転生して普通に生活したら斬撃皇帝ってマジで?!   作:悪事

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とりあえず今回の話で出たキャラクターでしばらく話を、
進めていこうと思います。
これからはキャラクター、一人一人を注目してってください。
それでは、どうぞ


決闘祭に向けて! 動き出す(かもしれない)斬撃皇帝

深く深く生い茂る木々の中を走る走る、駆ける駆ける。

次の瞬間、二つの影が刹那でお互いの距離を詰めて衝突する。

「ハァァァァ」「ヤァァァァ」ガキン、キン、カン、

鋭い金属音が森に響き、剣がぶつかり火花をあげる、

しかして今、交えているのは剣であって剣ではない。

それはツルギと呼ばれる尋常ならざる規格外の武装、

ブレイドと呼ばれる怪物を相手にすることを目的とした兵器。

騎士と呼ばれる人類最強の存在が持つ最強の武器である。

 

 

 

「甘い!燃えされ!」刀の先から炎が放たれる。

だが相対する相手も規格外の騎士、それに対処する方法がある。

 

 

「まだです!」スカートの中から大きな瓶を出す少女。

その瓶に入っていたのはただの水。

その水が意思を持っているかのように動いて水の壁になる。

ジュゥゥゥ水が火とぶつかり、水が蒸発する。

 

 

一方の赤い瞳と髪を持つ少女は、今ので仕留められなかったことに、

内心歯噛みして、刀で切りつける。

それは銀色の軌跡を描いてメイドの少女に翔ぶ。

メイドの少女もただ斬られる訳にはいかない、

薙刀の形をしたツルギで、手首の回転を使って刀を受け流す。

そう己の主の攻撃を真っ向から防御できるとは、

現時点では不可能に近い。刀の斬撃を回避して、

距離をとって森の中を駆け抜ける。

まるで何かを探すかのように、炎のような少女は、

それをやらせまいと追撃を行うが、

自分と彼女の機動力は同等であって、中々追い付くことができない。

お互いが相手の取る行動を熟知している故に、

攻めきることができないでいた。

 

 

 

(スカートの中の瓶はあと二、三個、そこらでしょうか、

お嬢様の攻撃を確実に防ぐには瓶、一つ丸々使ってどうにかなるか)

 

 

森で主から逃げる、これは戦況をひっくり返すための作戦。

この広大な森の中から水の流れる川を見つけなければ、

今の自分には勝機は存在しない。

 

 

 

 

(攻めきれない、だとしてもこのまま攻撃していけば、

水が無くなるはず、最悪のケースは水場で逆転されること

だとすれば早く終わらせないとな)

 

 

自分のツルギに炎を纏わせて炎を圧縮する。

攻撃力をあげて撃ちぬく、ここで仕留めよう。

 

 

 

 

 

背後から離れているにも関わらず、すさまじい熱を感じる。

おそらくお嬢様が勝負を決めようとしたんだろう。

ここまでかと脚を止めようとしたとき、サワサワと冷たい風が、

頬をなでる、川の水で風が冷やされているのだろう。

とうとう見つけた川、ここで決着をつけなければ。

 

 

 

 

川から膨大な水が動く、その水は盾のごとく、

水がメイドの少女の、周りをベールのように、幕のように浮かぶ。

他に水が一塊に滞空し、炎との決戦に備える。

赤の少女も覚悟を決め、圧縮させた炎を撃ちだす。

それはまるで太陽の欠片が飛んでくるような、

ただの水なら一瞬で消し飛ぶだろうが、

それにぶつかっていく水もただの、常識の水ではない。

それは物理法則を無視して世界に爪痕を刻んでいく。

 

 

 

炎が、水が激突する、正反対のツルギは拮抗する。

時間にして十秒弱、体感時間にして永遠とも言える拮抗。

そして突如ズドーンと、爆音を出して森を崩壊させたのだった。

煙が森の現状を隠す、そこで赤の少女は声をあげる。

 

 

「ゲホッ、クリア、無事か?」

 

 

「はい、大事ありません………

それにしても訓練でここまですることもなかったのでは?」

 

 

「決闘祭では上級学年と戦うんだから、

やり過ぎても、むしろ足りないくらいよ」

 

 

「そうでしたか、お嬢様、すいません。

私の想定が甘いようでした」

 

 

「うん、上級学年には授業でブレイドとの戦闘を経験してものもいる、

名前の上がっていない生徒でも中には強いものがまぎれている。

決闘祭での油断は敗北に直結すると心しなさい」

 

 

「はい、ところでお嬢様、一年生はどうなさいますか」

 

 

「一年の場合は私やクリアが出るまでもないさ。

二年や三年生に最初に潰される。恒例で、洗礼というやつだ

何せ、私も悔しさ、自身の無様、周りの無能さにうち震えたし、

決闘祭の目的の一つに一年の目標、質の底上げがあるのだから」

 

 

「了解しました、となると上級学年で倒さねばならないのは、

連合の第一王子カイル様ですね」

 

 

「ええ、といっても彼のツルギを攻略しないかぎり勝利はない、

となると必要になってくるのは付け焼き刃ではない、戦闘経験のみ。

これから決闘祭まで戦闘訓練、付き合ってもらう」

 

 

「御意に、お嬢様。それと問題は勝利したあとですね。

王族はアドの解放、お嬢様との婚約を認めるでしょうか?」

 

 

「認めるだろうさ、王族のメンツを守るために要求は通る。

姫殿下はアドを解放させないようにしているが、

王族派閥の他の人間が要求を通す、姫が無理に却下すれば、

王族派閥は総崩れ、アドは自然と解放される」

 

 

「なるほど、つまり障害となるのは決闘祭だけだと、

了解しました、決闘祭の勝利をお嬢様に!」

 

 

「ありがとう。クリア、心強いよ」

 

 

そう問題は決闘祭のみである、しかし今の自分には一つの疑問がある。

自分はアドのことを力が強いとわかったから婚約者に戻ろうとして、

いや、私はそんなことをする訳が、するなんて、

……………絶対にそうといえるのか、自分はそんな薄汚い願望でアイツに、

私はこのことを自分の意思で考えて決めたのか?

これは本当に自分の意思で決めたことなのか?

私はいままで自分で選択したことがない、選択を誤るのが恐ろしいから、

間違えて周りが消えるのが、怖かったから?

アイツは自由というものを私に教えてくれた。

アイツが自分にはない自由をその背中で体現してくれたから、

私はその恩を返そうと、牢獄から解放して謝罪をしようと、

そこでとある可能性がそびえ立つ、それはアドを解放して、

自分は自由を演じようとしているのではないのか。

ただアイツがいれば自由になった気がするから、

アイツを傍に置いて゛自由ごっこ゛に興じようとしているのか?

そう考えた瞬間、頭が真っ白になる。

今まで考えていたことが全て無くなろうと「じょ……さま…お嬢様!」

 

 

「はっ!何だい、騒々しい」

 

 

「いえ、お嬢様がボーッとしていたようで、

どうかなさいましたか?お顔色が悪いですよ。

汗で体が冷えたんですか?早く汗を拭かないと」

 

 

「ああ、いや心配してくれたのか、ありがとう。

今日はこのあたりにしておこうか」

 

 

「はい、訓練のあとはしっかり休息をとらねば、

訓練で得たモノが無駄になりかねません」

 

 

「うん、わかった。じゃあ戻るとするか」

 

 

 

先ほどまでの疑問点、自己矛盾を頭から外して、

学園の訓練施設をあとにする。

だが自分の中の葛藤を棚にあげるのは、いいことなのか?

例え辛くてもその問題にはいずれぶつかる。

どんな回り道をしようといずれは挑まねばならない。

忘れたふりで見ないふりをすることに意味があるのか?

決闘祭本番前、二年生筆頭は困惑の海をこぎ始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

三年生校舎、訓練施設の一室では混戦が起きていた。

たった一人の周りを取り囲むのは二十人弱の人相悪い男たちである。

だが囲まれているにも関わらず、その男は不敵な笑みを崩さない。

 

 

「「「テァァァァ!」」」渾身の力で男たちが斬りかかる。

 

 

だが青年の余裕は崩せない。

その青年の名前はカイル・レギラ・レギオン王子、

連合国の第一王子にして次期王位継承者である青年。

そのツルギの形状は片刃のロングソードで、(刀のような反りはない)

その能力は知覚能力の大幅な強化である、

それは他のツルギに比べれば破壊力の面では脆弱なものだろう。

しかしその能力は擬似的な未来予知を可能とする。

本人は未来予知ではなく、事象計算といった方が正しいと言っていた。

例えば手でリンゴを上に投げるとしよう、

そのリンゴは手を動かさないかぎり手のひらに落ちてくる。

それは予測であって確実な計算に基づいたものである。

前提条件に狂いがないかぎり、この事象計算に死角はない。

 

 

全方位からくる斬撃の雨あられを紙一重といった所で回避する。

いや回避するだけではなく、全員の首筋に刃のついてない方で、

一撃を与えている、剣撃の雨が止んだときには全員が気絶する。

 

 

「ふぅ、この程度か」

 

 

まるで傘をさして雨の町中を散歩でもしたかのように、

威風堂々と自らの王のオーラを撒き散らしながら、そこに佇む。

汗、一滴流しておらず、余裕綽々といった風情でツルギの実体化をとく。

 

 

「この調子では決闘祭に使いモノになるヤツはおるまい」

 

 

カイルは連合の次期王位継承者であり、その実力は連合最強の騎士団、

刃騎士団の第八席に現時点で拮抗した闘いができるほどだ。

男は自分以外の倒れ伏した実力者たちを横目で見ながら、

連合を直に束ねる王の才を持った青年は、

周囲を見下すがごとく睥睨(へいげい)する。

 

 

「まさか一撃も撃ち込める者がいないとは、

もしや俺の身分を気にして加減しているのなら、

不愉快だ、今すぐにやめろ。貴様ら立てぇい!」

 

 

その怒りと失望をはらんだ大口上は部屋中に響き揺らした。

 

 

「カイル様、彼らの実力がその程度なのでしょう。

ご無理を言ってはいけません」

 

 

「そうっすよー、てか、ローザちゃん、毒を吐くのやめたげてくださいよ」

 

 

「毒?何が?」 「駄目だ、天然は何言っても通じやしねぇ」

 

 

そこにいるのは二人の青年、いや男物の制服を着ているが、

髪の長さに艶やかさ、胸元の膨らみ、声の高さから

よっぽど感の悪い者でないかぎり、女性だと理解するだろう。

 

 

「むっ、そうだったのか。

しかし、こんな脆い者が、ブレイドとの闘いに役立つのか?」

 

 

「刃騎士団(ウチ)と一緒にするのは可愛そうっす

せめてもうちょいハードル下げたげましょう」

 

 

「さすが゛負け犬゛(ルーザードック)

敗者の思考を熟知しているだけはあるわね」

 

 

「…お褒めに預かり光栄っすよー

勝つだけしか脳ミソのない筋肉馬鹿より、ましってもんでしょ」

 

 

「貴様、粉微塵になりたいか?なら消え去れよ」

 

 

「待て!貴様ら人さまの迷惑を考えろ!」

 

 

この二人の少女、なりは男装した女性だが、

その実、王族の護衛を賜った刃騎士団の十、十一位のツルギ使い。

ローザ・グレアト・ハエイルに、ザヴェド・ベルトチカ・ハエルカイン

どちらも王族を守る実力者である。

余談だが、刃騎士団の階級(コード)は戦闘向きのツルギを、

持っていればいるほどに、高いものとなる。

二人は戦闘向きとはいえないが警護、防衛戦のスペシャリスト。

そんな鉄壁を体現したような二人が傍についているのだ、

カイルの悩みは彼女たちの仲の悪さ、険悪さ、だけである。

この二人は決闘祭に参加できない、参加しないのではなく、できない。

何故なら、この両名は学生ではないため決闘祭の参加はできないのだ。

 

 

「今回の決闘祭での目的を忘れたのか?

我々はそれのためにここにいるのだ」

 

 

「忘れてなどいませんとも」

 

 

「私達の目的は二つ、決闘祭での勝利によって斬撃皇帝を確保、

そして最年少で刃騎士団に入団し、勝手に消えた七位。

エゼル・ウォール・ゴヒュルを引きずってでも連れてくること」

 

 

「一時期は七位という高位に立ちながら、

第二王子なんて、阿呆に尻尾をふって喜んでるアイツを、

持って帰ればいいんですよね」

 

 

「七位はできればであって、本命は斬撃皇帝だ。

アルマニアの王族はあのようなツルギ使いを保有している、

過ぎた力は不幸を呼ぶ、だが我々なら話は別だ」

 

 

「っても、SSS級のブレイド討伐なんて眉唾もんですけどねー」

 

 

「期待しすぎない方がいいですよ、

SSS級を倒したのではなく最後に仕留めたなんて話が、

ねじまがって伝わっただけかもしれないし、よくて八位くらいでは?」

 

 

「……………SSS級は我々も討伐した、だが多大な犠牲も出た。

この国の騎士は王宮付きの者の練度が低い。

ギルドの騎士のほうがブレイドとの闘いに慣れ、かつ理解している。

SSS級が弱っていたとしてもそれに止めをさせる者だ、

期待しすぎることはしないが、ある程度は役に立つだろう」

 

 

 

第三学年代表、カイルは学生のことなど目もくれず、

ただ王族の勤めと刃騎士団の任務にのみ集中する。

自分たちが勝利することしか、想定していないのは、

傲慢なのか、はたまた計算高さによるものなのか。

こうして研ぎ澄まされた戦意と技術を武器に決闘祭に挑む。

その果てにあるのは、単純明快、至極単純、自国の繁栄のみ。

彼らはただ愚直、安直に王道を突き進む。

 

 

 

 

 

 

そこはいわゆる生徒通しの交流を深めるために学園が造った部屋、懇談室といったところだ。しかし、この学園は国の威信やメンツ争いの場。仲良しになろうなんて考える人間が少ないために忘れ去られていた部屋、そんな埃まみれの忘れられた部屋を掃除し、家具類の持ち込み、改造を行い、絶好のだらけ場所にした人物こそ、何を隠そうアド・エデムである。

そしてこの部屋に集まった少女たちは全員、アド・エデムと関係する者、

過去にもアド・エデムの誘いでお茶会………というと、上品に聞こえるから言い換えるとしよう、ひっそりと宴会を行なったメンバーたちである。

 

 

「いや、しかしこのメンツで集まったんは、久しぶりやなかろか」

 

 

「確かに久しい」 「うん、僕たちが集まるなんて懐かしいな」

 

 

「この場所が残っとるんも驚いたわ」

 

 

「…………アドが帰ってきてもいいように」

 

 

「アドにぃには色々とお世話になったからね」

 

 

「キュアもあんちゃんに世話んなったクチやからね」

 

 

自身を僕というのはキュアと呼ばれる少女で、

本名はキュア・クロス・シルバー。

銀髪に、血液のような赤の瞳、彼女は吸血種の魔人で、

他者を癒すツルギを持っている、そのせいであらゆる国の男性に、

女性に、友人、恋人、様々なアプローチをされて、

人間不信になってしまっていたのだ。

 

 

「アドは私たちを助けてくれた」

 

 

「ああ、僕たちがここでお茶してるのもアドにぃが居たからだ」

 

 

「まあ、あんちゃんは助けた気はないんやろがな」

 

 

「アドはいつも助けたっけなんてしらばっくれてた」

 

 

「あはは、謙虚って言ってあげようよ」

 

 

「謙虚、遠慮されすぎたら、逆に気を使うっちゅーねん」

 

 

少女たちは、ここにいた、そして現在はいない男を話の種に盛り上がる。だが、アリスタが真面目な顔をした瞬間、二人は気を引き締めてアリスタを見つめる。

 

 

「じゃあ、作戦会議をたて始めよう」

 

 

「あいな、現時点では他のクラスに協力を申し込んだよ、

もう全クラスが合意してもらっとる」

 

 

「相変わらず、そういう裏工作が得意だね」

 

 

「まあ、この闘いはどないしても勝ちを狙っていきたいからな」

 

 

「では作戦の確認をしよう、今回の作戦に必要なのは、

私達と他クラスの協力があってこそ、

私のツルギの゛遊戯盤の駒゛(チェスボード)を使って

他のクラスの人を、いろんなところに配置する」

 

 

アリスタのツルギは特殊なもので、

その力は名前を知っていて、承諾したのなら、

十キロ圏内で自在に空間移動、配置をできるのだ。

 

 

「僕の治癒のツルギ、聖女の輝き(ラ・ピュセル)が、

怪我をした人を治していく」

 

 

「んでうちのツルギの゛千里眼゛で戦況を確認していく」

 

 

戦闘能力を持つ者の戦闘力の平均は低い、とても先輩たちには、

勝ち目がない、しかし一年は特殊な一点特化の能力を持っているのだ。

 

 

「じゃあ、作戦は立て終わった。

首尾よくいけば勝利は確実、…………僕たちがうまくやれれば」

 

 

「それはなるようにしかならんやろ、

それよりアリスタ、勝利したときの褒美は頼んだで」

 

 

「褒美?僕は聞いてないんだけど?」

 

 

「ゴメン、表だって言えないから」

 

 

「わかった、この件はチャラにする。

その代わり褒美の内容を、教えてくれないか?」

 

 

「それはアド・エデムのこと」

 

 

「アドにぃの?でもそれは国に良い影響を与えないんだから。

アドにぃは幽閉されているんじゃないの?」

 

 

「うん、牢から解放するのはアドの意思を無駄にしてしまう」

 

 

「じゃあどうするって」「ちょいまち、最後まで聞いたれや」

 

 

「うん、私達が願うのは牢獄への面会許可。

アルマニア王族しか面会許可がでないけど、

決闘祭の褒美はある程度の願いは叶えられる。

シスにキュアの面会許可を手にいれるなら余裕、簡単」

 

 

「なるほどねぇ」「おもろいやんけ」

 

二人はやる気に満ちあふれて目を輝かせるアリスタは他の学年から、

勝利をかっさらうために勝負に挑む。

他の学年からノーマークの第一学年は、

力による勝利ではなく、智謀によって勝利を勝ち取ろうとする。

しかして心せよ、相手は自身より格上だらけ。

一回でもヘマをやらかせば、それが命取りとなる。

さぁ、決闘祭に大判狂わせを見せてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

冷たい空気のこもった黒の世界。

何も知らない者が踏み込んだなら、

帰り道も行く道もわからずに永久に迷ってしまうだろう。

そこで先に、真っ直ぐ前に進み続ける。

行き止まりにたどり着くとは鎖に繋がれた男がいる、

そしてそこには顔だちのそっくりな二人の美少女が鎖を握る。

ここは、こここそが永劫縛鎖の禁断牢獄の最下層、

人によっては゛マカハドマ゛ 又は゛ニブルヘイム゛

様々な理由から多種多様な名称が存在する場所。

 

 

 

「ねえ、アド、聞いて、聞いて!

もうすぐ決闘祭なの、私たちはここでアドといたほうが良いんだけど

なんか、皆、皆、すっごくやる気なんだよ」

 

 

「チェーンのいうとおり、ここでアドといたいんだけど、

決闘祭の日はこれないの、ゴメンね」

 

 

「いや、というよりこんな何もないとこより、

決闘祭のほうが楽しいかも知れない」

 

 

「「そんなことない!!」」

 

 

「っ!そうなの?」

 

 

「アドを縛っていたほうがいいの」「そうなの」

 

 

アドはそのうち彼女たちが鞭を持ってきたら、

彼女たちを全力で説得しようと、ここに誓いを立てた。

 

 

「ん?でも二人がいなかったら誰が封印してるの?

誰か、別の人でもくるの?」

 

 

「…………アド、つまらないよ、その冗談。

私たち以外の他の誰かがそんなことをする?

そんなのできないし、認めないし、許さないし、赦さない」

 

 

「そうだよ~、もしそんなことする人がいたら、

……………………絞め殺しちゃうよ…………ねぇアドも私達以外になんて嫌だよね、

嫌っていってよそんなのできっこないやらせない認めない」

 

 

 

「うん、そう、はい、肯定、わかったから、

二人とも目のハイライトを戻してーーーーーー」

 

 

 

何かわからないが、二人が怒りに震え始めた。

怒りはしばらくすると消えて、本当におさまってよかった、

俺の癒し系、牢獄の清涼剤が遠くに行くかと思い、ひやひやしたのだ。

 

 

 

「私達がいなくても鎖に込められた力が消えるまで、

十八時間、余裕で帰ってこられるから、

良い子で待っててね」

 

 

「うん、じゃあ、今日は帰っちゃうけど寂しがらないでね~」

 

 

 

双子は牢獄から外の王宮の外れに到着する。

二人は笑いながら、言葉を形にする。

 

 

「じゃあ、決闘祭はさっさと終わらせよう、チェーン」

 

 

「うん、ジェイル、でもアドと離れるのって寂しいね」

 

 

「まあ、さっき、あなたがアドに寂しがらないでって言ったのに」

 

 

「仕方ないよ、だってアドと少しとはいえ別れるなんて、

寂しいんだよ」

 

 

「うん、皆、皆、倒してしまおう。

早くアドのところに戻るために始末しよう」

 

 

「フフ、殺しちゃダメだよ。そんなことしたら私達も捕まっちゃう」

 

 

「それはいやーね。…………あ!でもアドと一緒なら良いかもなぁ~」

 

 

 

フフフフフフフフ、静かな夜に笑い声が響く、

それは愛する人に笑いかけるように、愛に狂ってしまったかのように、厳かな笑い声をあげ、そうして双子は夜の闇に紛れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達がいなくても鎖に込められた力が消えるまで、十八時間。

余裕で帰ってこられるから、良い子で待っててね」

 

 

「うん、じゃあ、今日は帰っちゃうけど寂しがらないでね~」

 

 

 

二人が牢獄から出るのを確認する。

今日の二人はいつにもまして、テンションが突き抜けていたが、

決闘祭が近いから気分が上がりすぎているのだろう。

 

 

「二人が直接、鎖を握って縛るのと離れて縛るのでは、

強度に明確な違いが出るからな~」

 

 

決闘祭、出るときは気分が重かったが外から見るのなら、

行ってみようかな、とやる気をだす。

自分はこんなに野次馬根性あったかと考えるがそんなのどうでもいい。

牢獄生活が暇すぎたのが悪いんだ。

だが、これは脱獄というやつだ、前回はSSS級討伐という言い訳ができたが、今回はそういったものが何もない。

懸念するものは他にもある。

脱獄後にリリーシャ、アリスタ、ジェイル、チェーンに、

泣かれでもしたらどうしようかと、学園のことはどうでもいい。

学園で心残りがあるとすれば、後輩たちに会いたいということだ。

そんな後輩たちはすごく良い意味で個性的で、

ケモミミ、ドラキュラっ娘、なんか知らんけどすごい俺に懐いてくれた。

考えてたら会いたくなってしまった。

 

 

「じゃあ、いっちょ脱獄ってみますか」

 

 

引きこもりが変なやる気を出した時、

それは大抵ろくなことにならないって相場が決まっているものだ。

さて斬撃皇帝は決闘祭で、どんな影響を及ぼすのか。

波乱と愛と打算に満ちた決闘祭が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




騎士記録


カイル・レギラ・レギオン


破壊力 B

防御力 B

機動力 A

技術値 S

特殊性 A


連合の第一王子であり、刃騎士団のメンバーでもある。
その番号は七位であり、弟を王族の恥さらしと考える。
特別な必殺技などはないが、徹底した基礎、技術をもって、
相手を撃破する努力型の騎士



アリスタ・アルマニア・ブリエスタ


破壊力 C

防御力 C

機動力 C

技術値 S

特殊性 S


空間移動、操作という極めて稀なツルギを使う。
知能が極端に高く、勉学では並ぶものはいないとされる。
アルマニア王族のはぐれ者。



システム・テクノ・ロッジ

破壊力 B

防御力 B

機動力 B

技術値 A

特殊性 B


獣人の国の姫様で、優れた身体能力を持つが、
あまり使おうとしない、ツルギは千里眼とよばれる力であり、
知覚系統ではポピュラーなもの。
しかし彼女のそれはただの千里眼とは違うようだ。
それに本人は気づいていない。



キュア・クロス・シルバー


破壊力 B

防御力 B

機動力 B

技術値 C

特殊性 S


回復という貴重なツルギを持っていて、そのせいで人間不信になってしまう。
だがアドに助けられ、友人を得る。
戦闘は基本的にしないが、いざとなれば身体能力をいかして闘う。
自分より身体能力が高い相手には手も足もでない。


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