リアル?モンスターハンター 異世界に飛んだ男の帰宅物語? 作:刀馬鹿
あ、すいません。三部まで十話だったのにここからだいぶ崩れてきます
そこんとこよろしく!!!!
生まれてからほとんどをその人と一緒に過ごしてきた……
だからその人が自分の親であることを疑わなかった……
だけど、成長するにつれてその人を僕は圧倒する大きさになってしまった……
それだけじゃなく、自分にはある翼も……尾も……その人には無かった……
だけど……そんなことは関係なかった……
ムーナ
僕を呼んでくれるその声は優しくて……
そして言葉だけでなく、僕のことをとても大切にしてくれた……
だからこそ僕は……助けに来た……
だけど、僕にはそんな力が無くって……今正に死を迎えようとしていることを……漠然と理解していた……
『………………?』
何も返せず、何の意味もなく死んでいってしまう……
『……………か?』
それがすごく……悔しくて……
『……しいか?』
?
『…が欲しいか?』
…………誰?
.
.
.
『力が欲しいか?』
.
.
.
~刃夜~
「ご お お お お お!!!」
受け止めたその衝撃で、吹き飛ばずに踏ん張れたこと、衝撃だけで死ななかった自分を褒めてあげたかった……
突如として出現した、黒き神アカムトルムとの戦闘……
いや戦いと呼べた物ではなかった……
神器である、龍刀【朧火】で攻撃しても敵に届きもせず、それ以上何も出来ず、ただ殺されるのを待つだけだった……
それを一瞬とはいえ止めたのは、ムーナだった……
非力なその体から、一心に火球を放ち……俺の変わりに攻撃を受けた……
それによってムーナは今、死を迎えようとしている……
そのムーナと俺を嘲り笑い、二つ共々殺そうとする敵が……破壊神が許せなくって……
俺は無謀で無駄な行為でしかない……ムーナを守るために、龍刀【朧火】を顕現出来る残り少ない時間を……
その力を壁として使用し、ムーナを守っていた……
【実に無駄なことをするな? 庇ったとしてもその飛竜はもう助からない。貴様と共に死ぬ。ただその時間をほんの少し遅らせているだけだと……何故わからん?】
「うるせぇ!!!!」
敵が無駄な行為をしている俺を嗤う……
別に俺をどんなに蔑もうが嗤おうが嘲ろうが構わない……
だがこいつは言ったのだ……
力なき物など生きるに値しない……
そう言った……
こいつにとっての弱きもの……
それはつまり……
こいつ以外の生物はほぼ全てがそれに該当する……
最強種と謳われた存在、古龍……
それをどうにか神の力、龍刀【朧火】で打ち破ってきた俺ですら歯が立たない相手……
その俺さえも弱者といった……
俺が弱いというのはわかりきっている……そんなことは当然だ……
俺はただの人間……
龍刀【朧火】、打ち倒してきた古龍種の護り、そしてキリンの加護……
それらが無ければ俺はこいつと同じ場所に存在することすら出来ない……
そんな俺が強者であるはずがない……
それはいい……
だが自分以外の……強者のみを肯定したその思考……放っておけるわけがない!
今はまだ俺という存在がいる……
俺という、喰らうべき獲物がいるからこそ、こいつはこの場で闘っている……
だがもしも俺が消えた場合……こいつは躊躇せずに外へと出て行くだろう……
俺ですら止められなかった存在だ……
人類全てがハンターになり、一斉に立ち向かったとしても、勝てるわけがない……
強者以外を全て否定する……全てを破壊する……そんなやつを、生かして置くわけにはいかない……
だが……
……持たない!!!
敵の衝撃波は……真面目に洒落にならないほどの威力を有している……
というかいくら龍刀【朧火】の魔力と、俺が持ちうる全ての武器の刃気解放を行っているとはいえ、よくぞ持っていると思う……
正直これを受け止めずに避けつつ突進すれば……まだ勝機はあるかもしれない……
だけど……
「クォォォォ」
俺の後ろにいる……俺の家族が鳴いた……
こいつがいる以上……逃げるわけにはいかない……
だがこのままでは間違いなく俺の力が尽きて死ぬ……
どうすれば!? どうすればいい!?
『……何?』
おそるおそる……僕はその声へと返事をしてみる……
返ってこないと思われたけど……
『力が欲しいかと……そう問うたのだ 陽の資格を持つ者よ』
しっかりと返事が返ってくる……
意識さえも落ちてしまいそうな……そんな僕に語りかけてくる、謎の存在……
圧倒的なその力を感じながらも……何故かそれを怖いとは思わなかった……
『我は全ての祖、祖龍ミラルーツ 汝、陽の資格を持つ者よ、何故に力を欲する?』
僕にそう問うてくる……祖龍という存在……
僕はそれに戸惑いつつも、まずは聞いてみる……
『力? 何で力を欲していると思うの?』
『お前は力がないことを嘆き、それによって己にとって大切な存在を守れないと嘆いている……。それはつまり力を欲するのと同じ事……』
力を……?
そう言われて、その言葉は、僕の心にストンと降りた……
無意識ながらも、僕は力が欲しいと思っていた……
『だが何故に力を望む?』
『……大切な人を守りたいから』
愚問だった……
僕の力が足りないせいで、あの人を……大切な人を助けることが出来ない……
だから僕は……
『その人間はお前にとって、本当に大切な人間なのか?』
……え?
その返答に僕は固まってしまった……
『……どういうこと?』
『お前は……そのお前がいう大切な人間が自分にとって親かどうかを疑っていたはずだ……』
!?
『そしてお前の予想通り……あのものはお前の親ではない……』
その言葉と供に……僕の意識に何か……映像のような物が流れてくる……
……これは?
その映像には……僕よりも遙かに大きく、たくましい体躯をし、鱗も牙も堅牢そうな、立派な成竜のリオレウスが……細長い鉄の剣を携えた人に向かって飛翔していった……
その人は……僕の大切な人で……その人は、空中で逆さになるように飛び上がると……その手にした剣を握る手に、力を込めた……
あばよ……火竜。縦閃
その言葉が言い終わると同時に、その銀の剣が閃いた……
そして……
バッ!
飛翔していたリオレウスは……真っ二つにされてしまった……
その映像が終わると同時に、再度語りかけてくる……
『わかっているとは思うが……これが貴様の本当の親だ』
それは直ぐにわかった……
何故かはわからない……
だけど、本能が……心が……魂がそうだと……
『これを見ればわかると思うが、貴様の親はその貴様に取って大切な人間によって殺された』
『……そ、それはそうかもしれないけど』
『今まではただ漠然とそう思っていただけかもしれない……だがそれも確信へと至ったはずだ……』
この映像が偽物であるかもしれない……そう思いもした……
だけど、それもわかった……これが嘘ではないと……
『それでもなお、お前はこの人間のために力を欲するのか?』
その問いに……即答することができなかった……
僕にとって大切な人が僕の本当の親を殺したと言うこと……
漠然とだけど思っていたことだった……
けどそれは紛れもない真実で……
一瞬どうすればいいのか迷いが生じてしまう……
【ふ、無駄なことを】
……何?
必死に考えていた、その時……どこからか声が聞こえてきた……
【その後ろにかばっている火竜を見捨てればまだ勝機はあるだろうに。すでに死にゆく定めと知りながら何故守る?】
「何故かだって。そんなの決まっている!!!!」
そしてさらに聞こえてきたその声は……あの人の声で……
「お前ら使者使者いうんだから、俺が別の世界の人間だって事知ってるんだろ!?」
別の世界?
その言葉の意味は全く理解できなかった……
けど直ぐにその単語の意味が、脳裏へと流れ込んできて……僕は驚いてしまった……
「この別の世界に来た俺にとって……こいつは……ムーナ……は!」
そこで言葉を句切り……僕の感覚が視線を捉えた……
僕の事を……見ている?
そして感じることが出来た……
鋭いながらも、その視線に宿っているあの人の優しさを……
「こいつは俺の家族だ!」
!?
「俺にとっては息子だよ! 生まれたのは偶然みたいな物だったけど……それでもそれから育てたのは俺の意志であり、願いだ! だから見捨てない! 守ってみせる!!!!」
その言葉が……全てだった……
悩む事すらもバカらしくなってしまう……
僕がもっとも嬉しいと思えた……言葉だった……
『……どうする?』
語りかけてきたその言葉……
だけど話しかけてきた祖龍も、半ば予見しているみたいで……
『僕は……』
~刃夜~
「俺にとっては息子だよ! 生まれたのは偶然みたいな物だったけど……それでもそれから育てたのは俺の意志であり、願いだ! だから見捨てない! 守ってみせる!!!!」
覇王、アカムトルムの疑問に俺は思いの丈を込めて吼えた……
ムーナはこの異世界へと迷い込んだ俺にとって、紛う事なき家族だった……
卵から孵ったこの子を、俺は必死に育てたのだ……
人になつく飛竜……その希少性から貴族にさらわれそうになったときも、俺は一切躊躇せずにその貴族をぶっ飛ばそうと思った……
……親を奪ってしまった負い目も合ったかもしれない
負い目……贖罪の意識がないと言うことは出来ない……
親を殺したのは間違いなく俺なのだから……
だけどそれ以上に……俺はこいつを大切に思っているんだ……
だから見捨てない……
力の限り……俺は魔力と解放した刃気で、壁を造り……敵の衝撃波を防ぐ……
だが……
ピシ
……さすがに限界
空間その物すら破壊するほどの衝撃波を、いくら神の力を使用しているとはいえ、よくぞ今まで防げていたと思う……
だが、それもそろそろ限界が近い……
だが、それでも俺は……
【美しい親子愛だな。だが不愉快だ……。……死ぬ】
その思念と供に、威力が数倍になった……
それに耐えられず……俺は圧された……
ぐ!? ここまでか!?
諦めるつもりは毛頭無い……
俺の大事な家族を……息子を死なせたくはない……
当然俺だってまだ死ぬつもりはない……
だが、その意志に反して俺には圧倒的に力が足りない……
諦めるつもりもない……だが……意志に反して俺の刀と、龍刀【朧火】は限界を迎えようとしていて……
だけど……
諦めない!
最後の最後まで、俺は己の意志を貫き通してみせる!
ムーナを見捨てないと決めたのだ……
それを最後まで胸に抱き……その結果死ぬ事になろうとも、後悔だけはしない……
だが、その気持ちとは裏腹に……
ついに……龍刀【朧火】の力が尽きた……
俺を守っていた魔壁が消失、そしてそれと同時に刃気も使い果たし、俺と敵の攻撃を隔てていた守りが無くなった……
敵の攻撃は空間すらも破砕する衝撃波……
何の守りも無くなった俺とムーナは……
この瞬間に、俺の体は欠片どころか魂すらも残さずに消滅する……
はずだった……
キィィィィィィィィン
ん?
その時……地面へと突き立てて……刃気をほぼ解放しつくした……一振りの刀に異変が起きた……
なんと……地面に突き立っている夜月が、自然と浮かび上がったのだ……
何だ!?
意識が加速しているのか……敵の衝撃波が迫るのがゆっくりと見える中……
その夜月が浮かび上がったその光景が……はっきりと見えた……
何の力の発動も感じられないというのに……
宙へと浮く……夜月……
そして……
ギャン!
その刀身から光があふれ出し……真夜中の火口……その赤い光に染まった大地が……真っ白になった……
そしてその光が……敵の攻撃を……
何もかも、全てを薙ぎ払う……
まさに神によって放たれた、究極の攻撃を……
完璧に弾き、それどころかその力を圧倒し、霧散させた……
【何!?】
さしもの敵……黒き破壊神も瞠目していた……
そしてそれは俺も同様で……
俺は呆然としてしまった……
まだ敵は生きていると言うのに……
本当に完全な無防備になってしまった……
.
.
.
.
未熟者……
.
.
.
.
え?
【ば、馬鹿な!?】
敵が驚愕の余りに、声を震わせている……
【我が最強の攻撃を……空間すらも破壊するこの究極の一撃を……かき消しただと!?】
そう、この俺の目の前で浮かんでいる……
夜月は……
敵の……間違いなく神が放った攻撃を……
かき消し、霧散させたのだ……
しかもその前には敵の衝撃波を完全に押し返していた……
押し返し、霧散させた……
それは紛れもなく、敵の攻撃よりも……夜月がした何かの方が……圧倒的に上だという事……
な……
生まれてこの方十八年……
俺の誕生と供に生を受けた刀……
夜月が初めて見せた、異常な力だった……
これは……? 一体?
【何だ!? 何なんだ!? その武器は!?】
敵が悲鳴にも似た絶叫を上げる……
余りにも得体のしれない武器なので、さしもの神も驚愕しているようだった……
正直、俺にも何なのかさっぱりわからない……
だが……
「なんなんだ? だって?」
そんな事……決まっていた……
俺は宙に浮いたそれ……夜月を、右手で掴み、力強く握りしめて……
それを掲げて見せた……
「俺の、一番大切な相棒だ!!!!」
その一言で全てが片付く……
数々の苦難を乗り越え……
幾千もの朝日を浴び、幾万もの星空を供に眺め……
数々の敵を葬り去ってきた……俺のもっとも信頼すべき得物……
打刀 夜月
それだけで、俺にとっては十分だった……
【……ぐぅ】
俺のその言葉に、敵は言葉も出ないようだった。
まぁ如何せん自分でも半ば無理矢理納得している感じだ。
いくら一番の相棒とはいえ、あのまか不思議な現象はそう簡単に割り切れる者ではない。
だがそれでも夜月が一番の相棒である事には代わりはない。
妖刀でも魔剣でもない。
仮にそうだったとしても俺にとってこいつは最強の武器なのだ。
気味悪がる理由も、意味もない……
妖刀だろうと魔剣だろうと関係ない……
ただこいつは夜月であるというだけで、俺の相棒だ……
【……よかろう。ならばその不気味な得物ごと……今度こそ貴様を葬り去ってくれる!!!!】
その言葉と共に敵が全身を赤く染めた……
黒い装甲も赤みを帯び、内側の白い装甲は朱く光り輝く……
その顔にある、緑色だったその目も……赤くなっている……
それに伴って……敵の力が……全てその口へと収束されている……
不確定要素となった俺の得物を見て……敵が先ほどの一撃を繰り出そうとする……
しかも先ほどと違って魔力も気も動員している……
威力が桁違いに上がるのは目に見えている……
しかもその状態でも防御膜が展開されたまま……
近寄っても何も出来ない……
それに対し、俺の手持ちの武器は、本当に一瞬しか顕現できないラオシャンロンの力くらい……
先ほどの夜月の不思議な現象を当てにする事は出来なかった……
あれは任意で発動できるものではないと、直感していた……
さて……今度こそ死亡か?
夜月の不思議な力のおかげでどうにかなったが……しかし決定打が無いままではただ俺が死ぬのを遅らせただけだった……
まぁ……いいか……
全てを出し尽くした……とまでは言えないかもしれないが……俺は最後まで諦めなかった……
だから……もう終わってもいいだろう……
ムーナを置いて、逃げるという手段もあったが……
それは最初から選択肢に入っていない……
だから……
ポゥ
その時……後ろで……光がともった……
「?」
柔らかな陽光のような……優しい光……
それを背中で受けて……俺は初めて気がついた……
そして後ろを振り返る……
そこに……
「? ムーナ?」
自ら発光している……ムーナがいた……
その光は……とても暖かくて……とても気持ちのいい光だった……
そしてそれは徐々に……徐々に光度を上げていく……
それに伴って……
ピキ ピキ
何か……殻を破れるような音が聞こえてくる……
その音の発生源は間違いなくムーナで……
もっと正しく言えばムーナの鱗からだった……
ピシ ペキ パキ
ひび割れていた鱗から、血ではなく真っ白な光があふれ出してくる……
それは音が発生する度……つまり鱗が剥がれていく度に、その内からあふれ出してくる光が増し、俺の視界を白く染め上げる……
【!? 貴様!?】
敵が俺の背後の存在……ムーナの変化に驚きの声を上げている……
だがその驚きの声の相手は……ここには存在しない誰かに言っているような……そんな口調だった……
そう考えていると同時に……光が一気に膨れあがった……
キィィィィィィィ!!!!
真っ黒な夜を貫く……銀の陽光……
燃え盛る太陽のように……それは見る者全てを魅了するような……そんな光を携えていて……
だがその光は同時に、全てを燃やし尽くす、最強にして原始の炎を身に纏っている……
その姿はまさに……【銀の太陽】と賞するにふさわしい……
「ゴアァァァァァァア!」
それは立ち上がり、咆吼する……
それだけで、空間を揺るがした……
ビリビリと、俺の体もその咆吼で震えていた……
そして、その身に溢れんばかりの銀の光という魔力を宿し……その光を一点に……口内へと収束する……
そして……それは黒き神……アカムトルムへと放たれた……
ゴォッ!
それはまさに……小さな太陽だった……
その炎は遙かなる距離を隔てた、惑星をも照らし……その光で全ての生命の礎となる……
光は植物を育て、その植物を草食動物が食べ、それを肉食動物が喰らう……
全ての起点……文字通り生命の元……
それが……敵の防御膜を……完全に破壊した……
「なっ!?」
まさに規格外……
先ほどはなってきた衝撃波を軽々と超えた、その火球……
あまりの威力……そしてめまぐるしく変化する状況に、俺の頭が付いていかなかった……
【 !!!!】
!?
あまりの威力に呆気にとられてしまった俺は……その思念で我に返った……
その銀のブレスで敵の防御膜、そして収束していた力は完全に霧散していた……
だが、まだ敵は生きている……
そして……それを殺すのは……
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
走った……
手にした二つの武器……夜月と狩竜を振りかぶって……
今を置いて、敵を倒す事は出来ない……
これが正真正銘……最初にして最後のチャンス!!!!
【ぐっ!? 貴様ぁ!!!!】
敵が唸る……
だがそれに構わず俺は走った……
敵が俺へと、僅かに残った衝撃波で攻撃しようとする……それを……俺は……
「させるかぁぁぁぁぁぁ!!!」
まず、狩竜を敵の口内へと向かって投げる……
それは狙い違わず、相手の口の中を切り裂いた……
さらにおまけとして……背中に装備している、封龍剣【超絶一門】を敵の巨大な一対の牙へと向けて投擲する……
ガスッ!!!!
それが敵の牙へと突き刺さる……
絶叫を上げるアカムトルム……
痛みによって振り上げられたその頭に向かって……俺は飛んだ……
飛び上がると同時に……それを顕現する……
夜月へとラオシャンロンの力を、魔の力を顕現……
敵の防壁が敗れたとはいえ相手は神……
生半可な攻撃が通じるはずもない……
龍刀……顕現……
今まで顕現してきた狩竜……
それとは違い夜月での龍刀顕現……
今まで一度も魔を乗せたことのない武器での龍刀【朧火】顕現は不安があった……
だがそれでも……ぶっつけ本番であっても……
俺が夜月を信頼しない理由はない!
その信頼と想いを込めて、俺は夜月に魔を注ぐ……
短い分……圧縮された力……
その圧縮をどうにかやり遂げ……それを顕現する……
龍刀【朧火】をそのまま打刀サイズにしたような……龍刀……
だが短いからと言って決して弱いわけではない……
魔の力を存分に体現したその龍刀、銘は……
龍刀【穹鬼(きゅうき)】
「く ら え ぇ ぇ ぇ ぇ っ!!!!!」
そして龍刀【穹鬼(きゅうき)】を逆手に持ち、敵の頭部へと……突き刺した……
ドスッ!
それが……龍刀【穹鬼】が根本まで突き刺さった……
完璧な致命傷……
俺と敵は……しばしの間停止した……
【 】
何かを言った……
だがそれを聞く事はかなわず……敵は地面へと崩れ落ちる……
ズズン!
古龍種達と違い、その体には実体があるのか……
それは魔力の粒子で霧散することなく、そのまま残っていた……
敵の防護膜が霧散していく……
と思われたその時……
キィィィィィィ
それが敵の背中の棘の中心部で収束し、実体化し……俺の手元へと落ちてくる……
否、飛んできた……
「……これは?」
小指ほどの長さの……赤黒い爪だった……
敵が纏っていた防御膜……いや、防御ではなくその溢れんばかりの力が漏れ出ていたその剛力……
それが収束したかのような存在だった……
それはキリンのたてがみの首飾りの右側へとゆき……そしてその首飾りの新たな飾りとなった……
龍刀【穹鬼(きゅうき)】から魔が霧散し、通常の姿……打刀 夜月へと姿を戻す……
俺はそれを納めて……
ムーナへと向き直る……
「……ムーナ……なんだよな?」
【 】
!?
俺へ送られたその言葉……
それはあまり明確ではなかったが……、何故かそのムーナが言う言葉が俺の脳へと流れ込んできて、それが理解できた……
それは間違いなく……ムーナの言葉で……
【 】
「……ムーナ」
さらに紡がれたその言葉……
俺はそれを聞いて思わず泣きそうになってしまった……
あなたの息子だと……
そう言ってくれたのだから……
その言葉が……その言葉だけで十分だった……
普通に考えればおかしいことだらけだった……
死にかけたムーナが何故復活したのか?
紅銀だった鱗を燦然と輝く銀の鱗へと変化させたのか?
その身を包む……あり得ないほど膨大な魔の力は何なのか?
聞く事……聞かなければいけない事はそれほど山のように合った……
だけど……今はただ……あのままでは死んでいたムーナが生きていてくれた事が……嬉しくて……
俺はその……銀に輝く頭へと体を近づけて……しっかりと胸に抱いた……
「よくぞ死なないでくれた……ムーナ。助けに来てくれた事、敵の防御を破壊してくれた事……それも嬉しいが何よりも……お前が死なないでいてくれた事が……嬉しいよ」
「クォォォォォ」
その言葉に、ムーナが俺に甘えるように抱いた頭を押しつけてくる……
俺はそれに応えるように、痛くない程度にさらに強く抱き、そしてゆっくりと頭を撫でた……
「ありがとう……我が息子……ムーナよ」
俺とムーナは、しばらくそこにいた……
互いに生きている事の喜びを……噛みしめながら……
なんか異常進化を遂げたムーナw
この作品では究極の飛竜種ですなw
普通の飛竜種は何匹かかろうがムーナにはかてましぇんw
次回、っていうか次の部からはついに!!!!!
最終章
へと突入します!!!!
お待たせしました諸君!!!!!(幻魔界最高の剣士風)
ついに3rdの表のラスボス登場だぁ!!!!!
え? 何度でも聞いてくれる?
ではお言葉に甘えてもう一度……
拙者の名前は……カータナバカデス!
にじファン界モンハンの……作者!
最終章開始!!!!!
さぁエンジンフルスロットルだこんちくしょう!!!!!!