ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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お待たせしました!

約3週間投稿していなかっただけで1ヶ月半ほど投稿していなかった感じです。

では、どうぞ!!


第63話 支えているもの

綺羅の後ろについて歩くこと5分。

 

連れてこられた場所は大きな池がある公園で、池の水面ではカモの親子がプカプカ浮いているし小さな子どもが母親と手を繋いで『ママー、きょーのごはんなぁにー?』『今日はクリスが大好きなハンバーグよ~?』と微笑ましい1シーンが繰り広げられていた。

 

「はい、これ。私からの奢りよ」

 

「どうも」

 

綺羅から手渡された缶コーヒーを受け取る。

 

プルトップを引き起こし、コーヒーを飲むと少し冷えた身体が一瞬にして暖かくなる。

 

「んじゃ、オレはこの公園内を散歩してるから」

 

「どうして?」

 

「2人っきりで話した方が腹割って話せると思ったから」

 

穂乃果と綺羅を2人にさせる口実を作り、散歩に行こうとすると理由を聞かれたので理由を話す。

 

すると、綺羅は口元を隠しながら小さく笑った。

 

「ふふっ…、別にあなたも話に加わってもいいのよ?」

 

「グループのリーダー同士にしか分かり得ない事もあるだろ?メンバーじゃないオレが話に加わってもいい内容じゃないと思ってな」

 

オレは綺羅にそう答えた後、背を向けて公園内を歩き始めた。

 

 

 

 

 

Side 高坂 穂乃果

 

 

何やらそーちゃんと話をしてたみたいだけど、話が終わったのかそーちゃんは私とは反対方向へと歩いていきツバサさんは私が座っているベンチにやってきた。

 

「ごめんなさいね。でもどうしてもリーダー同士2人っきりで話したくてね」

 

「いえいえ…、そんな……」

 

あぅ…。

 

何度かツバサさんとは顔を合わせたことはあるけど、2人っきりで話すことは無かったから緊張しちゃうよぉ…。

 

「練習は頑張ってる?」

 

「は…、はいっ!本戦ではA-RISEに恥ずかしくないライブをしなきゃ~って、みんな気合い入ってます!」

 

「そう…」

 

ツバサはそう反応すると話が途切れる。

 

しばらくの沈黙が流れ、穂乃果が心配そうな顔をして、穂乃果がまた口を開きツバサに問いかけた。

 

「あの…A-RISEは…?」

 

「心配しなくてもちゃんと練習してる。『ラブライブ』っていう目標がなくなってどうなるかって思ったけど、やっぱり私たち…歌うことが好きなのよ」

 

「良かった…」

 

ツバサさんの話を聞いてホッとすると、今度はツバサさんが話し始めた。

 

「ただやっぱり、どうしてもちゃんと聞いておきたくて…」

 

「えっ?」

 

「私たちA-RISEは最終予選全てをぶつけて歌い、踊った。そして潔く負けた。その事に何のわだかまりもない」

 

「……!」

 

ツバサさんの言葉を聞き、衝撃が走る。

 

それだけ今放ったツバサさんの言葉には重みがあった。

 

まさかツバサさんがこんなことを言うなんて思ってもいなかったから……余計に。

 

だけどツバサさんは真剣な表情から少し頬を緩めて笑った。

 

「…と思ってたんだけどね」

 

「えっ…?」

 

「ちょっとだけ引っかかってるの。何で負けたんだろうって…」

 

「そう…なんですか?」

 

聞き返すとツバサさんはえぇ、と言って話を続ける。

 

「理由は分からないのよ。確かにあの時μ’sは私たちよりも多くのファンの心を掴んでいたし、パフォーマンスも素晴らしいライブだった。結果が出る前に私たちは確信したわ。……でも、何故それができたの?」

 

「えっ?」

 

なぜ?それは一体どういうことなんだろう?

 

「確かに努力はしたんだろうし、練習を積んできたのは分かる。チームワークだっていい。だけどそれは私たちだって一緒」

 

ツバサさんの言う通りだ。

 

チームワークなら最終予選に臨んだ他の2チームにもあったはず…なのにどうして?と聞いてくる。

 

「むしろ私たちはあなたたちよりも強くあろうと…、ううん、日本全国の数多のスクールアイドルグループよりも強くあろうとしてきた。それがA-RISEの誇りでありスタイル。だから負けるはずがない!!そう思ってたけど……負けた。だから私はその理由を知りたいの!」

 

「えっ?えっ??」

 

そしてツバサさんは、穂乃果に聞きたかった本心の言葉をさらけ出した。

 

「μ’sを突き動かしているのは何?あなたたちを支えているもの…原動力となる想い……それは一体何なの?」

 

それがツバサさんが聞いておきたかったことなんだろう、と直感する。

 

ツバサさんの真剣な眼差しに対し、どう答えればいいか分からず迷っていた。

 

私も同じようなことを考えていたから。

 

そしてそのままの答えを口に出そうとしたら…、

 

「さぁな…、それは本人たちにも分からないさ」

 

この場にいるはずがない人が私の代わりに答えた。

 

 

Side out

 

 

 

 

湖があるもんだからもっと大きい公園だと思ったら、全然大きく無くて穂乃果たちの話が終わるよりも前に戻ってきてしまった。

 

「そーちゃん…、いつからそこにいたの?」

 

「『μ'sが突き動かしているのは何?』辺りからだ」

 

オレは本当にそこからしか聞いていなかったので、話の内容は分からないが大方『何故私たち(A-RISE)あなたたち(μ's)に負けたのか』って聞いてたんだろう。

 

「それは……どういう事かしら?」

 

綺羅が問いかける質問に、オレは素直に答える。

 

「本人たちが自覚していないのにそれ以上の質問をこいつに投げ掛けるのは酷ってもんだろ?」

 

オレは穂乃果の頭の上に手を乗せ、ポンポンと撫でる。

 

「……それもそうね」

 

それを最後にその会話は終わりとなり、3人で正月はどう過ごしていたかといった世間話に花を咲かせることとなった。

 

 

 

 

 

「あっ、そうだ。松宮くん」

 

「なんだ?」

 

帰り際、綺羅が思い出したかのように話を切り出してきた。

 

「怪我の具合は大丈夫かしら?」

 

「なんだ……知ってたのか?」

 

てっきり知らないと思っていたから少し驚きだ。

 

「ラブライブの最終予選が終わった日に風の噂と共に流れてきんだけど~ってあんじゅが言ってたのよ」

 

あの人…、ゆるふわ系女子高生じゃなかったのか?

 

μ'sのメンバーの中にもタロットカードを差し出しながら『カードがそう告げとるんよ~♪』って平気で言う人もいる世の中だし……スピリチュアルって結構そこら辺に満ち溢れてるもんなのか?

 

っと…、今は質問に答えんとな。

 

「おかげさまでほぼ完治に近い状態だ。でも、まだ全力で走れないのがちと辛いけど……」

 

「そう。それを貴方に1番聞きたかったけどその答えを聞いて安心したわ」

 

さいですか…。

 

何だか穂乃果に聞いた質問に比べると見劣りしてしまうのは気のせいだろうか?

 

「それじゃ、またね。ラブライブ頑張ってね」

 

「はい!ツバサさんも!!」

 

「松宮くんも。お大事にね?」

 

「あぁ」

 

互いに別れの挨拶を交わし、綺羅は背を向けて歩いて行った。

 

オレたちも綺羅に倣って自分たちの家に向かって徒歩で帰宅するが、穂乃果はまた気難しそうな顔つきになっていた。

 

「……言われたことが気になってるのか?」

 

穂乃果がうん、と首を縦に小さく動かした。

 

μ’sの原動力…そんなの結成当時からずーっと見てきたオレにも分からない。

 

けど…、

 

「もし穂乃果が見つけたり思いついたりした時に出てきた言葉……それがそっくりそのままキャッチフレーズになるんじゃねぇか?」

 

「そっくりそのまま?」

 

「そっくりそのままだ」

 

そんな気がする。

 

何も飾らない愚かとも言われそうなくらいストレートな言葉。

 

それがきっとμ'sと言うグループのキャッチフレーズになる、と。

 

「もう……そんな難しい話されても私おバカだからよく分かんないよ」

 

拗ねるようにプイッとそっぽ向かれてしまった。

 

でも…、これそんなに難しい話だったか?

 

 

 

 

 

 

Side 高坂 穂乃果

 

 

『もし穂乃果が見つけたり思いついたりした時に出てきた言葉……それがそっくりそのままキャッチフレーズになるんじゃねぇか?』

 

帰り際にそーちゃんが言ってた事が頭の中でグルグルと駆け巡っている。

 

私は家に帰ってきてから結成当初から今日まで起きた事を思い出し、それを元に考えてみたもののサッパリ思いつかなかった。

 

全然分かんないや……。

 

私は気分を変えてお風呂に入るため部屋を出て1階に降りて居間に行くと、雪穂が1人で炬燵に入りメガネをかけてノートに向かってペンを走らせていた。

 

雪穂はこれから始まる受験シーズンに向けて追い込みの時期に入っていて、2年前に経験した私よりもずっとずっと効率も要領もいいから少しだけその頭脳が羨ましく思える。

 

「こっちで勉強?」

 

「うん。部屋だと寒いから……」

 

「お風呂先に入っちゃうよ?」

 

「どうぞ〜」

 

居間を出て行こうとした時、雪穂から見たμ’sとは一体どんなものなのかを勉強時間を削ってしまう事を申し訳無く思いながら聞いてみた。

 

「ねぇ、雪穂……」

 

「どうしたの?」

 

「雪穂から見たμ'sってどう見えてるの?」

 

「えっ!?なんで急にそんなこと…?」

 

雪穂に事情を説明し、そうだなぁ……と呟きながらμ’sについて考えてくれた。

 

しばらく考えた雪穂はやがて話してくれた。

 

「……心配?」

 

「はぁ…?」

 

雪穂の思いもよらない言葉に思わず聞き返してしまったが、雪穂の容赦の無いイメージがポロポロと出てくる。

 

「『危なっかしい』『頼りない』『ハラハラする』」

 

指を折りながらまるでダメ出しのようなイメージが次々と出てくる。

 

一応地区代表なんだけどなぁ…。

 

「じゃあさ、なんで勝てたんだと思う?」

 

「さぁ?」

 

さぁ?って…。

 

質問を変えて聞いてみたが、分からないとばかりに答えてくる。

 

もしかして聞く相手間違えたかな……?

 

そう思っていたけど、今までの事をまとめてフォローするように口を開いて話し出した。

 

「ただ不思議と応援しなきゃ~って気持ちになるんだよね…どのグループよりも。それは『お姉ちゃんだから』とか『地元だから』とか一切関係なく」

 

「『応援しなきゃ』か…」

 

するとポケットに入れていたスマートフォンから着信を知らせるメロディが流れてきて、確認すると激励のメッセージだった。

 

「あぁっ!!」

 

「なっ!?ど…、どうしたのお姉ちゃん?」

 

「大事なこと忘れてた!お母さんはどこ?」

 

「台所…だけど?」

 

そうだよ!

 

何で今の今までこれを忘れていたんだろう!?

 

雪穂からお母さんは台所にいると聞き、すぐにお母さんのいる台所へ駆け出した。

 

 

Side out

 

 




凛ちゃん誕生日編も急ピッチで進行中です。

早くしないと『凛だけ…、特別編書いてくれないのかにゃ?』と涙目で訴えられそうです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!



同時連載している小説もよろしくです(小声
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