ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
朝起きて二度寝してもなお引っ付こうとする穂乃果を何とか引き剥がし、午前中はテレビ局へ足を運び各分野の担当者の人たちへの挨拶を済ませてからライブに向けての準備をしながら一緒に行動していた。
『こんな演出はどうかな?』
『そうですね。この演出なら彼女たちの魅力を最大限引き出せると思います』
『OK。本番は任せておいてくれ!』
『お~い!次はこっちに来てくれ~!!』
『今行きます!!』
白い歯を輝かせながらサムズアップをする担当者に手を振って答え、次はステージ担当の人の元へと向かう。
ステージ担当の人との打ち合わせを済ませたところで一息つける時間が出来た。
「はぁ……。キツい……」
ペットボトルに入っている水を身体の中に流し込みながらライブ会場を見渡してみる。
ライブをするってだけでも様々な人たちが1つになって演者が気持ちよくライブできるような環境を作ってくれている。
こうして裏方業を初めて見たけど様々な分野の裏方の人たちがいて初めてライブとして成立できるんだな、と知ることが出来た。
時には衝突しそうになってる人もいるけど、それは少しでもいいライブがしたいという向上心の現れなんだと思う。
……オレも負けてられないな。
「っしゃ!!」
気合いを入れながら両膝をパン、と叩きながら立ち上がり次はテレビ局の打ち合わせに向けて指定されたスタジオへと歩みを進めた。
一旦ホテルに戻ってみんなを迎えに行くとみんなの表情は明るかった。
「壮大くん朝から色々お疲れさま。はい、お水」
「ん。ありがと花陽ちゃん」
花陽ちゃんが手にしていたペットボトルのミネラルウォーターを受け取り、口の中を湿らせる程度の量を口に含む。
「ちゃんとにこの事アピールしてきた?」
まだミネラルウォーターが口の中に入っているのでコクコク頷いてから飲み込む。
「バッチリ。にこちゃん含めてみんなの事は最大限プレゼンしてきたつもりです」
「フフン、さすが壮大ね。褒めて遣わすわ」
「はっ、ありがたき幸せ。っと……みんな心と身体の準備は出来てるか?」
「「「「「「「「「うん!」」」」」」」」」
「よしじゃあ……行こうか!!」
9つの声がハモった心地よい返事を聞き、会場へと向かう。
ライブをする会場へ入ってからはみんなとは別行動で午前中顔を合わせたスタッフさんと変更点は無いかどうかの確認のための簡単な打ち合わせなどを済ませてからみんなが待つ控え室へと向かう。
「お~い、入ってもいいか?」
『ちょっと待ってください!今着替えの途中です!!』
海未の制止の声でドアを開けることを止める。
ドアを開ける前に確認取ってよかった……。
もしそのままドアを開け放ったらこの後ずっと頬に季節外れの紅葉を幾重にも咲かせるハメになっていたと考えるとゾッとする。
『入っていいわよ』
絵里ちゃんのOKが聞こえてきたのでドアを開ける。
「……こいつはすごいな」
「やっぱりこっちの方にしてよかったわね、ことり」
「うんっ!」
衣装作りを手伝ったと思われるにこちゃんがことりを褒め称えてクルリ、と回りながら喜びを現した。
「んじゃ着替え終えたところでちょっと集合してくれ」
みんなをテーブルの近くに集め、これからの大まかな流れを水性のペンでホワイトボードに書き込みながら説明し始める。
「この後オレは生放送が行われるスタジオに。みんなはエレベーターを使って屋上に設立された特設ステージへそれぞれ移動。ここまではいいかな?」
みんな黙って頷いたので説明を続ける。
「その後スタジオにて軽くμ'sの紹介などを終えてから中継の振りを穂乃果に向かって出す。そんで軽く挨拶を済ませてからいよいよライブパフォーマンスって感じだ。今までで何か質問ある人は?」
「その間そーくんはどこにいるのかにゃ?」
「スタジオでみんなの成功を祈る事になるな」
「ウチたちの近くで見られないん?」
「そうしたいのは山々なんですけどμ'sの良さを伝えるには9人に任せるのが一番かな、と思いまして。……他に質問ある人は?」
今度は一斉に首を振った。
これ以上質問がある人はどうやらいないようだ。
「最後に1つだけ。今回はドーム開催という日本国内の全スクールアイドルの夢が掛かった大事なステージになるけどそんなことは一先ず頭の片隅に置いといて……今までやって来たように楽しいステージにしよう!」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
みんな気合十分な返事を返してきた。
……これならきっとみんないいステージにしてくれるはずだ。
オレは心の中でそんな確証を得ながらスタジオへ向かった。
日付が変わり、深夜とも言える時間帯。
部屋に籠ってパソコンにヘッドホンを繋いでディスプレイに向かっていたが、ある程度の見切りがついたので今開いているページを一旦閉じる。
「うん。これもみんな頑張ってくれたおかげだ」
興奮冷めやまない身体を無理矢理冷やすようにミネラルウォーターを飲みながらヘッドホンを外す。
結論から言うと今日のライブは大成功に終わった。
海外の人たちが抱いている日本のイメージを逆手に取り、今回の衣装は和服のようにしてみたのだがこれがいいようにハマった。
そのおかげで予想よりも遥かに反響を呼んでおり、今ライブの映像が配信されてからまだそれほど時間が経っていないにも関わらず再生数がぐんぐん伸びていっている。
動画のトップページにはμ'sの簡単なPR文が書いてあり、それに向けたレスもそれなりに多くそのほとんどがポジティブな内容で占めていた。
……そろそろシャワーでも浴びて寝るか。
バスタオルに手を掛けようと腕を伸ばした瞬間、スマホから着信音が流れてきた。
こんな夜中に電話してくるとは……。
思わずしかめっ面になりながらも電話に出る。
「……はい。松宮です」
『もしもし松宮くん?私よ』
「あぁ……アンタか」
電話の相手はA-RISEの綺羅 ツバサからだった。
『ついさっきライブ映像見たけど素晴らしいステージだったわ。掛け値なしに。それにあなたがしたスクールアイドルのPRもなかなか上手かったわ』
「今回のメインはμ'sであってオレはオマケみたいなモンだ。それに穂乃果辺りに電話すれば飛び跳ねるくらい喜ぶと思うけど?」
『今そっちは深夜でしょ?そんな寝てる時間に電話したら迷惑じゃない』
オレに電話するのは迷惑じゃないのかよ……。
まぁコイツの奔放さは今に始まったことじゃないし、もっと奔放な奴に別にいて振り回される事が多いから別にいいけど。
『っと、そろそろ出なきゃいけない場所があるから切るわね?帰国したらそっちの話聞かせてよねっ』
「ん。会えたらな」
『フフッ、会えなかったら会いに行くまでよ。それじゃおやすみなさい』
通話が切れ、今度こそシャワーを浴びれると思っていたのも束の間で今度は部屋のドアから誰かがノックする音が聞こえてきた。
「はいはい。今出ますよ、っと」
「やっほ~そーちゃん」
部屋のドアを開けると、廊下には穂乃果が立っていた。
「どうした?」
「えへへ……。今日もそーちゃんと一緒に寝たいな~なんて思っちゃったり……」
照れ笑いしながら手を後ろに組み、オレを見上げる形でおねだりしてきた。
けど、ここは心を鬼にして……。
「今日はダメ。大人しく自分の部屋で寝なさい」
「え~……なんで~?」
「なんでも。だから今日のところは我慢して日本に帰ってからにしようぜ。な?」
「むぅ~……そこまで言うなら」
初めは『納得いかない!』と言った様子で唸ってたけど理解してくれたようだ。
それでも納得はしていないようだけど。
「理解がよくて助かる」
「今日のところは引き下がるけど日本に帰ったらの約束は守ってもらうからね?」
「分かった分かった。ライブやって疲れてるんだからそろそろ寝ろよ?」
「は~い」
穂乃果は少し間延びした返事をしてから自分の部屋に戻っていった。
それを見て確認したオレはサッサとシャワーを浴びてから外に出てる間にメイキングしてくれたフカフカなベッドでゆっくりと眠りについた。
最近ホントに時間取れない。
更新スピード激減させてしまって申し訳ないです。