ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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The 4th Chapter もう一度ラブライブへ!
第38話 もう一度夢舞台へ…!?


10月最初の出校日。

 

2期制の音ノ木坂学院は、僅か数日の秋休みを挟んで後期に向かっていくその初日。

 

音ノ木坂学院の全校生徒、全先生は講堂に集まっていた。

 

そのステージの壇上にて音ノ木坂学院理事長である南理事長は全校生徒に向けた挨拶をしていた。

 

『理事長、ありがとうございました。続いて生徒会長、挨拶』

 

μ's結成当初からサポートをしてくれている『ヒフミトリオ』の一人、ヒデコのアナウンスが場内に流れる。

 

それを受けて静かに立ち上がる生徒が一人。

 

その生徒とは、音ノ木坂学院の『元』生徒会長である絢瀬 絵里。

 

絵里はみんなの注目の的になるが、絵里は構わず一人拍手を贈る。

 

静かな講堂に響き渡る拍手を受け、2年生の証しとも言える赤基調のリボンを首元に身に付けた一人の少女が壇上に姿を現した。

 

その少女の背中を見守るように見つめる2人の少女…、園田 海未と南 ことりの姿があった。

 

そして『生徒会長』と呼ばれた少女のスピーチが始まった。

 

『みなさん!こんにちは!!』

 

その二言だけで沸き立つ講堂。

 

『この度生徒会長になりました!スクールアイドルでお馴染み!!』

 

すると、マイクスタンドからマイクを取ったかと思うと高く真上に放り投げる。

 

ゆっくり回転しながら落ちてきたマイクをキャッチしてから…、

 

 

 

『高坂 穂乃果です!!!』

 

 

高らかに自分の名前を宣言した。

 

 

 

 

 

そして、穂乃果が生徒会長としてのスピーチをしているほぼ同じ頃、立華高校では……。

 

「くぁぁあ……」

 

オレは教室内で盛大な欠伸を隠すことなく漏らす。

 

理数系の科目なら予習や復習を繰り返し、ようやく理解できるのだが今の授業は日本史のちょうど幕末から明治初期の時代の授業だ。

 

日本史や世界史、地理といった社会系の暗記科目は得意でありほとんど暗記をしているからオレとしては暇をもて余しているところなのである。

 

最近少し疲れているので寝たいのだが、教壇に立っている先生は野球部の監督さんでもあるので迂闊に寝たらその鉄砲肩から放たれるチョークの餌食になってしまうので、ただただ授業が終わるのを待つしかない。

 

欠伸を漏らしてから10分ほど経ち、ようやく授業終了のチャイムが鳴った。

 

授業が終わると同時に数人引き連れてトイレに行く者や友達と他愛のない雑談をし始める者、さっきの授業で少し分からないところを先生に聞きに行く者など様々だ。

 

オレはというと…、

 

「松宮くん、ちょっといいかな?」

 

「ん?どうした?」

 

隣の席に座る女子バスケ部のエースの神谷さんに話し掛けられた。

 

「次の英語の時間までやってこいって言われていた宿題なんだけど、ちょっと分からないところがあったから松宮くんのノート見せてもらっていいかな?」

 

「いいよ。……はい」

 

「ありがとう!」

 

オレのノートを笑顔で受け取った神谷さんは、一番最新のページを探し出すと左手に持つシャーペンを一気に動かし始めた。

 

手はめちゃくちゃ早く動かしてるけど、ノートに残る文字はとてもキレイだ。

 

いつまでも神谷さんの手を見ているわけにもいかないので、次の時間の授業である英語の教科書を取り出そうとしたらポケットの中に突っ込んでいたスマートフォンが震動した。

 

何事かと思い、スマートフォンを引っ張り出し電源ボタンを押すとヤポーニュースだった。

 

普段なら特に気に止めるわけでもなく、フリックするところなのだが今回ばかりはそういうわけにもいかなかった。

 

『第2回ラブライブ開催決定』という文字がそこにあったから……。

 

 

 

 

 

 

~Side 西木野 真姫~

 

 

放課後、生徒会長挨拶にてマイクを放り投げるパフォーマンスをしたのはいいが後が全く続かなかった穂乃果が生徒会室で海未にこってり絞られている中、私と凛と花陽とにこちゃんの4人は一足先に屋上に来ていた。

 

「いい?特訓の成果を…、見せてあげるわっ!」

 

凛と花陽に背を向けるような形で立っているにこちゃんは、振り向いた。

 

 

「にっこにっこにー!あなたのハートに、にこにこにー!笑顔を届ける矢澤にこにこー!あっ!ダメダメダメー!にこにーはみーんなのモ・ノ♪」

 

 

 

「気持ち悪い……」

 

聞くに耐えない方向に進化していたにこちゃんの『にっこにっこにー』をバッサリ切り捨てる。

 

「なによー!昨日一生懸命考えたんだからーっ!!」

 

「知らない……」

 

地団駄踏んでいるにこちゃんには悪いが、本当に知ったこっちゃない。

 

それに昨日今日思い付いた特訓って特訓て言わないんじゃない……?

 

「それに4人でこんなことして意味なんてあるわけ?」

 

「あんたたちは何も分かってないわね……。これからは1年生が頑張らないといけないのよ!?」

 

そういうとにこちゃんは慣れた手つきでビデオカメラと三脚をセットし始めた。

 

「いい?私はあんたたちだけじゃどう頑張ればいいのかわからないだろうと思って手助けにきたの。先輩として!」

 

最後の一言がやけに強調されているのは気のせいなのだろうか……。

 

「……そのビデオは?」

 

「何言ってるの。ネットにアップするために決まってるでしょ?今やスクールアイドルもグローバル!全世界へとアピールしていく時代なのよ!?ライブ中だけでなく日々レッスンしている様子もアピールに繋がるわ!!」

 

と言うと何故かにこちゃんは後ろを向き、何やらボソボソと呟き始める。

 

「ぐふふ……。こうやって1年生を甲斐甲斐しくみているところをアピールすれば、それを見たファンの間に『にこにーこそセンターに相応しい』との声が上がり始めて、やがて……」

 

「全部聞こえてるにゃー……」

 

「な゛ぁっ!?……に、にこっ♪」

 

にこちゃんの本当の狙いが全て声に出ている事を凛にツッコまれると、にこはいつものにこちゃんのポーズを取りながら笑って誤魔化そうとしていた。

 

ホントに、この人は……。

 

だからにこちゃんは凛や穂乃果に先輩として見られなかったのよ……。

 

一人小さくため息をついてると、いつも貴重品を置いているところから誰かの着メロが鳴った。

 

「あ…、私のケータイだ……」

 

「ちょっとー…、これから練習なんだから電源切るかマナーモードかにしときなさいよー」

 

花陽はにこちゃんに謝りながら、ケータイを操作してメールフォルダを開くと、目を見開いて驚きの声を上げたかと思うとカタカタ震え始めた。

 

「かよちん?どうかしたの?」

 

「ウソ……!そんな……、そんなことって……!!」

 

花陽は凛の言葉が聞こえていないのか、返事をせずに屋上から走り去ってしまった。

 

取り残されそうになった私たちはすぐに花陽の後を追いかけると、辿り着いた先はアイドル研究部の部室。

 

「夢……。夢なら夢って先に言って!!!」

 

部室に入るや否や、部室のパソコンでキーボードを高速で叩き何やら調べ物をする花陽。

 

「まったく…、なんなのよ、もう!」

 

「凛はこっちのかよちんも好きにゃー!!」

 

「えぇぇぇぇえっ!?」

 

いきなりにこちゃんの叫び声がしたのでビックリした私と凛は、叫び声が聞こえた方向を向いた。

 

するとにこちゃんは花陽が何を調べているのかといった様子で、肩越しにパソコンの画面を覗き込んでいた。

 

にこの叫びに気になった凛と私も続いて覗き込むと、信じられないものがそこには写っていた。

 

そして私たちは部室を飛び出し、まずは生徒会室へ向かった。

 

「穂乃果!」

 

「あ、矢澤先輩」

 

生徒会室にいたのはイスに寄り掛かるようにファッション雑誌を読んでいたヒデコ…、さんだった。

 

「穂乃果はどこ!?」

 

「穂乃果なら教室の方が事務作業が捗るからーってそっちへ行きましたけど……」

 

「分かったわ!ありがとう!」

 

 

 

 

「穂乃果ちゃん!!」

 

「あ、凛ちゃん。どうしたの?」

 

続いて向かった先は穂乃果たちのクラスの教室。

 

そこにはフミコ…、さんと2年生の人が教室で雑談に花を咲かせていた。

 

「穂乃果ちゃんは!?」

 

「どうしても身体を動かしたいからって屋上へ行ったよ」

 

「ありがとうだにゃ!!」

 

 

 

 

「穂乃果!!!」

 

「あ!真姫ちゃん!」

 

再び屋上へ行くとミカ…、さんと他2人が座っていた。

 

「あの…!穂乃果は!?」

 

「お腹すいたから何か食べてくるって♪」

 

「ありがとう…、ございます!」

 

 

 

 

途中は花陽がアルパカに何処に行ったかを話しかけ、中庭の方に行ったという電波を拾ったことに驚きつつも中庭に行くと…、

 

「いやー!今日もパンが美味いっ!」

 

いつもの2枚入りのパックに入ったパンを頬張っている穂乃果がいたが、凛を除く3人は全力で校内を縦横無尽に走り回ったので、疲れてしまった。

 

「少しは…、落ち着きなさいよ……」

 

今回ばかりはにこちゃんに同意するわ。

 

 

 

アイドル研究部へ戻る際に海未やことり、希にエリーを見掛けたので一緒に部室へ行く。

 

「もう一度…、あるわよ!」

 

「もう一度…?」

 

「もう一度?」

 

「もう一度!?」

 

「ラブライブが!?」

 

にこちゃんがもう一度あると言い、海未とことりはピンと来なかったが希とエリーには伝わったようだ。

 

「そう!A-RISEの優勝と大会の成功をもって終わった第一回ラブライブ!それが何と何と…!その第2回大会が行われることが早くも決定したのですっ!!!」

 

花陽が勢い良く言い、スマートフォンによる公式サイトを開いて海未たちに見せる。

 

「えぇっと…?今回は前回を上回る大会規模で会場の広さも数倍。ネット配信の他にライブビューイングも計画され、大会規模の大きい今度のラブライブは前回のランキング形式ではなく、各地で予選が行われ、各地区の代表になったチームが本選に進む形式に変更…?」

 

「つまり、人気投票による今までのランキングは関係ないということですか?」

 

ことりが今大会より変更されたルールを読み上げ、海未が質問する。

 

「その通り!これはまさにアイドル下克上!ランキング外の者でも予選のパフォーマンス次第で本大会に出場出来るんです!」

 

質問に答えるだけでなく、そここらさらに補足するように花陽が勢い良く話す。

 

「……やらない手はないにゃー!」

 

「いいやん!面白そうやん!!」

 

「よーし!じゃあラブライブ出場に向けて……」

 

メンバーがそれぞれやる気に満ち溢れ、ことりが頑張ろー!と続けようとしたが…、

 

「待って!」

 

エリーがことりに待ったをかけた。

 

「地区予選があるって事は……私たち、A-RISEとぶつかるんじゃ…」

 

するとメンバーみんな頭を抱える。

 

花陽に至ってはショックを受け、涙を流すほどだったが海未や希を筆頭に諦めるにはまだ早いとメンバーみんなを立ち直らせるが、ここである違和感に気づいた。

 

「はぁ…」

 

穂乃果は今までの話し合いに一切参加せずに、イスに座ったままノンビリとお茶を啜っていた。

 

いつもの穂乃果ならみんなの先頭に立ってみんなのやる気を奮い立たせるはずなのに……。

 

「……穂乃果?」

 

そんな穂乃果を見かねたエリーが問いかけると…、

 

 

 

 

「出なくても……、いいんじゃないかな?」

 

 

 

 

メンバーの中で唯一不参加の意思を見せた。

 

 

 

 

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