ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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やってきました、このお話。

私はこのお話一番好きなんです。(←いや、知らんがな。

ではでは、どうぞ~♪




第48話 暫定的リーダー

「プールっていいよなぁ…」

 

オレは自宅近くのトレーニング施設内にある室内プールで仰向けになって浮いていた。

 

プール内での運動は水圧がかかるため、通常の運動よりも負荷が高く

なるし陸上と同じ運動をしても水中の方が消費カロリーが多くなり、多くの女性が悩む痩身効果も見込めたりもする。

 

水中では転倒などが原因によるケガがおきにくいので高齢の方でも安全に運動でき、大ケガをしたアスリートのリハビリなどにも持ってこいなのだ。

 

その代わり水のなかにいても汗はかくので、陸上での運動よりも細心の注意を払いながらこまめな水分補給も必要になってくるけどな。

 

「ぷにゃーっ!!やっぱりプールは気持ちいいにゃーっ!」

 

何だか聞き覚えのある声が聞こえたので、頭を動かさず目だけ動かしてみると偶然にもμ'sの1年生組もここに来ていたみたいだった。

 

「真姫ちゃんとかよちんもおいでよー!!」

 

凛ちゃんの近くには花陽ちゃんと真姫もいた。

 

「凛。私の他にあそこで浮いている男の人がいるんだから静かにしなさい。それに穂乃果たちが修学旅行だからって対抗することないんじゃない?」

 

「そうだよ。それにもう秋なんだよ?」

 

花陽ちゃん、それは聞き捨てならねぇな。

 

確かに競泳のシーズンは夏かもしれないが、室内プールは1年中泳げるように作られてるんだから泳ぐことだけで言えば最早オールシーズンスポーツになりつつあるんだぜ?

 

「それよりもっ!」

 

プールから上がった凛ちゃんは真姫と花陽ちゃんの後ろに立った。

 

オイ、一体何をする気だ?

 

「真姫ちゃんもかよちんも一緒に泳ご?せー……のっ!!」

 

「きゃあっ!?」

 

「ピャアッ!?」

 

凛ちゃんは真姫と花陽ちゃんの背中を押し、共にプールに飛び込んだ。

 

ドポーン!!と飛び込む音と水飛沫が上がり、少ししてから3人ともプールから顔を出した。

 

「ちょっと、凛!!上着が水浸しになっちゃったじゃない!!」

 

「うぅー…、私もです……」

 

真姫と花陽ちゃんはハーフパンツとTシャツのまま押されたため、着ている服がピッタリ張り付いていた。

 

花陽ちゃんも真姫もそんじょそこらのグラビアアイドルよりもスタイルがいいので、ボディラインがクッキリ浮かんでいる扇情的な格好を目に入れないようにするため潜水をしながら凛ちゃんたちに近付く。

 

「こらー星空さーん、プールの飛び込みはやめましょーねー」

 

「にゃわぁっ!?ごごご、ごめんなさいにゃー!」

 

「もう!離れなさいよ!上着脱ぎにくいじゃない!!」

 

凛ちゃんの背後に現れ、棒読みで注意するとオーバー気味に驚き頭を抱え込みながら真姫の後ろに隠れた。

 

「あっ、壮大くん。こんにちは」

 

「はい、こんにちは」

 

凛ちゃんが真姫にじゃれついている間に花陽ちゃんはオレの存在に気付き、挨拶してきたので挨拶し返す。

 

「壮大?もしかして仰向けで浮いていたのって……?」

 

「それオレ」

 

「えっ?そーくん?」

 

「やぁ、凛ちゃん。活発なのはいいけど泳ぐ準備ができていない人を突き飛ばして入水するのはあまり褒められた行動じゃないから気を付けなよ?」

 

真姫も凛ちゃんもオレがいるとは思っていなかったらしく、目を丸くしていた。

 

つーか、真姫さんや……上着脱ぐなら早く脱いでくれませんかね?

 

シャツの下から見えるメンバーの中で最も細いであろうウェストと腰のくびれ具合はいくら幼馴染とは言えこちらはパッション溢れすぎてる男子高校生な訳だから色んな意味で危ない。

 

「そーくん何だか目付きがやらしいにゃ……」

 

「言い掛かりはよせ!」

 

建前上否定はするが、凛ちゃんが(健全な男子高校生にとって)いらない発言をしてしまったため真姫は顔を真っ赤にしてプルプル震え出した。

 

「……壮大?」

 

ヤバイ!ヤバイ!!ヤバイ!!!

 

本能が『そっち向いちゃいけない!』と警鐘がガンガン鳴っている。

 

恐る恐る真姫を見ると、先日の海未よりもさらに具現化された凶悪なオーラを纏っていた。

 

「……何か言い残した事はない?」

 

オレは何も見ていない(御馳走様でした)

 

「……」

 

「………」

 

「「「「…………」」」」

 

本音と建前を逆にして言い放ってしまい、この場にいる4人は言葉を失ってしまった。

 

そしてポンプから管を通して出てくる水の音しか聞こえない空間の中、オレは静かにゴーグルをつけて真姫から距離を取るため泳ぎ始めた。

 

「壮大!!待ちなさい!!!」

 

「嫌だ!追いかける奴に待てと言われて律儀に待つ逃走者なんているわけねぇだろ!?」

 

「今ならよくしなるムチで壮大のお尻をペンペンするか私が壮大をコキ使い回して最後はボロ雑巾のように捨ててあげるから!」

 

「オレはマゾじゃない!!しかもそれ究極のお仕置きじゃないっすかねぇ!?」

 

オレは全力で逃げ続けるが、泳ぎがそれほど得意ではない真姫も必死に追い掛けてきた。

 

結局5分間の逃走の末、真姫の策略に嵌まったオレはプールサイドで顔面を踏まれながら罵倒されるという一部の人類にとってはご褒美とも取れる罰を受けることとなった。

 

 

 

 

 

穂乃果たちが修学旅行先の沖縄へ行ってから早くも4日が経った。

 

何でもあっちでは季節外れの台風が直撃、さらにその台風が沖縄本島付近に居座ってしまい行動が全く取れないらしい。

 

さらにμ'sの練習の方も穂乃果たちがいない生徒会のサポートをするため、絵里ちゃんとのんちゃんが生徒会室に籠るようになったので1年生組3人とにこちゃんの4人という少人数での練習らしい。

 

らしいというのは穂乃果たちが帰ってこないんじゃしょうがないから、オレはオレで音ノ木坂に来るよりも陸上の練習を優先していてもいいという絵里ちゃんたちの配慮のためおおざっぱにしか話を聞いていないためなのである。

 

それにしても沖縄ほどではないが、こちらもそれなりに雨が酷い。

 

憂鬱になりかけていたその時、絵里ちゃんから電話が掛かってきた。

 

「もしもーし」

 

相手が絵里ちゃんだと分かっているので、少しだけ砕けた口調で応対する。

 

『壮大?今練習中だったかしら?』

 

「いいえ、自主練中ですよー。それよりもどうしたんですか?」

 

『えぇ。明日音ノ木坂に来れるかしら?』

 

「行けないことはないですけど……何かあったんですか?」

 

『明日話すわ。もし来てくれたらの話だけどね』

 

「分かりました。では詳しくはまた後ほど」

 

適当に返事をしてから電話を切り、萎えかけている気持ちの憂さ晴らしと言わんばかりに叫びながらバーベルを持ち上げ始めた。

 

 

 

 

 

次の日、オレは雨の中傘を指して音ノ木坂学院にやってきた。

 

傘についた水滴を払い飛ばし、傘立てに傘をぶち込んでから校内へ。

 

手続きを済ませてから絵里ちゃんがいるであろう生徒会室へ直行し、ドアの前に立った。

 

「ノックしてもしもーし」

 

ノックをすると中から『どうぞー』と言う声が聞こえてきたので、入室する。

 

「ごめんね、こんな天気の中来てもらっちゃって」

 

「別にいいですよ……それくらい。それで何かあったんですか?」

 

「今穂乃果達が修学旅行なのは知って……るわよね?」

 

「勿論。台風がぶつかって外に出歩けないとか」

 

可哀想なことに台風が過ぎ去って行くまで飛行機も飛べないので、今はホテル内でしか行動ができないらしく粗方の室内遊びはやり尽くしたと穂乃果が昨日電話かけてきたのが記憶に新しい。

 

「……だからか」

 

「え?」

 

まさか……電話したの?

 

「実は壮大が来る10分くらい前に穂乃果に電話したのよ.……」

 

「ほぅ……」

 

「その時に……楽しんでるかって聞いたのよ。そしたら『嫌味?』って返されたの」

 

「小さい頃から出掛けることが大好きな穂乃果なら言いかねませんね…」

 

今ごろ穂乃果は凹んでいるだろうか……いや、もしかしたら台風情報のニュースに向かって『逸れろ~逸れろ~』って念を送ってるかもな。

 

「では本題に入りますけど、何故オレは呼び出されてしまったのでしょう?」

 

「そうだったわね……。今週末にあるガールズファッションショーのステージでμ'sに歌ってくれっていう出演依頼が来たのよ」

 

そう言えばうちの学校でモデルをやってる娘が今週末にファッションショーがどうとか言ってたな…。

 

いつも学校とかで見るたび髪がボサボサだったり、たまに授業をサボったりしているのであくまでオレは名前は知らず顔だけ知ってる、という程度だが。

 

「そのファッションショーのステージの出演依頼、受けたんですか?」

 

「えぇ。でも今はリーダーの穂乃果がいないじゃない?」

 

「ですね。でもそこで何もしない絵里ちゃんじゃないんですよね?」

 

「勿論よ?穂乃果たちが戻ってくる間は……を暫定的なリーダーを立てることにしたのよ」

 

絵里ちゃんは穂乃果たちが戻ってくる間の暫定的なリーダーの名前口にし、悪くない選択だと思う。

 

「いいと思います。本人がやる気になれば、の話ですけど」

 

「なら決まりね。みんなに相談してみるけど……壮大も来る?」

 

オレは静かに頷き、絵里ちゃんの後ろについて彼女がいそうなところへと向かった。

 

 

 

 

 

 

「ええ!?凛がリーダー!?」

 

驚いた凛ちゃんは机の上に手を置き、身を寄りだした。

 

これそんなに驚くことか……?

 

「そう、暫定でもリーダーを決めたほうがまとまるだろうし、練習にも力が入るだろうって。勿論、穂乃果達が修学旅行から帰ってくるまでの間よ」

 

言い出しっぺの絵里ちゃんが凛ちゃんに事情を説明する。

 

「で、でも……」

 

「いいんじゃない?」

 

「私も凛ちゃんがいいと思う」

 

事情を飲み込み、戸惑う凛ちゃんに対して凛ちゃんをリーダーにたてることに賛成した真姫と花陽ちゃん。

 

「そ…、そーくんはどう思う?」

 

「オレも凛ちゃんがいいと思ってるが?」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ……なんで凛?絶対他の人のほうがいいよーほら!絵里ちゃんとか!」

 

「私は生徒会の手伝いがあるし、それに今後のμ'sのことを考えると1年生がやったほうがいいでしょう?」

 

「っ…!だったら真姫ちゃんがいいにゃ!歌も上手いし、リーダーっぽいし!真姫ちゃんで決まり!」

 

うーん…、結構嫌がってるな。

 

確かにリーダーは自ら率先してやるような役職ではないけれど、ここまで嫌がれるとは思ってもみなかったな…。

 

「ちょっと凛、話聞いてなかった?みんな凛がいいって言っているのよ?」

 

「でも、凛は……」

 

「やなの?」

 

「嫌っていうか…、凛はそういうの向いてないよ…」

 

嫌とは言い切らないけど、向いてない…か。

 

こりゃ変に話切れなくなってしまったぞ…?

 

「意外ね、凛なら調子よく引き受けると思ったけど」

 

「凛ちゃん、意外と引っ込み思案だから…」

 

「特に自分の事に関しては……ね」

 

確かになぁ…。

 

何でも凛ちゃんはよく自分の事は女の子っぽくないって言うらしいし、遊びにいくときもスカートやワンピース類は殆ど着ないのだとか。

 

「凛、いきなり言われて戸惑うのはわかるけど、みんな凛が適任だと思っているのよ。その言葉…ちょっとだけでも信じてみない?」

 

絵里ちゃんは凛ちゃんと同じ高さの目線になるようにしゃがみこみ、凛ちゃんを説得する。

 

能力的にも適任なのは違いないけど…、はたして絵里ちゃんの説得でどうなるか。

 

「分かったよ。絵里ちゃんがそこまで言うなら…」

 

おっ、凛ちゃんがようやく頷いた。

 

「凛ちゃん!」

 

「さぁ、そろそろ雨も止みそうだし放課後の練習を始めましょう!」

 

絵里ちゃんがポン、と手を叩きながら言った事を耳にしたオレは窓越しに外を見た。

 

雨が上がっていて、雲の間から日射しが差していた。

 

くそぅ…、雨が上がるのを待てばよかった。

 

自分のせっかちさを悔やみながら、一足先に屋上へ向かうことにした。

 

 




最近暑いですよね…。

一足先に夏休みに入らせて貰った私は、公共料金払いに行くか食材を買いに行くといった細々とした用事以外はもっぱら部屋に引きこもってます。

インドア生活、バンザーイ!

ほな、また……。
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