ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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第41話 ユニット作戦、スタート!

「弛みすぎです!!」

 

「だって!みんな起こしてくれないんだもん!!」

 

オレたちが降りた駅とその次の駅の間で目が覚めたらしい穂乃果は、バスを使ってオレたちがいる駅に辿り着いて早々に海未からお叱りを受けており、そのお叱りに反発する。

 

「酷いよっ!」

 

穂乃果は手を身体の前でギュッとして涙目になる。

 

「ごめんね?忘れ物があるかどうか確認するまで気が付かなくて……」

 

ことりが穂乃果に謝る。

 

けど穂乃果はあくまで人間であって物ではないからな?

 

「はいはい、ケンカはそこまでだ」

 

「壮大……」

 

穂乃果と海未の間に入り、言い争いを止めさせる。

 

「確かに降りるところなのに起きなかった穂乃果も悪いが、それに気が付かなかったオレたちも悪い。だからここはお互い様ってことにしないか?」

 

「それもそうですね……」

 

「わーい!そーちゃんありがとー!!」

 

肩を竦めて自らの非を認める海未とケンカを仲裁してくれたことに喜びオレに抱きつこうとする穂乃果。

 

オレはその穂乃果を何とか引き剥がし、予定より遅れてしまったが真姫の別荘へ向かう事となった。

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「おぉ~……」」」」」」」」」

 

案内され、辿り着いた先は夏合宿時にお世話になった別荘と遜色無いくらいの大きさの別荘が建っていた。

 

「ひゃ~…」

 

「相変わらずすごいわね……」

 

穂乃果と絵里ちゃんが別荘の大きさに感心していて、真姫の横に立っているにこちゃんがまたしてもぐぬぬっていた。

 

そしてリビングに向かったオレたちに待ち受けていたものはリビングにあるグランドピアノ、シーリングファン、暖炉を見て穂乃果と凛ちゃんは暖炉へと駆け寄った。

 

「凄いにゃー!初めて暖炉みたにゃー!!」

 

「凄いよね~、ここに火を…」

 

「点けないわよ?」

 

「「えぇ~!?」」

 

真姫の言葉に穂乃果と凛ちゃんが不満そうに真姫を見る。

 

「冬ならともかく、まだそんなに寒くないだろ?」

 

「そうよ。それに冬になる前に煙突を汚すとサンタさんが入り難くなるってパパが言ってたの」

 

「パパ……」

 

「サンタ、さん……」

 

真姫の台詞に穂乃果と凛ちゃんは顔を見合わせる。

 

意外かも知れないが、真姫はある意味ピュアに育てられたので高校生になってもサンタクロースの存在を信じている。

 

オレはサンタクロースの存在についてどうなのかって?

 

小さい頃にガチなサンタクロースを見たことがあるが、プレゼントの事を聞いてみたら夜中に家に侵入したら不法侵入になってしまうから子どもの両親に渡しているって言っていた。

 

故にオレはサンタクロースの存在を信じている。

 

「素敵!」

 

「いいお父さんですね」

 

ことりと海未も笑みを浮かべて真姫に言う。

 

真姫はそれに笑顔で頷いた。

 

「この煙突はいつも私がきれいにしていたの。去年までサンタさんが来てくれなかった事は無かったんだから」

 

そう言うと穂乃果と凛ちゃんと一緒になって暖炉の中を覗く。

 

すぐ目の前にはチョークを使って筆記体でThank you!という文とサンタと雪だるまの絵が描かれていた。

 

しかもめちゃくちゃ上手い。

 

「……これ真姫が書いたのか?」

 

「えぇ、そうよ」

 

フフン、と鼻で笑いながら少しだけドヤ顔をする。

 

そこににこちゃんが笑いを堪えた声が聞こえる。

 

「プププ……、あんた…」

 

様子がおかしいことを察したオレたちはにこちゃんを見る。

 

「真姫が…、サンタ……」

 

「にこ!」

 

「にこちゃん!!」

 

にこちゃんのもとに絵里ちゃんと花陽ちゃんが詰め寄り、絵里ちゃんがにこちゃんの肩を思いっきり掴んだ。

 

「痛い痛い痛い!何すんのよ!」

 

「ダメだよ!にこちゃん!それ以上言うのは重罪だよ!」

 

「そうにゃ!真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!!」

 

にこちゃん以外のみんなが一丸となって真姫を庇い始める。

 

庇われている真姫はキョトンとしていて、事の重大さを理解してはいないようだった。

 

「だってあの真姫よ!?あの真姫が……!!」

 

「にこちゃん?」

 

「何よ?……ヒィッ!?」

 

オレの顔を見たにこちゃんは小さく悲鳴を上げた。

 

何を怖がっているのだろうか。

 

オレはただ笑ってるだけなんだがな……?

 

「これ以上幼馴染の夢を汚すと言うのなら…、」

 

一度言葉を区切り、笑顔を完全に消してにこちゃんの前に立ちはだかる。

 

「いくらにこちゃんでも容赦しねぇぞ?」

 

「は、はい……」

 

にこちゃんは何も言わずに肯定の返事を返してくれた。

 

「はいっ、よろしい」

 

これでピュアに育った幼馴染の夢が守れたというのなら安いもんだ。

 

 

 

 

 

 

「さぁっ!まずは基礎練習から始めるわよ!」

 

絵里ちゃんたちは別荘から少し離れた場所の芝生の上で練習を始める。

 

オレが絵里ちゃんたちに連いて来たのはいいのだが、練習しているところにいてもやれることはそんなに無いと思ったので別荘に戻る。

 

別荘に入ると無音の世界が広がっていた。

 

無闇に邪魔するのは悪いと思ったオレは何気無くリビングへと入った。

 

「……ふぅ。あら、戻ってきてたの?」

 

「まぁな。みんなのところにいてもやれることなんてあまり無いし……」

 

そこにはグランドピアノに備え付けられているチェアに座り、楽譜とペンを太ももの上に乗せて溜め息をつく真姫がいた。

 

チラッと見えたのだが、楽譜はほとんど真っ白だった。

 

「それより、コーヒーか紅茶淹れてやろうか?」

 

「そうね…。紅茶をお願いしようかしら?キッチンならリビングを出て左に突き当たった場所にあるから」

 

「おう。少し待ってろ」

 

キッチンに入り、お湯を沸かしているとふとスマートフォンが鳴り出した。

 

「……絵里ちゃん?」

 

一旦火を止めて、電話に出る。

 

「もしもし?」

 

『壮大!?今あなた何処にいるの!?』

 

電話越しに聞こえる絵里ちゃんの声はとても切羽詰まっている様な感じだ。

 

「今別荘のキッチンですけど…、どうかしたんですか?」

 

『実は凛とにこが川に落ちてしまったの』

 

「はい!?」

 

衝撃の事実に驚きの声を上げることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

凛ちゃんとにこちゃんは身体を暖めるためシャワーを浴びてきて、紅茶を淹れるために沸かしていたお湯を使ってお茶を出す。

 

「何があったんです?」

 

「実はにこっちのリストバンドが野性のリスに取られちゃって……」

 

「リスは途中で落とした落としたんだけど、それを取ろうとして足を滑らせて崖まで止まれなかったみたいで……」

 

のんちゃんと花陽ちゃんが事情を説明してくれた。

 

それにしても川に転落してよく怪我1つもしなかったな。

 

シャワーを浴びてきた2人がリビングに戻ってきて、ソファーに座ると同時に2人の前に暖かいお茶を出した。

 

それを見た穂乃果は、上にいるであろう海未とことりにお茶を持っていくと言い出した。

 

「オレも行くよ」

 

「そーちゃんも?」

 

「お盆持ったままだとドア、開けにくいだろ?」

 

「ありがとう、そーちゃん」

 

オレと穂乃果は上へと続く階段を上り始める。

 

「そう言えば真姫ちゃん何処にいるんだろうね?」

 

「凛ちゃんたちが来る前まではグランドピアノのところにいたはずだが?」

 

「えー?穂乃果たちが来たときはもういなかったよ?」

 

じゃあ何処に行ったと言うのだろう……。

 

そうこうしているうちに海未が作業しているであろう部屋の前に着いた。

 

お盆を持っている穂乃果の代わりにドアをノックするが、中からの反応がない。

 

断りを入れてから部屋のドアを開けるが、海未の姿はなかった。

 

「そーちゃん、これ」

 

穂乃果が机の上を指差していたので、オレも穂乃果がいるところに行くと1枚のメモ紙が置かれていた。

 

「えーと、何々?『捜さないで下さい。海未』……はぁぁあ!?」

 

何さらっと失踪してんだよ!!

 

そりゃノックしても反応無いわけだよ!!

 

「ことりちゃぁぁあん!」

 

穂乃果がことりがいるであろう部屋に突撃していったが…、

 

「海未ちゃんが……だぁぁあー!!!」

 

穂乃果の後に続いて部屋に入るが、やはりことりも海未と同じように失踪していた。

 

穂乃果の視線は壁に掛かっている額縁に向けられていて、その額縁にはピンクの紐で『タスケテ』と書かれていた。

 

しかし、ことりの部屋の窓が開けられていた。

 

その窓から外に向かってカーテンで結ばれていた。

 

穂乃果と一緒に窓から身を寄り出し、外を見てみると……。

 

「はぁ~…」

 

「はぁ~……」

 

「はぁ~………」

 

木の下で海未とことりと真姫が体育座りで三角形に向かい合い、溜め息をついていた。

 

 

 

 

海未、ことり、真姫の3人を連れて戻ったオレは3人をソファに座らせ、落ち込んでいた理由を尋ねた。

 

「「「「「「スランプ!?」」」」」」

 

「今までよりも強いプレッシャーが掛かってるって事か?」

 

「気にしない様にはしているのですが……」

 

「上手くいかなくて予選敗退しちゃったらどうしようって……」

 

海未とことりの2人が項垂れる。

 

「私はそんなの関係無く進んでたけどね」

 

「って言ってる割にはペンが進んでいないように見えたんだが?」

 

「そーくんの言うとおりだにゃ!譜面が真っ白だよ?」

 

「なぁっ!?ちょっ!見ないでよっ!!」

 

オレにツッこまれるだけじゃなくら凛ちゃんに真っ白な譜面を指摘された真姫は頬を膨らませた。

 

「確かに3人にまかせっきりってのはよくないかも……」

 

そんな3人の様子を見かねた花陽ちゃんが心配そうに言う。

 

「そうね。責任も大きくなるから負担も掛かるだろうし…」

 

「じゃあ皆で意見出し合って話しながら曲を作っていけば良いんじゃない?」

 

「せっかく全員揃っているんだし、それで良いんじゃない?」

 

「よしっ!そうと決まれば話は早い」

 

オレは割り箸を取り出し、3色のマジックペンで箸の先を塗り潰してからジャラジャラとシャッフルする。

 

まずは3色に塗った箸を1本ずつ用意し、海未とことりと真姫に引かせる。

 

3人がそしてメンバーに引かせたあと、残りのメンバーに箸を引かせる。

 

「なるほど…、ユニット作戦ってことね?」

 

「そう言うことです」

 

最後の1人となった絵里ちゃんが引き終えたところで、今度は全員で外の芝生に出る。

 

「じゃあ赤を引いた人はことりを中心とした衣装班に、青を引いた人は海未を中心とした作詞班に、そして黄色を引いた人は真姫を中心とした作曲班にそれぞれ別れてくれ」

 

するとことりのところには穂乃果と花陽ちゃんが、海未のところには凛ちゃんとのんちゃんが、真姫のところには絵里ちゃんとにこちゃんが集まった。

 

「壮くんはどうするん?」

 

それぞれのグループに別れたところで、のんちゃんがオレはどうするのかと聞いてきた。

 

「オレはそれぞれのグループを見て回ることにします」

 

「りょーかい」

 

「よーしっ!それじゃあ、ユニット作戦で曲づくり頑張ろー!」

 

「「「「「「「「おー!!!」」」」」」」」

 

「おー」

 

穂乃果が音頭を取り、みんなで1つの曲作りが始まった。

 

 

 

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