ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

53 / 121
遅れて申し訳ない!!

実家に帰省してからというもの時間がほとんど取れず……。

では、どうぞ!!



第47話 宇宙No.1アイドルとして

にこちゃんの妹ちゃんであるこころちゃんの案内で矢澤家に向かっているオレたち……だったんだけど、

 

「なぁ、こころちゃん?」

 

「静かにしてください。μ'sのみなさんはただでさえ有名なのにお兄さんみたいなカッコよくて背が高い人と歩いていては目立ってしまいます!」

 

「サーセン……」

 

何故こころちゃんを先頭にして伝説の兵士よろしくスニーキングミッションみたいなことをしているのだろう。

 

それにこころちゃんは一体何を気にしてるんだ?

 

しきりに辺りを見渡して何かを探しているような首の動きだが……。

 

「パパラッチもいないようですし……、みなさん!今のうちに行きましょう!」

 

パパラッチ?

 

スクールアイドルでもパパラッチに引っ掛かることもあるのか?

 

オレはいろいろ腑に落ちない事に首を傾げながら、こころちゃんやみんなの後を追いかける。

 

……両手に買い物袋を持って。

 

 

 

 

 

「ここです」

 

こころちゃんに案内されてやってきたのは、駅から程近いところにある少し寂れたマンションだった。

 

「では私はみなさんの分のお茶を用意しますのでみなさんお姉さまが来るまでゆっくりしていってください」

 

「あぁ、こころちゃん」

 

「はい?何でしょう、お兄さん?」

 

お茶を用意するといって台所へ行こうとするこころちゃんを呼び止めるが、呼び止めると警戒心を強めた顔つきになった。

 

「にこちゃん……、信じられないかもしれないけどキミのお姉ちゃんがオレに買い物袋を渡してどこへ行ってしまったからこれを任せてもいいかな?あとこれはお買い物リストのメモ」

 

メモを受け取ったこころちゃんは、買い物袋をテーブルの上に置いてリストと買い物袋の中に入ってる食品の確認を行い始めた。

 

「……確かにお買い物袋の中身とリストの商品が一致していて、さらにリストのメモの字がお姉さまのものですね」

 

「分かってくれて何よりだ」

 

確認が終わるとほんの少しだけ警戒心を解いてくれるが、まだこころちゃんは腑に落ちていないみたいだった。

 

「つかぬことをお伺いしますが、お兄さんはお姉様やμ'sのみなさんとはどのようなご関係で?」

 

「簡単に言うとサポート役って感じかな」

 

「そうなのですか?誰かの彼氏さんとはではなくてですか?」

 

「もちろん。プロではないとはいえアイドルに自分から特定の人物に告白なんてしないさ」

 

正確には自分からは、だけどな。

 

「そうですか…。では今はお兄さんの言葉を信じることにしましょう。ではお兄さんもみなさんと一緒にくつろいでいてください」

 

こころちゃんの許しが出たので、リビングに戻ると何やら少し揉めているようだった。

 

「何かあったの?」

 

近くにいた凛ちゃんに事情を聞き出す。

 

「にこちゃんが下の子たちに凛たちのことを『バックダンサー』として教えてたり、にこちゃんの部屋にはにこちゃんがセンターになるようにコラージュされたポスターが貼ってたんだにゃ」

 

あー…、これはちょっと同情の仕様がないかな。

 

だってみんなで一緒に頑張ってきてたのに見栄とはいえ下の子たちに他の人に『バックダンサー』だなんて言ってたら…ねぇ?

 

そんなことをみんなの耳に入ったらそりゃ怒るだろうよ。

 

「ただーいまー」

 

うっわ…すっげぇタイミングの悪い状況で帰ってきちゃったな、にこちゃん。

 

「お姉様お帰りなさい。μ'sの皆さんがいらっしゃってますよ」

 

「え゛」

 

「おかえり、にこちゃん」

 

「壮大!?何でここに!?」

 

にこちゃんはこころちゃんのμ'sという単語を聞いてバツが悪い顔をし、オレの姿を見た瞬間一歩後ろへ下がった。

 

「何でって…、買い物袋を届けに来たのと立て替えたお金貰いに来たに決まってるじゃんか」

 

「……あぁ!お金ね!にこ今財布のなかは大きいのしか無いから……」

 

何やら視線を反らしながら狼狽えるにこちゃんを余所に、後ろに立っているみんなからヒシヒシと伝わる気迫みたいなものを感じ取ったオレは、みんなににこちゃんが見えるように半身になった。

 

みんな非難するような目でにこちゃんを見ていて、さらに後ろへ引き下がるにこちゃん。

 

「申し訳ありません。すぐに済みますのでよろしいでしょうか?」

 

海未が気持ち悪いほど丁寧な言葉と笑顔でにこに語りかけたと思ったら、力強すぎて目線だけで何人も殺ってそうな目付きに代わった。

 

怖ぇぇぇぇぇぇえっ!!!!

 

これ海未本気でキレてますやん!!!

 

「こ…こころ?にこは今から仕事で向こうのビルに行かなきゃ行けないから行ってくるわね?それが終わったら大きいの崩して立て替えて貰った代金壮大に渡すからー!!」

 

海未の鋭き眼光を見たにこちゃんは最もらしい言葉を残し、またもやメンバーの前から立ち去るように逃げていった。

 

「逃げたっ!!」

 

海未の言葉に真っ先に反応した絵里ちゃんが靴を履いて、先陣を切ってにこちゃんを追いかけ始めた。

 

「待てぇぇえ!!」

 

それに海未も続き、真姫もつんのめりそうになりながらも追いかけ始めた。

 

「オイ待てやゴルァ!!下の子たちがいる前で最もらしい事言って逃げんなや!!っつーかツリ位はあるから今この場で返せや!」

 

借金取りみたいなしゃべり方をしながらオレも追いかける。

 

その間にオレの眼前を走っていた海未と真姫を追い抜く。

 

「ってぇ!なんで何回も逃げ回らなきゃいけないのよ!」

 

「にこちゃんの自業自得やがな!!」

 

「そうよ!早く私か壮大に捕まってさっさと白状しなさーい!!」

 

絵里ちゃんと2人で追いかけていたが、にこちゃんはちょうどやって来たエレベーターに乗り込み一番下のフロアまで行ってしまった。

 

「くっ…!やられた!どうするの壮大?このままじゃまた逃げられちゃうわよ?」

 

「仕方ありませんね。こうなったら挟み撃ちにしましょう」

 

「挟み撃ちって……!エレベーターは一番下のフロアにあるのよ!?」

 

「そんなことは百も承知です」

 

確かにエレベーターはにこちゃんが使って一番下のフロアまで動いている途中だ。

 

だが、何もエレベーターを使わずともすぐに一番下まで降りられる方法は1つだけある。

 

「じゃあどうするのよ!?」

 

「こうするに決まってるじゃないです……かっ!!」

 

オレはエレベーターがあるホールからこの建物の出入り口の真上らへんまで移動してから助走をつけて文字通り飛び降り、衝撃を吸収するように着地した直後にコロンと受け身を取った。

 

「壮大!?」

 

「オレは大丈夫です!だから絵里ちゃんはエレベーターが止まったらボタンを押して階段で降りてきて下さい!」

 

「分かったわ!!」

 

身を寄り出して心配そうに見つめる絵里ちゃんに大丈夫だというアピールをして、にこちゃんを確実に追い詰めるため指示を飛ばす。

 

その直後、にこちゃんはマンションの出入口までやって来た。

 

「にーこちゃんっ」

 

「うぇぇっ!?どうして壮大が先回りしてるのよ!?」

 

「飛び降りたからです。矢澤家の部屋があるホールからここに」

 

「あんたバカじゃないの!?下手したらケガするかもしれないのよ!?」

 

バカとは失礼だな。

 

それにオレはこんなヘマをしてケガをするような身体の作りはしていない。

 

にこちゃんとは違うのだよ!にこちゃんとは!!

 

「にこー!待ちなさーい!!」

 

説明しているうちに階段から降りてきた絵里ちゃんの声と靴の音が聞こえてきた。

 

まぁ、何はともあれ……。

 

「チェックメイト……ですね」

 

この状況下でもう逃げられないと悟ったにこちゃんは降参だ、と言うように両手のひらをオレに向けて無抵抗の意思を表明した。

 

 

 

にこちゃんを引き連れてみんなに事情を説明した事を要約すると、にこちゃんが練習に出られなかったのはにこちゃんのお母さんが出張でここしばらく帰ってこれないから妹たちの面倒が見ないといけないからだったらしい。

 

練習で休んだ意味は何となく納得したが、みんなが聞きたいのはむしろ次の質問だろう。

 

「にこ、なぜ私たちはあなたのバックダンサーという事になっているのですか?」

 

海未からの質問に言葉を詰まらせるにこちゃんだったが、言葉を選ぶように口を開き始めた。

 

「……元からよ」

 

元から?

 

「それってμ'sに加入してからずっとってことですか?」

 

「そうよ。家では元からそういう事になっているのよ。それに私の家で私が妹たちに何を言おうが勝手でしょ?」

 

にこちゃんは元からそうだったと主張するが、何だか引っ掛かると言うか無理して言ってるような気がしてならない。

 

「お願い……今日は帰って」

 

「にこ……」

 

「ここはにこちゃんの言う通りにして、にこちゃん家から出ましょう?」

 

オレはみんなに荷物を持ってにこちゃんの家から出るように促した。

 

「そーくん?でも……」

 

「ここでいくらにこちゃんに質問しても、にこちゃんの迷惑にしかならないだろ?ほら、早く早く」

 

引き下がろうとする凛ちゃんのバッグを押し付けるように渡し、みんながにこちゃんの家から出たのを確認する。

 

「にこちゃん」

 

「……なに?」

 

「立て替えた分のお金はまた後でいいですから」

 

「ありがと。次練習で顔合わせたときに渡すわ」

 

「えぇ、そうしてくれると助かります。では」

 

オレも自分の買い物袋を持ってにこちゃんの家を出る。

 

後ろを振り替えると、テーブルに頬杖をついて黄昏ながらも妹たちの面倒を見ているにこちゃんの姿があった。

 

 

 

 

 

「どうも」

 

にこちゃんの家で解散し帰宅したオレは、買い物袋の中身を冷蔵庫に入れてからにこちゃんの過去を最も詳しいであろう人物のもとを訪ねた。

 

「そろそろ来るだろうな、と思っとったよ」

 

のんちゃんなら何か知ってるかもしれない…。

 

そう思ったオレは神田明神にやってきた。

 

アルバイトのないのんちゃんだとはいえ、オレも手持ちぶさたで来たわけじゃない。

 

「はい、これ差し入れです」

 

オレは近くのコンビニで買った暖かい飲み物をのんちゃんに渡す。

 

「おおっ、壮くんも段々女心が分かってきたんとちゃうん?」

 

「女心なんて分かりませんよ。ただ、秋風が吹いてきて肌寒くなってくる時間帯だから暖かい飲み物を差し入れようかなって思ってただけですよ」

 

「フフッ…、壮くんは真面目やねぇ。それで?聞きたいのはにこっちの事なんやろ?」

 

「はい、お願いします」

 

のんちゃんはオレたちが知られざるにこちゃんの過去を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

「……これがうちの知ってるにこっちの過去の全部や」

 

「………そんな事があったんですね」

 

にこちゃんがμ'sに加入する前に聞いた話をさらに掘り進めた話と推測論を折り曲げたのんちゃんの話を聞いたオレは、言葉が出なかった。

 

にこちゃんの家では高校1年のときにアイドル研究部とスクールアイドルを立ち上げた時には、すでににこちゃんの妹たちはにこちゃんのことをスーパーアイドルとして敬っていたのではないかというのがのんちゃんの推論だ。

 

「それで?この話を聞いてどないするつもりなん?」

 

「そうですね……。穂乃果に話してみようと思います」

 

「穂乃果ちゃんに?」

 

「はい。あいつならきっといいアイディアを出してくれると思うんです」

 

オレが話を聞いて素直に思ったことと、穂乃果に話して思い付くであろう結論はきっと同じだと思うし。

 

その後はのんちゃんと少しだけ駄弁ってから、家に帰る途中で穂乃果のスマートフォンに電話をかける。

 

ワンコール、ツーコールと規則的に鳴る電子音を聞いてから聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「もしもし、穂乃果?あのさ、にこちゃんの事なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

~Side 矢澤 にこ~

 

 

部活のない学院生に紛れて下校しようとしていた。

 

放課後の練習に出なくなってから今日で3日目。

 

アイドル研究部が復活してからはほとんど毎日メンバーのみんなと練習したり、くだらないことで笑いあったりとみんなに面と向かって言うのは恥ずかしいがとても楽しい日々を過ごしていたんだ……と、この数日で痛いほど実感させられた。

 

でも妹たちの面倒を見られるのは自分だけだ、と言い聞かせて校門から出ようとした。

 

「にーこちゃんっ♪」

 

「ぅえぁっ!?」

 

いきなり名前を呼ばれてビックリして、変な声が出てしまった。

 

その正体はμ'sの実質的リーダーの穂乃果だった。

 

「穂乃果!?あんた練習はどうしたのよ!?」

 

「それはね……、にこちゃん」

 

穂乃果の後ろからにゅっと姿を現した3人の子ども。

 

「こころにここあ!?それに虎太郎まで!」

 

私たちの妹や弟たちがいた。

 

「なんでここにいるのよ!?」

 

「こころちゃんたちも見たいんだよ!アイドル活動をしているにこちゃんの姿を!!」

 

 

 

 

 

 

あれよあれよのうちに私は絵里と希考案のステージ衣装を着せられ、妹たちが待っている屋上のドアの前に立たされていた。

 

「ちょっと!!本気でやらせる気なの!?」

 

「当然でしょ?こころちゃんたちのためのライブなのよ?」

 

私の後ろに立つ絵里がしれっと言い放つ。

 

「誰よ、こんな企画を計画したの……」

 

「壮大よ」

 

「はぁ!?」

 

思いがけない人物の名前が挙がり、驚いた後手を頭を添えて溜め息をつく。

 

「はぁ…、してやられたわ」

 

次会ったら色々と文句を言わなきゃいけなくなったわね…。

 

「それにしてもやっぱりにこっちには可愛い衣装が似合うなぁ」

 

「えっ?」

 

「スーパーアイドル、にこちゃん」

 

希…。

 

「この扉の向こう側にあなたのライブを心待ちにしている最高のファンが待ちわびているわ」

 

絵里……。

 

「さぁ…、みんな待ってるわよっ!」

 

そうね…。

 

アイドルは笑顔にする人じゃなく、笑顔にさせる人だったわね…。

 

絵里と希の顔を見返し、頷いてからドアを開け放った。

 

ステージに上がるとシートの上に3人がいた。

 

「こころ、ここあ、虎太郎」

 

3人に向き合い、語りかける。

 

「今日でスーパーアイドルにこにーはもう辞めるの」

 

「「「え……?」」」

 

「アイドル……辞めちゃうの?」

 

こころの疑問に首を横に振って否定する。

 

「辞めないよ。これからはここにいるμ'sのメンバーとアイドルをやっていくことにしたの」

 

けれど彼女たちはバックダンサーではないか、という声があがる。

 

それも否定する。

 

μ'sのみんなから様々な事を学び、様々な事を共に乗り越えてきた。

 

けれど……!

 

「今のにこの夢は、宇宙No.1アイドルにこちゃんとして……宇宙No.1ユニットμ'sとして一緒に輝く…。それが一番の夢……今一番やりたいことなの!!」

 

にこ以外のメンバーは静かにステージから立ち去り、ステージにはにこ1人だけとなった。

 

「だからこれが私1人で歌う最後の曲…」

 

1曲目を歌う準備が整うと、演出として風船が青空に向かって浮き始める。

 

「さぁ!行くわよ!!」

 

両手の親指、人差し指、小指を立てる。

 

 

 

 

「にっこにっこ……にーっ!!!」

 

 

 

 

にこのファンに向けられた愛情を返すように自分ができる最高の笑顔で歌い始める。

 

 

 

スーパーアイドルにこにーという殻を破り捨て、宇宙No.1ユニットμ'sの一員で宇宙No.1アイドルにこちゃんとして!!!

 

 

 




納得のいく終わり方を考えてたら前回投稿より5日程経ってしまっていた件について。←

字数もあと少しで6,000字になるところでした。

次回はみなさんお待ちかね(?)とうとうあの回ですよ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。