ラブライブ!~Miracle and Track~   作:K-Matsu

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いよいよラストです。

では、どうぞ。


Ex.14 We are 『SCHOOL IDOL』

今日はとうとうμ’s、A-RISEを始めとした呼びかけに参加してくれたたくさんのスクールアイドルによる、スクールアイドルの魅力を伝えるためのライブが開催される。

 

目覚めは良好、天候は雲1つない快晴だ。

 

ことりがデザインしてくれたネクタイを締め、μ'sメンバーのトレードカラーが刻まれた部分の場所を握り締める。

 

不思議だ……。

 

ただネクタイを握り締めているだけなのに、彼女たちの想いが流れてくるような気がする……。

 

「……よし」

 

準備は出来た。

 

……行こう、ライブ会場へ。

 

ここまで来た道筋のきっかけを作ってくれたあのお姉さんの置き土産であるマイクスタンドと海未から託されたノートを昨夜準備したとある物が入ったアタッシュケースに入れて家を出る。

 

「あら壮大くん。朝から早いわね」

 

「おはようございます、夏穂さん。ライブ前にどうしてもやらなきゃいけないことがありますので。では、いってきます」

 

「いってらっしゃい」

 

夏穂さんに挨拶をしてから朝の爽やかな空気を吸いながら歩き、今日のライブの集合場所となっているUTX高校に着いた。

 

μ's関係者はオレが一番乗りだったが、UTXの出入口付近で小柄な少女が春の暖かな風に当たっていた。

 

「壮大くん、おはよ」

 

「おはよ。何してんだ?」

 

「別に何もないわ。いいライブ日和になったわね、って」

 

「あぁ。そうだな」

 

最高の天候に最高のステージは整った。

 

後はパフォーマンスを披露する彼女たち次第だ。

 

「控え室に案内するわ」

 

「よろしく頼む」

 

ツバサの後に続いて歩き始めると、どこからともなく1枚の花びらが目の前で舞っていたので右手で掴み、広げてみるとそこには1枚の桜の花びらがあった。

 

これって、あの時の……?

 

「どうしたの?」

 

「……いや、なんでもない」

 

瞬間的に過った考えを振り払い、改めてツバサの後に続いて控え室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

~Side 高坂 穂乃果~

 

カーテンを開けると空は青く澄み渡り、太陽が燦々と降り注いでいた。

 

眩しすぎる日光を浴びて目を覚ました私は、制服に着替えて身支度を始める。

 

「おはよう、穂乃果」

 

「お母さんおはよう!」

 

お母さんが作ってくれた朝御飯を食べ終えたところで、私はとあることに気が付いた。

 

「そういえば雪穂は?」

 

「雪穂なら朝早く出掛けたわよ。あと壮大くんも雪穂よりも早く出掛けたわね」

 

「えぇ?そーちゃんも~?」

 

私が聞くよりも早くそーちゃんが朝早くに出掛けたことを聞き、早く出掛けた事よりも会場に行くまでの短い時間そーちゃんと一緒に行けないことが残念に思えた。

 

そーちゃん成分補給しながら行こうと思ったのにぃ……。

 

残念に思いながらも身支度を済ませ、玄関を出るとそこにはいつものようにことりちゃんと海未ちゃんが待っていた。

 

「穂乃果ちゃん!おはよっ!」

 

「おはようことりちゃん!」

 

「昨夜はしっかり眠れましたか?」

 

「バッチリ!それじゃあ行こっか!」

 

朝の挨拶をしてから私たち3人は、昨日約束したみんなとの待ち合わせ場所に向かう。

 

「そーちゃんったら私たちよりも先にライブ会場に行っちゃったんだって!酷いと思わない!?」

 

「えっとぉ……。今回ばかりは仕方ないと思うよ?」

 

「そうですよ。壮大にしか出来ない仕事だってあるんですから」

 

「ぶぅ~……。そーちゃん成分補給しながら行こうと思ったのにぃ……」

 

「何ですか壮大成分って……」

 

「そーくんイオン的なもの?」

 

「おーいっ!!穂乃果ちゃーんっ!!」

 

待ち合わせ場所へと向かう途中、この場にいないそーちゃんの愚痴を2人にぶつけながら歩いていると私たちが歩いているところから少し離れた場所から凛ちゃんが私たちを呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「凛ちゃんおはよう!花陽ちゃんも真姫ちゃんも!」

 

「3人とも早いですね!」

 

海未ちゃんは3人に対し、感心したようにそう話すと凛ちゃんは私たちにあることを話し出した。

 

「昨日かよちんの家に泊まったの!」

 

「へぇ〜!3人で泊まったんだ!」

 

「それに誰かさんが緊張して眠れないからって…」

 

「ち……っ!違うわよ凛っ!!ママが行っていいって言うからっ!!」

 

「………ママ?」

 

凛ちゃんが真姫ちゃんをからかうように話し、当の本人は顔を真っ赤にしながら反論し始めた。

 

ことりちゃんはというと真姫ちゃんがポロっと言った『ママ』という言葉に、首を傾げていた。

 

「真姫ちゃーんっ!頑張ってね〜っ!」

 

「あっ!真姫ちゃんのお母さんにゃ!!」

 

凛ちゃんが指差した方向を見ると、道路の反対側で手を振っている真姫ちゃんのお母さんがいたのでみんなで朝の挨拶をする。

 

「他のみんなのお母さんたちも集めてライブ参加するからね〜!」

 

「お母さんたちも!?」

 

真姫ちゃんのお母さんが言い放った言葉に私は驚きを隠せなかった。

 

ウチのお母さんは特に何も言わなかったから……。

 

それにお店はどうするんだろう?

 

まさかお父さんだけお店に残るってこと?

 

……って、それはないか。

 

なんだかんだでウチのお父さん仕事着のまま毎回大量のサイリウムを持って、超ノリノリでライブ会場に来るし。

 

「それじゃ、行こっか!」

 

凛ちゃんたち1年生組を加え6人となった私たちは、真姫ちゃんのお母さんに手を振ってから再びライブ会場に向けてゆっくりと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

それからしばらく歩いていると、途中で絵里ちゃんと希ちゃんの2人に出会った。

 

「おはよう!今日は張り切っていきましょう!」

 

私たち6人を見つけた絵里ちゃんは、私たちに向かって挨拶をしてきたので私たちも挨拶をして返す。

 

「おはよう絵里ちゃん!」

 

「じゃあ、行きましょう!」

 

絵里ちゃんと希ちゃんも含め、私たち8人は目的地へ歩き出したと同時に希ちゃんは話し出した。

 

「今日は誰も遅刻しなかったみたいやね」

 

「でも、まだ分からないわよ?」

 

「いいえ。きっと誰よりも早く待ち合わせ場所に行ってるんじゃないかしら?」

 

誰も遅刻していない事を確認した希ちゃんはそう話し、真姫ちゃんがすかさず返す。

 

まだ1人ここに姿を見せていない人物がいる。

 

でも、聞いた真姫ちゃんも薄々は分かっているだろう。

 

私たちが想像した人物はその性格やアイドルへの情熱を踏まえ、メンバーの中で誰よりも早く待ち合わせ場所に向かっているはずだ。

 

「遅いっ!!」

 

待ち合わせ場所について早々にみんなは『やっぱりね……』と言った表情をしていた。

 

にこちゃんは私たちが来るまでずっとこの建物に寄りかかり、私たちを待っていたようだった。

 

「遅いわよ!何分待ったと思ってるの!?」

 

「ずっと一人で待ってたの?」

 

「張り切りすぎにゃ〜……」

 

「いいじゃない!ライブ当日なんだから!」

 

「はいはい。にこもそんなに目くじら立てないの」

 

花陽ちゃんと凛ちゃんの言葉に対し、そっぽを向いてしまった。

 

そんなにこちゃんを宥める絵里ちゃんも今ではすっかり馴染んだ光景だ。

 

「これでμ's全員揃ったわね!」

 

「あれ?そういえば壮大くんは?」

 

「なに?まさかにこたちの晴れ舞台に遅刻したっていうの!?」

 

そーちゃんがいないことを知った凛ちゃんや花陽ちゃんたちは慌て始め、にこちゃんの言葉に怒りの色が込められ始めるが絵里ちゃんが首を振って事情を説明し始める。

 

「心配しないで。壮大はライブ会場に準備しなきゃいけないことがあるって私のケータイに連絡が入ったからきっと今頃会場で待ってるはずよ」

 

「それならよかったにゃ!」

 

「まったく……、これでホントに遅刻だったらラブにこスマッシュの刑にするとこだったわ」

 

事情を知った凛ちゃんたちの表情に安堵の色が浮かぶ。

 

「それじゃあ改めて会場に向かいましょう!私たちは最後まで『スクールアイドル』!!未来のラブライブの為に今出来る全てを出し尽くしましょう!」

 

今日のライブで全力を尽くそうと絵里ちゃんは言った。

 

言い切った。

 

みんなはその言葉に何も言うことはなく、首を縦に振って頷いていた。

 

私を含めたみんなの気持ちはただ1つ。

 

未来の大会(ラブライブ)のために。

 

これから先、多くのスクールアイドルが輝ける舞台への道標を作るために。

 

「よしっ!UTXまで競争よ!」

 

「「「「「「「「へっ?」」」」」」」」

 

唐突に言い放った絵里ちゃんの不思議な言葉に疑問の声を一斉に上げると、絵里ちゃんはUTX高校に向かって走り出しながら突然に私たちに向かってこう言い残していった。

 

「負けた人はジュース奢りだから~っ!」

 

「「「「「えぇっ~!?」」」」」

 

「絵里ちゃんずるいにゃ〜!」

 

「待ちなさい絵里〜!」

 

「みんなには負けへんよ〜!」

 

凛ちゃんやにこちゃん、希ちゃんを始めとして他のみんなはライブ前にも関わらずかなりの力で絵里ちゃんの後ろ姿を追いかけて行った。

 

私はというとそんなみんなの後ろ姿をしばらく眺め、私もみんなを追いかけようとして走ろうとした。

 

「………あれ?」

 

1枚の赤い花びらが私の目の前で地面に向かってヒラヒラと落ち、その花びらを手に取ってジッと見つめる。

 

「これってあの時の……だよね?」

 

疑問形になってしまったが、この花びらは見覚えがある。

 

そーちゃんと一緒に行った不思議な世界で舞っていた物と同一の物だった。

 

花びらを見つめ、お姉さんの言葉を思い出しながら歩き出し、歩くペースを早め、最後には力強く地面を蹴って走り出す。

 

時々ジャンプしたりクルクル回転しながら走ったりと、身体の赴くままひたすら楽しみながら走っていた。

 

「穂乃果!!」

 

走り続けていると、大きな声で私を呼ぶ声が聞こえてくる。

 

絵里ちゃんの声だ。

 

その声に反応しメインストリート……ライブ会場に向かって視線を向ると私の視線の先に、信じがたい光景が目の前に広がっていた。

 

「μ’sのみんな!待ってたわ!」

 

「待ちくたびれたぞ?」

 

「フフッ。主役はあとから登場ってわけね?」

 

A-RISEの3人を先頭に、後ろにはライブの衣装を身に纏った数多くのの人たちがいた。

 

でも、スクールアイドルだけじゃない。

 

音ノ木坂学院のみんなや雪穂に亜里沙ちゃんなどスクールアイドル以外の人たちもたくさんいた。

 

「これはいったい……?」

 

「見てのとおりよ!」

 

「あなたたちの言葉を聞いて……」

 

「これだけの人数が集まったんだ」

 

私たちの言葉が全国に伝わり、今こうして一同にたくさんの人がこのライブに参加して集まってくれたらしく、みんなもそれを見て感動のあまりに言葉を失っていた。

 

そして、私たちと共にここまで歩みを進めてきた最高のパートナーがついに姿を現した。

 

「……来たか」

 

「そーちゃん!」

 

彼はことりちゃんがデザイン・製作したのネクタイを締め、紐で旗のような赤い布が厳重に巻かれたポールを持っていた。

 

「そーちゃんは知ってたの?」

 

「全然?オレもついさっき知ったとこだ。まっ、そんな事よりもだな……」

 

そーちゃんは布に巻かれていた紐を解き、布が旗となり、ポールを片手に持ってバサッ!!とはためかせる。

 

するとそれを合図に左右にゾロゾロと動き出し、さっきまで道にたくさんの人たちが立っていたけど、ちょうどセンターラインに1本の道が出来た。

 

そーちゃんが持つ旗の真ん中には金の刺繍で『μ's』と書かれ、そーちゃんとA-RISEの3人が中心となって大声で叫び出した。

 

 

 

「μ'sの旗の下に集いし我が同胞たちよ!!!」

 

 

 

「今こそその時が来た!!」

 

 

 

「大会と違って今はライバル同士でもない!」

 

 

 

「我々はひとつ!!」

 

 

 

We are School Idol(私たちはスクールアイドル)!!』

 

 

 

「最高の仲間たちと共に最高のステージを!最高のライブをみんなに見せてやれ!!オレたちみんなの力で!!!」

 

 

 

「うんっ!!!」

 

そーちゃんやA-RISEを始めとした参加者全員の想いが声となり、波となり私たちを包み込む。

 

感動で涙が溢れ出しそうだけど、袖で拭ってからみんなに負けないくらいの大声で私たちからのメッセージを伝える。

 

「……みんな今日は集まってくれてありがとう!」

 

このライブに参加してくれたみんなに向かって、μ’sのリーダーとしてのお礼をみんなに話す。

 

今は絶対話さないといけないシチュエーションだ。

 

私が話し始めるとそーちゃんは静かに私の後ろで旗を掲げてくれた。

 

「いよいよ本番です!今の私たちならきっとどこまでだって行ける!!どんな夢だって叶えられる!!」

 

1度区切ってから、改めてみんなに向かって叫ぶ。

 

 

 

 

「伝えよう!スクールアイドルの素晴らしさを!」

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

μ's9人がいるメインステージから少し離れた場所で旗を掲げはためかせつつ、部屋から持ってきたマイクスタンドと共にライブを見ていた。

 

「~♪」

 

気が付けばオレもみんなで歌っている『SUNNY DAY SONG』を口ずさんでいた。

 

ハート型で透明の風船が割れ、中にたくさん詰まっていた赤と黄色の風船が空高く舞い上がる。

 

心地よい風がみんなのキレイな髪をゆっくりとフワッと揺らし、撫でるように吹いた。

 

みんなは最高の笑顔で輪になって肩を組み、喜びを分かち合う。

 

ライブの結果なんて彼女たちの笑顔を見れば一目瞭然だろう。

 

__お姉さん、見てますか?

 

__彼女たちの最高の笑顔を。

 

__彼女たちが羽ばたいていく姿を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、そうだ海未。例の件のやつ出来たぞ」

 

「えっ?あっ、ありがとうございます」

 

撤去作業の途中、海未と一緒に控え室へ戻る用事があったのでその際に託された作詞ノートを渡す。

 

ノートを受け取るとそのページを開いて書かれた詞を読んでいき、やがてページが閉ざされた。

 

「最高です。やっぱり壮大に頼んだ甲斐がありました」

 

「そんなに褒めるなよ」

 

「こんないい詞なのなら世に広めた方がいいのでは……?」

 

「いいんだよ。未発表曲くらいあったってバチは当たらんさ」

 

「そうですね……。壮大がそう言うならそうしましょう」

 

ノートを自分のバッグに閉まってまた撤去作業を再開させた。

 

あれはオレたちだけで共有したい曲だからな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

撤去作業を終え、すっかり夕方になってしまったが記念撮影を行うこととなった。

 

のんちゃんのカメラと今日参加してくれた人で持ってきたらしい三脚をお借りし、自動シャッターのタイマーをセットする。

 

「撮るぞーっ!!」

 

「「「「「はーいっ!!」」」」」

 

タイマーを起動させてから急いで最後尾に行き、今日1日掲げていた旗を広げる。

 

「えへへっ♪凛ちゃん、おりゃあっ!」

 

「にゃーっ!希ちゃんやめるにゃーっ!」

 

「いひひっ!」

 

「ふふっ!2人とも重いよ〜っ!」

 

「ちょっとにこ!押さないでよ〜!」

 

「そうよ!にこちゃん押さないでよ〜っ!」

 

「えへへっ♪気にしない気にしな〜いっ!」

 

「みんなふざけないの!……ふふっ!」

 

「えへへっ!」

 

「ふふふっ!」

 

最前列に位置するμ'sの9人は楽しそうにじゃれあい、笑い合っていた。

 

「じゃあみんな!練習した『アレ』行くわよ!……せ〜のっ!」

 

 

 

 

 

『『『『『ラブライブ!!』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、不思議な夢を2つ見た。

 

1つ目は雪穂と亜里沙ちゃんが音ノ木坂学院の緑のリボンを身に付け、偉大な先輩方に負けず劣らずの貫禄で入部希望の新入生にこれまでの歩みを語ろうとする夢を。

 

そしてもう1つは見たこともないステージ衣装に袖を通し、大きな花のようなステージで歌い踊るμ'sの姿がオレが作詞した曲を歌う夢。

 

その曲の名前は……。

 

 

『僕たちはひとつの光』。

 

 

 

 

 




これにてラブライブ!~Miracle and Track~完結です。

ご愛読ありがとうございました。

次回作は本編のアフターストーリーを投稿する予定です。

それまではR-18ver.や特別編を読みながらお待ちください。


ここまでありがとうございました!

次回作もまたよろしくお願いします!!
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