ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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The 2nd Chapter集まり出す女神たち
第8話 一輪の花とお姫様


ゴールデンウィークも終わり、新入生や新入社員が徐々に新しい環境に慣れてくる頃。

 

この時期は高校生ランナーにとってトラックレースの連戦が続き、コンディションの調整やブロック予選でよくなかったところの修正などの技術的練習で練習を終えた。

 

今日はμ'sの練習もオフらしく久々に何もない夕方を満喫するはずだった。

 

「あっ……、あのっ……!!」

 

何気無く歩いていたら音ノ木坂の制服を着た女の子がいたけど特に用事があるわけでもないから横を通りすぎようとしたら、声を掛けられた。

 

「えっ……?……花陽ちゃん?」

 

声を掛けてきたのは意外にも花陽ちゃんだった。

 

「どうしたの?こんなところで。」

 

「えっと……、に、西木野さんの生徒手帳を届けようとしてるんですけど、道に迷っちゃって…。」

 

そう言われて手元を見てみると音ノ木坂学院の生徒手帳があった。

 

「そっか。なら、一緒に行くか?」

 

「ええっ!?」

 

驚かれた。

 

何だよ。オレだって音ノ木坂学院に通ってる知り合いなんて穂乃果以外にもいるんだぞ?

 

にゃーにゃー言っちゃうえんじぇーとか、スピリチュアルやね!とか言っちゃう半予言者とか。

 

「真姫とオレは小さい頃からの知り合いでね、引っ越しさえしてなければ場所は覚えてるから。」

 

「……いいんですか?」

 

「おう。んじゃこっちだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽ちゃんを引き連れて歩き始めてからだいたい15分くらいかな…。

 

住所は変わっていなかったのですんなりと着いたのだが…、

 

「……相変わらずすんげぇ家だよなぁ。」

 

花陽ちゃんは真姫の家を見上げて口をパクパクさせたり、オレと真姫の家を繰り返し見ている。

 

さすがは総合病院の経営者…。

 

都内でこんな豪邸構えててしかもそれが知り合いと来たもんだ。

 

オレん家だって豪邸ではないけど一般家庭よりはほんの少し上のランクだと思ってるけど、そんな考えが霞んじゃうよ。

 

「んじゃ、ポチっとな。」

 

『はーい、どちら様かしら?』

 

インターホンを押して数秒の間が空いてから女性の声が聞こえてきた。

 

「あー…。どうも、松宮ですー。」

 

『はーい、今開けまーす。』

 

家のドアが開いてから家の前の門が開くと、そこには真姫に似た女の人が立っていた。

 

「あら、壮大くんじゃない。ま、とりあえず上がって上がって。……そちらの方も。」

 

「は、はいぃ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホントに久し振りねぇ。家に来るのは何年振りかしら?」

 

「病院ではチラホラ会ってるんですけどね。ところで今日は非番なんですか?彩月先生。」

 

この真姫に似た女の人は真姫の母親の西木野 彩月さん。

 

西木野総合病院の現経営者であり、そこの脳外科の先生だ。

 

「いいえ、今日は夜勤明けでついさっき起きたばかりなのよ。ところで今日はどうしたの?まさか真姫ちゃんをお嫁に下さいって言う話?」

 

「彩月先生、まだ寝惚けてるんですか?寝言は寝て言うのがこの世界のルールですよ?それにまだオレ結婚できる年齢じゃないですし。」

 

ちなみに仕事はできるけど、スイッチが切れると一気に天然さんになってしまう困った人でもある。

 

「今日はこちらの女の子と一緒に学校で落とした真姫の生徒手帳を届けに来たって訳ですよ。」

 

「あの、音ノ木坂学院1年の小泉 花陽です…。」

 

まさかここで振られると思ってなかった花陽ちゃんはビックリしながらも簡単に自己紹介をする。

 

いきなり振っておいてごめん花陽ちゃん。

 

こうでもしないと彩月ワールドに引き込まれちゃうんだ。

 

「あらそうなの?真姫ちゃんなら病院に顔を出して「ただいまー。ママ、誰かいるの?」…噂をすればなんとやらね。今、飲み物のお代わりを持ってくるわね。」

 

彩月がキッチンに姿を消したと同時に真姫がオレと花陽ちゃんがいるリビングに入ってきた。

 

「よっ。」

 

「壮大!?それに……。」

 

「こんにちは…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして壮大が私の家にいるの?」

 

彩月さんが真姫と花陽ちゃんには紅茶を、オレには低脂肪牛乳を持ってきてくれてまたキッチンに姿を消してしまった。

 

それを受け取った真姫からは鋭い目線が飛んできている。

 

そんなに見つめられたら冷たい火傷ができちまうだろ?

 

「どうしてとは酷い言われようだな…。花陽ちゃんお前の何じゃないかと思われるものを拾ったっつーからここまで道案内しただけさ。……ほら、花陽ちゃん。」

 

「これ……、西木野さんの…だよね?」

 

そう言うと花陽ちゃんは真姫に生徒手帳を手渡す。

 

それを見た真姫は初めて生徒手帳を落としたことに気付き、驚きの表情を見せる。

 

「……どうしてあなたが?」

 

「ごめんなさい…。」

 

「どうして謝るのよ…。」

 

相っ変わらず素直じゃねぇなぁ…。

 

「そう言えば西木野さんμ'sのポスター見てませんでした?」

 

「わ、私が!?……知らないわ。人違いじゃないの?」

 

おい、動揺しすぎだ。

 

ティーカップとソーサーがガッタガタに揺れてるぞ。

 

「でも、ポスターのところに生徒手帳が落ちてたし…。」

 

「違っ!!それは……!!」

 

真姫が花陽ちゃんに攻められムキになり、ソファーから立ち上がろうとしたが勢いが強すぎて膝をテーブルにぶつけてしまった。

 

うっわ痛そう…。

 

「えっ……!あっ…わぁぁっ!」

 

「真姫っ!!」

 

思わずぶつけた方の膝を抱えてしまったが、それがいけなかった。

 

バランスを崩し、先に倒れたソファーの方向に倒れこんだ。

 

オレは(客なのに)上座に座っていたので、急いで真姫の身体を引き寄せ自分の身体が下敷きになるように強引に捩じ込んだところでそのままフローリングに叩き付けられた。

 

「いってぇ…。真姫、怪我はねぇ……むぐっ?」

 

目を開けて起き上がったはずなのに何故な視界は暗かった。

 

その代わり顔には何か柔らかい2つの山が当たっていた。

 

まさか……。

 

真姫の……む…。

 

 

 

「き……きゃぁぁぁぁあっ!!!」

 

 

ーーースッッッッパァァァァン!!!!!

 

いってぇぇぇぇぇえ!!!!

 

叩かれた左頬を押さえながら転がり、たまたま上を見ると脚を上げている真姫の姿が見えた。

 

「このぉ……変態っっっっ!!!」

 

「ぐふぉぁっ!?」

 

脚はオレの鳩尾をピンポイントに捉え、オレの意識を刈り取った。

 

ただ、踏まれる直前にスカートの中に何やら赤っぽい色のレースが見えて気がするけどこれは記憶から抜け落ちるまで黙っておこう…。

 

ってオレ最近頬を叩かれる機会多くね……?

 

 

 

 

 

「ちょっとやりすぎちゃったかな…。」

 

松宮さんが膝をぶつけて倒れそうになった西木野さんを庇ったけど、松宮さんのラッキースケベって言うのかな…。西木野さんの胸元に起き上がってしまい、西木野さんのビンタと踏みつけの餌食になってしまいました…。

 

ですがすぐさま西木野さんがやりすぎたと言う表情をしていました。

 

西木野さんってクールに見えて実は優しい……、のかな?

 

「それよりあなた、アイドルやってみたいんじゃないの?」

 

「えっ…?」

 

「この前のμ'sのファーストライブの時、夢中になって見てたじゃない。」

 

「西木野さんも見に来てたんだね。」

 

「わ、私はたまたま通りかかったと言うか…。」

 

講堂ってたまたま通りかかったって言うほどの場所に無かったと思うけど…。

 

「やりたいならやればいいじゃない…。そしたら、少しは応援してあげる。」

 

『やりたいならやればいいじゃない』。

 

西木野さんが無意識にいった言葉。

 

何故だか私はこの言葉が妙に心に染み渡った。

 

「うん、ありがとう。」

 

 

 

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