Angel Beats!―The repeated heaven―   作:いさか

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[EPISODE.00] Prologue Ⅲ

 》対天使用作戦本部(校長室)

 

 木製の二枚扉。

 

 以前俺が初めて入ったときは、仕掛けか何かで吹っ飛ばされたが……あれはまだ健在なのだろうか。

 

 

 夜が明け、俺とゆりは一旦別れた。八時になったら校長室前まで来てくれ、とのことだったので、俺は適当に校内をぶらついていた。なるべくSSSの奴らとの接触がないように、室外を中心に散策をして時間を潰したのだ。

 

 

 で、今は八時一分前。予定では、ドアが向こうの方から開いて、俺が入場。そして俺が軽く自己紹介をする、という段取りらしい。

 

 

 正直俺は、緊張していた。SSSのメンバーたる者はあいつらなのか、もしくは別人か。それは俺にもゆりにも分からない。ゆりはそこを利用して、こういう接触方法を選んだのかもしれないな、と思った。

 

 

 突然、校長室の扉が開く。その隙間から、ゆりの顔が覗いた。

 

 

「いらっしゃい、音無くん」

 

「あ、ああ」

 

 緊張した面持ちになっていただろう、俺は恐る恐る、扉を開けた。

 

「みんな、今日からこの戦線へ入隊する、音無結弦くんよ。私は音無くんって呼ぶけど、みんなは各自好きに呼んであげて」

 

 

 ……Ah.ああ。あああ。

 

 

 知ってる。知ってる。知ってる……。

 

 なんてこった、全員まんまじゃないか。

 

 いつもの戦線メンバーが、いつもの調子でそこに居た。

 

「……お、音無だ。これからよろしく……」

 

 

 目の前に刃物が横切る。ドアのすぐ横に待機していた野田が、俺の目と鼻の5mm先に斧を振り下ろしていた。

 

 

「よお、新入り。言っとくがテメエ、ゆりっぺにあと一ミクロンも近づいてみろ。首ごと吹っ飛ぶぞ」

 

「何か首が付属品みたいな言い方だな」

 

 

 即座にツッコミを入れるのが、日向だ。

 

 

「ねえねえ、それよりさ! お返しに僕たちも自己紹介しようよ!」

 

 

 明るく提案するのは、大山。

 

 

「大山くん、たまには良い仕事するじゃない」

 

「本当⁉ やったよお、僕、ゆりっぺに褒められたの久しぶりだよお!」

 

「ええ何年ぶりかしらね。……さて、」

 

「何年ぶり⁉ 僕そんなに褒められてなかったの⁉」

 

「大山、落ち着けっての!」

 

 

 竹刀で大山に一太刀入れるのは、藤巻。

 

 

「痛いよ‼ 酷いよ藤巻くん! そもそも僕藤巻くんに叩かれるほど藤巻くんと仲良くないよ!」

 

「のおっ……ひでえこと言いやがる……」

 

 そんなメンバーたちのやりとりを尻目に、ゆりは話を続けた。

 

「実は、音無くんにはみんなの自己紹介は必要ないの。彼はみんなのことを既に知っているわ」

 

『…………』

 

 場に静寂が訪れる。そりゃそうだよな、俺でも多分「はあっ⁉」って思うだろう。

 

 

『はあああああああああっっっ!??』

 

「浅はかなり」

 

 なるほどな、違うのは驚愕度か。しかし椎名さん、貴女は割と感情が顔に出る人ですね。……よっぽどのことがない限りは、いつもクールだった印象があったけど。

 

「どうして俺たちのことを……?」

 

 

 驚きながらも落ち着いた声で問い返すのは、松下五段。

 

 

「まさか、私の肉体美のことまでもご存知だと言うのですか⁉」

 

 

 眼鏡クイッをしながら尋ねるのは、高松。好きだねアンタ。

 

 

「……Oh, it 's Red Line……」

 

 

 妙なリズムで妙なことを呟くのは、TK。

 

 

「実は、音無くんには戦線の一員として、私たちとこの世界で生活した記憶があるの」

 

 

『…………』

 

 

 あーはいはい。もうお前らの次の展開が見え見えだ。

 

『うぇえええええええええええええええええええええっつうっつっつつ!??⁇』

 

「うっさ~~~~~~い‼」

 

 団長のひと吠えで、作戦本部は嘘のように静まり返った。

 

「とにかく、私たちが観測、認識できない何かが起こっているの。音無くんは、事実上の予言者となり得るわ。ただ私は、むやみに彼から情報を引き出したくないの。……恐らく彼は、天使の正体も、この世界の心理も知ってる。でもそれを私たちが聞いて……って、それは面白くないと思わない? だから私は決めたわ、彼を戦線メンバーへ加入させる――ただし、彼からはできるだけ情報を引き出さない。あ、一つだけネタバレしちゃうと、私たち全員成仏したそうです♡」

 

 

 最後の要らない一文に、俺ははっとした。

 

 

「おいっ、ゆり! それ言ったら――」

 

『うひゃうっひひぇえええええええええええええええええええええええええっつっうっつ‼!!??⁇』

 

「何か今最初らへんに怪しい笑い声混じってなかったか⁉ んでもってお前ら、それもう過剰演出反応にしか見えねえって!」

 

 

阿鼻叫喚の校長室内。つうか踊りだしてる奴もいるし――敢えて誰とは言わないが。

 

 

 ゆりは俺のツッコミを返す代わりに、ゴホンと一つ咳払いをして、

 

 

「とにかく、そういう訳だから。という訳で一件落着、朝ごはんでも食べますか!」

 

 

 ここでは俺も、失言することしかできなかった。

 

 

「どうしたのよ? みんな食べてないんでしょ、食堂へ行くわよ!」

 

 

 ……ああ、やっぱり俺たちの団長さんは、いつまでも俺たちの団長さんらしい。

 

 

 無論この後、食堂へ向かう道中で、俺が質問攻めにあったのは言うまでもないだろう。

 

 

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