転生して普通に生活したら斬撃皇帝ってマジで?!   作:悪事

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アルマニアの1日

アルマニア国それは生物の自由を信じて建国された国である。

アルマニアは周辺国家には存在すらしない宗教の自由や、学門を貴族、平民の区別なく学べるといった特殊な法律が存在する。人間種が建国の主な参加者のため、獣人やエルフなどに、多少の差別が存在するが法律で差別行動は禁じられているため、表立った差別はない。

しかし宗教の自由により異種族が国内に入って来て、国家の乗っ取りを画策する者などがいるせいで他種族の待遇が悪くなり、それに反発するなど、国家に対する反感が増加するという悪循環が起きてしまっている。

 

 

 

 

 

王宮にて

 

 

「…………陛下に起きましては本日もその尊顔をーーーーーー」

 

荘厳な王宮の謁見室にいるのは膝をついて、にこやかな笑顔で笑いかける整った顔立ちの青年と、侍女が一人、そして王座に深く座っている女性がいる。髪の毛は光輝く金色、スタイルはまさに傾国というべき素晴らしさ。その眼には、サファイアを埋め込んだような深い蒼、大人の女性というにはまだ早く、少女と言いきるには凛としすぎている。

しかしそこには王者の風格が存在する。

だが今はうんざりした格好で、正面の男のおべっかを聞き流している。

 

 

 

「要約するなら永劫牢獄から、騎士アド・エデムを解放し、そちらで保護をしたいということですか?」

 

 

この王座にいる女性こそが、現アルマニア女王リリーシャ・アルマニア・ブリエスタであり、その前に座っているのは剣神教団の教祖であるソードス・レイピア・エイル。今回はかの名高き斬撃皇帝を、牢獄から解放するか否かで、対談をしていたのだ。

 

 

「はい、女王陛下。 騎士エデムは無実の罪によって囚われており、彼の幽閉は不当なものであって彼を解放し、私どもの教団で保護をしたいと、愚考する次第、どうか寛大な処置を」

 

 

 

「なりません、騎士エデムは確かに封印凍結していますが、こちらが強制しているのではなく、彼たっての要請で封印しているのです。彼を解放するのは、彼がそれを所望してからです」

 

 

 

「………ならばせめて騎士エデムに面会することをお願い致します」

 

 

「ソードス、あなたが面会を希望しようと永劫牢獄に面会の許可がおりるのは、王族やその血筋を継ぐ者のみ、あなたが面会できることはありません」

 

 

 

「どうしても許可はいただけないのですね。

まあ、彼もツルギの使徒、いずれ我々の元にきてくれる事でしょう。

…では女王陛下、そして騎士エデムに、剣神の加護あらんことを」

 

 

再三に騎士エデムを引き取る旨を却下され続けているにも関わらず、

それでも彼を解放しようとするふりをし続ける。

彼が最初に牢獄に送られる原因を作ったのは剣神教にも関わらず、

今度はエデムのため行動しているとは、何とも滑稽なものだ。

 

 

剣神教の教祖であるソードスが謁見室内から出ると、

緊張していた空気がわずかに弛緩する。

王座の隣にいた侍女がリリーシャに声をかける。

 

 

「お疲れさまでした、女王陛下」

 

 

「これで何度目の嘆願かしら、彼らがアドを解放しろって

言ってくるのは?」

 

 

「5回目でしょうか、いい加減彼らも理解してはいただけないのでしょうか?アド・エデムは王族派閥の一員にあると」

 

 

「仕方ないわ、公にはしていないのだし、

彼が王族派閥に加わるのはリターンもあるけどリスクも大きい、

王族派閥の一員にするには壁が多すぎる。

ほらアドって民の大半からは英雄視されているけど、

彼がツルギを使った場所に住んでいた民からすれば、

彼は悪鬼羅刹の類いにみえているのでしょうから」

 

 

ちなみにアド・エデムが王族派閥にいるというのは、

彼女たちの勘違いであって、彼は派閥のことなんて欠片も知らないのである。公にしていないということは、彼も気づいていないということ、別に王族に大した思い入れがあるわけではないのだ。

勘違いに気がつかぬまま、エデムが王族派閥であるという想定で話は進む。

 

 

 

「アド・エデムのツルギというと、斬撃皇帝でしょうか?

名高き星喰らい、人類の体現、真の災厄と呼ばれる」

 

 

「そうね、彼のツルギは大地を浸食し二度と草木の生えない不毛の荒野に

変貌させる、…………でもあれは彼が優しすぎるため、

全ての存在を救うためのそんな彼のツルギが他ならぬ犠牲を強いるなんて、皮肉にしてもいいところ。」

 

 

「心中、お察しいたします。 女王陛下」

 

 

「そういうのなら私達しかいない時くらい、

名前でよんでくれない?マキナ」

 

 

「リリーシャ様、そのようなこと宰相様にお聞かれでもすれば、小言の嵐がやって来ますよ」

 

 

リリーシャを軽くたしなめるのは、メイド服をまとった美しい少女、胸元はメイド服を押し上げるほどに大きな胸部装甲を確認できる。端的に言うなら巨乳ということだ。他に深い緑色、つまり深緑の髪の毛を持ち、エメラルドを流し込んだような緑の瞳を持っている神秘的な女性。彼女の名はマキナ・ジーン・デウスエクス。アルマニア国立学園次席卒業者にして、王族を守るために選抜された珍しい女性のツルギ使いである。

 

 

 

「硬いことを言わないで、はぁ、アドのところに行きたいわ。

たぶん、アリスタは彼のところに今日も行ったのでしょう?」

 

 

「はい、アリスタ様は本日も禁断牢獄へ向かいました。まぁ仕方ないのでは?アリスタ様がアド・エデムに好意を持っておいでなのは、リリーシャ様もお分かりでしょう」

 

 

「私だって、今すぐにでも行ってアドと話をしたいのに。まったく、こういうときに立場って面倒よね」

 

 

「…………女王であるリリーシャ様がアリスタ様のように、アド・エデムのところに面会でもしようものなら、剣神教や大地母神教、貴族派閥は喜んで噂を捏造するのでしょうね」

 

 

「ぐっ!こんな時に地位が邪魔をするなんて」

 

 

「ふっ」

 

 

「何、笑ってるの~~それって不敬罪よ~」

 

 

 

冗談を言って、この場の空気を緩ませていると、マキナが笑いの理由を話す。今、ここにいるのは女王と侍女ではなく、二人の少女だった。

 

 

「ああ、申し訳ありませんリリーシャ様。

しかし今思うと不思議ではありませんか?

学園では、役立たずと罵られていた彼が、

今では世界の混乱の中心にいる」

 

 

「………それもそうね、アドに始めて会った時にあいつ。いきなり、

寝始めたのよ、普通王族が来たら媚びにお世辞でもするでしょ?」

 

 

「しかしリリーシャ様はそんな彼のことが気に入ったのでは?

彼はなんというか野生の動物か、空気のような感じですから」

 

 

「………確かに!あいつはいつどこでもあいつだった。

王族として生まれ、王族として終わるだけの私に、

自分なりに生きることを教えてくれた。

あいつには借りを返さないと」

 

 

 

リリーシャはアドの想いを胸に秘め、国のために今日も様々な問題に取り掛かる。リリーシャは本心ではわかっていた、自身がアド・エデムと結ばれることが不可能に近いと。マキナはそんな主の未来に幸あれと願う。………彼女は自覚していないが、主のことを切実に願うマキナもアド・エデムに惹かれているのだった。アド・エデムはそんなことを察することなく、幽閉生活を満喫しているのだが、彼女らは知るよしもない。

 

 

 

 

 

視点は変わって教祖側では、

 

 

「教祖様、かの騎士エデムはどうでしたか」

 

 

「……進展はありません、依然として王族達は騎士エデムを

捕らえたままにしておくそうです」

 

 

「なんて傲慢な!いったい騎士をなんだと思って」

 

 

「そこまでです、どこに王族の耳があるかもわかりません。

………しかし今にしてみれば、大変惜しいことをしました。

ただ周りの大地を枯らせ、大きくなるだけのツルギかと思えば

SSS級のブレイドを一蹴するほどのツルギだったとは、

まったく、私も見る目がない」

 

 

「それは仕方ありません、教祖様の責ではなくかのツルギの本質に、気づけなかった我々の咎でもあります。ですが現状あのように強力なツルギが我々の手にないというのはおかしな話です。我々は剣神からツルギの管理を任された者達。

俗世を生きる王族に騎士エデムはいささか手に余る」

 

 

「しかり、だが我々は騎士エデムを永劫牢獄に封印するきっかけを、作り出してしまった。アド・エデムの剣神教の心証は良くないでしょう。となると彼を我々、剣神教に納刀するには、どういった行動をとるべきか」

 

 

ちなみに納刀とは、剣神教に入ることを指していて、

ツルギ使いの半分が剣神教に属している。

 

 

「しかし彼もツルギ使い、いずれ我々の考えに賛同するようになるでしょう。賛同せずとも彼を剣神教に納刀させていれば、我々はアルマニアどころか連合国や大地母神教の奴らに対し、強大な発言権を手にすることが…………」

 

 

「……………いざとなれば彼の家族をこちらで゛保護゛します。

それなら彼もこちらにつくでしょう、王族が見捨てたとしても、

王族と彼の関係にひび割れを狙えます。

文句を言われることはないでしょう、我々はただ彼の家族を゛保護゛しているだけなのだから」

 

 

 

「………ただ家族を手に入れようにも、王宮内のどこかにいるとか、どこか辺境にいるとか、情報が錯綜していて、詳しいことがわかっていません。それに見つけたとしても王族の息のかかった騎士が警備をしているかと」

 

 

「ええ、だからご家族を保護する計画は居場所が判明してからで

それよりいっそ彼にハニートラップでも仕掛けてみましょうか?

………………いや永劫牢獄に封印されていて会話もままならない、

ん、確か今年納刀した者の中に彼と同期のツルギ使いが、

私ではダメでも、そういった人間なら」

 

 

「ああ、同級生で仲のいい者ですか、わかりました

急ぎ騎士エデムと仲のよかったツルギ使いを探します。」

 

 

 

「はい、お願いします………………

………………騎士エデム、あれほど強いツルギ使いが

王族という者に従わされるなど言語道断。

正しきツルギとは全て我々剣神教にいなければならない。

返してもらいますよ、女王陛下。

我々が剣神様から賜りしツルギを……………」

 

 

教祖はただ静かに策謀を張り巡らして、

史上最強にして最大のツルギを手にしようと暗躍する。

宗教にしてブレイドと積極的な戦闘を行う剣神教。

他の宗教を異端とし、ツルギによって弾圧する剣神教。

果たして彼らはアド・エデムを、手にいれることができるのか。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー永劫縛鎖の禁断牢獄ーーーー

 

暗い、ただただ暗く、射し込む光はほんの僅か。

この牢獄内は国に対し恐ろしい罪を犯した者を、閉じ込める牢獄。それこそが永劫縛鎖の禁断牢獄。作られてから数えることができるほど使用頻度が低く、一時期は壊して新しい建物を作ろう等の声があった。

だが、今、現在この牢獄の最下層にはある騎士が自ら収監されている。

壁はAAA級ブレイドの突進にも耐え、騎士のツルギにも耐え抜ける強度で、それでも十分なのに、拘束を得意とする騎士を常に監視させている。

そんな厳重というのも過剰な空間にいるのは、斬撃皇帝の担い手、最強にして最凶のツルギの持ち主である騎士アド・エデム。

 

 

 

その外見は中肉中背でそこそこに整ってはいるが、騎士に求められるような精悍さは微塵もなく、ただぼんやりした顔の青年である。

背は180の後半でそこそこ高いが探せばまだ上がいるくらい、

髪の毛の色は黒で、瞳も同様に黒、珍しいがそこまで希少というわけでなく、街にいけば騎士に見えないだろう。

 

 

 

そんな彼にアームの鎖で、がんじがらめにしているのは

銀髪のポニーテールに翡翠の瞳を持つジェイル・ロック・シルドヴァとチェーン・ロック・シルドヴァの双子の騎士。

 

 

「お姉ちゃん、アドがまた寝てるよ」

 

 

「わかってるわ、チェーン。それでも気を緩めちゃダメよ」

 

 

「は~い、………それにしてもアドが脱獄するなんてないと思うんだけど。お姉ちゃん、これって本当に必要なことなの?」

 

 

「必要なことなの、アドにはかわいそうだけど、

こうしておかないと貴族、王族はアドをこわがるから」

 

 

 

「アドは怖くないのにね~」 「そうね~」

 

 

気の抜けるような会話だが、この二人は建国以来、

騎士の罪人を捕らえるのを専門とするシルドヴァ家の、次代の少女たちなのだ。先祖代々、鎖のアームを発現して騎士の捕縛や制圧を主にしており、特にこの二人は歴代最強と呼ばれ鎖は相手を行動不能にするどころか、敵対者を絞め殺すことも可能なレベルである。

その二人が一瞬も気をぬかないで鎖を行使している。

どのような騎士であろうと身動きどころか、呼吸すら困難な状況で拘束されている騎士はなんとのんきに眠りこけている。

 

 

 

すーすーすー、と規則正しい寝息が牢獄に響く。

すると彼は目を開けた。

 

 

「……おはよう、ジェイルにチェーン…ちょっと質問なんだけど、

もう朝なのかな?」

 

 

「おはよう、アド。まだ朝ではないわ」

 

 

 

「そうなんだ、いや~こうやってジッとしてたら、

いろいろ混乱しちゃって」

 

 

 

「おはよう、アド。今は夕方で朝じゃないよ。アドって本当にぼんやりしてるね~」

 

 

 

「む~仕方ないだろう、暗くて朝も昼もわかんないだから」

 

 

「「そうだね~~」」

 

 

穏やかな会話が牢獄で交わされていると、

突然、金髪のロングヘアーに蒼の瞳を光なき牢獄内で煌めかせ、まだ少女といった子供が最下層の牢獄に現れる。

現れたのは第二王位の保持者であるアリスタ様だ。

 

 

「アド、起きてる?…………私、来たよ」

 

 

「……あぁ…アリスタちゃん、おはよう。丁度、起きたところなんだ」

 

 

「それよりアリスタ様、またここに来て大丈夫?リリーシャ陛下に、しかられちゃいますよ」

 

 

「…………大丈夫………………そもそもアドがここにいることだって不自然なことなんだから」

 

 

「アリスタちゃん、別に俺はこのままでいいんだよ」

 

 

「どうして?……………こんな寂しい牢獄に閉じ込められて………………それでも我慢し続けるの?」

 

 

そうアド・エデムはいつも笑っている。

こんな理不尽にも負けないで、この闇にも負けないような明るい笑顔を見せてくれる。この笑顔に私は助けられたのだ。王族として期待されていない私にも、できることがあると教えてくれた。だから今度こそ私が彼を助ける。そう、心に誓いをたてた。

 

 

「アド……………学園ではいつもあなたに助けられた、……………だから今度は私が助ける番」

 

 

「別に気にすることないのに、偶然だって偶然。」

 

 

「……ウソばっかり……………あんなにタイミングよくいつも来るなんて、ありえないよ…………アドは本当に優しいね」

 

 

彼は王族である自分を助けながらも、その恩を決して誇ろうとはしなかった。妾の子の私に優しくしてくれただけでなく、姉との仲を改善してくれた。

 

 

 

 

「アド、必ず私があなたを助けるね。だから待ってて、そしてまた一緒に学園に行こう」

 

 

「う~ん、まあゆっくり待ってるよ」

 

 

「「アリスタ様、そろそろ時間だよ~」」

 

 

 

双子が自分に声をかける、王族である自分であろうと彼と面会できるのは、最大でも5分といったところ。そんな短い会話なのに今の私には力が心から湧いてくる。さしあたって姉と彼を助ける計画を進めていこう、リリーシャ姉さまはアドと話をしたことを伝えたら、羨ましがるかなと、とりとめもないことを考え牢獄をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDEアド・エデム

 

 

さて転生してから俺は父、母、妹のいる貴族の家に生まれた。

貴族として必要な勉強を詰め込まれるだけの平々凡々な生活を過ごしていると、自分にツルギという不思議な力の才能があるとかで国立の学園に行くことがいつの間にか決定していた。

学園で、いざツルギをだそうとしてみたら、斬撃皇帝は最初ただの種子形態で、そのことから役立たず扱いされ、婚約者からも嫌われてボッチ学園生活。しかしブレイドとの実戦でヤバい状況になり斬撃皇帝を使ったら、結構強いブレイドを撃退したのだ。……………まぁ斬撃皇帝の能力で地面がものすごい枯れてしまって、そのせいで剣神教やら大地母神教とかに危険物扱いされて幽閉コースを一直線に突っ込んでいった次第。でも幽閉されてみたら、看守である双子のジェイルとチェーンは、ものすごく優しくて、そのうち自然と仲良くなって、学園時代よりも癒される人間環境でのんびり幽閉されてたら、SSS級のブレイドが出たとかで もうおしまいだーとか国中が言ってて、その時にちょっと牢獄から出て、さらっとやっつけたら、また幽閉されるという状況になった。

もう自分でも何言ってるか訳わかんない。

まあ現状に不満はなく、強いて言うなら牢獄が殺風景すぎるから、

もうちょっとどうにかしてほしいと、それくらいだ。

 

 

 

 

 

眠る、眠る、まるで冬眠する熊のごとく毎日を眠りで潰していく。基本的にツルギやアームを使う者に成長はあれど、老化は存在しない。食事をすることはさすがに必要だが、それも普通に比べると少ないほどだ。

自分は眠ろうとすればいくらでも眠ってられるし、暇潰しなら双子と王都のニュースを教えてもらいなんとかなる。

 

 

 

眠りから目覚めて最初にすることは双子に時間を聞くこと。

その理由は朝か夜なら双子に食事を食べさせてもらえるからである。実際、牢獄の暇な状況では食事、それにジェイル、チェーン、アリスタちゃんとの会話以外には娯楽がないため。

(双子に食べさせてもらえるのは、アドの身体が、がんじがらめで手を動かせないため)

 

 

 

 

「おはよう、ジェイルにチェーン…ちょっと質問なんだけど、もう朝なのかな?」

 

 

「おはよう、アド。まだ朝ではないわ」

 

 

こちらは姉のジェイル、牢獄の自分によくお菓子の差し入れをしてくれる看守だ。

 

 

「そうなんだ、いや~こうやってジッとしてたら

いろいろ混乱しちゃって」

 

 

 

「おはよう、アド 今は夕方で朝じゃないよ

アドって本当にぼんやりしてるね~」

 

 

 

もう一方はチェーン、姉とそっくりな子なんだが、

いかんせん料理の腕が壊滅的で、彼女の差し入れは三途の川まで、ぶっ飛んでいるくらいのレベルである。というか調理で人を超越した騎士の命を狙える女性を自分は彼女以外、知らない。

 

 

 

 

 

そんな牢獄の内部にコツンコツンと階段を歩く音が牢獄に響く。暗い牢獄に光る金髪、その持ち主を自分はよく知っている。それは、うちの国の王族の一人、アリスタちゃんである。………なんというか彼女もボッチの気があって、そこに親近感を覚えて、先輩として学園ではよく面倒を見ていた少女だ。

 

 

 

 

「アド、起きてる?…………アリスタ、来たよ」

 

 

「ああ、アリスタちゃん。おはよう。今、起きたところなんだ」

 

 

アリスタちゃんは基本、静かで無口な子なのだが、

実は俺にとても懐いているクーデレ系の美少女なのだ。

いやー本当に癒される。

 

 

 

「それよりアリスタ様。またここに来てリリーシャ陛下に、しかられちゃいますよ」

 

 

 

「……大丈夫、そもそもアドがここにいることだって、不自然なことなんだから」

 

 

「アリスタちゃん、別に俺はこのままでいいんだよ」

 

 

そうこれは偽らざる俺の本音だ。

学園にいてもなんか周りの人は俺をおかしな目で見るし、婚約者にいたっては、最初は俺を騎士失格だとか、役立たずとか好き勝手言って、SSS級を倒した時にチラッと会ったが、すぐに目を逸らされたのだ。幽閉されているのなら、いっそ彼女との婚約もチャラになるかもしれない。そんなネガティブなことを考え、幽閉生活を満喫している。あとしばらくは、ここでのんびりしていたい。

 

 

 

 

「どうしても?こんな寂しい牢獄に閉じ込められて、

それでも我慢し続けるの?」

 

 

我慢しているのではなく、単純にここの生活を満喫しているのだ。

元々引きこもりというわけではないのだが、引きこもり生活に耐えられないというわけではない。学生生活ではろくな目にあわなかったのだから、のんびり幽閉生活を楽しんでいても、バチは当たらないだろう。

 

 

 

 

「アド、学園ではいつもあなたに助けられた、だから今度は私が助ける番」

 

 

「別に気にすることないのに、偶然だって偶然。」

 

 

「ウソばっかり…………あんなにタイミングよくいつも来るなんて………ありえないよ…………アドは本当に優しいね」

 

 

そうは言っても、本当に偶然なのだが、まあいいか。

いちいち訂正すんのもメンドーだし。ボッチな自分が誰も来ないようなスポットに行くと、毎度毎度アリスタちゃんが、嫌がらせをされていたのだ。校内の人が来ない場所を網羅してる俺はたびたびアリスタちゃんがいじめられている現場に鉢合わせ、成り行きで助けてると、アリスタちゃんにすごい懐かれたというわけだ。

 

 

 

 

「アド、必ず私があなたを助けるね

だから待ってて、そしてまた一緒に学園に行こう」

 

 

「う~ん、まあゆっくり待ってるよ」

 

 

別に学園に行きたい訳でもなし。

このまま幽閉されていても文句はないのだが、

妹分にお願いされては仕方ない。

しばらくしたらここを出たいと言ってみるか、

…………覚えてたら。

 

 

 

 

「「アリスタ様、そろそろ時間だよ~」」

 

 

 

そう妹分に会える時間は非常に短い、その短い会話は俺の癒しだ。

……アリスタちゃんがここから出ていくと、俺はもう一度眠ることにした。

貴族生活では他の貴族の顔を覚えたり、マナーや他の国の言語の勉強で、

ろくに眠っていなかったのだ、ここにいる間くらいはゆっくりと眠っていることにしよう。

……………おやすみ……………

 

 

 

こうして斬撃皇帝とその周りを取り巻く者たちの話はいったんおしまい。

はたして斬撃皇帝にどのような未来が待つのか。

それはまだ誰も知るよしもない。

 

 

 

 

 

 




幽閉生活を満喫してるーーーーー!!!!
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