リアル?モンスターハンター 異世界に飛んだ男の帰宅物語? 作:刀馬鹿
え?何でかって? いや最初の方はすでに思いついていたので……
しかしこれもずいぶん時間がかかった
ROBOT魂のシナンジュで遊んでたりしたから……
今回ようやく戦闘に入ります
きっとこの話でバッシングをくらうんだろうなぁ……
戦々恐々
そ、それではどうぞ……ビクビク
~???~
「あ、あった」
畑を抜け出してから約二時間ほど歩いて、私は特産キノコがある森と丘へとたどり着き、お目当ての品である特産キノコを早速見つけて摘んでいた。
ここは以前にハンターの拠点である、ベースキャンプ後があってあまりモンスターが来ないので、比較的安全な場所だ。
お父さん、喜んでくれるかな……
あまり言葉を話さない、寡黙なお父さんだけど、私は大好きだった。
まだ小さい頃、工房で鉄を打っているときのお父さんの背中がとても大きく見えた。
あれから時間が過ぎて以前ほど大きく見えなくなってしまったけれど、今でも、ううん、あのとき以上にお父さんがかっこよくて大好きだった。
私は夢中で、持ってきた小さなかごに特産キノコを次々と入れていく。
お父さんが少しでも元気になるように、お仕事ががんばれるように祈りながら。
「グルルルル」
だから私は気づかなかった。
夢中になりすぎていて。
とても小さい音だったけれど、低く凶悪なうねり声が、私のすぐそばにいくつもきていたことに……
~刃夜~
女の子の悲鳴に導かれて、やってきましたとある森の彼方。
ふざけたこといっている場合ではないかもしれないが、冗談の一つもいいたくなる。
未だにここがどこかもわからないのだから。
俺だって人間だ。
不安にもなる。
悲鳴の発生源はここらあたりのはず……
気配をつかみ、走るのをやめてゆっくりと伏せて移動する。
近くにある気配は四つ。うち一つは人間だが……、ほかの三つがよくわからない。
普通の人間にしては気が大きすぎる上になんか変な感じがするな
かつて感じたことがないほどの欲望が気配からにじみ出ていた。
ただ、眼前の獲物を喰らい尽くすことのみを求めた究極の獣性。
こんな気配放つなんて……人間やめてんのか?
伏せたまま移動していると、やがて地面が途切れた。
どうやら一段下がったところに悲鳴を上げた人物がいるらしい。
さ~て。いったいここはどこなんでしょうね? 人種を見れば大体の位置は把握できるはず……
どんな人種が悲鳴を上げているのか?
白人か? 黒人か? 出来れば東洋人であってくれ!!!
不謹慎ではあったが、そう切に願いながら、俺は下の連中にばれないようにそっと頭を突き出した。
この時までは、俺は信じていたんだ。
確かにどこか見知らぬところにきてはいるけど、俺はまだ現実に……自分の世界にいるんだと信じて疑わなかった。
だけどそれは次の瞬間、脆くも崩れ去ってしまった。
「ギョウワァァ!」
「グルルル」
「……………………………恐竜……?」
思わず口から心の中の思いが漏れてしまった。
これが隠密行動の訓練中だったならば確実にじいさんに半殺しにされている。
伏せながら下を静かに見つめると、そこには予想通り女の子がいた。
テントの残骸らしきところに入って、少しでも物陰に隠れようとしている。
少し距離があるが、顔をはっきりと見ることができた。少なくとも東洋人ではない。
しかし問題はそこではなかった。
少女が悲鳴を上げた原因と思われる、少女の目の前にいる恐竜っぽい生物。
青地に黒い縞模様の体。
むき出しの牙はずいぶんと鋭そうだ。
おまけに手足にもずいぶんと長いかぎ爪までついている。
どこからどう見ても恐竜にしか見えない。
「なんてこったい」
頭がついてこなかった。
このまま思考停止で止まってしまいそうな勢いだ。
俺は上げいた顔をいったん地面に伏せた。
あまりのショックで立ち直れなくなりそうだ。
恐竜? キョウリュウ? ダイナソー? ……いやわかってるけどね……。わかってるけど……なんかなぁ……
生涯初めての未知の生物との遭遇に、高揚するどころかテンションがだだ下がりだ。
もうどうにでもなってしまえと思うくらいに。
「ギョワァァァ!」
しかしその現実逃避も、恐竜モドキの咆吼で意識を引き戻された。
どうなっているのかは不明だが、とりあえず目の前に絶体絶命の女の子がいる。
「俺の事情は後回しだな」
普通の人間ならば恐竜もどき二匹相手では、仮に刀を持っていたとしても仕留めるのは難しいだろう。
敵はより生命を殺すのに特化した形に進化してきた生物。
頭脳はあれど、動物の中ではある意味で最弱といっていい人間が、勝てる相手ではない。
だが……
俺は違う……
敵を殺すための武器が…
身を守るための具足が…
生命を殺すための覚悟が…
俺にはある
リュックと刀入れを静かに、音がしないように降ろした。
身軽になった俺は静かに目を閉じて、覚悟を決めた。
「鉄刃夜、参ります」
~???~
「こ、こないで」
特産キノコを採るのに夢中で、ランポスがすぐそばまで来ていることに全く気づけなかった。
数は二匹。一匹だけならどうにかキャンプまで逃げ切れたけれど、二匹ではとてもではないけど、私の足では逃げ切れない。
武器といえる物も持ってきていない。あるのは雑草取りに使用した鎌くらい。
とてもではないけどランポスを相手にできる武器じゃない。
何とかテント跡の中へと入って耐えられているけど、それも時間の問題。
ランポスはさっき私が投げたペイントボールを警戒しているみたいだけど、それも偶然テントの中で見つけたもの。
もう手持ちには何もない。
「ギュアァァァ!」
いつまでも状況に変化が起きないことに、耐えきれなくなったのか、右側にいたランポスがこちらに勢いよく噛みついてきた。
鎌を振ろうとしたけれど、反応が間に合わず、身を守ることすらできなかった。
お父さん、お母さん!
痛みに、そして悲しみに耐えるように私はぎゅっときつく目を瞑ろうとした。
その時だった。
「はっ!」
右の方、段差の上の方から、そんな掛け声が響いてきたのは。
日を背にしたその人は、段差から勢いよく飛び降りてくると、その落下する力をそのまま蹴りに乗せて、真横を向いていたランポスの脇腹へとたたきつけた。
グシャ! ボキボキボキュ
「グギャァァ!」
速度があり、また私に襲いかかろうとしていたために隙だらけだったため、その跳び蹴りは外れことなく、ランポスの脇腹にあたり、それでも勢いは止まらずに、ランポスは吹っ飛ばされていった。
ランポスを素手で倒したことに私は思わず呆然としてしまう。
そんな私を、この人はまるでかばうように前へと進み出でてくれた。
助かったという安堵感が、全身を駆けめぐると同時に、私はへたり込んでしまった。
誰?
助かったことでようやく冷静になれた私は、目の前の人を見つめてみる。
見たこともない真っ黒な服装。
左手に持っているのは細い棒のような物。
そして見事なほど真っ黒な髪。
すべてが黒い色なのに、私はそれがまるで輝いているように見えた。
大きくて、広い背中……
まるでお父さんのような頼りがいのある、背中だった……
~刃夜~
ん? 意外ともろい? 気を放っているからもう少し骨があるものかと……
気を足から放っての零距離走法で一気に加速して、その勢いのまま恐竜もどきにドロップキックをぶちかまし、そいつを踏み台にしてうまく両足で着地した俺は、相手のあまりの弱さに少々拍子抜けしてしまった。
この弱さだと、刀を抜くまでもなさそうだ
俺は力を込めて握りしめていた、夜月から力を抜いた。
刀を抜く必要がなくなったので、俺は夜月を傷つけないように静かに地面におくと、左半身に構えた。
「え?」
後ろの少女が驚きの声を上げているのが耳に聞こえた。
よもや武器を捨てて素手で戦うとは夢にも思っていなかったのだろう。
恐竜もどきも先ほどの蹴りで警戒していたのだろうが、武器を捨てたのが好機と見たのか、腕の爪で襲いかかってくる。
「ガァ!」
全身の体重を乗せた爪の一撃、当たれば無事では済まないだろう。
しかし、肉体のみでの攻撃では、俺にとっては遅すぎる。
半歩斜め前に進むことで恐竜の攻撃を綺麗に躱すと、先ほどの恐竜もどき同様、がら空きの脇腹に、体重と全身の気を練り上げた肘鉄を放つ!
ゴキ、ギチュ! パン!
「グキュルアァァ!」
肘から極限まで練り上げた気が相手の体内へと流れ込み、そのまま内部で爆発を起こす。
その気の爆発に恐竜もどきが耐えられるはずもなく、俺が打ち込んだちょうど反対側の脇腹から破裂して、血みどろの内臓が外へと弾け飛んでいった。
「ッ!?」
あ、少女がいるの忘れて思わずグロい技使っちゃった。
息をのんでいる感じの雰囲気が後ろで流れている気がする。
まぁ……いいか。
肺に溜まっていた空気を吐き出し、なるべく怖くない笑顔を作りながら、俺は後ろを振り向いた。
~???~
それは驚きの連続だった。
真っ黒な格好の男の人は、一撃でランポスを倒すと、二匹目に対しては手にしていた武器を捨てて素手でランポスと向き合いだした。
一匹目は不意打ちってことがあったからある程度は納得できたけど、正面から堂々と素手でモンスターに立ち向かうなんて……
二匹目のランポスは最初こそ警戒していたけど、武器を捨てたその瞬間に爪による攻撃を仕掛けてきた。
しかし、それを男の人は全く意に介さずに一歩前進することによって避けて、隙だらけのその脇腹を肘で容赦なく攻撃した。
ゴキ、ギチュ! パン!
その攻撃を喰らったその瞬間、脇腹が折れる鈍い音とともに、攻撃した脇腹の反対側が破裂して血と内臓を吹き出した。
「ッ!?」
生々しいその光景に、私は思わず息を飲んでしまった。
飛び散る血や内蔵がとても気持ち悪い。けれどそんな感情よりも、私は驚きでいっぱいだった。
不意打ちだけでなく、普通に戦ったとしてもランポスを一撃で倒すなんて……
しかも今のは今まで見たことも聞いたこともない不思議な攻撃だった……
す、すごい
あまりにも現実離れした男の人の強さに、私は驚いてばかりだ。
目の前の脅威が去ったと判断したのか男の人は大きく息を吐き出すと後ろを……私の方へと向き直った。
そして私を安心させるためなのか、とても優しい笑顔で私を見つめてくる。
その人を呆然と見つめていた私は、男の人の後ろ、大きな岩があるその上に、今まで身を隠していたランポスが男の人に向かって跳躍しているのが目に見えた。
まだ隠れていたの!?
そう思ったときにはすでにランポスは跳躍した後で、私は男の人を助けるために突き飛ばそうと、震え上がっていた体に力を込めた。
しかし男の人は私が突き飛ばす前に斜め後ろに一歩体を引いていた。
「へっ?」
その行動に、た私は素っ頓狂な声を上げてしまう。
そんな私にかまわず、半歩斜め後ろに下がったその人は、飛来してきたランポスが真横を通過し終わるその瞬間に手を伸ばして、なんと尻尾を左手で掴んだ。
まるで後ろが見えていたかのようなその行動。
そして、人間なんかよりも遙かに重いランポスが、高台から飛んで来たのを左腕一本のみで止めてみせたその力。
「ギャァ!」
尻尾を捕まれてバランスを崩して、うまく着地できなかったランポスだけれども、最後に私に一矢報いようとしたのか、後ろ足が宙に浮いているその体勢から噛みつき攻撃を仕掛けてきた。
「ふん!」
私に牙が当たる前に、男の人はランポスを掴んでいる腕を後ろに引いた。
ものすごい速さで。
半円を描くように、ランポスが私から離れていく。
けれど、男の人はそれで終わりにはしなかった。
ブンブンブンブン
男の人はその勢いを殺さずに、そのまま自分の頭上でランポスを振り回し始めた。
「ギュアァァァァ」
ランポスが苦しそうな声を上げている。
それはそうだろう。
あんなことをされたら、誰だって苦しいと思うし……
「You Can Flaaaaaaaaaaaaaaaay!」
男の人は、聞いたこともないような言葉を放つと、掴んでいたランポスを遙か彼方へと投げ飛ばした。
高く生い茂った木々を抜けてものすごい速さで空へと飛んでいく。あれではおそらく助からない……。
なんでわざわざこんな方法で? ……もしかして、私に気を遣って?
素手で簡単にランポスを倒すことが出来るこの人が何でわざわざこんな回りくどい手段を使ったのか?
それはもしかして私にあまり気持ちの悪い物を見せたくなかったからだと思えた。
何となくこの考えは合っている気がした。
この人からどこか、優しい雰囲気を感じたからだと思う。
トクン
その時どうしてかわからないけど、私の胸が高鳴った。
あ、あれ……なんで、こんなに胸が……
この胸の高鳴りがなんなのか、私にはこのときわからなかった。
~刃夜~
少女の方へと振り向いたその瞬間、ずっと身を潜めていた恐竜モドキが、後ろにある岩の上から俺に向かって襲いかかってくるのがわかった。
頑張って身を隠していたようだが……悲しいかな、殺気丸出しでは俺に位置を教えてくれているかのようなものだ。
雉も鳴かずば打たれまいに……愚かな……
内心でため息をつきつつ、俺は半歩斜め後ろへと下がる。
すると、目の前の少女が俺の行動に驚いていた。
ほう、俺をかばおうとしたのか
恐竜モドキを腕で掴みつつ、俺は目の前の少女の勇気ある行動に感心した。
先ほどまで恐怖で震えていたにも関わらず、極限状態で人のために行動できるとは……
少女の驚いた顔を微笑しながら見ながら、俺は頭上で回転させている恐竜モドキを投げ飛ばす!
「You Can Flaaaaaaay!」
あまりにも現実離れした状況で普段の自分からは考えられないような言葉を口走ってしまった。
船旅と意味不明な状況でストレスが溜まっていたようだ。
それを解消できてすっきりしたところで……
ここからが本番だな……
へたり込んでいる少女へと再度向き直りながら、俺は恐竜モドキと戦ったときよりも緊張しながら少女へと話しかけた。
「大丈夫か?」
先ほどと同じように警戒されないようになるべく笑顔でそう問いかけてみるが……反応がない。
というよりも通じていない気がする。
しかしここでめげてはいけない!
仕事の都合上、簡単な会話ならば何カ国語か話すスキルを俺は有している!
負けてたまるか!
「Are you OK?」
反応なし。少女の戸惑いが加速した……気がする。
「comment ca va?」 フランス語
再度反応なし。
「Wie geht es Ihnen?」 ドイツ語
これも反応なし。
そうして後二つほど同じやりとりをしてみたが、少女は複数の言語を話す俺のことを少々怯えるような表情をして見つめていた。
言葉が通じない~~~~~~
恐竜モドキがいたから確かに望みは薄いと思っていたけど……全く通じないとは……
俺は思わずその場でがっくりと膝をついて頭を抱えた。
突然落ち込みだした俺のを見て少女が慌てていたが、そんなことを気にしている場合ではなかった。
(普通物語とかだと何でか知らないけど言葉が通じるっていうのはお約束じゃないのか?)
俺の趣味の一つは読書だ。
こういう展開の話も合ったのだが、それらは全て何でかは知らないが言葉は通じていたのに……
しかし現実として目の前の少女と言葉が通じない。
叫びだし、大声を上げたい気分だったが、目の前の少女が怯えそうだから自重する。
どうすっかな~……
これからのことを考えて、俺は途方に暮れた。
武器、装備はあれど自分の世界とは全く違うと思われるこの状況。
しかもその世界が……恐竜モドキがいる世界とか……
挙げ句の果てには言語の越えられない壁……
俺は頭を抱えた腕を放すと、そのまま静かに倒れ込んだ。
突然地面に倒れた俺に少女が先ほどよりもさらに慌てていたが、そんなこと知ったことじゃない。
親父、じいさん、母さん、そして妹よ……お兄ちゃん、異世界に迷い込んでしまったようだよ……
いかがでしたか?
気とか気配とか、どこの中二病患者だよって感じですよね~
でも書きたかったんです。どうしても書きたかったんです!
怖いけど後悔は……していない……たぶん……おそらく、きっと……メイビー え? しつこい?
一応補足しておきますと、刃夜が目を覚ました場所は森と丘のエリア10
???がキノコを摘んでいる場所はエリア8になります。
モンハンをやり込んでいる人ならわかるとは思いますがw
言語が通じないことに途方に暮れながらも、刃夜は助けた少女に連れられて、彼女が住んでいるであろう村へと招待される。
意思疎通に四苦八苦しながらもどうにか村での生活に慣れだした刃夜に、手下をやられたことの復讐をしに、大きくて赤いトサカのあいつが村へとやってきて!?
次章、「大群(仮)」
ふと思ったんですが無駄に長いですかね? (前書き、後書き含む)
感想などがありましたら………いただけると嬉しいです。でもオブラートに包んでくださると…非常に助かります
マヂで
2011 4月3日 追記
ベースキャンプ後→ベースキャンプ跡
に変更しました。 junq様 ありがとうございます