リアル?モンスターハンター 異世界に飛んだ男の帰宅物語?   作:刀馬鹿

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見切り発車の暴走特急通過中!
どうなるかわからない展開に作者自身もはらはら!?(おいw
生あったかい目で見守っていただけると……


リアル?モンスターハンターの世界へようこそ!

~???~

 

 

カン、カン、カン

 

朝、窓から差し込む光に目を細めながら目を覚ますと、一階にある工房から鉄を打つ音が響いてきた。

 

 

(お父さん、もう起きているんだ)

 

 

体を起こしつつ、まだ覚醒しきっていない意識を目を軽くこすることで強引に覚醒させる。

窓から見える日の位置からいってまだ早朝といってもいいほどに早い時間だ。

少し不思議に思いつつも、私はもそもそと寝巻から作業着に着替えると、一階へと降りて行った。

 

 

「あら起きたの? おはよう」

 

「おはよう、お母さん」

 

 

一階の台所へと行くと、すでにお母さんが朝食の支度をしていた。手伝おうかと思ったけど、すでにほとんど調理が終わっているので机に運ぶだけしかできなかった。

 

机へと運ぶと、二人分しか食事が用意されていないことに気がついた。

 

 

「お母さん、お父さんの分は?」

 

「明け方位に一人で起きて、先にとったから昼まで放っておいてほしいって。この前のギルドの人たちからの依頼がうまくいってないみたい」

 

「……そうなんだ」

 

 

お母さんの話した内容に、私はただ頷くことしかできなかった。

危ないって言う理由でお父さんが工房に入れてくれないので、ギルドの人たちがお父さんに依頼した仕事のことはよくわからない。

 

 

けれど、村だけでなく近隣の村、、そしてこの大陸でもっとも大きい街、ドンドルマの鍛冶屋全てと比較しても、お父さんは凄腕だって言われてる。

そのお父さんがうまくいかないって言ってるんだからきっとすごく大変な仕事を依頼されたんだと思う。

 

 

(お父さんに何かしてあげられないかな……)

 

 

そう考えてはみるけれど、何も思いつかなかった。工房に入れないのでそもそもどんな仕事をしているのかわからないし、仮にわかったとしてもお父さんが悩むような仕事のアドバイスなんかができるとはとても思えない。

 

そう思うと気が沈んでしまったけど、あまりのんびりしている時間はないので、私は食事を再開した。

普段より早く起きているけど、遊んでいる余裕はない。畑仕事や、お店の手伝いなんかで毎日が忙しいのだから。

 

 

「いってきま~す」

 

 

道具を背中に担いで家を出て少し行った先にある畑へと向かう。

 

 

私が住んでいる村は、海に近く、また山もすぐそばにあるために、食材や鉱石の名産地として有名だ。でも大きな町からずいぶんと離れているから、あまり人の姿は多くない。

 

 

漁師さんたちが、浜辺で大きな網を引っ張っているのを横目に見ながら私は畑へとたどり着くと、帽子をかぶって布を首に巻いた。

 

 

「うん、今日も頑張ろう」

 

 

グッと手に力を入れて仕事モードに入る。

まずは雑草取りからだ。それから井戸から水を汲んできて畑一面に水をまく。

作業自体は少ないけど畑が広いため、それだけの仕事を終わらせるのに昼近くまでかかってしまった。

でも早起きしたおかげで私はいつもよりも早い時間に畑仕事を終えることができた。

 

 

「ふぅ~つかれた~」

 

 

しゃがんだり、水を汲んだりしたせいで腰が少し痛くなってしまった。軽く叩きながら、私はお母さんが用意してくれたお弁当を開いた。

 

 

「やった、サンドイッチだ」

 

 

中に入っていた昼食が大好きなサンドイッチで、私は思わずはしゃいでしまった。

カリカリベーコンとシモフリトマト、砲丸レタスが間に挟んであって結構なボリュームがあったけど、畑仕事で疲れていた私はぺろりと食べてしまった。

 

 

「おいしかった~」

 

 

昼食を食べ終わると、私はいったん木蔭へと入ると、水筒に入れてきていた水を飲んで一息を入れる。

すでに日は昇りきっていて日差しがとても眩しかった。

 

 

(お父さん、ごはんちゃんと食べてるかなぁ……)

 

 

お昼まで放っておいてほしいと言っていたお父さんがお昼をちゃんと食べたのかが気になった。

お父さんは仕事を優先することが多いので、ちょっと心配だ。

 

 

(私に何かできないかな……)

 

 

今朝も考えた問題を再び考え始めた。仕事に関しては私は何もできないので、ほかに何かできること……

 

 

「あ、そうだ!」

 

 

たった今食べた昼食でいい案が閃いた。

お父さんの大好物の特産キノコのバターソテーを夕御飯に出してあげたら喜んでくれるかもしれない。

 

 

特産キノコとは、この村のすぐ近くにある森と丘に繁殖しているキノコの一種で栄養価が高く、また味もいいため高値で売買されるこの地方の特産物の一つだった。

 

 

「今日早起きできてよかった」

 

 

お店の手伝いまではまだ時間がある。本当はいけないんだけど、私は畑からこっそりと一人で森と丘へと向かうことにした。

 

 

(最近はモンスターもそんなに村に来ないし……きっと大丈夫)

 

 

昔は頻繁といってもいいほどにランポスなどの小型モンスターが食料を求めて村へとやってくることがあったのだけど、最近はほとんど来なくなっていた。

 

だから私は大丈夫だと思って、森と丘へと、足を向けたのだった。

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

チチチ チュン

 

 

ぼんやりとした意識のなかで、小鳥のさえずりが、耳朶を打ってくる。さわやかな風が俺の肌を通り抜けて行った。

 

気候も随分と穏やかだ。とても気持ちがいい。

森の中の独特な匂いが、俺の鼻孔をくすぐる。土が湿った匂い、草花の生き生きとした香り。

風に揺れる木の葉のざわめきが、とても気持ちのいい音を奏でていた。

 

 

(綺麗な空気だな……)

 

 

寝ぼけながらもとても新鮮な空気のうまさを感じ、思わず深呼吸してしまった。

今日の予定を頭に思い浮かべる。

 

 

仕事帰りの船! の中なので、やることもないのでこのまま二度寝をしようと再び意識を夢の中へと沈めようとした。

 

 

(……いやちょっと待て)

 

 

そこまで来てようやくおかしいことに気がついた。

 

 

(俺は確か昨日船の中で寝たはずだが……)

 

 

巨大タンカーに揺られながら眠りについたはず。

船旅になるので結構な時間がかかる。

こんな早くに陸地につくなどあり得ない。

そもそも船を下りた記憶もなければ降ろされた記憶もない。

それに俺の半径5m以内に人が侵入した場合、自動的に意識が覚醒するように鍛えたはず。

この特性のせいで、家の中の部屋割で争いがおこったことが脳裏に走った。

 

 

夜、トイレなどに起きて廊下を歩くと、部屋によってはどうしても間合いに入ってしまうために熟睡できないのだ。

 

そのため、一家の男三人衆(俺、親父、じいさん)で血で血を争って争いが勃発し……俺は真っ先に敗北した。

 

肉体の性能の違いが、戦闘の決定的な差になることを学んだ夜だった……。っと話がそれた。

 

 

俺はゆっくりと目を開ける。すでに日にさらされていたために、眩しさに顔をしかめることはなかった。

 

 

が……結局顔をしかめる羽目になった。

 

 

「……どこだここ?」

 

 

思わず疑問が口に出てしまったことに誰が文句を言えようか……。

そばに誰もいないのだから誰からも文句が来るはずはないのだが。

まず目に着いたのは目の前に広がる小さな泉。周りには木々が生い茂り、その根元には複数のキノコが生えている。

 

俺はその木の根もとに胡坐をかいて、背中を預けるように座っていた。

 

 

「……夢?」

 

 

と、口にしてみたが、空気や水のリアリティー、背中に感じる、ごつごつとした木の感触。

それらをとらえる自分の五感が、間違いなく現実であることを証明していた。

 

 

「どうなってんだ?」

 

 

いきなりな展開に頭がついていかなかった。

しかし剣士としての自分の本能が、まず装備の確認をすることを訴えていた。

 

 

肩にかけていた細長い鉄の箱をいったん下ろす。

刀を収納するための特別な容れ物だ。

上の部分が蓋になっているのでそれを『気』を使って解錠する。

 

 

「愛刀、夜月《よつき》、夕月《ゆうづき》、脇差、花月《かげつ》、短刀、水月《すいげつ》。

コンバットナイフが二本、スローイングナイフ一式。装備はOK。

他には鍛造道具一式、日用品等を入れてるリュックサック。特に問題なし」

 

 

他にも財布や携帯、腕時計、パスポートなどを確認すると、とりあえず俺は立ち上がった。

少々厚底のコンバットブーツ、頑丈な黒のジーパン、黒いシャツに黒い革ジャン。

衣服も特に変わりなかった。

 

 

そうして衣服を確認していると、あまり見たことのない、体のところどころに苔をはやした豚のような生物が数匹こちらに向かってきた。

 

 

「……豚、か?」

 

 

苔をはやしている豚など聞いたことのない俺は、思わず疑問が口から出てしまっていた。

豚たちはそんな俺には目もくれずに、先ほどまで俺が座っていた木の根元まで来ると、一斉に鼻を鳴らしてモシャモシャとキノコを食し始めた。

 

 

グゥ~~

 

 

「腹減ったな……」

 

 

時計を見ると昨夜眠って半日ほどの時間が経過していた。

腹も減るはずだ。

俺は豚もどきたちがまだ食していない部分のキノコを引っこ抜くと、匂いを嗅いでみた。

 

 

家の教育方針で、毒にも耐性があるのだが、訓練でもなし、毒を口に含みたくなかった。

ましてや今は状況があまりにも不明なことが多すぎる。

体を壊すわけにはいかなかった。

 

 

カ○リーメイトや、ソ○ジョイ。他もろもろの携帯食料は複数所持していたが、とっておいたほうがいいだろう。

 

ここがどこかもわからないのだ。人里が近いといいが、もしも近隣になければ手持ちの食料で凌ぐしかない。

 

 

「見慣れないキノコだが……毒々しい色はしてないし、匂いも普通。というかめっちゃうまそうな匂いしてるから大丈夫……なはず」

 

 

野草やキノコといった森などで採取できる食物の類はほとんど暗記したはずなのだが、手にしたキノコは記憶になかった。

 

大概の毒素に聞く解毒薬も多少はあるので最悪それを飲もう。腹を括ると、それを口にする。

 

 

「……少し苦いが…うまいな」

 

 

苦いのは調理なしで食しているので割愛する。味に関しては文句なしだった。

というよりも美味だ。普通にうまい。

 

 

他場所にも同じキノコが生えていたので、それを採取すると、リュックに入れてあるビニール袋を取り出してその中に入れて再度リュックに入れなおした。

 

革ジャンの内ポケットにあるウィスキーフラスコに入れてある水を全部飲み干すと、そばの泉の水で中を軽く洗い、水を入れた。

 

左右両方の内ポケットに一つずつ。計二つの容器に水を入れたのでしばらくはもつだろう。

 

 

「さて、とりあえずこの場所を覚えておいて、周辺の散策……」

 

 

キャァァァァァァァ!!!

 

 

周辺の散策に向かおうとした矢先に、近くから悲鳴が上がる。声色からして女の子だ。

 

 

(人はいるみたいだな……。非常に助かるが、なんかあったみたいだな)

 

 

悲鳴が聞こえてきた方角へと目を向ける。

ここからは何も見えないが、そこそこの大きさで聞こえてきたのでそう遠くはないはずだ。

貴重な情報収集の源に死なれては叶わない。

それに悲鳴を上げている女の子を放っておけるほど、俺は冷酷な人間ではない。

 

 

「忘れ物なし。体調万全。精神は不調、というよりもわからないことだらけで少々先行きが不安だが……ま、なるようになるか」

 

 

念のために、愛刀、夜月を手に持ち、俺はなるべく音を立てないように、かつ迅速に声がしたほうへと走り始めた。

 

 




思い浮かんだばっかりなので何とか書けた……。
ある程度浮かんでいるけどどうなるかは不明。ぶっちゃけ女の子の名前すら決まっていないw(え~)

あ、ちょっと、何物騒なもの(暴言)構えてるんですか!? 作者は裸足で逃げ出しますよ! メンタル弱いんですからいぢめないで!


ようやく舞台へと降り立った主人公、刃夜。
彼の運命は? そして悲鳴を上げた女の子を襲う青い影とは?
その時、青年が目にしたものは……

次章、「青い恐竜(仮)」

さ~て来週も、サービスサービス~

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