ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
言い訳は後書きにて。
では、どうぞ!
~Side 高坂 穂乃果~
「ワン!ツー!スリー!フォー!」
ラブライブ1次予選で披露するユメノトビラのリズムに合わせて手拍子を送る海未ちゃんを横目に、休憩中の私と絵里ちゃんと花陽ちゃんはノートパソコンに目を向けていた。
「これは…?」
「それは予選が行われる各地のステージだよ」
花陽ちゃんが解説してくれた後、ワンテンポ遅れてノートパソコンの画面が各地のライブパフォーマンスを披露する会場の写真が並べられたページに切り替わった。
「今回の予選は参加チームが多いので会場以外の場所でライブパフォーマンスをすることが認められているんだよ」
「えっ!?そうなの!?」
「それはルールブックにも載っている事よ。なんで穂乃果は知らないの?」
「いやぁ、文字を読むのが苦手で……」
絵里ちゃんの疑問に私は顔をひきつらせながら答える。
「もし自分達で場所を決めた場合、ネット配信でライブを生中継……そこから全国の人にライブを見て貰うんです!」
「全国…、凄いや!」
休憩が終わり、凛ちゃんと希ちゃんと真姫ちゃんと入れ替わる形でダンス練習を再開する。
全国…、よぉしっ!頑張るぞーっ!!
「穂乃果!少しテンポが速いです!回りを見ながらテンポを調節してください!」
「うんっ!」
Side out
「会場以外でもライブパフォーマンスOK……ねぇ?」
練習を終えて、夕日が差し込む時間帯。
久々に徒歩で家に帰る途中、秋葉原のストリートを闊歩するμ'sのみんなを見つけたので何をしているのかを聞いたらライブパフォーマンスをする場所を探しているのだそうだ。
「うん。講堂も校門前も屋上もグラウンドもみんな使っちゃったし……」
「それ以外の場所だとスペースが狭すぎやしねぇ……」
「かといってここでパフォーマンスなんてしたらA-RISEに喧嘩売っているように見られるわ」
絵里ちゃん、のんちゃん、にこちゃんの順にそれぞれの意見を述べる。
「そうにゃ!そーくんの高校のグラウンドを使うのはどうかにゃ?」
確かに立華高校のグラウンドは普通の高校に比べると広く設計されているけど…、
「凛ちゃん。悪いけどそれは無理だ」
「えーっ?どうして?」
「当たり前でしょ。立華の生徒じゃない私たちにグラウンドを貸すと思う?」
真姫が凛ちゃんの意見を真っ向から否定し、否定された凛ちゃんはそっかーと言いながら両手を組んで頭の後ろに回す。
「でも、何とかして見つけ……なきゃ……」
何だか花陽ちゃんの様子がおかしくなっていく。
まるで道行く有名人を見つけた人のようだ。
オレは花陽ちゃんが見ている方向を向くと、手を引っ張られてつんのめりそうになっている穂乃果とその穂乃果の手を掴んで引っ張りながら走る白を基調とした制服…、UTX高校の制服に身を包んだ広いおでことエメラルドグリーンの瞳の少女がいた。
ん?今こっちを向いてウィンクした?
するとオレの横を走り抜けていく風が2つ。
「かよちん!?」
「にこっちもどこに行くん!?」
走り抜けていったのは花陽ちゃんとにこちゃんだった。
「私たちも追いかけるわよ!」
絵里ちゃんの一言でみんな花陽ちゃんとにこちゃんの後を追いかけ始めた。
「あのー……」
「にゃん?」
「いや、『にゃん?』じゃなくてさ。何でオレの手を掴んで走ってるの?」
何故オレは凛ちゃんに手を引っ張られ走っているのだろう。
「いいからいいから!そーくんも一緒に行くにゃ!」
「ちょっと待てって!UTXは女子高なんだけどぉぉぉぉお!?」
花陽ちゃんとにこちゃんを追い掛け、UTX高校に入ったオレたちはようやく追い付いたかと思われたのだがオレ自身も理解が追い付いていない。
何故ならいきなりUTX高校の生徒会長と名乗るものが現れ、学校内のカフェテリアに案内されている状況だからだ。
というかオレ男なのにここにいて平気なのだろうか…。
「心配しなくても大丈夫よ。今日中にあなたを呼ぼうとしていたし」
後ろから穂乃果を引っ張っていた少女に話し掛けられたので、立ち止まり振り返る。
「……?あんたは?」
「綺羅 ツバサよ。この間、あなたに電話を入れたでしょ?」
……あぁ。そんなこともあったなぁ。
あの時はことりを連れ戻すことに必死になりすぎて、電話があったなぁ……程度しか覚えていない。
だが、今の綺羅には何やら裏を感じ取れる。
「何故オレを呼び出そうしたのか、とかどういった経路でオレの電話番号を知ったのか、だとか色々聞きたいことがあるけど……
「何を企む……ね。そうね、
背が小さい綺羅を見下ろすが、綺羅は全く動じずにオレの質問に答えた。
どうやらこれ以上腹の探り合いをするのは止めておいた方が賢明なのかもしれないな。
「じゃあ、今はその言葉を信用しよう」
「フフッ、聞き分けがいい人は結構好みなのよ?」
「言ってろ」
オレは少し距離が離れてしまったみんなの後を早足で追い掛けた。
「ここは…?」
UTX高校の生徒会長に後についていったオレたちが案内された場所はカフェテリアの中に設置された一部屋だ。
「私たちが使わせてもらってる部屋なの。さ、中に入ってちょうだい」
「では、私はこれにて」
「ええ、お疲れさま」
自分の役目を終えた生徒会長と名乗るものが自分の職務に戻っていった。
ここの生徒の権力バランスは生徒会よりもA-RISEの方が上なのだろうか……?
疑問に感じながらも部屋に入ると、2人の女子生徒が座っていた。
「初めまして、A-RISEの統堂英玲奈だ。よろしく」
「優木あんじゅでーっす!μ’sのみんなよろしくね~」
そう言って2人は挨拶をした。
端っこでは花陽ちゃんとにこちゃんが目を輝かせるほど感激しているみたいだった。
「まあとりあえず座ってちょうだい?ここはちょっとしたカフェスペースになってるから、ゆっくりしていってね」
綺羅に唆され、オレたちはソファーに座り込む。
だが、やはりみんなどこか落ち着かない様子だ。
「μ’sの皆さんとは1度挨拶したいと思っていたのよ。そして高坂 穂乃果さん!」
「は…はい!」
綺羅に名指しで呼ばれた穂乃果は背筋をピーンッ!と伸ばした。
何もそこまで緊張しなくてもいいだろうに。
「やっぱり映像で見るよりはるかに魅力的ね!」
「人を惹き付ける魅力……カリスマ性とでも言えばいいのだろうか。9人でいてもなお輝いている」
綺羅が言ったことを補足するように統堂が説明した。
「私たちね、ずっとあなた達の事を注目していたのよ」
「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」
綺羅の思わぬ言葉にみんなは驚きの声を上げる。
そして間髪入れずに今度は優木が口を開く。
「実は前回のラブライブで1番のライバルになるんじゃないかって思っていたのよ」
「そ、そんな……」
「あなたもよ?」
「えっ?」
優木が言ったことを絵里ちゃんが否定しようとするが、綺羅に止められた。
「絢瀬 絵里。ロシアでのバレエコンクールでは常に上位だったと聞いている」
「そして西木野 真姫は作曲の才能が素晴らしく、園田 海未の素直な詩ととてもマッチしている」
「星空 凛のバネと運動神経はスクールアイドルとしても全国レベルだし、小泉 花陽の歌声は個性が強いメンバーの歌に見事な調和を与えている」
「牽引する高坂 穂乃果の対となる存在として、9人を包み込む包容力を持った東條 希」
「それに秋葉原のカリスマメイドさんまでいるしね」
ことりは『ミナリンスキー』の事を指摘され、顔を赤くして俯くが他のみんなはA-RISEの3人の口から次々出てくる情報に驚き、口を開けて何とも間抜けな表情をしていた。
「そして、矢澤 にこ……」
名前を呼ばれたにこちゃんは緊張した面持ちを見せる。
しかし、綺羅は笑顔を見せた。
「いつもお花ありがとう!昔から応援してくれてるよね?すごく嬉しいわ!」
「は?」
「え!?いや…その…」
その事実に逆にオレが面喰らってしまい、綺羅に思ってもみなかった事を言われたにこちゃんは動揺を隠せずにいた。
「にこ、そうだったの?」
「知らんかったんやけど?」
「いやぁ……、μ's始める前からファンだったからー……って!そうじゃなくて!!私の良い所は!?」
絵里ちゃんとのんちゃんに攻められていたにこちゃんはA-RISEの3人の方を向き、ノリツッコミをしながら聞く。
「フフッ、そうね。グループにはなくてはならない小悪魔ってところかしら?」
「はわわ~、小悪魔…♪」
いや、にこちゃんは小悪魔ではないと思うのだが……。
「ん?何よ壮大?」
「いえ、何でもありません」
「そして最後に松宮 壮大」
ほう…、オレの評価もあるのか。
こいつらから見たオレは一体どのような評価をしたのか気にならないと言えばウソになる。
だから静かに聞くことにした。
「今年度の陸上競技男子100Mのインターハイ王者でありμ'sのサポート役としてメンバーを支える絶対的支柱。彼の働きで助けられたメンバーも多いだろう」
「それはどうも。……それで?どうしてここまでμ'sに気にかける?
」
オレの質問を聞いたA-RISEの3人を代表して綺羅が口を開いた。
迫した空気に変わる。
「これだけのメンバーが揃っているチームは日本国内を探してもそうはいない。だから注目もしていたし、応援もしていた」
「そして何より……、負けたくないと思っている」
「「「「「「「「「っ!」」」」」」」」」
「……へぇ」
一瞬にして先程までの和やかな空気や雰囲気がピリピリとした緊迫した空気に変わった。
「でも、A-RISEは全国1位で私たちは…」
「それはもう過去のこと」
海未の言葉は優木が真っ向から否定する。
「私たちはただ純粋に今この時、1番お客さんを楽しませる存在でありたい。ただそれだけ」
A-RISEの真剣な言葉と表情で分かる。
μ'sはA-RISEにライバル視されていると言うことが。
「μ’sのみなさん、お互いに頑張りましょう!そして私たちは負けません!」
A-RISEの3人はソファーから立ち上がり部屋から出ようする。
「あの!」
だが、それをさせまいと立ち上がり声をかける穂乃果。
それにつられてみんなも立ち上がりA-RISEの方を見る。
「A-RISEの皆さん!私たちも負けません!」
綺羅は驚き、一瞬だけ目を見開くがすぐに笑みを浮かべて返す。
「……ふふっ。あなたって面白いわね。もしライブパフォーマンスをする場所が決まっていないなら
突然の提案に驚くメンバーたち。
なるほどな…。
それを受けた穂乃果の答えは…、
「はい!やります!!」
即答で提案を受け入れた。
「「「「「「「「えぇーっ!!?」」」」」」」」
「いいでしょ!?そーちゃん!」
驚くメンバーを余所にオレに同意を求める穂乃果。
オイオイここでオレに振るんじゃねぇよ、ったく…。
「お前がいいって思ったんならいいんじゃねぇか?」
「……決まりね」
「はいっ!よろしくお願いします!」
穂乃果の返事を聞いたA-RISEは今度こそカフェテリアの一角となっている部屋から出ていった。
みんなはUTX高校を出てから、各自解散となった。
穂乃果はお店の手伝いがあるからといって先に帰ったので、一人で歩いている。
たまには一人でゆっくり歩いて帰るのも悪くないな。
そう思い、UTX高校から数百メートル歩いたところで立ち止まる。
「……いつまで後をつけるつもりだ?」
オレはゆっくり後ろを振り返る。
そこにはいるはずのない綺羅が立っていた。
「あそこでは言えなかったことを言おうと思って後をつけていたの」
「何だ?」
「順当に行けば私たちもμ'sも一次予選は通る力を持っているわ。でも、本戦への切符はわずか1枚。あんじゅは全国1位は過去の事だと言ったけど私個人としては王者としてあなたたちに勝ってみせる。あなたの目の前で、必ず」
話はそれだけよ、と言って立ち去ろうとする綺羅を呼び止める。
綺羅はオレの方向を振り向かず、来た道の方向を向いている。
「1つ忠告しておいてやろう」
綺羅の話を聞いて素直に思ったことを言うべく、一度息を吸い込んだ。
「あいつらを…、μ'sを甘くみてるといつか痛い目を見ることになるかもよ?」
オレの話を聞いた綺羅は返事をせずに、来た道を歩いていった。
投稿遅れてすいませんっした!
と言うのも今週からテストとレポートに追われていまして、今日で一段落ついたので投稿したと言うことです。
でも、来週にもまたテストがあるので投稿遅れるかもです。
では、また次回までお待ちください!!