ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
では、どうぞ!
「おーい!希ちゃーん!」
「おぉ!みんなお揃いやね!!明けましておめでとう!」
「「「「「「明けましておめでとう!」」」」」」
巫女服を着て段ボールの荷物を運んでいるのんちゃんを発見したオレたちは新年の挨拶をする。
何でも初詣があるこの時期は神社にとって最も稼ぎがいがあるらしく、初詣がてら様子を見に来たのである。
「明けましておめでとうございます。……何だか忙しそうですね」
率直な感想を伝えると段ボールで口元を隠しながら小さく笑った。
「フフフッ…、毎年いつもこんな感じなんよ。でも今年はお手伝いさんがいるからね」
「お手伝いさん?一体誰なの?」
「希~!これってそっちでいいの〜!?」
ナイスタイミング、という具合でのんちゃんが言うお手伝いさんがやって来た。
「にこちゃん!?」
「うわぁっ!?……ったっっとぉ!!!」
破魔矢とか絵馬とかが入っている段ボールを落としかけるが、それをお手玉を何回か繰り返してからまた持ち上げる。
「……何よ。あんたたちも来てたの?」
「初詣がてらのんちゃんたちの様子を見に行ってみよう、ってことで」
「にこちゃんの巫女服姿、似合ってるよ!」
「可愛いにゃ〜!」
「えっ!?そ……そう、かな?」
穂乃果と凛ちゃんで巫女服姿のにこちゃんを褒め、それを聞いたにこちゃんが照れ臭そうに穂乃果たちから視線を外しながら嬉しそうにする。
すると、急に凛ちゃんが真姫の背中を押してにこちゃんの横に並ばせた。
「なんか真姫ちゃんとにこちゃんで和風のユニットとか作れそうにゃ!」
「「「「ユニット!?」」」」
いきなり突拍子もない事を言い出した凛ちゃんの発言を聞き、何故かにこちゃんと真姫によるユニットを想像してみた。
『あはっ♪』
『ふふっ♪』
『『おいでやす~♪♪』』
「…………無いな」
「えぇ~!?絶対似合うと思うのに~!?」
思わず呟いた事を穂乃果に聞かれ、『信じられない!』という顔付きでオレを見てくる。
この2人に似合う楽曲は磁石みたいに反発しあったり、かと思うと今度はくっつきあったりするような楽曲が似合うに決まっているだろ。
異論?そんなのはオレが認めん。
「壮大の言う通りよ!!」
「そうよ!それだと私たちが完全にイロモノみたいになるじゃない!!」
そりゃ和服のような衣装でアダルトチックな楽曲を披露してしまったら、如何わしく見えてしまいそうだしな。
「あら?何か騒がしいと思ったらみんなも来てたのね!」
新年早々に変なことを考えていると、後ろからまたしても段ボールを両手で持った絵里ちゃんがやって来た。
のんちゃんやにこちゃんとはまた違った……何というか神々しさを身に纏っていた。
「絵里ちゃん!明けましておめでとう!」
「おめでとう穂乃果!それにみんなも!!」
「うんっ!それにしても……絵里ちゃんの巫女姿とっても可愛いね♪」
「確かに絵里が巫女服を着るとかっこよく見えます!」
「なんだか惚れ惚れしてしまいます!」
絵里の巫女姿はことりも花陽ちゃんも…、そして普通の人よりも和装する機会が多い海未でさえも絶賛していた。
やっぱ着る人の素材がいいと何でも似合うのか?
「ねぇ絵里ちゃん!一緒に写真撮ろうよ!」
「ダメよ。今は忙しいんだから」
凛ちゃんは巫女姿の絵里ちゃんと一緒に写真を撮ろうとお願いしたのだが、あっさりと断られた。
「お願い絵里ちゃん!ほんの少しだけでもいいから!!」
「凛ちゃん。絵里ちゃんたちは仕事中なんだからこれ以上邪魔しちゃダメだろ?」
「ちぇーっ…」
何とかして写真を撮りたい、と食い下がろうとする凛ちゃんを優しく諭して諦めるように説得する。
そのおかげか渋々ながらも凛ちゃんは手に持っていたスマートフォンを降ろしてくれた。
「ありがと、壮大。それじゃまた練習の時にね?……希!にこ!行くわよ!!」
そう言い残し、3年生組は仕事場へと戻っていった。
「やっぱり仲良しだね!」
「姉妹みたいだにゃ!」
3年生の3人の後ろ姿を眺めながら穂乃果と凛ちゃんは呟く。
しかし、花陽ちゃんは揺るぎない1つの事実を少し寂しそうに口にする。
「でも…、もうあと3ヶ月もないんだよね…。3年生」
あと3ヶ月…いや、残り2ヶ月もしないうちに3年生は音ノ木坂学院に別れを告げなければいけないということだ。
「花陽。その話はラブライブが終わるまでしないとこの前約束したはずですよ?」
「分かってます。……それに」
花陽ちゃんはまた別の事を口にしようとするが、穂乃果が花陽ちゃんの話の腰を思いっきりへし折った。
「3年生のためにも、ラブライブで優勝しようってここまできたんだもん!頑張ろうよ!最後まで!!」
穂乃果がそう宣言すると、その言葉に感化されたのかみんなも話し始めた。
「そうだね!3年生のためにも最後まで頑張ろう!」
「はい!ラブライブ本戦に向けて、みんなでまた練習を頑張っていきましょう」
「「「「「うんっ!」」」」」
みんなの強い意志が現れたかのように、いい表情で頷いた。
次の日の午前中。
音ノ木坂学院の屋上でウォーミングアップ中に花陽ちゃんの口から本戦の概要を説明してくれた。
「えっ?自由?」
「それじゃあ選曲も自由ってこと?」
自由という単語に穂乃果が食い付いた。
「はい。それに歌だけではありません。衣装もダンスの振り付けも曲の長さも基本的には自由です。最終予選で勝ち上がってきた各都道府県の代表が一曲ずつ披露して会場とネット投票で優勝者を決めるという、実にシンプルな方法です」
つまり今まで披露してきた既存曲でもOKだし、そこで新曲を披露しても構わないと言うことになる。
でも、そっちの方式の方が簡単で視聴している人や会場まで足を運んでくれる人にとっても楽でいいのかもな…。
「そこで出場グループの間では、本戦が始まるまでにいかに自分達のグループを印象づけておけるかが重要だと言われてて…」
「印象…づけ?」
花陽ちゃんの説明に穂乃果は首を傾げた。
「全部で50近いグループが長時間に渡って一曲ずつ歌うのよ?」
「見ている人全員が全てのグループを覚えているということは限らない……と言うことか」
「……それにネットの視聴者はお目当てのグループだけを見るってことも少なくない筈だわ」
確かに一番最初のグループから最後のグループまでぶっ通しで視聴し続けるのは流石に難しいだろうな……。
開催される時間によっては用を足したり、食事をしなければいけないかもしれないし。
「私たちμ’sはA-RISEに勝って、現時点では他のグループより目立ってはいますが…」
「それが3月の本大会の時には、どうなってるかってことやね…」
海未は現時点での状況を、のんちゃんがこれから推測される事を考えて発言をする。
「でも事前に印象づけておく方法なんてあるの?」
穂乃果が印象づけられる方法について尋ねるとそれを花陽ちゃんが説明してくれた。
「はい。それで一番大切だと言われているのが…キャッチフレーズというものです」
「「「「「「「キャッチフレーズ?」」」」」」」
花陽ちゃんの口から出てきた1つのキーワードを鸚鵡返しするように聞き返す。
「キャッチフレーズって『100人乗っても大丈夫』とか『エンディングまで、泣くんじゃない』とかそういった感じのやつのことか?」
「はい、そのキャッチフレーズです。出場グループはこのチーム紹介のページに自分たちのキャッチフレーズを付けることが出来るんです」
そう言いながら花陽ちゃんは屋上に持ち込んだノートパソコンを開き、みんなに見えるようにしてディスプレイを向けた。
パソコンを見ると、他のグループのキャッチフレーズには『恋の小悪魔』とか『はんなりアイドル』とか『可愛さと強さの化学反応』だとかそれぞれのグループにマッチしたキャッチフレーズが付けられていた。
……それにしても『可愛さと強さの化学反応』ってなんなんだよ?
「そうなると当然、ウチらμ'sにも付けておいた方がよさそうやね」
「はい。私たちμ’sを一言で言い表すような言葉は……」
「『μ’sを一言で表す』かぁ……」
う~ん、と唸りながら考え始める穂乃果を見かねて言い聞かせる。
「今1人で考えても仕方がないだろ?」
「それもそうだね」
穂乃果はそう返事をしたっきり、練習に集中し始めた。
練習が終わり、キャッチフレーズの件はまた後日話し合って決めようと言うことで今日のところは帰ることに。
「μ’sを一言で表す…う〜ん…」
穂乃果は両腕を組んでまたキャッチフレーズのことを考え始め、しばらくすると思いついたのか話し出した。
「あっ!石鹸じゃない!」
「そんなの見れば分かるな…」
「それとも…、μ'sは9人?」
「それも見れば分かります!!」
その後も穂乃果の極々当たり前の事をキャッチフレーズとして提案するが、オレと海未で頭ごなしに却下していく。
「もう!それだったらそーちゃんも海未ちゃんも何か考えてよ!」
「そんなのは分かっています!ですが…」
「なかなか難しいよな…」
「9人みんな性格も違うし…、1度に9人が集まったわけでもないし…」
ことりの意見は最もだ。
最初は穂乃果たち3人がグループを立ち上げ、紆余曲折を経てメンバーが9人になったわけだし……。
すると穂乃果がまた話し出す。
「でも優勝したいって気持ちは一緒だよ!」
「…と、なると?」
「『ラブライブ優勝!』ってのはどう?」
「何様のつもりですか!?」
今のやり取りで連想される事を元に思いついた言葉を発すると、海未はそれに突っ込んでは肩を落とす穂乃果。
……意外とキャッチフレーズって決まらない物なんだな。
「じゃあまた明日な~!!」
「バイバーイ!」
「明日も遅れずに来てくださいね?」
海未とことりと別れて穂乃果と2人で家に向かう道中でも、穂乃果はキャッチフレーズの事で頭を悩ませていた。
「う~ん…『半分は優しさで出来ています』…、『この青春を駆け抜けろ』……」
「それもうμ'sと関係無くなってきてるからな?」
これ以上決まらないならグループ名の時のように一般公募で決めるしか無いのかもな…、と考えていたら反対側から誰かが歩いてきてオレたちの前で立ち止まった。
「こんにちは松宮くん。……それに高坂さんも」
その誰かの正体はA-RISEのリーダーの綺羅 ツバサだった。
「ツバサさん!こんにちは!」
「よう。それに明けましておめでとう」
「おめでとう。……唐突で悪いんだけど少し高坂さんと話がしたいんだけどいいかしら?」
「えっ?私?」
穂乃果に何の用事があるんだ?
理由について聞こうとしたら、今度はこちらを向いた。
「松宮くんも来てくれるかしら?」
「オレも?」
「えぇ。キミにもいくつか聞きたいことがあるから」
綺羅は少し笑みを浮かべる。
以前立ち会ったときに見た裏のある笑みでは……ないみたいだな。
「……分かった」
「それじゃ行きましょう?」
警戒心を解いて2人に同行することを同意すると、綺羅は踵を返して歩き出したのでオレたちも綺羅の後ろを追いかけるように歩き出した。
絵里ちゃん特別編が進まない……
それに伴って下手したら凛ちゃん特別編も……
急いで執筆はしてますけど、絵里ちゃん特別編は間違いなく遅れます!
今回も読んでいただきありがとうございます!
次回更新までお待ちください!