考えてたはずの話も何も覚えてないなぁ
咲「龍の能力と投影魔術に何の関係が?」
パ「投影魔術で作り出したものは本来この世界にはないもの。だから世界はそれを修正するの。つまり、すぐに消えるってことね。」
龍「そこで俺の能力を使うんだよ。投影したものを世界に適応させることでしばらくは修正されないだろうって考えだ。」
咲「確証は?」
龍「ない!」
咲「ないのね…、まぁ、頑張りなさいよ。」
龍「うん!あ、紅茶ありがとう!」
咲「ちゃんとミルクと砂糖多めにしてるわよ。」
そう言って咲夜は図書館から出た。
龍「さて、で、トレースの練習からだっけ?やっぱうまいや。」
龍はミルクティーを飲みながら言った。
パ「そうね、ちょうど今手に持ってるスプーンでやってみましょうか。」
龍「どうすればいいの?」
パ「魔力の放出は出来る?」
龍「こんな感じ?」
右手にオーラのようなものをまとった。
パ「それでいいわ。それをスプーンに流し込んで解析するんだけど、まあ、あとは本に書いてあった通りにすればいいわ。」
龍「わかった。トレース!」
スプーンに魔力を流すと、頭のなかでスプーンの形状が構築された。
そして、構築したイメージに読み取った構成材質が埋まっていく。
龍「よし、多分出来てると思う。」
パ「そのスプーン、何で出来てた?」
龍「ほとんど鉄だけど、ステンレスがメッキされてるね。」
パ「正解ね。トレースは大丈夫そうね。」
龍はもう一口ミルクティーを飲んだ。
パ「次は本題の投影ね。トレースでイメージが固まったら、それを魔力で編んで構築すればいいんだけど、いけそう?」
龍の手に光が集まりはしたが、すぐに破裂した。
龍「だめだー、どうも出力がうまくいかない。」
パ「一気に魔力を放出しすぎなのよ。」
龍「一気に放出した方が早く構築できるんじゃないの?」
パ「一気に放出すると、イメージの器をオーバーして、失敗するわよ。あなたが今やったのは、バケツをひっくり返してコップに水をいれてるようなものよ。」
龍「あー、波紋みたいな感じか。」
パ「波紋?」
龍「いや、なんでもない。」
龍はもう1度スプーンを投影してみた。
今度はなんとか形になった。
パ「飲み込みが早いわね。能力のおかげかしら。」
龍「そうだね、こっちに来てからはある程度のことは1回やればできるようになったね。あ、消えちゃった。」
投影したスプーンはさらさらと消えてしまった。
パ「まあ、普通こんなもんよね。」
龍「じゃあ次は適応させてみるか。」
パ「それが出来たら戦略の幅が結構広がりそうね。」
龍「武器が無限に作れるってのは大きいよな。投影!」
龍は再びスプーンを投影した。
龍「出来たらすぐに能力を使ってと…。」
龍はそのスプーンをテーブルに置いた。
パ「すごいわね。消えてないわ。」
龍「強度は大丈夫かな?」
投影したスプーンで机を叩いた。
パキン!
龍「割れちゃったかぁ、まあでも形だけは出来てたし、消えもしなかったね。」
パ「そうね、基礎は出来てたし、能力も効いてたみたいね。あとは投影の構築の質を上げていくだけね。」
龍「質?あー、氷に空気を含みすぎると脆くなる見たいな?」
パ「どっちかっていうと、単純に魔力の密度が薄いのよね。不純物が入っているってわけでも無さそうだし。初めはもっとじっくりと投影していくのがいいわね。素早く投影するのはその後ね。」
龍「そっかー、こんなんじゃ武器として使えないもんな。あと2ヵ月くらいあるし、もうちょい練習してみるよ。ありがとね。」
パ「どういたしまして。正直一日でここまで出来るとは思ってなかったわ。まあ、まだ基礎だけしか教えてないし、分からないことがあったら、またここに来るといいわ。」
龍「ありがとう、じゃあ今日はもう帰ることにするよ。」
パ「お疲れ様、頑張りなさいね。」
龍「うん。」
こうして、投影魔術を覚えた龍は紅魔館を後にした。
この後、めちゃくちゃ練習たり、紅魔館に通ったり、紅茶飲んだり、なんだかんだあってある程度は身につけたようだ。
龍「怪我も治ったし、そろそろ異変が起きる頃かな。」
まだ雪が降り積もる3月後半である。
霊「寒い!」
龍「ていうか異変起きてるな、これ。」
つづくかも