

 

「にゃにゃにゃっ!?」

 

妄想の世界にトリップする花陽ちゃんに、頭を抱える真姫にお姫様だっこについて追求するのんちゃんに追求されそうになってる凛ちゃん。

 

にこちゃんと絵里ちゃんも言葉を発しないものの、顔を赤くしてオレをチラチラ見てきている。

 

うん、オレここにいない方がいいかな?

 

「……ちょっとジュース買ってくる」

 

「「「逃げたね」」」

 

「逃げましたね」

 

「逃げたなぁ」

 

「逃げたにゃ」

 

「「「逃げたわね」」」

 

オレはまたしても逃げるハメになってしまった。

 

オレが悪いんやない、あんなお題を用意した運営が悪いんや…。

 

 

 

 

 

 

トラック種目とリレー種目の予選を挟み、お昼休み。

 

「そーちゃん!お昼ごはん食ーべよっ!」

 

みんながいるところへ戻ると、すっかり機嫌が戻った穂乃果がここに座れと観客席をパシパシ叩く。

 

「はー……、腹減った……」

 

穂乃果の隣に座り、溜め息をついてから空を見上げる。

 

「そーくん大活躍だったね~」

 

どの種目も予選しかやっていないとはいえ、女の子…しかもめちゃくちゃかわいい女の子に応援されて喜ばない男なんているのだろうか……?

 

「そんな壮大に私たち、お弁当を作ってきたんです!」

 

「え?私たちも作ってきたんだけど……?」

 

「うそ!!にこたちもよ!?」

 

なんと学年別でお弁当を作ってきてくれたようだ。

 

みんなそれぞれ夜に仕込みをしたり、朝早く起きて作ってきてくれたのだろうか……。

 

そう考えると目頭が熱くなってくる。

 

「……食べるよ」

 

「「「「「え!?」」」」」

 

「みんなオレのために作って来てくれたんだろ?だったらオレが食べないのは失礼だろ?さっ、最初はどのチームから食べて欲しいんだ?」

 

「じゃあ凛たちから行っくにゃー!!」

 

「私たちが作ったんだから感謝しなさいよね?」

 

「じゃあ、壮大くん召し上がれ♪」

 

まずは1年生組のお弁当。

 

バスケットの蓋を開けると…、

 

「「「「「「おぉー!!!」」」」」」

 

キレイに彩られたサンドイッチが顔を覗かせた。

 

BLTやタマゴ、男子高校生の胃袋にとって大きな味方であるカツサンドまで用意されていた。

 

……けど、

 

「ちょっと……多くね?」

 

明らか一人で食べるには多すぎる量が入っている。

 

「壮大くんが食べ切れなかった分はみんなで食べようかなって思ったんだけど……」

 

花陽ちゃんの声が語尾に近付くほどだんだん小さくなっていき、両人差し指をツンツン合わせ始める。

 

「そうだな。それじゃみんなで食べよっか?」

 

 

 

 

サンドイッチをみんなで分け合って、腹が減っていたオレはみんなより多くサンドイッチを食べたけどまだまだオレの腹は満たされていない。

 

「じゃあ次は……」

 

「にこたちよ!!」

 

「壮くん、いーっぱい食べてなー♪」

 

お次は3年生。

 

大きめの弁当箱を開けると、

 

「「「「「「「お~」」」」」」」

 

唐揚げやエビフライを始め、大量に並べられた卵焼きやアスパラベーコン巻き、さらにはカットされたフルーツに一口サイズのおむすびなどが出てきた。

 

「これ手間かかったんじゃないですか?」

 

「当たり前じゃない。スポーツ選手は食が基本なんでしょ?私たちのことを気にしなくていいから好きなだけ食べて?」

 

絵里ちゃんがウィンクをしながら食べることを促し、オレはその言葉に甘えてまずは卵焼きに箸を伸ばし、頬張った。

 

「んっ……。この卵焼き甘い……?」

 

「もしかして甘い卵焼きダメだった?」

 

卵焼きを作ったのは絵里ちゃんのようで、少し不安げな表情。

 

もしかしてこの大量の卵焼きは甘い物と甘くない物の両方あるのか……?

 

「まさか!甘いのも甘くないのもどちらもイケますよ?」

 

「よかったぁ……」

 

絵里ちゃんの表情が一気に緩む。

 

甘くない方の卵焼きに箸を伸ばそうとしたところで……、

 

『それでは間もなく午後の競技に移りまーす!』

 

「……」

 

アナウンスが流れた。

 

ちっきしょぉぉぉお!!!!

 

もうちょっとだけ昼メシ食わせてくれたっていいじゃねぇかよぉぉぉお!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

『トラック種目最初の決勝種目は男子100M!なお、トラック種目の決勝種目のみスパイクの使用が許可されていまーす!はたして一体誰が優勝……ヒィッ!?』

 

『ど…、どうしましたか?』

 

『いえ、予選をトップ通過した松宮選手なのですが……凄まじい覇気を纏ってスタートラインに並んだものでして……』

 

何か実況・解説席が何か喋っているみたいだが、オレは今それどころじゃない。

 

大した量の昼メシを食べずに競技再開になってしまったので、オレの腹の虫が『もっとメシ食わせろ』と鳴きまくっている。

 

『On your marks……』

 

オレは空腹に伴う集中力を研ぎずませていく。

 

『Set……』

 

視界に映るスターターの人指し指がピストルのトリガーに力が入るのが分かった。

 

そして、ピストルの音が鳴ったのと同時に脚の力全部使ってフィニッシュライン上の平行に伸びているゴールテープを切った。

 

結果はもちろん優勝だ。

 

続く200M決勝、4×100Mリレー、と自分が走る種目で空腹の憂さ晴らしと言わんばかりに走り切った。

 

そして立華高校体育祭の最終種目、4×400Mリレーを残すのみとなった。

 

 

 

 

~Side 高坂 穂乃果~

 

『今年の立華高校体育祭も残す種目は1つ!4×400Mリレーを残すだけとなりましたー!!』

 

「何だかそーくん午前中よりも凄み増してないかな……?」

 

ことりちゃんが苦笑いしながらグラウンドの方向に目を向けた。

 

ここまでそーちゃんが出る種目全てぶっちぎりのタイムを叩き出して、1位になっている。

 

そして何よりそーちゃんの状態なんだけど…、

 

『松宮選手の様子ですが、何やら時間が経つにつれてドンドン人間を辞めていっているような印象を受けるのですがどう思われますか?』

 

『先ほど松宮選手と同じクラスの人に話を聞いたところ、午後の部に入ってからずーっと野獣の眼光で「昼メシ昼メシ昼メシ昼メシ…………」と延々と呟いているらしいですよ?』

 

餌に飢えた野性の肉食動物みたいな状態になっているようだった。

 

遠くから見ても今のそーちゃんに話し掛けるのは危険だというのがよく分かる。

 

放送をしている人が合図を出し、スタートのピストルが鳴ったのと同時に応援の声援が爆発した。

 

「壮くんたちのクラスは今何位くらいなんかなぁ……?」

 

「どうでしょうか…?確かに壮大のクラスメイトも十分に速いのですが……」

 

希ちゃんと海未ちゃんがそーちゃんのクラスの第1走者に目を向けている。

 

順位的に……よくて5位と言ったところなのかな?

 

第2走者、第3走者とバトンを繋いでも順位は変わらず……、

 

そして……、

 

「壮大にバトンが渡ったわよ!」

 

絵里ちゃんの声と同時にそーちゃんがバトンを受け取り、グングン加速していく。

 

トップスピードに乗ったそーちゃんは前を走っていた人を一人、二人と交わしていく。

 

そしてみるみるうちにトップ争いをしていた2クラスに……!

 

「追い付いた!?」

 

「壮大……すごいわね!!」

 

Side out

 

 

 

残り150Mのところでトップグループに追い付いた。

 

だがこの2クラスのアンカーは……部長のクラスと副部長のクラスだ。

 

「ようやく来たか!」

 

「……遅かったな」

 

2人は話す余裕が残されているが、オレは追い付くために相当ペースを上げて走ってきたので息が上がっていて脚に鉛をつけているような重さすらある。

 

引き離されないように必死に脚を動かすが、オレの脚は言うことを聞いてくれない。

 

離される……!!

 

クソッ!!ここまで来たって言うのに……!!

 

「そーちゃーーーん!!!」

 

!?……穂乃果!?

 

「まだレースは終わってないにゃぁぁあっ!!!」

 

凛ちゃん!?

 

……そうだ!!

 

まだレースは終わっちゃいねぇ!!

 

「ぐっ……!うおぁぁぁぁあっ!!!」

 

オレは最後の力を……、最後の一滴を振り絞るように脚を動かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉会式も終わり、立華高校の生徒がゾロゾロと帰路についている頃。

 

オレはようやく昼メシにありつけることができた。

 

けど……、

 

「負けた……」

 

「そーくん惜しかったにゃ!あと少しで勝てたのに!」

 

「そうだよ!そーちゃんが1番速かったよ!!」

 

穂乃果と凛ちゃんが慰めてくれるが、負けた悔しさは消えない。

 

あと少し…!

 

あと少しで勝てたのに力及ばず3位という結果で終わった。

 

たかが体育祭で何もそこまで……と思うかもしれないが、走るからにはやはり勝ちたい。

 

「壮大」

 

オレの名前を呼びながら、肩に手を置かれた。

 

「よいではありませんか。負けたとはいえあなたはベストを尽くした。なら必要以上に悔しがる必要は無いと思いますよ?」

 

「海未……」

 

「そうよ。たかだか体育祭と思ってたけど今日のあんた、すごくかっこよかったわよ?」

 

「にこちゃん……」

 

「そーくん!」

 

後ろからことりの声が聞こえたので、後ろを振り向く。

 

「ことりたちが作ったお弁当、好きなだけ食べて?」

 

そういって開けられたお弁当箱の中身は、豚肉と白菜のミルフィーユ蒸しに棒々鶏、パスタなどと言ったほぼ全てオレの好物ばかり入っていた。

 

「これ…、オレ一人で食っていいのか?」

 

「うん♪そーくんのためにいーっぱい作ったんだー!!だから遠慮なく食べちゃってくださいっ!」

 

オレはことりからお弁当箱を優しく奪い取り、空腹を満たすように一気に食べ始める。

 

「ぐっ!?肉が……!喉に……!?」

 

「あぁもう!!そんなに掻き込むからです!」

 

「水……!水を……くれ……!!」

 

「はい!お水です!」

 

オレは花陽ちゃんから受け取ったコップを一気に煽る。

 

喉に詰まった肉が異に流れていくのを確認して、一息つくとみんな笑っていた。

 

「……どしたの?みんなして笑って……?」

 

「いやぁ……」

 

「少し前までまたこうして笑えるなんて……」

 

「夢にも思っていなかったもので……」

 

「これもみんな……、みーんな!!」

 

「壮大くんのおかげだね」

 

「まったく……、昔っから不器用なんだから」

 

「まっ!その不器用に救われた私たちも大概なんだけどね!」

 

「でも、うちは信じとったよ?壮くんがμ'sを救ってくれるって」

 

「何もかも壮大のおかげよ!……だから」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「ありがとう!!そーちゃん(そーくん)(壮くん)(壮大)!!!!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

まさかメンバーからこのタイミングでお礼を言われるなんて思ってもみなかった。

 

だからオレは……、

 

 

「……どういたしまし…、て?」

 

 

何ともハッキリしない返し言葉しか出てこなかった。

 

 

 




そういえばそろそろツール・ド・フランスが始まりますね。

5月に新城選手が転倒による怪我をしていたから、今年は日本人選手の出場はあるのかなぁ……

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