リアル?モンスターハンター 異世界に飛んだ男の帰宅物語?   作:刀馬鹿

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最終章開幕!!!!


あ、きいてきいて


昨日妖精を見たよw 


ほんと!?


嘘w (なぞなぞ博士風)



神々との戦
荒天を呼び、舞う羽衣


目覚めてしまったか……

 

仕方あるまい。あれらはそう言う物だ

 

蘇ったとしてもまたここに来たら一瞬で返り討ち。それで終わりだ

 

 

雲さえも突き抜けてそびえる謎の建物。

伝承で語り継がれていても、誰もその存在を見た事がない聖域ともいえる場所。

 

 

名を古塔

 

 

その場所に、圧倒的な存在の何かが複数いた。

 

 

いやどうやら今回はあちらも考えているらしい

 

ほう? その考えとは?

 

 

祖に黒がそう問うた。

そして答える祖。

 

 

やつらは地の生物を絶滅させる魂胆のようだ

 

ほぉ? それは興味深い

 

 

その祖の言葉に紅が実に愉快そうにそう答える。

その反応を予想していたのか、祖は溜め息を漏らす。

 

 

笑い事ではない。地の物達の絶滅はここにも被害が及ぶぞ?

 

別に構わぬ。大体にして私は人間が跋扈している今のこの状況が気にくわない

 

だが……今回はそう簡単にはいかない

 

 

黒のその言葉に二つの気配が黒の続きを待った。

そして黒は重い言葉を口から吐き出す。

 

 

邪と嵐が……目覚めようとしている

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

鉄刃夜………………

 

 

もう自己紹介いらないよね?

 

 

面倒なので省略!!!!!

 

 

というか……そんな事をしている余裕は皆無だった……

 

 

 

 

【では見せてもらおう……。わが双璧……アカムトルムを倒した貴様の力を】

 

 

 

 

……只今絶賛

 

 

 

 

……戦闘中なんだよね

 

 

 

 

目の前に鎮座するのは……白き巨大な山……

 

アカムトルムとは違い、棘ではなく、巨大な背びれを背に背負う……

 

その表面は滑り止めのためなのか……止めから見ても凄まじいほどぎざぎざとしており、金鑢を連想させる……

 

爪は普通に手の先にしか生えていないが……腕の棘は螺旋を描いていて……ドリルを思わせる……

 

 

 

 

そして何よりも……小さめの頭に反比例したその巨大な顎は……まるで巨大なシャベルのような形状をしている……

 

 

 

 

白き神、崩竜 ウカムルバス 

 

 

 

 

先日、火山より出てきた、黒き神、覇竜 アカムトルム双壁をなすと言われている……神様らしい……

 

 

 

 

【ボォォォォォォォォ!!!!】

 

 

 

 

それが吼えて……今俺がいるこの地……雪山の遙か奥にあり……神の領域と言うことで、誰一人として近づけない『極圏』という、極寒の地が震える……

 

せり出した雪が、咆吼によって塊となって、いくつも頭上から降り注ぐ……

 

 

 

【我は白き神、崩竜 ウカムルバス! 貴様の力を……見せてもらうぞ!!!!!】

 

 

 

俺はそれを避けつつ……狩竜に龍刀【朧火】を顕現し……突っ込んだ……

 

 

 

 

あの日……黒き神アカムトルムを銀レウスとなったムーナと共に撃退し……俺たちはユクモ村へと帰還した……のだが……

 

 

「……は?」

 

「なん……だあれ?」

 

「……ムーナちゃん?」

 

 

何とか夜明け前に帰れたために、そこまで目立たずに帰ってこれたのだが……弟子二人、そしてレーファから隠し通すのは不可能であり……

 

 

「……あ、えっと……ムーナだ。間違いなく」

 

「「「……」」」

 

 

ムーナを見て誰もが絶句する……。

そして少しして……

 

 

 

 

「「「lkjghqfんl・入れね゛きみなす背化に見れて祖fqr、・g!?!?!?!?!」」」

 

 

 

 

声にならない悲鳴を、三人が一斉に上げた……。

 

 

? 驚き過ぎじゃないか?

 

 

確かに赤色から銀色に変わったのは異常事態かもしれないが……それにしたってこの驚き方は……。

 

 

「……何でそんなに驚いているんだ?」

 

「!? あ……」

 

「? あ?」

 

 

フィーアが俺の言葉に一瞬呆気にとられ……そして……

 

 

 

 

 

 

 

「あ ほ かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

過去に類を見ないほどの大絶叫をした……

 

 

ぐぁぁっぁ!?

 

 

あまりの声量に、一瞬耳がいかれ掛けた。

そして頭を抑えた俺の襟を……フィーアが掴んでグワングワンと、前後に揺する。

 

 

「お前本気で言っているのか!? りおレウスの鱗が銀色って……超希少種の銀リオレウスだぞ!?」

 

「稀少なのか?」

 

 

知らないので稀少もくそもあったもんじゃない。

豚に真珠、猫に小判。

 

 

「伝説や伝記には確かに存在するが、過去数百年、誰も姿を見たことがないモンスターだ! 過去の遺跡なんかから、銀リオレウスや、銀リオレウスの対となる存在の金リオレイアの武器防具が出土されたりするから存在は確かにしていたと証明されているが……。貴重さで言えば古龍種にだって負けていないんだぞ!?」

 

 

へ~~~~~

 

 

「出土された武器防具は基本的に博物館なんかに保管される。だから今まで市場に銀リオレウスや金リオレイアの武器防具どころか素材だって出回ったことないんだぞ!? それこそ鱗一枚で果たしてどれほどの価値が付くか……」

 

 

「ムーナちゃん? どうして銀色になったんですか?」

 

「……俺も知らんが。まぁ大した問題じゃないだろう?」

 

「!? た、大した問題じゃないって……」

 

「ほ、本気で言ってるんですかジンヤさん!?」

 

 

フィーアとリーメが驚きすぎ、といってしまいたくなるほど驚愕の声を上げている。

そんな中でも、レーファはある意味でいつも通りだった。

 

 

「だって……」

 

 

 

 

「ムーナちゃんはムーナちゃん……ですよね?」

 

 

 

 

俺が今口にしようとしたことを、ほとんどそのまま言われて俺は驚きが隠せなかった。

その言葉を言った人間の方……普段通りにしているレーファへと俺は顔を向ける。

 

 

「そう言いたかったんじゃないですか?」

 

「……お見事」

 

 

誇らしげに胸を張っているレーファに向かって俺は素直に拍手した。

口調はレーファのものだったが言っていることは完全に俺が言おうとしてたことだったからだ。

そのレーファの態度でようやく二人も少しは落ち着いたのか(といってもやはり気になるらしく、ちらちらとムーナの方を見ているが)とりあえず普段通り、とは言えないだろうが朝の活動を行おうとしたのだが……

 

 

「何を朝っぱらから騒いでいるのかね?」

 

 

予想外の客人によって、それははかなくも散った……。

 

 

「あ、村長さん。おはようございます」

 

「おはようジンヤ君。それにしても今朝は太陽が眩しいね……。というかなんか反射してる物体でもある……の……」

 

「クォ?」

 

「……………………………………………銀リオレウス?」

 

「みたいですよ?」

 

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

 

 

バタン

 

 

「!? 村長!?」

 

「村長が倒れた!?」

 

「医者あぁぁぁぁぁ!」

 

「村長しかいないから!」

 

「と、とりあえず人を!?」

 

「これ以上連れてきてパニックになったらどうなる!? 卒倒する人間が相次ぐぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

……………カオスすぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

と、いうやりとりが合った。

その後、とりあえずリーメとフィーアを一旦気絶させて、少し頭を冷やした後、事情を説明した。

ちなみに村長もどうにか復活し、その話し合いには参加した。

といっても銀になった経緯は俺も正直よくわかっていない。

 

 

だがこれも

 

 

 

 

ムーナはムーナ

 

 

 

 

と言うことで無理矢理納得してもらった。

というか俺がわからない以上誰にもわからないのは当然のことなので……。

仕方なく半ば有耶無耶にしして終わった。

ちなみに箝口令をしようとしたのだが……どちらにしろばれると言うことでいっそのこと公にした。

まぁ公にするのは、ディリートやドンドルマの大長老なんかに下回しや準備を行った後にという話になったが……。

ちなみにその際は、意思疎通が出来ることや、その強さは秘密にすることが決定した。

何せ意思疎通が出来るなんて事がしれたら……動物園のパンダになりかねない。

それほどに銀リオレウスというのは稀少らしく、貴族達が暴走しかねないらしい。

それこそ村を滅ぼしてでも手に入れる価値があるらしい……。

 

 

まぁ絶対に手に入れさせないけどね

 

 

俺がいる限り、万の軍勢が襲ってこようが蹴散らすことが可能だ。

また、嫌がるだろうしさせたくもないが、ムーナが火球を一発でも吐けばそれだけで全てが終わる。

 

アカムトルムの衝撃波を吹き飛ばした、あの時のブレス……。

はっきり言って異常な威力だ。

あれも正に空間すらも破壊……いや焼き尽くすことの出来る威力を秘めている。

見たこと無いので何ともいえないが、恐らく核爆弾なんて目じゃないほどの威力だ。

それらを敵に回すのはいろいろと無理がある。

 

 

だがそれでも手に入れようと画策される可能性があるので……出来うる限りムーナは俺の家から出ないことが決定された。

そして村の警備もより一層強化されることになる。

 

 

だが……すぐにそんな場合では……無くなるのだが……

 

 

そしてとりあえずアカムトルムを討伐したその晩……。

 

 

【使者よ……】

 

 

「?」

 

 

【聞こえるか使者よ?】

 

 

その夜……忙しいことに俺の頭に思念が送られてきた。

寝ていた体を起こし……俺は辺りを見渡す……が何もおらず、夜の帳が降りた、静まりかえった我が家だった。

 

 

? 何だ?

 

 

【起こして済まないな。使者よ】

 

 

……気のせいじゃなかったか

 

 

どうやら俺の夢の中の出来事ではなかったようだった。

俺は嘆息しつつ、その言葉に意識を傾ける。

 

 

【我は白き神、崩壊神ウカムルバス】

 

 

? 何だって?

 

 

まだあんな怪物がいるというのか? と俺は驚きが隠せなかった。

 

 

【そう身構えるな。貴様を殺すつもりはない】

 

 

あれ?

 

 

だが意外なことに、その白き神とやらは俺を殺さないという。

そのことに少し安堵する俺だったが……そうで終わる話でもなかった……。

 

 

【だが、貴様に興味がある……】

 

 

……というと?

 

 

【貴様の力を、人となりを見てみたい。済まないのだが……こちらまで来てはくれないだろうか?】

 

 

その思念と共に、敵が俺へと……己がいるであろう場所を教えてくる。

その場所は……雪山のさらに奥……最奥と言うべき場所……極圏……。

そこまでこいというが……そうするとムーナでしかいけないんだが……。

それに俺が行く理由はないが……。

 

 

まぁいくか……

 

 

仕方ないので、俺は昨日の夜と同じように、静かに隠密行動で、ムーナで雪山奥地、極圏へと出陣した。

ちなみに今日はさすがにレーファはいなかった。

昨日と全く同じ装備。

違うのはムーナの体色くらいである。

 

 

「すまないがムーナ。頼む」

 

「クォォ」

 

 

まだ半分ほど寝ているムーナが、俺へと返事をする。

体は大きくてもまだ子供なので、夜は寝たいのだろう。

昨夜夜更かししていたことも考えればなおさらだ。

 

 

そういう経緯で……俺は極圏へと赴き……今、こうして眼前の、ウカムルバスと闘っていた……。

 

 

 

 

【ボォォォォォォ!】

 

 

 

 

敵が吼え、その口から凄まじいレーザーのような何かが放たれる……。

 

半個体、半流体のような曖昧の氷のブレス。

 

それもアカムトルム同様、空間さえも破壊せんばかりの攻撃力をひめていた……。

 

だが……今回はそれが、アカムトルムの時ほどおそろしいとは思わなかった……。

 

 

 

 

「オォォォォッォ!」

 

 

 

 

顕現した龍刀【朧火】でそれを叩ききる……。

すると大上段に振りかざした龍刀【朧火】に、凄まじい衝撃波が纏い、それが氷ブレスと激突……相打ちとなった。

 

 

 

「これは!?」

 

【それはアカムトルムの力……覇王の力を宿した力の爪の効果だ】

 

 

力の爪?

 

 

意外にも、敵が俺にそんな解説を行ってくれる。

その解説を聞き、俺はちらりと、先日キリンのたてがみの首飾りに新たに加わったそれを、見る。

確かにそれから凄まじい気と魔が吹き出していた……。

そして、それを見届けて満足したのか……敵が殺気を納めた。

 

 

【なるほど。貴様の力、確かに見届けさせてもらった】

 

 

そうしてウカムルバスとの戦闘は終わりを告げる……。

完全に殺気が霧散したことを確認すると、俺は盛大に溜息を吐いた。

 

 

「……っとに心臓に悪い」

 

【そう言うな。貴様の力を見届ける必要だが合ったのだ】

 

「見届けるって言うが……何故そんなことを?」

 

【我ら、覇竜と崩竜は神ではある。だが今、それ以上の龍が目覚めようとしている】

 

 

……は?

 

 

覇竜と崩竜を超える存在とか……どういう存在なんだ?

 

 

【それを倒すことの出来るかどうか……確かに見極めさせてもらった。よって貴様にこれを授けよう】

 

 

 

 

キィィィン

 

 

 

 

魔力が流動し、それがゆっくりと……俺の前へと顕れる。

 

敵が纏っていた力……それが具現化した……

 

 

【それは我、崩竜の力を宿した、『守りの爪』だ】

 

「守りの爪?」

 

【貴様は覇王の力によって神と拮抗しうる力を得た。そしてそれを所持していれば神と同等の防御力を有することになる】

 

 

そう説明されているうちに……その『守りの爪』は、力の爪同様に……キリンのたてがみの首飾り……その左側へと、収まった……。

さらに……魔力が流動し……目の前に顕れた玉。

 

 

それは青白く輝く、魔の塊……。

 

 

近づく者の心を打ち崩すような、恐るべき力を秘めた、宝玉……

 

 

【わざわざ出向いてくれた礼だ。持っていくがいい】

 

 

断る理由もなかったが……もらってばかりで少々気が引けた。

が、ありがたく頂戴しておくことにする。

 

 

【これでようやく……我も休むことが出来る】

 

「? どういう事だ?」

 

【我と覇竜は一心同体。やつは貴様に倒され、骸を晒しているが、存在が消えたわけではない。今火山の奥地……神の力を宿した火口の内部で……力の塊として、今再び生を教授しようとしている。といっても当分人間が抱きかかえられる程度の強さだが……】

 

 

へぇ~

 

 

【そのために、それと対の存在である我が、いつまでもこの姿でいるわけにはいかないのだ。だが貴様の力を試すまではそれが出来なかった】

 

「……なるほど」

 

【これでようやく我も力を解放できる。我も同じような状態にならねば……世界のバランスが崩れる】

 

 

すごい存在だな

 

 

話のスケールがでかすぎて、頷くことしかできない。

 

 

【ではさらばだ、使者よ】

 

「!? ちょっと待った!!!!」

 

 

今正に……力を霧散させようとしている崩竜に、俺は待ったをかけた。

 

 

【? 何だ?】

 

「もらってばかりで大変恐縮なのだが……いなくなる前にその背びれ……もらい受けることは出来ないか? 覇竜の素材を家に持って帰ったんだが、それで何か作ろうと思っているんだ。その何かに、あなたの力も付与させたい」

 

 

何でかは謎だが……覇竜、アカムトルムは、魔力の粒子となって消えることがなかった。

多分今もあの火山火口内部にて、骸が鎮座していると思われる。

俺は昨夜、アカムトルムが消えないとわかった瞬間に……体中から素材を剥ぎ取った。

もの凄く堅く……魔力の塊である龍刀【朧火】で無ければ傷一つつけることは出来なかっただろう。

死んだからか、はたまた敵の力を俺が吸収したからか……とにかく葉ギルとことに成功した。

明け方までムーナで剥ぎ取った素材を何度か往復して運んでいたので、朝早くまで時間がかかってしまった。

 

 

ちなみに尻尾から真っ赤な宝玉が手に入ったのでありがたく頂戴しておいた

 

 

しばらく思案していたが、崩竜は俺にその背びれをくれた……。

 

 

 

 

なんか脱皮見たくボコッ、ととれるものだからちょっとびっくりした。

 

 

 

 

【……さらばだ使者よ。お主の無事を祈る】

 

 

そう言い残し……ウカムルバスの姿が霞みがかり……やがて消えた。

アカムトルムと同じように、どこかでその力を調整しているのだろう……。

 

 

俺に様々な者を与えてくれた崩竜に、俺は頭を下げて……ユクモ村へと帰還した。

 

 

 

 

それからは、数日ほど平和な日が続いた……。

とりあえずディリートと大長老に呼び出しをくらって事情説明をする。

その際に、確認されていたアカムトルムが忽然と姿を消したことと俺を結びつけられて、さらに化け物扱いされた。

手柄を独り占め支度はなかったのだが、ムーナが凄まじい力を宿した事を悟られないためにそう言うことにしておいた。

また……俺は封龍剣【超絶一門】たっての願いで、一人火山へと赴き、採掘を行っていた。

火山中腹……まだどうにか普段の格好で活動できる場所をひたすら掘る。

そして……俺はそれを採掘した。

 

 

太古な感じのする板状の物体……。

 

 

それに付いた土や岩を取るために……板の部分らしいところを思いっきりぶん殴った。

 

 

ゴワン!

 

 

確かな金属音を響かせて……しかし今まで、この世界も含めて聞いた事のない金属音だが……、それが姿を見せた。

半ばから無惨に折れ砕けてしまった、大剣の亡骸と思しき者だった。

折れた箇所辺りに……何か絵のような文字が……

 

 

 

 

『我ら、古龍に復讐する者

 

 

 

 

人間の……竜人族の英知を賭けて武具を鍛造し

 

 

 

 

魔を使役する最強の龍を葬り去る事を……ここに誓う』

 

 

 

 

何か、と聞く前に封龍剣【超絶一門】が答えを教えてくれる。

そしてその文面から察するに……封龍剣【超絶一門】……親友が打ちし大剣……。

 

 

その亡骸か……

 

 

となるとこの付近で二人とも死に絶えたという事になるのだろう。

その時の事を思い出しているのか、封龍剣【超絶一門】は押し黙ってしまった。

俺はこの亡骸に付いた土や石を綺麗に取り除く。

人が到達しうる上で究極レベルの武器を鍛造した鍛造士に、敬意を払って……。

 

 

『感謝する……我が仕手よ』

 

 

そうして俺が黙祷をしていると……背中に背負った剣……封龍剣【超絶一門】が声を上げる。

 

 

『志半ばで散ってしまった我が親友……。死んでいるが、それでも……我らの悲願は達成できたと……伝えたかったのだ』

 

「……あぁ」

 

 

俺も……そしてこいつらも、大切な者を失って、その身を焦がすほどの怨念を抱いた。

だからその気持ちは痛いほどよくわかった。

 

 

『これで、友は……安らかに眠れるはずだ……』

 

「……そうだな」

 

 

手にした古の武器……名を封龍剣【超滅一門】。

俺は捨てるに忍びなかったその剣の、墓を作ろうと提案したのだが……。

 

 

『その亡骸……使ってやってくれ』

 

「? 何だと?」

 

『それはもはや存在していない金属、オリハルコンという稀少な金属で作られている。この金属を使えば、古龍種が纏っている魔を切り裂くことの出来る武器が鍛造できる』

 

なるほど

 

『ただ眠るよりも……誰かの手に渡り、少しでも古龍から人を守ることが出来れば……あいつも本望だと……』

 

「……わかった」

 

 

それから封龍剣【超絶一門】に指導してもらい……その稀少金属、オリハルコンを溶かし、玉鋼にして……俺はいくつかの武器を作り上げた。

 

とりあえず真っ先に作った物体……それは……十文字槍……

 

 

「……これを私に?」

 

「あぁ。待たせて悪かった」

 

 

|素槍(すやり)(|直槍(すぐやり)ともいう)の根本付近に横に伸びた|鎌刃(かまば)が左右に生えたのが特徴だ。

横に伸びた鎌刃は敵の足を切ったり、敵の剣を絡め取ったりする時に使われる物である。

ぶっちゃけ対人用装備だが……モンスター相手にも十分に通じる。

 

 

銘を 封龍槍【超滅一門】

 

 

と思ったのだが……

 

 

あまりうまく使えなかった……

 

 

訓練時間に何度か指導したのだが……俺が指導した太刀の動きに慣れてしまっていたらしく、あまりうまく使いこなせなかった。

そのため、俺はそれに似た武器でありながら長柄の武器である……薙刀を鍛造した。

|巴型(ともえがた)と呼ばれる……刃渡りがそこまで長くなく、また先の方が太い、トップヘビー型の長刀だ。

オリハルコン以外に特に特殊な素材を使用しなかったが、しかしオリハルコンがそれを補ってあまりある特殊性を持っており、切れ味、耐久力共に抜群だった。

 

 

「この武器の名前は何だ?」

 

「……そいつの名前は……|封龍薙(ふうりゅうなぎ)【|魔断牙(まだんが)】……だ」

 

 

 

ちなみにこれも後にリオスさんによって……太刀のもう一つの形として定着する事になるのだが……それはまた別の話。

 

 

次に作ったもの……それは打刀。

 

「? 僕に……ですか?」

 

「あぁ。お前もそのうち使えるようになるだろうから……」

 

 

これまたスタンダードな打刀。

属性も付与していないただの物理攻撃の刀だ。

リーメに俺が小太刀を鍛造して使わせたのはあくまでも刀の重さに体が振り回されていたからだ。

だがリーメはまだ成長期。

これからまだ体が大きくなる可能性は十分にある。

そうすれば打刀も十全に使えるはずだ。

だから俺はその時のために、これを鍛造した。

 

 

銘を |封龍刀(ふうりゅうとう)【|魔斬鋼(まざんこう)】

 

 

より多くの人間のために、渡るように……。

 

そして最後に……護りの懐刀を鍛造しようとしたその日……それはやってきた……。

 

否、前兆はあった……。

 

崩竜と出会ったその日から……徐々に天気が崩れてきており……そして……嵐が来た。

 

 

 

 

~古龍観測所 観測隊員~

 

 

な、何だこの嵐は……!?

 

 

数日前にドンドルマに古龍種、テオテスカトルが出現したので、他にも古龍種がいるのではないかと……その結論が出るまでそう長い時間はかからなかった。

古龍の謎を突き止めたいという願いによって組織された我ら古龍観測隊は……それから毎日気球を飛ばしているのだが……一向に古龍は表れず、特に収穫はない。

 

 

折角最新式のバリスタを積んでいるというのに

 

 

古龍が表れた際、少しでも対抗できるようにと搭載された最新式のバリスタを二機、この気球は備えていた。

テオテスカトルには通じ無かったらしいが、古い型だったからだろう。

最新式のこのバリスタならば、きっと通じるはずだ。

 

 

あいにく、今日もそれが火を噴く事は無かったが……

 

 

古龍が表れないことを喜ぶべきなのか……悲しむべきなのか……わからないまま、今日もドンドルマへと帰還していた……その途上……。

ユクモ村付近にさしかかった時に、天候が荒れ出し……そして嵐となった。

 

 

「こりゃあ、大変な嵐じゃな」

 

 

観測用の望遠鏡を手にしながら、私と一緒に気球に乗っている初老の竜人族、コリマナさんがそう唸った。

確かに、この嵐は近年希に見るほどの大嵐だ。

数メートル先の景色さえ見ることが出来ない。

少しでも気を抜けば気球が墜落しそうなほどだ。

私は必死になって手元もレバーや回転板で気球を操作し、とりあえず近場の不時着できそうな場所に、気球を着陸させようと高度を徐々に下げていた……。

そして必死に風を読み取ろうと……目線を上に上げた……そこに……

 

 

「……なんだあれ?」

 

 

思わずそうつぶやいていた。

少し先の方……巨大な切り立った山の上の方……そこに……この暗雲立ちこめ、暴風雨が吹き荒れる中……そこに、真っ白な風が渦巻いていた……。

 

 

 

 

【……久方ぶりの現界か】

 

 

 

 

「な、なんじゃ!?」

 

 

 

 

突然の声、それは直接脳に響き渡るような……そんな不思議な声で……。

そしてその声に呼応するかのように……その集まっていた白い風が……徐々に徐々に集まり、形が無かったそれに……形が出来て……その姿を顕わにした……。

 

 

 

 

全身を包むのは……真っ白な、まるで衣のような白いヒレ

 

短めな手足にも、その衣のようなヒレがあり……それは尻尾も同じだった……

 

その背にいくつもの巨大な衣のようなヒレがあり、それはこの大嵐においてもまったく揺れていなかった……

 

長い首の先にある頭部は小さい……

 

だがその額に生える一対の黄色い角は……巨大だった……

 

そしてこの暗雲立ちこめるこの嵐の中……胸部が爛々と、黄色く光り輝いていた……

 

 

 

 

【荒天神龍……アマツマガツチ】

 

 

それがその龍の名前なのか……。

 

それはその名を名乗ると……こちらへと視線を向ける……。

 

 

【……去れ】

 

 

短くそう言うと、その口より、何か線上のブレスが放たれ……俺たちが乗った気球を貫いた。

 

 

「おわ!?」

 

 

気球を破られ、高度が急速に下がる。

俺は何とか近くの山……かなり広い山頂の山へと軌道を向ける。

幸い、もともと着陸するために、高度を下げていたので、着地の衝撃はそこまでひどくなかった。

先ほどの龍は俺たちに興味はなかったのか、すぐに遠くへと行ってしまう……。

正直あんな龍に睨まれて、生きた心地がしなかった。

 

 

「ここはユクモ村付近か?」

 

「……確かそのはずだ」

 

「こうしてはおれん。あれは間違いなく飛竜種ではない……古龍種だ。すぐにギルドナイトに通達し、避難勧告と警戒を促さなければ……」

 

 

俺もそれには同意だった。

念のために積載していた登山道具を使い、俺とコリマナさんは急いで切り立った絶壁の壁を降りて……ユクモ村を目指した……。

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

ユクモ村に所属する全員のハンターがギルドナイト出張所へと招集された。

嵐によって川が氾濫し、田畑が水浸しになり、いくつかの家屋が破壊された。

それを皆で必死になって水をせき止めたり、修理したりしているときの招集だった。

ギルドナイト出張所へと行くと、そこには意外なことに村長もいた。

他にはいつものようにデウロさん、フィンフュにアネット、そして見慣れない男が一人……。

 

 

誰だ?

 

 

「嵐龍が確認された」

 

「嵐龍?」

 

 

見慣れない誰かが気になったが……特に問題ないので放置。

村長の暗く重い表情から発せられた言葉は……聞いたこともないモンスターの名だった。

 

 

「嵐龍って何だ?」

 

「この村に伝わる伝承に出てくる、古龍です」

 

 

伝承?

 

 

疑問の声を上げたリーメが俺の疑問に答えてくれる。

そこまで言われて俺は以前、村長の家で聞かせてもらった伝承を思い出していた。

 

 

天が啼く時、霊峰に、大いなる災厄の竜が舞い降りる。

 

その者、まず河を飲み、次に山を飲み、最後に里を飲む。

 

人々これを畏れ、里を去る。

 

 

伝承の竜は、古龍ではなく、嵐であると言われていた伝承だった。

だが村長は以前俺とリーメが渓流を調査したときに見た、以前人が住んでいた場所に一時期とはいえ住んでおり、その嵐龍を見た生き証人の一人だった。

といっても本人も幼少期だったために半信半疑だったらしいが……。

 

 

「嵐龍?」

 

「……本当か?」

 

「あれって嵐のことを昔の人が誇張して書いた物では?」

 

 

そんな中、集まったユクモ村のハンターの連中の反応は様々だった。

まぁ確かに、伝承だけ聞けば嵐と思うのも納得できる。

だが……俺にははっきりと理解できた……。

 

 

それが存在すると……

 

 

さっきから龍刀【朧火】が嘶いているからな……

 

 

同じ神として、その存在を明確に感じ取っているのだろうか。

 

 

「こちらにいる古龍観測隊の人が、本日、渓流奥地で見たこともない白い龍を発見した」

 

 

あぁ古龍観測隊の人か

 

 

村長が脇に控えていた人が誰かを教えてくれた。

そしてその人が前に出る。

どうやら説明を交代するらしい。

 

 

「約数時間前。私ともう一人が気球に乗って渓流付近を調査していたら、嵐が急に加速し、積乱雲付近に白い風が集まり、それが龍の形を成して、我々の気球を破壊しました……」

 

「白い風が集まって……って」

 

「……冗談か?」

 

 

冗談じゃないだろうな

 

 

あまりにも突飛な話に集まったユクモ村のハンターの連中は、戸惑っているが、話す相手の真剣さ、そして村長のおびえ具合で冗談ではないと思ったようだった。

 

 

「翼をはためかせもせずに、対象は空を自在に飛び回る飛行能力を有しています。また口から線上のブレスを吐くことも可能なようです」

 

 

宙に……浮いているのか?

 

 

それは予想外な能力だった。

飛行ではなく、飛翔ということなのだろう。

 

 

さすが神様……物理現象なんぞお構いなしか……

 

 

「現在、ギルドナイトに報告し、指示を仰いでおりますが……恐らく避難勧告が発令されると思われます」

 

「避難だと?」

 

 

その言葉に、ユクモ村のリーダー、レグル(妹がさらわれたやつな。覚えてる?)が一歩前に踏み出しながら、古龍観測所の男へと詰め寄る。

 

 

「村を捨てろというのか!?」

 

「そうはいってません……。ですが、安全を考えれば、避難した方が……」

 

「だが、そのために村を捨てろというのだろう!? それとも避難したらギルドナイトが退治してくれると言うのか!?」

 

「それは……私はギルドナイトではないので……何とも」

 

 

まぁわからんだろうな

 

 

だが仮にギルドナイトが出てきたところで何も出来ないだろう。

皆はわかっていないが……嵐龍は神龍だ。

人間が太刀打ちできるわけもない。

そしてそうなってくると……。

 

 

俺が行くしかないな……

 

 

恐らく崩竜、ウカムルバスもそのつもりで俺に守りの爪を与えてくれたのだろう。

俺はすっと……挙手した。

 

 

「……ジンヤ君」

 

 

村長はすぐにわかったのか、俺を見て深く安堵した。

村長が注視したこともあって、一斉に俺へと視線が集まる。

 

 

「とりあえず俺が行こう……」

 

「行くって……あなたがですか? 一人で?」

 

「そうだ」

 

 

古龍観測隊の男が呆気にとられながら俺にそう言ってくる。

俺はそれにはっきりと頷いた。

 

 

「無茶だ!? あなたは見ていないからそんなことが言えるんだ! あれは……あれは人間がどうこうできる物じゃない!?」

 

「だからって尻尾巻いて逃げるわけにはいかないだろうよ」

 

「ですが……」

 

「お前知らないのか……。この男は古龍種、テオテスカトルが倒した、あのクロガネジンヤだぞ?」

 

 

驚く男に、レグルが注釈を入れる。

その言葉に……呆気にとられた後、目を見開いた。

 

 

「クロガネジンヤ? ……ギルドナイト隊員の?」

 

「そうだ」

 

「ラオシャンロンを討伐したと言われるあの?」

 

「うむ」

 

「あの……天地狩猟ノ覇紋を授与された?」

 

「あぁ」

 

 

何でお前が応える……

 

 

別によかったのだが、レグルが男の疑問に答えていた。

まぁ別に問題は無いのだが……。

 

 

「……あなたが……生きる伝説の」

 

「……ちょっと待て。俺はそう言う認識なのか?」

 

 

生きる伝説とか……初めて聞いたんだが……

 

 

だがその場で不思議に思っているのは俺だけで……誰もが「今更何言ってんだ? こいつ?」みたいな表情をしていた。

 

 

……まぁいい

 

 

色々と言いたい気分だったが……そんなことはどうでもいい。

村長へと目を向ける。

すると村長は全てわかっているのか……俺に向かって静かに頷いてくれた。

俺はそれに頷き返すと皆に向き直り、指示を出す。

 

 

「とりあえずこの村を放棄するという結論は置いておいて、まず一般市民の避難を完了させる。デウロさん、避難民の受け入れ先を至急ギルドナイトに準備させてください」

 

「もう行っている。そう時間がかからずに返答が来るだろう」

 

「お前達ハンターは……村に残るか残らないかは各自の判断に任せる。だがこれから忙しくなる可能性が高い。残ってくれると俺としても助かる。また避難民の中にも力になりたいと思うやつがいるかもしれない。そう言った奴らは協力してもらえ。だが体の弱い人や老人、女子供は出来る限り避難させろ。そう言った人間の選抜とかはレグル、お前に任せる」

 

「わかった」

 

 

反抗されるかと思ったが、大丈夫だった。

妹のレミルちゃんとラオシャンロンの一件以来、結構信頼されているようだった。

 

 

「それから……リーメ」

 

「はい」

 

 

自分の部下達に指示を矢継ぎ早に出すレグルから向き直り、俺はリーメを呼ぶ。

 

 

「すまないがリオスさんを呼んできてくれ。あの人の力が必要になるかもしれない」

 

「わかりました」

 

「それからフィーア」

 

「何だ?」

 

「お前はここに司令官として残ってくれ。一番お前が顔が広いはずだ。ギルドナイトや他の面々の仕事、任せたぞ?」

 

「あぁ」

 

「では俺はとりあえず行ってくる……」

 

 

ある程度指示を出し、方向性を決めておけばユクモ村の連中の結束力と連携力でどうとでもなる。

だから俺は率先して指示を飛ばしたのだ。

 

 

柄じゃないんだがな

 

 

まぁあのまま放置しておけばどうなったかわかったものではないので、正解だったとは思うが。

 

 

「ジンヤ君」

 

 

そんな俺に村長が近づいてくる。

その顔には深いしわが刻まれていた……。

 

 

「……すまない。また君を頼ることに」

 

「気にしないでください。わかってましたし」

 

 

普通に答え、また嫌みに取られないように、朗らかな笑顔でそう答えた。

実際俺以外にどうしようも出来ないことは事実なのだから、俺が行くしかない。

だから俺が突撃することは別に問題じゃなかった。

 

 

「ま、とりあえず行ってきます」

 

「……気をつけて」

 

 

その言葉に笑顔で返し……俺はギルドナイト出張所から出て、自宅へと急ぐ。

家に入り、すぐに戦闘準備をする。

といってもいつも通りの重装装備だが。

 

 

夜月、花月、水月、雷月、蒼月、封龍剣【超絶一門】、そして狩竜

 

 

スローイングナイフは風で飛ばされてほとんど意味が無いと分かりきっていたので、装備しない。

それから着替える。

 

 

正直、クシャルダオラの「鋼殻の護り」を発動すれば、濡れることはあり得ないのだが……しかしそれがわからない連中の前で使っていてはどんな反応が来るかわかったものではない。

そのため、他の人間がいるときは、全ての護りを切っているのだ。

そのためにびしょ濡れになっている服を脱ぎ、戦闘服……現実世界での衣服へと着替える。

そして全ての準備を整えて……俺はムーナへと近寄る。

 

 

「……いけるか?」

 

「ゴァァ!」

 

 

小屋でじっとしてもらっていたムーナが元気よく返事をする。

何がどういけるのか、全く説明していないというのに、ムーナは一瞬で俺の意図をくみ取ってくれた。

空を飛んでいる以上、こちらも飛ばなければ話にならない。

残念ながら(残念?)俺は飛翔能力を身につけていないので、空を飛ぶ唯一の手段……ムーナに頼るしかなかった。

ムーナに騎乗用の道具を取り付けて……俺は暴風雨の中……空高く飛翔していく……。

 

 

「今回も神様が相手だそうだ……。気を引き締めていくぞ!」

 

「ガァァァァ!!」

 

 

行っていることが陳腐に思えて仕方がない。

神様と闘うとか……漫画とかゲームの世界だろうに……。

 

 

まぁどちらにしろ闘うだけだが……

 

 

「ゆくぞ!」

 

「ゴァァァァァァ!!!!」

 

 

ムーナが力強く咆吼し、暴風雨の中空へと舞い上がる。

飛び上がる動作に不安はなく、空へと飛翔する。

 

 

「大丈夫か?」

 

「クォルルルル」

 

 

どうやら大丈夫なようだった。

暴風が吹き荒れているので少々不安だったが……。

とりあえず空を飛ぶのに支障はなかったので、そのまま俺はどうにか空へと飛び上がる。

こうして……俺とムーナは嵐龍とやらの討伐に向かった。

 

 

 

 

~レーファ~

 

 

また……ジンヤさんが……戦いに行った

 

 

避難を促されて荷物を整理していると、桜火竜の紅玉が光り、ジンヤさんがまた戦いへと赴いたことを知らせてくれる。

 

 

伝承の古龍 嵐龍

 

 

天が啼く時、霊峰に、大いなる災厄の竜が舞い降りる。

 

その者、まず河を飲み、次に山を飲み、最後に里を飲む。

 

人々これを畏れ、里を去る。

 

 

謳われて語り継がれるほどに、その古龍は圧倒的だった。

伝承の龍をモンスターではなく、ただの台風や嵐であると勘違いしたくなるほどの内容だった。

だけど、今こうして伝承のように、村が危機に陥っている……。

そしてそれを……今度は伝承のように村が崩壊しないように……またジンヤさんが立ち向かっていく……。

本当は止めたいけど……止めたところで……止まってくれる人じゃないから……。

だから私にはただ……祈るしかなかった……。

 

 

それが……悔しかった……

 

 

ハンターとしてでなくてもいい……何か……ジンヤさんの役に立ちたい!

 

 

だけど、私にはそんな事を出来る力は……なかった。

 

 

 

 

~ディリート~

 

 

「各村々からの報告は以上です」

 

「……そうか」

 

 

数日前より発達していた雲は、ついに土砂降りの大雨となって、大陸各地に降り注いだ。

まだユクモ村付近のみで降っているだけだが、大陸全土が雲に覆われてしまっている状況を考えると……その内大陸全土が暴風雨に晒されてしまうのかもしれない。

 

 

「現段階での予想は?」

 

「天候、風向き、雨量、雲の動き……全てにおいて無茶苦茶すぎで、観測班の方でもどう判断していいかわかっていないようです。こんな天気は見たことがないと……」

 

 

そうだろうな

 

 

ユクモ村に伝わる、古龍の伝説……嵐龍。

人々の誰もが……古龍観測所でさえ、嵐を誇張した物だと結論づけたその伝承の龍の正体が……よもや本当に古龍種だったとは……。

しかもこれほど大規模に天候を操るなんぞ、もはや生物の域を超えている。

もっともひどいのはその嵐龍というのがいると思われるユクモ村の渓流最奥の地方だが……ここドンドルマも相当ひどい状況だった。

ユクモ村や、他の近辺の村々の避難民の受け入れはどうにかなるが……。

 

 

「食料の備蓄は?」

 

「何とかなりますが……仮に一ヶ月以上となった場合は……どうなるかは」

 

「だろうな」

 

 

しかもそれだけでなく、もしもこの嵐が一週間も続けば、作物が全て駄目になってしまう。

まだドンドルマとその近辺だけならばどうにかなる……。

だがもしも大陸全土がそうなった場合……。

そうすればどれほどの飢餓が起こるか……想像もしたくない。

だが、敵が宙に浮いているという……あまりにも信じがたい敵である以上、有効打を考えることは難しかった。

テオテスカトルにバリスタが通用しなかった以上……恐らくこの嵐龍にも普通のバリスタは通用しないと考えられる。

 

 

……神に祈るしかないというのか

 

 

もはや人がどうにか出来るレベルを超えていた。

 

 

どうにもできんというのか……

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

暴風雨吹き荒れる中、俺とムーナはひたすらに進んだ。

神の力とも言える、力の爪、守りの爪を手に入れたからか、若干魔力の扱いに幅がきくようになり、俺は俺だけでなく、ムーナも雨に濡れないように、「鋼殻の護り」を俺たち全体を覆うように展開していた。

濡れても大して問題ないかもしれないが、まぁ……念のためである。

ちなみに狩竜は既に抜いて鞘は折りたたんである。

 

 

今回はさっさと終わらせないと村に被害が及ぶからな

 

 

今まで以上に一撃必殺を心がけなければいけない……。

手綱を強く握りしめて……俺とムーナは進む。

だが敵が何処にいるのかわからない……当てもなくさまよう。

とりあえず雲の上に行こうと上の方を目指していたのだが……。

 

 

……雲がとぎれない?

 

 

相当な高さに登ってきたにもかかわらず、一向に雲がとぎれる気配がない。

というか上にも横にも雲に途切れが見えない……。

まるで惑星全体を覆ってしまったかのような……それほどの天候だった。

 

 

「……こりゃユクモ村だけでは収まりそうにないな」

 

 

もはや一地方で収まる範囲ではないらしい。

なるべく早く始末しなければ、ひょっとしたらこの大陸全てが終わってしまうかもしれない。

俺は手綱を握る力をさらに込める……。

 

 

その時……

 

 

 

 

【……そちらからで向いてくれるとは。探す手間が省けた物よ】

 

 

 

 

そう唸る……思念。

そして前方に比較にならないほどの暴風が吹き荒れ、そして、そこに魔力が収束する。

……どうやら敵も俺を待っていたようだった。

 

 

「……それはこっちの台詞だ」

 

 

ムーナがその場で滞空し……低く唸る……。

それに応えるかのように……徐々に徐々に……その風と魔が融合し……それが表れた。

 

 

その外見は、まるで悠然とした羽衣を纏った天女のような姿をしていた。

だがその顔にある、鋭い眼光はそんな生やさしい物ではないことを、教えてくれる。

 

 

【我、嵐の神にして、荒天の古龍 アマツマガツチ】

 

 

……アマツマガツチ

 

 

それが眼前の敵、ユクモ村に伝承されてきた、嵐の龍の名だった。

 

 

【……貴様がラオシャンロンの力、そして、現界の神、覇竜と崩竜より力を得た人間だな?】

 

「……いかにも」

 

 

敵の疑問に答える……。

その時には既に俺は、龍刀【朧火】を顕現していた。

 

 

【我ら、嵐と邪の宿願のために……貴様が宿したその力……貰い受ける】

 

「……その台詞もう聞き飽きた」

 

 

そんな冗談を言っている場合ではなかったが、しかしそう言わずにはいられなかった。

出会う古龍種全てがそう言ってくるからさすがに聞き飽きた。

その俺の言葉を鼻で笑い、敵がその殺気を膨らませていく。

 

 

【ならば二度と聞けないようにしてやろう】

 

「それは……楽しみだ! ムーナ!」

 

「ゴァァァァァァ!」

 

 

ムーナに声を掛け、俺はムーナに騎乗し、敵に突進していく。

敵……アマツマガツチもそれに応え、嘶いた……。

 

 

 

 

 

今ここに……ユクモ村の命運を賭けた戦いが……幕を上げた。

 

 

 

 

 

 




あ~……毎日二万字近く打つと死にそうになるんですけど……



もうつかれたよパトラッシュ……


もう……ゴールしても……いいよね……





次回で適当にポーンって投げようかしらぁlkjらlkgh;あmが、c・う4lt;おw。いlgc2gc

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