ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
この作品の本編も今回で50話を越えました。
今回からはハロウィン話を飛ばし、テレビアニメ2期第7話分に入っていきます。
では、どうぞ!!
それはオレが修学旅行へ行った際に、穂むらへお土産を渡しに行った時の事だった。
「ちわーっす。……って誰もいねぇじゃねぇか」
お店の方に顔を出してみたが、いつも店番をしている夏穂さんや雪穂の姿が無かったことに疑問を感じたオレは厨房にいた親父さんに一声かけてから居間へ向かった。
「夏穂さーん、雪穂ー。修学旅行のお土産買ってきたんです……けど……」
手提げ袋を持って居間に入ると、夏穂さんと雪穂は半端ない目力で1枚の紙を穴が開くほど凝視していた。
「……あのー?どう……したんですか?」
「壮大くん!!」
「壮にぃ!!」
「は、はいぃっ!?」
「ちょっとそこに座って貰えるかしら?」
いきなり名前を呼ばれたオレは、夏穂さんが指差すところに正座で座った。
何だろう……?
このビンッビンに感じるこの嫌な予感は……?
「この用紙を見て貰いたいんだけど……」
テーブルを挟んで差し出されたのは……。
「いやいやいや!!いくら穂乃果とは言えども年頃の女の子のプライバシーに関わるモン見れないっすよ!?」
穂乃果の身体測定の記録用紙だった。
記録用紙の中に『78-58-82』と、どう考えても穂乃果のスリーサイズが記載されているので見てしまったスリーサイズ以外のところはみないようにして返却しようとしたのだが夏穂さんも雪穂も受け取ってくれなかった。
「壮にぃ…。お姉ちゃんの体重のところ……見てみて?」
雪穂に促されたオレは出来るだけ穂乃果のプライバシーに関わるような数値が書かれているところを見ないようにして、穂乃果の体重の結果の覧に目を通す。
んー…。
……んん!?
「夏穂さん……。雪穂さん……。これ……マジ?」
「「マジ」」
「おぉ…、もう……」
この結果がデマではないと証明された瞬間、オレは愕然とした。
そこには身長157cmは変わらないのに、体重だけはスクスクと増量している結果だけが生々しく残されていた。
次の日、メンバーのみんなにハロウィーンイベントのときにいられなかったお詫びとして修学旅行のお土産を渡しに音ノ木坂の校舎にやって来た。
他校でしかも男であるオレを何の不満もなく、快く校舎内に立ち入れてくれる事務員や警備員の人にお土産の鴨サブレを渡して世間話をしてから校舎の中へ。
まずは幼馴染3人組にお土産を渡すために生徒会室へ向かい、ついてすぐにドアをノックして返事を待った。
『はーい!どうぞー!!』
生徒会室の中から穂乃果の元気な声が聞こえてきたので、ドアノブを捻りながら開けて入室する。
「よっ、ただいま」
「そーちゃんおかえりー!お土産は何買ってきてくれたの!?」
「おかえり、そーくん」
「穂乃果、壮大を見て第一声がそれなんですか?……申し遅れましたがおかえりなさい、壮大」
片手を挙げながら生徒会室に入ると、幼馴染み3人が3人ともそれぞれ違った反応を見せた。
「ところで今まで何やってたんだ?」
「そろそろ生徒会と各部活動の予算案会議がありますのでそれに向けた資料を作っていて、今ちょうど休憩しようかと話していたところなんです」
つまりジャストタイミングで来た、と言うことだな。
「じゃあ忙しくならない今のうちにお土産渡しておくよ。まずはことりから」
「えっ?ことり?」
いきなり名指しで呼ばれたことりはキョトンとしながらも、オレの近くにトコトコと近付く。
「ことりにはこれ」
「わぁっ、カワイイ……!!」
ことりに手渡したのはコスメポーチ等に入れておけるようなサイズの手鏡。
鏡の部分のカバーには鶯の彫り込みがされていて、身嗜みをよく気にすることりにピッタリだと思い買い上げた一品。
値段はいくらかって?
んな野暮なこと聞くなよ。
「次は海未だな」
「私にも買ってきてくださったのですか?」
少し期待してるような顔つきで、目を輝かせている海未。
「ほい」
ことりにあげた手鏡と同じくらいのサイズの紙袋を手渡す。
「……これは?」
手に取ってみても検討がつかなかった海未は手の中で紙袋を弄りながら、問いかけてくる。
「開けてみて。きっと海未も気に入るようなやつだから」
小声で『失礼します』と言いながら、紙袋の封を切った。
「これは……簪ですか!?」
紙袋から出てきたきらびやかな簪を手に取って、さっきよりもさらに目を輝かせていた。
日舞などで和服を着る機会が多い大和撫子の海未のことを考えても、これ以上のお土産は思い付かなかった。
「ありがとうございます。最近ちょうど簪を折ってしまったのでどうしようかと思っていたんです!大切に使いますね」
「喜んでくれて何よりだ。そして……」
「やーっと穂乃果の番だね!?」
待ちわびた様子の穂乃果が跳び跳ねるようにオレの元にやってくる。
しかし、オレはこの時を待っていたのだ。
穂乃果の両肩をガッチリ掴んで逃げられないようにする。
「穂乃果……」
「は、はいぃ!!」
穂乃果のブルーの瞳の奥を見据える。
「夏穂さんと雪穂から聞いたぞ」
「ななな、何のことかなぁ……?」
穂乃果は夏穂さんと雪穂の名前を出した途端冷や汗をかき始めるが、目を反らす。
「オレだってこんなこと言いたくないんだけどハッキリ言った方がいいよな」
「壮大?何のことですか?」
海未が何のことだかよく分からないと言う感じで聞いてくるが、オレは穂乃果を見据えながら穂乃果を現実の闇へと突き落としにかかる。
「穂乃果……、お前体重増えたんだってな」
「いやあああああっ!!!!」
穂乃果はオレの目の前で膝から崩れ落ちた。
「その体重って……この間やった健康診断の時よりも増えてるじゃありませんか!!!」
海未とことりに詳細を伝えると、穂乃果に詰め寄った。
「でも練習でたくさん動いてるしたくさん汗を掻いてるから、大丈夫だと思うんだけどなぁ〜」
ことりが穂乃果のフォローに回り、穂乃果が嬉々とした表情で頷くがオレと海未は大きなため息をついた。
「……なら、穂乃果には現実を思い知った方がいいですね」
「えっ?」
「現実?」
穂乃果とことりの疑問をよそに海未は立ち上がった。
「壮大。今から持ってくるのはあれでいいですよね?」
「ああ。よろしく頼む」
オレが頷いたのを確認した海未は生徒会室を出て行った。
そして数分後に戻ってきて、海未の手にはある衣装が握られていた。
「これです!」
「これって……」
海未が意気揚々と差し出してきたのは、まだμ'sが穂乃果たち3人の時に講堂で行ったファーストライブの衣装だ。
「穂乃果。今すぐこれを着てみろ」
「えー?なんでー?」
「 い い か ら 」
オレはそれだけ言い残し、海未とことりを連れて一度生徒会室から退出する。
「これでハッキリするはずだ」
「ハッキリするはずって……何のこと?」
「穂乃果が今置かれている状況に、です」
オレと海未の言っている意味の理解が追い付ききれず、ことりは可愛らしく首を傾げていたが………
『だあああああああああっっ!!?』
「ピィッ!?」
生徒会室の中から響いてきた穂乃果の絶叫にことりは鳴き声みたいな声をあげる。
少し間を開けてからオレは無言で生徒会室のドアを開け放つ。
「うぅっ…、ぐずっ……、えぐっ……」
穂乃果はイスに座り、涙目で嗚咽を漏らしながら虚空を見つめていた。
「穂乃果ちゃん!?大丈夫!?」
「ごべん、ことりちゃん…。今日は1人にさせて……」
「そう言うわけにはいきません!!」
海未が泣き言を言う穂乃果を一喝し、バンッ!と生徒会室のテーブルを両手で叩いてから穂乃果の顔に近付けながら宣言した。
「穂乃果にはラブライブの最終予選に向けて今から減量して貰います!!!」
「そんなぁぁぁぁあっ!!!!」
海未が発した穂乃果の減量宣言から翌日。
他のメンバーにお土産を渡しそびれたオレが向かった先は、アイドル研究部の部室。
ここに来ればメンバーの誰かしらはいるだろうと思い、やって来た。
「よう、真姫。それに凛ちゃんも」
「あ、壮大。修学旅行はどうだったの?」
「京都や奈良だけじゃなくて大阪にも行ってきたから楽しかったぞ」
「そーくんおかえりなさいだにゃ!!」
真姫と凛ちゃんに挨拶をして花陽ちゃんにも挨拶しようと思ったら、花陽ちゃんの姿が見えない。
代わりに見えるのはとんでもない大きさのおにぎりだった。
「真姫、凛ちゃん。……花陽ちゃんは?」
「花陽なら……」
真姫が自分の90°右隣の方角を指差す。
まさかと思いつつも、真姫たちがいる方向とは反対の方向からおにぎりの陰を覗き込む。
「はぐはぐはぐはぐ……」
「花陽ちゃん!?」
花陽ちゃんはオレが来たことも気が付かないくらいの集中力でおにぎりを頬張っていた。
「はぐっ……、あっ、壮大くん。こんにちは」
「こんにちは花陽ちゃん…。その超ド級サイズのおにぎりは?」
「これ?今は秋で新米の季節だからこれくらいの大きさのおにぎりにしてじっくりと味わってるんです!」
そう言って花陽ちゃんはまたでっかいでっかいおにぎりを食べ始め……ようとすると、花陽ちゃんは何かに気が付いた。
「むぅ……」
それはじっと花陽ちゃんのおにぎりを見つめ、眉間にシワを寄せる穂乃果だった。
って言うかいつここにやって来たのだろう……?
「……食べる?」
「いいのっ!?」
「いけませんっ!!」
見ていられなくなった花陽ちゃんは自分のおにぎりを食べさせようとし、穂乃果がそれに飛び付くように反応するが海未によって阻まれてしまった。
「あれだけの量の炭水化物を摂取したら、消費するのにどれだけ時間がかかるか分かっているのですか?」
「う〜〜っ!!」
「穂乃果ちゃん…、どうしたの?」
海未に着ている学校指定の赤いジャージの首根っこを掴まれている穂乃果を見かねた凛ちゃんが穂乃果に尋ねる。
「もしかして……?」
「うん。最終予選までに減らさなきゃって」
「だから穂乃果はオレと海未の管理下で体重を減らすように頑張ってるんだ」
「そうなんだにゃー……」
凛ちゃんは納得した表情を見せる。
「でも、これから練習時間も増えるからご飯の食べる量も自然と増えちゃうんじゃ…」
「それはご心配なく。食事面に関しては私がメニューを作って壮大が作っていますし、運動面では壮大が考案して穂乃果の自己申告による体調に合わせて練習を管理していますので無理な減量にはなりません」
「そこまでやるなんて壮大も海未も本気なのね……」
花陽ちゃんが何気無く言った疑問は海未の口によって否定し、その本気度は真姫ですら驚いていた。
そこまでやるなんてだって?
穂乃果はμ'sのセンターで実質的リーダーなんだし、その分みんなに注目されるんだから……当たり前だよなぁ?
「……ねぇ、花陽?」
「何かな?真姫ちゃん?」
「気のせいかもしれないんだけど…、あなたそのサイズのおにぎりここ最近ずーっと食べてるわよね?」
「そう……かな?」
ん?
何だか話の雲行きが怪しくなってきたような……。
「心なしか着ている制服のブレザーの張りが増してるような気がするのよね……」
「そ…!そんなこと……無いんじゃないかな?」
真姫に指摘され、相当狼狽える花陽ちゃん。
「あー。こんなところに体重計がー。この機会だから花陽ちゃんも乗ってみるといいんじゃないかなー?」
「そーくんの棒読み具合が酷すぎるにゃ」
凛ちゃんにも突っ込まれてるように我ながら酷い棒読み具合を演じながら、体重計を引っ張り出す。
「あら、準備がいいじゃない。……花陽。今この場で私と海未の前で体重計に乗ってみなさい?」
「えぇ。もしこれで花陽も体重が増えていたら穂乃果と一緒に減量生活に付き合って貰いますよ♪」
「そ、そんなぁ~!!!」
真姫と海未がイキイキとした笑顔で花陽ちゃんの両サイドに固まり、嫌がる花陽ちゃんを無理矢理体重計に乗せる。
オレはというと、女の子の体重を見るわけにもいかないので花陽ちゃんたちから背を向ける。
背を向けてから数十秒後…。
「ぴゃあああああああっっっ!!!!」
自分が予想していた体重よりも重かったのであろうことに悲鳴をあげ…、
「うぅ…。ダレカタスケテー!!!」
誰かに助けを求めながら涙ぐんでいた。
残念だったな花陽ちゃん!!
普段なら助けてあげたいところなのだが、今回ばかりは花陽ちゃんの敵として立ちはだかってやるぜ!!
「穂乃果…。よかったな、自分と同じ境遇の仲間が出来て……」
「ちっとも嬉しくなーいっ!!!」
仲間が出来たことをしみじみと穂乃果に向かって呟くと、穂乃果は心の叫びをありったけの力で叫んだ。
次回は誰もが唖然としたあの名(迷?)場面をミラトラ流にアレンジしたお話です。
できるだけ早めに更新するつもりでいるのでよろしくお願いします!!
※追記
評価してくれたみなさまありがとうございます!!
お陰さまで評価に色(しかも最高評価の赤!)がつきました!
まだまだ未熟ですがこれからもMiracle and Track略してミラトラをよろしくお願いします!!