ラブライブ!~Miracle and Track~ 作:K-Matsu
と言うわけで東條 希誕生日特別編お届けします!
インスパイア曲は卒業式でもお馴染みになりつつある、いきものがかりさんの『YELL』です。
それでは、どうぞ!
東條 希編 YELL
「壮くーん!早く起きんと寝坊助さんになるでー!!」
朝早くからエセ関西弁を操り、オレの部屋のカーテンを開け放つ。
オレは一度目を覚まし、カーテンを開けた犯人の顔を見てから……
「……ぐぅ」
二度寝することを試みた。
「ちょっと!こんな可愛い彼女が起こしに来てるのにそれはないんとちゃうん!?」
彼女はオレが被ってる布団を掴み、引き剥がそうとするがオレも二度寝すると決めたのでこの布団を譲るわけにはいかない。
「むう……。こうなったらアレをやるしかない……!!」
すると掴んでいた布団を放し、ようやく眠れると思ったがその考えが甘かったことを思い知らされる。
「むぐぅっ!?」
突然オレの身体が鉛のように重くなり、その原因を探る。
するとオレの身体の上で馬乗りになっている彼女を見つけた。
「どう?これで起きる気になったやろー?」
あ。そこに座られるとあかん。
「ほらほ…、ひっ!?」
あーもう、やっぱこうなっちまったじゃねぇか。
そんでお約束の展開が待ってんだろ?
「きゃぁぁぁあ!!壮くんのえっち!!」
ーーースッパァァァン!!!
ほら見ろ。幼馴染が朝起こしに来てそれに気づいてビンタする。
彼女は幼馴染じゃないけど、王道ラブコメのテンプレ的展開になっちまったじゃねぇか。
「のんちゃん、痛い……」
オレは目の前にいる彼女が作った朝御飯をもそもそと食べている。
あぁ、叩かれたところがまだ痛い……。
「壮くんが朝からえっちぃ事考えるからやろ!?」
「だから若い男の人は毎朝こうなるんですって言ってるじゃないですかぁ……」
いくら弁明しても顔を赤くしてそっぽを向く。
そんな彼女の名前は東條 希。
元μ'sのメンバーで音ノ木坂学院の生徒会副会長さんだ。
のんちゃん……、希さんには2年前の音ノ木坂学院の卒業式の日に向こうから告白された。
何でも一目惚れだったそうだ。
それで告白された時、こんな物好きを好いてくれる人がこの世の中に存在するんだなぁって思ったりもした。
それで返事は『YES』。
それからオレとのんちゃんの交際が始まったと言うわけだ。
ちなみにのんちゃんとは、付き合い始めてから呼び始めた彼女の呼び名だ。
最初は顔を真っ赤にして慌てふためいていたのに、最近は慣れてしまったのか特に変わった反応が見られないからどうしようか考えているところだ。
「それでのんちゃん今日授業無いんだっけ?」
「うん。そういう壮くんだって授業も練習もないんでしょ?」
学部は違えども、同じ大学に通うオレたちで週に1日授業も練習もない日がある。
それが今日。
「それで今日はどうするん?」
牛乳が入ったマグカップを傾けながら聞いてくるのんちゃんの問いに、オレは少し悩んでからこう答えた。
「久々に何処かに出掛けよっか」
「いやー!!遊んだ遊んだ!!」
アミューズメントパークに行ってボウリングやダーツをしたり、ゲームセンターにあったエアホッケーで盛り上がったり。
何時だったかメンバー全員にオレを加えた10人で遊んだときもそうだったけど、のんちゃんも運動能力が高くてなかなかゴールが決まらなかった。
途中でパックが有り得ない軌道を描いたショットもあったりしたけど…。
そのあとは思いついた場所に行っては楽しんで、楽しみ尽くしたと思ったらまた別の場所に行ったりして気が付けばもう夕方になりかけていた。
「あ、そうだ。のんちゃん?」
「んー?」
「最後に寄りたい場所があるんだけど、いいかな?」
さぁ、今日という日を彩るフィナーレといこうか。
~Side 東條 希~
壮くんに連れられてやって来たのは、ラブライブ!最終予選の会場となったストリートアーケード。
ここにつれてきて一体何をしようって言うのかな…?
「のんちゃん……いや、希さん」
うちの目の前に立った壮くんは、付き合う前にうちを呼んでいた呼び名に戻していた。
「実はあなたに伝えなければならないことがあるんです」
しかも、今までで一番真剣な目付きだった。
その目を見たうちは何も言い返せなくなっていた。
「実はオレ、9月からアメリカに渡ることになりました」
「え!?」
驚くうちの様子を特に気に止めること無く話を続ける。
壮くんの話の内容はこうだった。
何でもうちが音ノ木坂を卒業してからアメリカのクラブチームのコーチが壮くんを世界一に導きたいという勧誘をしていて、大年2年までに日本一になれたら渡米すると言う条件で日本に残っていたらしい。
それで昨年の日本選手権で優勝したことをキッカケに、そのクラブチームのコーチが来日して壮くんを説得してつい先日壮くんはOKを出したというわけらしい。
「それでうちはどんな反応を示したらええの?」
うちはいつの間にか目から涙が溢れ落ちていた。
このまま泣いて引き留めればいいと言われるのか、それとも無理に涙を拭いて笑って送り出せばいいと言われるのか…。
それともここで別れを告げられるのか…。
「オレがアメリカへ行っても、オレの彼女としていて支えてくれますか?」
お別れの言葉でも、どのような反応をしてほしいかという言葉でもない。
目の前の青年は優しい笑顔で両腕を広げていた。
うちはその広げられた腕の中に入り…、
「フッ!!」
海未ちゃん直伝のボディーブローを叩き込んだ。
「ぐふぉっ!!何で殴るんですか!?」
「バカバカ!勿体ぶるからてっきり『アメリカに行くから別れてくれ』っていう話やと思ったやろ!?悪くない話なら最初から言ってや!」
ポカポカと彼の胸を叩く。
「返事を聞かせて貰っていいですか?」
「そんな意地悪な彼氏の事なんか知りませーん」
プイッとそっぽを向いたら、後ろから優しく抱きつかれた。
何やこれ…、むっちゃ恥ずかしいやん……!!
それに、人だって通ってるのに……!!
「ねぇ、人が見てるよ?」
「知ってます。それに、関西弁じゃなくなってますよ?」
「だったら早く離れてよ……、それに関西弁関係ないでしょ?」
「希さんが返事を返してくれたら離します」
「もし、返事をしなかったら?」
「ずーっと離しません」
「それはそれで、いいかも……」
「いやいやいや……」
そうやっていつもいつも優しくする…。
ホントにこの人はいつも卑怯や。
だから…、
「ええよ。でも、浮気なんてしたらおやつにしちゃうかもしれへんよ?」
「それ、ことりのセリフ……」
って言いながら解放してくれた。
あーあ、もうちょっと抱きついておけばよかった……。
「ほな、帰るで?」
「あ。あとほんのちょっとだけ待ってください」
帰ろうとすると、壮くんが呼び止める。
そして時計台のベルが鳴り、アーケードの電飾が白基調のライトからオレンジ色に変わった瞬間…、
「んっ……」
彼に唇を奪われた。
そして彼は…、
「オレ、希さんとなら何処までも行ける気がするんです。だからそれまでは一時サヨナラですね。それと、誕生日おめでとうございます」
泣きながらそう笑い、誕生石をあしらったペンダントが渡された。
Side out
~♪BGM:YELL/いきものがかり~
オレはその後、服飾の勉強で留学中のことりとロシアへ留学中の絵里ちゃん、音楽学校の発表会で来れなかったという真姫以外のメンバーに見送られてアメリカへ飛び立った。
アメリカに渡ってから最初は、言葉の壁や文化に苦しみながらもメキメキと競技力をつけたオレが大学4年の時に念願の夢だったオリンピックの代表選手に選ばれた。
そしてそこで日本歴代最速タイムをマークし、男子短距離史上最年少でファイナルに進出することができた。
結果は6位だったが、大健闘だとも言われ日本に帰国した。
そして…、オレは高校3年当時から付き合っていた彼女にプロポーズをし、大学を卒業すると同時に彼女との結婚をすることに決めた。
ささやかな祝福を受けた彼女は、とても幸せそうだった。
その幸せがいつまでもいつまでも、続きますように…。
~Fin.~
初めて誕生日による特別編の投稿でしたね。
構想10分、執筆4時間の割に薄っぺらい内容ですね…、反省です。
んじゃ次回こそ後日談を投稿しますので…。