ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
タイトルの英文はぜひとも訳してみてください。
答えは本文中に書いてますので…。
では、どうぞ!!
次の日の朝。
オレは布団の温もりを感じながら身体と脳を休めていたのだが…、
「そーちゃんっ!!」
「うぐぁっ!!?」
いつぞやの時と同じく穂乃果に叩き起こされた。
「んで?こんな朝早くから何の用だ?」
オレは温もりが残る布団にくるまりながらジト目で穂乃果を睨む。
また悪い夢を見て怖くなったから家に来た、とかだったらそのサイドテールを留めてるリボンを外して手が届かない高さに置いてやろうか?
「えっと…、あれ?何言おうとしたんだっけ?」
「ハッハッハ!」
あまりにもつまらさすぎるジョークに思わず笑い飛ばしてしまった。
冗談はその足りない頭と突拍子が無さすぎる行動だけにしやがれ、このおバカ!!
「冗談だよ!冗談!!ほんのジョークだよ!」
「……オレの顔は2度までだぞ?」
そーちゃん、怖い……と縮こまる穂乃果。
本当であれば今すぐにでも制裁を喰らわせてやりたいが、それなりに反省をしている上に今回みたいなことは今に始まった事じゃないから特別に許してあげることにしよう。
「あっ!思い出した!9時になったら家の前に来て!」
「……それだけ?」
「それだけ?って……それだけだよ?」
……。
何も言わずに布団を被った。
それだけのためにわざわざ叩き起こすんじゃねぇよ!
布団を引き剥がそうとする穂乃果に抵抗しながら指定された時間ギリギリまで眠ってやろうと心に誓いながら、目を閉じた。
自然な流れで『わりぃ、寝過ごした~』ってやりたかったが、向かいの穂むらの前にはみんながすでに集まっていたので自室の窓をガラリと開ける。
「そーくんおはよ~!」
「おはよう壮大。もしかして今起きたの?」
窓が開く音を聞きつけたことりが誰よりも早くオレに挨拶をし、次に絵里ちゃんも挨拶をしてきた。
「いえ。オレの部屋に1度嵐が来て叩き起こされたかと思うと、用件だけ言い残してさっさとどこかへ行ったので……」
「はぁ…、何があったかだいたい分かったわ」
事情を察してくれた絵里ちゃんはやれやれ…、といった表情で溜め息をつく。
分かってくれて何よりです。
「そーくんも部屋に閉じこもってないで凛たちのところにおいでよ!!」
「そうよ!にこたちがこんなに寒い外にいて壮大だけ中でぬくぬくしてようだなんて許さないんだから!」
「……分かりました」
凛ちゃんと理不尽な事に怒るにこちゃんに唆され、寒くない格好に着替えてから穂むらの前まで行く。
すると、みんなの目の前には穂むらの杵と臼が置かれていた。
……あぁ、そう言えば今年はまだやってなかったな。
「穂乃果がこれから何やろうとしてるか分かる?」
「……まぁ、だいたいは検討ついてる」
「みんな~、お待たせ~」
真姫に質問されたので質問に答えていたら、穂むらの入り口から餅米が入った木箱を持った夏穂さんを先頭に高坂家一同が現れ、その餅米を臼の中に入れたのを見計らって法被を着た穂乃果が杵を持った。
「ちゃんと出来るの?」
「お父さんから教えてもらったから大丈夫だよ!」
餅米を杵で馴染ませるようにこね、そして杵を振り上げていよいよ餅つきをし始める。
「いよっ!ほっ!!そぉれっ!!!」
穂乃果が餅をつき、海未が抜群のタイミングで手で餅を返していく。
「はぁ〜!ご飯がキラキラしてたね!お餅だね!」
「食べる気満々じゃない…」
花陽ちゃんはすでにマイお箸とマイお皿を持っていて、目をキラキラ輝かせながら餅がつきあがるのを今か今かと待ちわびている。
花陽ちゃん、よだれが垂れてるぞ?
「凛ちゃんも真姫ちゃんもやってみる?」
「いいの!?」
「私はいいわよ……」
穂乃果は近くで見ていた凛ちゃんと真姫を誘うが、やる気満々の凛ちゃんに対して真姫は少し面倒そうに拒否する。
「それよりも何で餅つきなのよ?」
「米の在庫処分でもしようって考えたのか?」
「ううん、違うよ」
首を横に振り、オレが言ったことを否定する穂乃果。
「なんか考えてみたら学校のみんなに何のお礼もしてないなって…」
お礼?
穂乃果が……みんなに?
「最終予選を突破出来たのってよくよく考えたらあの雪の中を一生懸命雪掻きをしてくれたみんなのおかげでしょ?でも、あのまま冬休みに入っちゃってお正月になって…」
それでみんなにお礼で餅つきして出来たお餅でお礼をしようってわけか思いついたのか。
でもさ…、
「別にお餅にする必要なかったんじゃねぇの?」
「だって思いつかなかったんだもん!」
「穂むら饅頭とか大福とかいっぱいあるだろ!」
「……あぁっ!?」
頭を抱えてハッとする表情を浮かべる穂乃果が可笑しくて思わずこの場にいるみんなが一斉に笑い出す。
「それに学校のみんなに会えばμ'sのキャッチフレーズが思いつくかなって…」
「思いつく?」
「お餅つきだけに!」
にこちゃんのクッソ寒いギャグをブッ込んできたおかげで、余計に寒く感じた。
「なぁ、壮くん。ちょっとこの辺寒いから壮くんの家に入っててもええかな?」
「奇遇ですね。オレも今そう思ってたんでみんなで行きましょうか……。クッソ寒いギャグをブッ込んだにこちゃんだけ残して……」
「悪かったわよ!ついよ!つい!!」
にこちゃんも自分で言った事が寒いことを自覚したのか顔を赤くしながらみんなに謝った。
謝るくらいなら寒いギャグを言わないでほしい…と思ったのはオレだけじゃないはずだ。
「よし!気を取り直して続きを始めるにゃ!!」
凛ちゃんはにこちゃんのギャグを無かったことにし、餅つきの続きをしようと杵を振り上げた。
「危な〜い!!!」
凛ちゃんの後ろから全速力で走ってきた亜麻色の髪の少女が海未を庇うように抱きついた。
「亜里沙!?」
「μ’sが怪我したら大変!」
その正体は亜里沙ちゃんで、お姉ちゃんである絵里ちゃんは亜里沙ちゃんの行動に驚く一方で亜里沙ちゃんは杵を何かのハンマーのような物と勘違いしているようだった。
「亜里沙ちゃん、違う違う。別にオレたちは海未に恨みがあってこれで殴りかかろうとしてた訳じゃないぞ?」
「そうなんですか?では…、みなさんは一体何をしていたんですか?」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に対してまとめて答えるように臼を指差し、中に入っている餅を亜里沙ちゃんに見せる。
「……これは?」
「お餅って言うんだ」
「お餅……スライム?」
あー…。
今餅をついてる途中だから海外暮らしが長かった人からしてみればスライムに見えるかもしれんな。
作ってる最中のものではなく、出来たてホヤホヤのお餅をお皿に盛り付けて亜里沙ちゃんに手渡す。
「亜里沙ちゃん。これがこの中に入ってるお餅の完成形だ」
「食べてみて?きっと頬っぺた落ちるから!」
花陽ちゃんの話を聞いてお餅を不思議そうに見つめていた亜里沙ちゃんだったが、箸を使ってお餅を食べると亜里沙ちゃんはパァッと笑顔の花を咲かせた。
「……美味しい!」
「おろ?意外と本格的ね!」
するとヒデコちゃん、フミコちゃん、ミカちゃんのヒフミトリオを筆頭に1度は見たことがあるような人たちが穂むらにやって来た。
「へいらっしゃい!」
何で下町みたいなお出迎えをしてるんだお前は…。
「よぉっ!そぉらっ!!はぁっ!!!」
予想よりも大人数になってしまい、餅が足りなくなってしまったので親父さんとオレで餅を作る役目を引き継いだ。
最初はオレが餅を返す役目なのかと思っていたのだが、親父さんに無言で杵を渡されたので筋トレの一環としてその役目を引き受けた。
「はい!どうぞ!」
「みんなの分ありますからね〜!」
「並んで並んで!お餅は逃げないから!!」
穂乃果を中心として餅を振る舞い、受け取ったみんなは笑顔で餅を堪能していた。
そして海未はというと穂乃果の部屋に飾ってあったラブライブ最終予選の勝者の証でもある黄金のトロフィーを穂乃果の許可を得た上で持ち出し、みんなに見せる。
「はーい!それじゃ撮るわよー?」
「行くわよみんな!せーのっ……!」
『にっこにっこにー!』
夏穂さんに頼んでみんなで『にっこにっこにー』の合言葉で記念写真を撮ってもらったり……、
「かよちん!そんなに食べたら太るにゃ!!」
「離して凛ちゃん!そこにお餅があるのに食べないなんてお餅に失礼だよ!?」
「何言ってるか分からないにゃーっ!!」
凛ちゃんがもっと餅を食べたがっている花陽ちゃんを止めていたりと騒がしくも楽しい一時を過ごした。
途中で穂乃果が離れた場所からこちらを見つめていたのに気がついたが、そっとしておいた。
あいつにも思う事があるだろうからな…。
午後の練習の仕上げとして、みんなは神田明神の男坂での階段ダッシュに勤しんでいた。
今日のノルマは10本。
オレも参加したかったが、まだ全力で走っちゃいけないというドクターストップがかけられているし海未に何か手伝うことはないか?と聞いてみたが『そうですね…、特にないかもしれません』と言われてしまったので、境内の中を歩き回ることにした。
絵馬が飾られているところを見つけ、そちらへ歩いていく。
家内安全だったり受験での成功を祈願したり…、様々な願いを書いている人の中でμ'sに関する祈願を書いてくれている人もいた。
中にはμ'sのファンでみんなの頑張りを見てより一層勉強や部活動に力を入れるようになったという娘を持つ母親の絵馬もあったり、『μ’sが本大会で遅刻しませんように!』『大会の日、晴れますように!』と雪穂と亜里沙ちゃん共同で書き込んだ絵馬もあったり…。
みんないろんな形で応援してくれてるんだなぁ…、と思ったところでハッと我に返った。
ようやく理解した。
μ'sというグループを突き動かしているもの。
μ'sというグループを支えてるもの。
μ'sの原動力となる想いとなっているもの。
「なんだよ…、すぐそこにあったじゃねぇか」
オレは呟きながら絵馬やお守りが売っているところへ向かう。
「いらっしゃいませ」
「絵馬を1つください」
「こちらでお書きになりますか?」
「いえ。持ち帰ります」
お金を支払い、購入した絵馬を上着のポケットに突っ込む。
「海未、悪いんだがオレは用事が出来たから先に帰るな?」
「分かりました。みんなにそう伝えておきますね」
「助かる」
みんなよりも一足先に家に帰るために階段を降り、降りきったところで後ろから穂乃果の大きな声が聞こえてきた。
どうやら穂乃果もμ'sのキャッチフレーズが思いついたのだろう。
オレは小さく笑い、その場を後にした。
Side 高坂 穂乃果
今日はいよいよラブライブ本戦に出場する全グループ名とキャッチフレーズが発表される日。
私たちはUTXのスクリーン前に集まってその時を今か今かとソワソワしながら待っている。
そーちゃんは何やらやることがあるらしく、この紹介の時間には間に合いそうもないとの連絡を受けているためここにはいない。
けれど、そーちゃんも何処かでこれを見ていることを信じて待ち続ける。
「あっ!流れ始めた!!」
希ちゃんの言葉を聞いてスクリーンを見ると、エントリーナンバー1番から順番にグループ名とキャッチフレーズが流れ始めた。
私たちμ’sはエントリーナンバー11番。
8番、9番、10番と流れていき……そしていよいよ私たちの番だ。
「流れてきた!」
「これがμ’sの原動力……」
「これが私たちの……キャッチフレーズ!!」
Side out
みんなは今頃UTXのスクリーン前に行っているだろう。
そんな中、オレはこの前購入した絵馬を飾るために無人の神田明神に足を運んでいた。
「これがμ'sの原動力であり……キャッチフレーズだ」
絵馬には『Grant story with everyone…』と書き込んだ。
意訳すると…、『みんなで叶える物語』だ。
まるで小説やドラマのような物語を紡いできたμ'sにとって最も相応しいキャッチフレーズだ。
そうだろ…?みんな?
と言うわけで、今回でテレビアニメ2期第10話分は終わりです。
次回はまたまた本編に繋げるサイドストーリーを書いてからいよいよ一部のラブライバーにとってトラウマ(?)の11話分を執筆していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!