ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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第40話 再び合宿へ

午前中に授業が終わり、普通なら5・6時間目の時間帯に部活の練習が終わったので久し振りに音ノ木坂の敷地に入りみんなが屋上で練習をしているなか、オレは屋上の隅っこでノートパソコンを使って情報を集めていた。

 

前回のラブライブに出場したグループがどの都道府県にいるのかとか、ダンスや歌のクオリティー、そして歌う楽曲の傾向など……だ。

 

粗方情報が集まったところで、一旦ノートパソコンを置いて背筋を伸ばす。

 

背中がバキバキ鳴らし、立ち上がろうとしたところで新しい情報がメールとして受信した。

 

「ん?また新しい情報更新か?……!!みんな、大変だ!」

 

そのメールの内容を確認した、オレは急いでみんなを集める。

 

「ちょっ!?いきなりどうしたのよ!!」

 

ダンスのリズムを取っていた絵里ちゃんが驚き、それに反応したみんながオレの回りに集まった。

 

「たった今更新された情報なんだが、ラブライブの予選で発表する曲は未発表のものに限定されるそうだ!」

 

「「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」

 

「それじゃあ今まで曲は使えないって事!?」

 

「そう言うことだ」

 

今日まで発表された曲…、ファーストライブや再結成時の際に使用した『START:DASH!!』プロモーションの『これからのsomeday』、オープンキャンパスで使用した『僕らのLIVE君とのLIFE』、秋葉原ゲリラライブで使用した『Wonder zone』、学校祭で使用した『No brand girl』が今回のラブライブでは予選本戦共に使用不可ということ事になる。

 

「どういう事よ!?」

 

メンバーの中で最も驚きの表情を見せているにこが、オレに詰め寄る。

 

「何でも参加希望チームが予想以上に多いらしくて。さっきオレも情報収集で見たんですが、前回のラブライブ出場チームや今回エントリーに名乗りを上げているグループの中にはプロのアイドルのコピーをしてるグループもあるみたいなんです」

 

「つまり、この段階でふるいにかけようってわけやね」

 

「そんな〜!」

 

それを聞いた凛ちゃんは困った顔をしてそう言った。

 

確かにこのルールは痛すぎる。

 

元々披露していない楽曲のストックがたくさんあるグループや、最初っから1次予選で新曲を披露するというのなら別に問題はないのだろう。

 

「海未、真姫。新曲の方なんだけど……」

 

話を新曲の話へと持っていき、μ'sの作詞・作曲担当の2人を見るが2人共揃って首を横に振った。

 

2人の無言の答えに、全員が考えを巡らせる。

 

「一体どうしたら……」

 

「どうするって、そりゃあ決まってるだろ?新曲が出来上がってないと言うのなら……」

 

「作るしかないわね……」

 

無茶振りだというのは分かっているが、今はそれしか最善の答えは見つからない。

 

考えてる途中でにこちゃんが自分が作詞したという『にこにーにこちゃん』を使うしかないとか言ってたけど、もちろん却下だ。

 

「でも、どうやって?」

 

「「真姫!!」」

 

海未が方法を聞いてきたので、奇遇にもオレと絵里ちゃんの考えが一致したのか真姫の名前を呼ぶ声がハモった。

 

「……もしかして?」

 

「あぁ…、」

 

「えぇ…、」

 

絵里ちゃんが謎の動きを挟んだ後、ポーズを取ったのでオレもその動きに合わせて絵里ちゃんの後ろで某奇妙な冒険の登場人物がよくやっているポーズを取る。

 

 

 

「「合宿だぁぁあ(よぉぉお)!!!」」

 

 

 

 

 

 

と言うわけで、合宿地へ移動している電車の中。

 

夏の時は海だったのだが、今回は何と山。

 

山の近くは10月ともなると冷えるので、みんかそれなりの防寒対策をしてきている。

 

1つだけ気になる要素と言えば、海未の手荷物。

 

今回は本当に急に決まった合宿だしそれほど長くは宿泊できないが、それを差し引いても荷物が大きいというか……重そう。

 

登山用のポールも持ってきているのが見えたので、まさかとは思うが時間が出来たら山に登るつもりなのか?

 

「そーくん!凛たちとトランプでもやらない?」

 

移動の時間は特に何もやることも無いので、オレは二つ返事で凛ちゃんたちとトランプをやることにした。

 

っていうかそのトランプ……新品じゃね?

 

 

 

 

 

「そう言えば壮大さんって普段学校ではどんな感じで過ごしているんですか?ヒット」

 

「いつも凛たちのサポートしてるのはありがたいんだけど、練習とかは大丈夫なのかにゃ?ヒット」

 

「あぁ、それなら大丈夫だ。立華は基本的には授業は午前中だけで、午後は部活とかに時間を割いているんだ。スタンド」

 

「今日合わせて3日も部活に顔を出さなくても大丈夫なの?」

 

「ちょうどグラウンドのトラックの張り替え作業で3日間休みになったんだ」

 

花陽ちゃん、凛ちゃん、オレ、真姫の4人一組に座ってブラックジャックをやっていて、今回のディーラーは言い出しっぺの真姫だ。

 

凛ちゃんがヒット…カードをもう1枚要求し、オレと花陽はスタンド……カードを引かずにその時点での点数で勝負することにする。

 

場に出されたカードは流され、真姫をディーラーに立てたゲームは次で最後。

 

真姫がカードを配り、ディーラーの場に出されたカードが2枚目に配ったカードオープンされる。

 

オープンされたカードはダイヤのジャック。

 

「ヒット」

 

「……ヒット」

 

自分の場に出されたカードを確認した凛ちゃんと花陽ちゃんはヒットをコール。

 

真姫の手によって追加のカードが配られる。

 

「壮大、あなたはどうするの?」

 

「スタンド」

 

「にゃっ!?」

 

オレはカードを見ずにスタンドをコール。

 

それを見た凛ちゃんは驚きの声を上げた。

 

「壮大さん?まさか戦意喪失……とか?」

 

「……なぁ、真姫?」

 

「な…、何よ?」

 

「ブラックジャックとはプレイヤーが有利に展開できる少し特殊なゲームだ。ディーラーの立場にある人は自分の手が17以上になるまでカードを引かなければならず、17以上になったらその後は追加のカードを引くことはできないってのは勿論知っているよな?」

 

「えぇ、勿論。それがどうかしたのかしら?」

 

まさか揺さぶってるつもりなの?と聞く真姫だったが、揺さぶってるつもりは毛頭ない。

 

「つまりこの4人の中で最もバストする危険性が高いのがディーラーであるお前だ。なのにここまで1度もバストをしていない。……大した運の持ち主だな」

 

「……さぁ、カードオープンと行きましょうか?」

 

話の空気を強引に変えるようにカードオープンをコール。

 

凛ちゃんは18、花陽ちゃんは17、真姫が20となった手札をオープンする。

 

「勝負あったわね……」

 

オレは頭を抱えながらカードをオープンする。

 

スペードのエースとダイヤのキング。

 

合計で21……、オレの勝ちだ。

 

「すごいにゃ……、そーくんの1人勝ちだにゃ」

 

「でも、何で手札を見ずに……?」

 

感心する凛ちゃんと何故勝てたのか疑問に思う花陽ちゃんを見てから、溜め息をついてカードを纏めている真姫が口を開いた。

 

「壮大…あなた、カードカウンティングを使ったわね?」

 

「そういうお前こそフォールスシャッフルしてたクセに……」

 

「カード……カウンティング?」

 

「フォールスシャッフル?」

 

いまいち分かっていない凛ちゃんと花陽ちゃんだったが、オレに代わって真姫が2人に説明し始める。

 

まずはフォールスシャッフル。

 

カードを使用したマジックなどで使用される技法の1つで、観客にはシャッフルしているように見せ掛けて実はカードの順番が全く変わっていないシャッフルのことだ。

 

そして次はカードカウンティング。

 

カードカウンティングとは、場から流れていったカードを記憶し、まだ未使用の山の中にどのようなカードがどれほど残されているかを読む戦術だ。

 

出てしまったカードがエースおよび10や絵札ならば、1枚につきマイナス1点。

 

7、8、9ならば0点。

 

2、3、4、5、6はプラスの1点とし、それらをプレーの最中に刻々と合計していくという手法だ。

 

ただし、カードカウンティングを実行するには自分の視線には細心の注意を払わなければならないのだが、遊びでやる分には問題はない。

 

だって遊びでやるのにカードカウンティングをしているかどうかディーラーの人がそこまで注意して見ることなんて余程の事が無い限りないでしょ?

 

「……と言うわけよ」

 

「全っ然気付かなかったにゃ……」

 

「私も……です」

 

「相手が悪かったとしか言いようがないな…。おっと、そろそろ降りるところみたいだからオレは自分の座席に戻るわ」

 

手荷物を取りに自分の座席に戻った。

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~、きれ~い!!」

 

「ん~!空気が澄んでて気持ちええなぁ……」

 

ことりとのんちゃんが長時間に渡る移動で固まった体を伸ばしながら言う。

 

「やっぱり真姫ちゃん凄いにゃー!こんな所にも別荘があるなんて」

 

「歌も上手いし、完璧だよねっ」

 

「べ、別に完璧なんかじゃないわよ……」

 

凛と花陽が真姫にいうと、真姫は照れた表情で顔を逸らす。

 

数ヶ月前の真姫なら照れ隠しにツンデレのツンの部分を強調した言葉が出て来ていたはずだから、真姫もμ'sに関わっていく過程で成長したんだなぁ……と一人感傷に浸る。

 

「あの、早く移動しようぜ?」

 

「そうね。時間も無いし……」

 

時間もないので早く真姫の別荘に行くことを提案し、絵里ちゃんが便乗したところで……

 

ーーードスンッッ!!!

 

「その通りです」

 

登山用のバッグをホームに降ろした海未が同意した。

 

いや、その荷物そんなに重いの?

 

「海未ちゃん……その荷物は?」

 

「なにか?」

 

ことりが海未の荷物を見てから聞くが、海未は至極当然だと言わんばかりに聞き返す。

 

「ちょっと……多くない?」

 

「山ですから。むしろみんなの方こそ軽装すぎませんか?」

 

絵里ちゃんの言葉に山だからと返してバッグを背負う。

 

「さっ!早く行きましょう!山が私を呼んでいますよー!」

 

あっはははー!と目を輝かせながら、誰よりも先に改札口を通って駅の外に出た。

 

「海未って…、登山マニア?」

 

「いや、知らないです……」

 

にこちゃんの言葉を聞いていたオレと絵里ちゃんは、夏合宿の時に海未が考案した練習メニューを思い出し、苦笑いをする。

 

まさかみんなで登山!とか言い出したりしないことを祈りつつ、駅の改札口を出ようとする。

 

「あれ?」

 

「どうしたの?」

 

オレより前にいた凛ちゃんが後ろを振り向き、その行動に疑問を持ったことりが心配する。

 

「何か…、足りてないような……」

 

「忘れ物?」

 

凛ちゃんの言葉がオレの中で引っ掛かった。

 

しゃがみこんで先に改札口を出た海未と真姫とのんちゃんと絵里ちゃんとにこちゃん、まだ改札口から出ていないオレと凛ちゃんとことり……。

 

「なぁ、ことり?」

 

「なに?そーくん」

 

オレはここで1つの疑問をぶつけてみた。

 

 

 

「穂乃果、どこ行った……?」

 

 

 

 

 

 

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